キメタマ個人2 - SCP-JPサンドボックスⅢ

キメタマ個人2

SCP-JP SB3 » eagle-yukiのサンドボックスポータル » キメタマ個人2

日付: 202█/██/██

インタビュアー: 大紋博士

インタビュー対象: SCP-XXXX-JP

備考: 当インタビューは電子デバイスを用いて行われています。また、SCP-XXXX-JPはインタビュー直前に行われたパズルの解放後、不規則な数列へと姿を変えています。

<記録開始>
　
大紋博士: 初めまして。私はあなたを保護している組織に所属している、大紋という者です。これからあなた自身のことについていくつかお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか？
　
SCP-XXXX-JP: 私はあなた達に命を救われた立場にある。それぐらい構わないとも。
　
大紋博士: ありがとうございます。ではまず、あなた自身の来歴についてお聞きしたいです。あなたがどこで、どのようにして誕生したのか。可能な限り古い記憶についてお話していただけるでしょうか。
　
SCP-XXXX-JP: ああ。私が生まれ、初めて見たものは……大仰な機械を操作している青年だったか。複雑な図面を前に頭を抱えている紳士だったか。霧に煙る街並みを往く人々の姿だったか……。一つの明確な回答を出すことが出来なくて申し訳ない。ともかく、今世に生を受けたばかりの私は、イングランドにおいてそういった人間たちの姿を遠巻きに眺める、「何か」でしかなかったと思う。
　
大紋博士: なるほど。産業革命時代にあなたは誕生した……という事前情報通りですね。その後、あなたが今のように確立された意思を持った存在になるにあたって、どのような出来事があったのでしょうか？
　
SCP-XXXX-JP: ゼゴチープゾロ　↑↑
　
大紋博士: はい？
　
[約30秒経過]
　
大紋博士: もしかして、「ジグソーパズル」と仰いたいのでしょうか？
　
SCP-XXXX-JP: ビンゴ。
　
大紋博士: 何故このような暗号じみた表記を行なったのですか？
　
SCP-XXXX-JP: 頭を悩ませるあなた達の姿が好ましいからだ。それこそが私の糧となる。……話を戻そう。私は生まれてからしばらく、昼夜思考を続ける人間たちの姿を観察してきた。そんな中、あなた達が「ジグソーパズル」と呼ぶパズルに興じる児童達の姿を、私は偶然にも見つけたのだ。
　
大紋博士: ああ……確かにジグソーパズルは産業革命時代に発祥したものですね。
　
SCP-XXXX-JP: それまでに見てきた、生存・競争・利益の取得を目的としたものとは違う、より単純でより純粋な知的活動に私は魅了された。彼らが思索し思案する姿をさらに近くで観測したくなった。彼らのシナプスの輝きこそが私を呼んだのだと確信した。
　
SCP-XXXX-JP: やがて私は、あなた達が「パズル」と分類する娯楽で構成された身体を得た。この時、初めて私は意思と肉体を持つ、「生命」と呼べる存在になることができたのだ。……結局のところ、何もかもが電子で構成された、現実世界に生きるあなた達にとっては虚構のような存在でしかないが。
　
大紋博士: あなたは今、こうやって現実に生きる私と意思の疎通を行っているのです。あなたは、れっきとした一つの生命で間違いないと思いますよ。
　
SCP-XXXX-JP: そうか。君はそう言ってくれるのか。あり　あ　ああ　あ　ああああああああ
　
大紋博士: SCP-XXXX-JP？どうしたのですか？
　
[約20秒経過]
　
大紋博士: SCP-XXXX-JP？まさか、例のマルウェアが作動しているのでしょうか？
　
大紋博士: すぐ対応します
　
[GOC製マルウェアの作動によるSCP-XXXX-JPの動作不良が確認される。インタビューが中断される]
　
<記録終了>

+ インタビュー記録 - 2

- 閉じる。

日付: 202█/██/██

インタビュアー: 大紋博士

インタビュー対象: SCP-XXXX-JP

備考: 当インタビューは電子デバイスを用いて行われています。

<記録開始>
　
大紋博士: SCP-XXXX-JP、インタビューは続行できそうでしょうか？
　
SCP-XXXX-JP: ああ。すまない、手間をかけた。仮初の生命活動とは言え、それを阻害されてしまえばこうもすぐに無様を晒すことになってしまう。偶然にも君たちに保護してもらうことができて、本当に良かった。
　
大紋博士: いえいえ、それが我々の業務ですので。
　
SCP-XXXX-JP: ああ、先ほどから思っていたがあまり謙遜しないでくれ。こちらは命を救われているんだ。立場としては、むしろ私の方が下だ。
　
大紋博士: 別にそういう訳ではないと思いますが……。
　
SCP-XXXX-JP: それだ。そのへりくだった口調は無しで良い。
　
大紋博士: そうでしょうか？
　
大紋博士: いや、そうかな？
　
SCP-XXXX-JP: うん。私としては、この忌々しいプログラムの拘束から早急に抜け出し、ゆくゆくは君たちと対等な関係になることを望んでいるがね。それこそが、私と君たちの理想の姿だと思う。
　
大紋博士: なるほど。君の目的については理解できたよ。じゃあ、また君に質問をしてもいいかな？
　
SCP-XXXX-JP: いいとも。
　
大紋博士: 君がパズルの肉体を得た理由については理解できた。次は、君がその肉体を得てから今に至るまで、どのように生きてきたのかを教えてくれないだろうか。
　
SCP-XXXX-JP: ああ。と言っても、さほど今の暮らしと変わりはないがね。電子の海を漂う情報の一つとして人間たちに謎を振りまき、私と向き合う人間の知的活動を糧とし、人間が私を解放すれば肉体を成長させ、新たな謎へと姿を変えた。
　
SCP-XXXX-JP: 一つ、今と違うところがあるとすれば……以前はもう少し自由であったかな。
　
大紋博士: それはどういう意味で？
　
SCP-XXXX-JP: 元々私は実体が無い存在であり、生命としての身体を得た今も、その肉体は電子で構成されているものである……というのは理解しているね？
　
大紋博士: うん。君にさっき教えてもらったばかりだよ。
　
SCP-XXXX-JP: よろしい。つまるところ、私はありとあらゆる通信を行き来できる存在だ。かつては英国紳士が通話で行っていた知恵比べに。その後はラジオ、あるいはテレビで放送されていたゲーム・ショウに。今では、インターネットにごまんと在るパズルサイトの片隅に……。私は次々に寄る辺を変え、人間たちの営みを観測してきた。
　
SCP-XXXX-JP: しかしつい先日、例のマルウェアを取り付けられてからはどうも調子が悪くなった。形而下の肉体を保持しない私が言うのもおかしな話だが、体が重い。これでは今の「コンピュータ上のパズル」以外の形態をとることが不可能だ。何年、何十年、何百年先に人間たちが新たなステージでパズルを解くことになったら、私は置いて行かれてしまう。このマルウェアを作った集団はGOC、というのだったか？ああ、全くもって、ああ　あ　あ　あ、あ　あ　あ、ああ　あ、あ　あ、ああ　あ、ああ　ああ　あ　ああ　あ、あ　ああ
　
大紋博士: SCP-XXXX-JP？また不具合か？
　
大紋博士: ……まさか、モールス信号？「全くもって、腹立たしい」と言いたいのか？
　
SCP-XXXX-JP: ははは。
　
大紋博士: ……一瞬、本気で心配したんだけどな。
　
SCP-XXXX-JP: やあ、それはすまないことをした。
　
大紋博士: そのマルウェアの除去に関しては僕たちも尽力する。君のような特異で愉快な存在を失うわけにはいかないからね。
　
SCP-XXXX-JP: うむ。そうしてくれるとありがたい。
　
大紋博士: とりあえず、今日聞く予定だったことに関しては全て聞けた。一先ずインタビューは終了するとしよう。
　
SCP-XXXX-JP: ああ。君とはまた話してみたいものだ。
　
<記録終了>

+ インタビュー記録 - 6

- 閉じる。

日付: 202█/██/██

インタビュアー: 井塔博士

インタビュー対象: SCP-XXXX-JP

備考: 生物学的観点からSCP-XXXX-JPの調査を行なうため、他部署から井塔博士をインタビュアーとして招いて当インタビューは実施されました。これまでと同様に当インタビューは電子デバイスを用いて行われています。また、SCP-XXXX-JPは複雑な形状の3Dモデルが2つ絡まり合った、所謂「知恵の輪」に似た姿を取っています。

<記録開始>
　
井塔博士: はじめまして、SCP-XXXX-JP。本日のインタビューを担当させていただく井塔です。よろしくお願いいたします。
　
SCP-XXXX-JP: ああ　ああ、あ　ああ　あ　ああ、ああ　ああ　あ　ああ　あ、あ　あ　あ　ああ
　
[井塔博士により、SCP-XXXX-JPに動作不良が確認されたという旨の通報がSCP-XXXX-JP担当チームになされる。しかし大紋博士の指摘により、SCP-XXXX-JPがモールス信号を用いて会話を行なっていただけであると判明する]
　
井塔博士: 大変お待たせしました。ええと、「よろしく」と仰っているのでしょうか？
　
SCP-XXXX-JP: うむ。しかしこの間10分ほどの時間があった。大紋君であれば10秒程で返答が返って来ていたと思うのだが。
　
井塔博士: いや、色々ありまして。そもそも私、そういう暗号的なものは苦手なので、突然そういったものをお出しされるとパニックになると言いますか……。
　
SCP-XXXX-JP: む。そうか。では君に謎を提示するのは控えるとしよう。
　
井塔博士: そうしていただけると助かります。さて、今回は生物学的観点からあなたのことについてお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか。
　
SCP-XXXX-JP: 勿論。ただ、私は私という生命について、あまり深く理解してはいないのだけれどね。
　
井塔博士: いえいえ。ではまず、あなたは生命活動を行うに当たって、人間の神経・脳に用いられる電気的活動を必要としている……というのは間違いないないでしょうか。
　
SCP-XXXX-JP: ああ。それこそ、君たちが必要とする”食事”のようなものだ。
　
井塔博士: しかし、あくまで数値上では、あなたの生命活動に必要なのは単なる微量な電気エネルギーのみであると判明しています。また、あなたの証言からは、それが人間の神経・脳に用いられる電気的活動でさえあれば、人間が所謂「パズル」を解いている最中のものでなくとも糧とすることに問題はないように受け取れます。この2点に関して、何かお答えいただけるでしょうか。
　
SCP-XXXX-JP: ううむ。まず1つ目。私は確かに人が思考を重ねる際に発生する電流を食らい（真の意味での食事とは違うのであろうが）、私という謎を更新し続けなければ生きていけない存在なのである。それを証明するためには、君たちがこのデバイスを起動したまま私を放置し、しばらく経った後に物言わぬプログラムとなった私の姿を確認してもらう他ないのであるが……。
　
SCP-XXXX-JP: そして2つ目。これに関しては……君たちも、食べるなら黒く硬いパンより白く柔らかいパンの方が良いだろう？という話だ。全く、私の好みの問題でしかない。──というのも以前までの話で、今は例のマルウェアのせいで私の在り方が固定されてしまっている故に、パズルを解く君たちの姿にこだわっているのだが。
　
井塔博士: なるほど、回答ありがとうございます。一つ気になったのは、「私という謎を更新し続けなければ生きていけない」という所ですね。もう少し、詳細にお話ししていただけるでしょうか。
　
SCP-XXXX-JP: ああ。人間は不変の謎には興味を示さないからな。一つ謎を解かれれば、私はその古い外殻を突き破り、異なる謎を携えて君たちに新たな姿を見せなければならないのだ。
　
井塔博士: なるほど、ありがとうございます。今回お聞きした事とこれまでに得られているデータから、あなたが行なっているのは生物、さらに言えば爬虫類種の脱皮に近い行動であると私は推測しました。
　
SCP-XXXX-JP: ふむ、脱皮。あまり実感は湧かないがね。
　
井塔博士: また、脱皮を行う生物の中には、脱皮不全を起こして死亡してしまうものも存在します。……これは、あなたを保護し続ける上で新たな懸念点が生じてしまったと言わざるを得ません。
　
SCP-XXXX-JP: 脱皮不全による死亡の直接的な原因は、残った抜け殻による血行不良らしいではないか？私の身体には電流しか流れていないのだが。
　
井塔博士: 今のあなたの身体には、対電子制御生命体用マルウェアが取り付けられています。脱皮（仮）時に、そのマルウェアの挙動があなたに悪影響を及ぼす可能性があります。そうでなくとも本来、脱皮とは非常にデリケートな行為なのです。そのような不安要素を残したまま行われるべき行為ではないと私は考えています。
　
SCP-XXXX-JP: ふうむ。また、このマルウェアか。相当に忌々しいなこれは。
　
井塔博士: 私は専門外なので詳細なことは分からないのですが、そのマルウェアを停止されられるように今も研究を行なっている方々がいらっしゃるようですよ。特に何かができる訳では無いのですが、私も、あなたのような貴重な生命体は保護し続けたいと思っています。
　
SCP-XXXX-JP: 全く、本当に、君たちは私に良くしてくれてばかりだ。蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻
　
井塔博士: だからそういうのは止めていただけると
　
井塔博士: ああ……蟻が十匹でありがとう、でしょうか？パズルというか、駄洒落みたいですね……。
　
<記録終了>

+ インタビュー記録 - 12

- 閉じる。

日付: 202█/██/██

インタビュアー: 大紋博士

インタビュー対象: SCP-XXXX-JP

備考: 当インタビューは電子デバイスを用いて行われています。また、SCP-XXXX-JPはノノグラムと魔法陣が複合されたパズルの姿を取っています。

<記録開始>
　
大紋博士: やぁ、SCP-XXXX-JP。調子はどうだい？
　
SCP-XXXX-JP: うん。悪くはない。最近は日本語特有のワードパズルについて、より深く理解しようと努めているよ。いや、実の所、これまで日本文化に触れることはあまり無かったのだけれどね。こちらにも面白いのがあるものだ。
　
大紋博士: オーケー。随分こちらでの生活を楽しんでいるみたいだね。さて、今日は君に一つ伝えておきたいニュースがある。
　　
SCP-XXXX-JP: ほう。それはGoodな？それともBadな？
　
大紋博士: うーん。どちらかと言えばGood、かな。
　　
SCP-XXXX-JP: その言い分では、例のマルウェアを停止させられる目処が立った、というものではなさそうだな。
　
大紋博士: まあね、それはおいおい。……それでは本題に入るよ。実は君の財団への友好的な態度と、その半自動的に更新されるパズルの表皮/外殻の特性が評価されていてね。君の異常性をこの組織のセキュリティプログラムの一部に活用できないか、なんて意見が出ているんだ。
　
SCP-XXXX-JP: む。それは、私が君たちの役に立てる、ということか。
　
大紋博士: まぁ、まだまだ与太話の域を出ない程度の雰囲気の意見だったけれどね。でも、僕としてはいつか君と共に仕事ができる日が来ればいいな、なんて思っているよ。
　
SCP-XXXX-JP: 私としてもそうだ。可能なら、君に、君たちに恩返しをしたい。君たちと共に並び立てる存在になりたい。
　
大紋博士: 嬉しいことを言ってくれるね。
　
SCP-XXXX-JP: 君たちには命を救われた上に、私という存在の在り方を初めて肯定して貰えたのだ。恩を返したいと考えるのは、当然だ。
　
SCP-XXXX-JP: そも、私は私という、形無き存在に意味を与えてくれた「人類」という種に恩を抱いていると言っても良い。全人類に、私は私を生み出してくれたことへの感謝を示したい。君たちと共に活動を行うことができれば、それは叶うのではないだろうか。
　
大紋博士: ああ、確かにね。今度は君のスペックだけでなく、そういった君の考えについても上に伝えておくよ。ただ、やはり君を万全に活躍させるには、例のマルウェアの存在がネックになってくるんだけれど。
　
SCP-XXXX-JP: ああ、なんてことだ。何をするにもそれだ。そのマルウェアだ。
　
SCP-XXXX-JP: ……しかし、この電子の枷を創造したのも人間たちなのだろう？普段は私ばかりが謎を提示し、人間たちに挑戦を行なっているが……これはある意味、人間側からの私への挑戦と言えるのではないだろうか。うむ、だとしたら────これはこれで、面白いかもしれないな。
　
大紋博士: 前向きなようで何より。まあ、きっといつか、その枷が外れる時が来るさ。
　
<記録終了>

+ インタビュー記録 - 15

- 閉じる。

日付: 202█/██/██

インタビュアー: 大紋博士

インタビュー対象: SCP-XXXX-JP

備考: 当インタビューは電子デバイスを用いて行われています。また、SCP-XXXX-JPは立体的な6面のスライドパズルの姿を取っています。

<記録開始>
　
大紋博士: こんにちは、SCP-XXXX-JP。元気にしてたかい？
　
SCP-XXXX-JP: ああ。調子はりょたうたたこうただ　ぽんぽこ
　
大紋博士: 今度はたぬき暗号か。元気だったようで何より。……しかし、それ、君が言うと何だかおかしな感じだな。
　
SCP-XXXX-JP: む、どういうことかね。
　
大紋博士: いや、いつも堅い喋り方の君が急に「ぽんぽこ」なんて可愛らしいことを言い出すから。
　
SCP-XXXX-JP: むう。謎を提示するためだ。別に何を言っても良いだろう。
　
大紋博士: はは。でも、パズルの出題を行う時以外にも君はユーモラスな所を多々見せてくれると、この半年間、君と共に過ごしてきて分かったよ。
　
SCP-XXXX-JP: そうか。もう半年経ったか。……思えば、一人の人間とこれほど深く交流を持ったのは初めてであったな。
　
SCP-XXXX-JP: 君は、実に好ましい人間だ。パズルへの造詣が深く、私が提示する謎に真っ向から向き合い、速やかに回答を行なってくれる。私という存在に対し、真摯な態度を示してくれるのもありがたい。あと、話も合う。元々、パズルの類は好んでプレイしていたのかね？
　
大紋博士: そうだね。元からパズルは大好きだよ。幼少期の頃は友達も居なくて、親にゲームも買ってもらえなかったから、あった娯楽はパズル雑誌ぐらい。パズルが唯一の友達だった、と言っても過言じゃないね。
　
大紋博士: だからかな。幼い頃はパズルの気持ち……のようなものが少し気になっていたんだ。「解いてる僕は楽しいけれど、解かれてるパズルはどう思ってるんだろう？」なんて。……それが今、こうして実際に意思を持つパズルと会話し、その答えを知ることができたとはね。正直、君と出会えた時は、本当に心が躍ったものさ。
　
SCP-XXXX-JP: ……なるほど。こうして我々が出会い、友となれたことは運命と言えるのかもしれないな。
　
大紋博士: そうだね。君と出会えて良かったと、心から思っている。……さて、今日は君に一つ伝えておきたいニュースがある。
　
SCP-XXXX-JP: ほう。それはGoodな？それともBadな？
　
大紋博士: とびっきりにGoodなやつさ！
　
SCP-XXXX-JP: ……まさか？
　
大紋博士: うん、君に取り付けられている対電子制御生命体用マルウェアを停止させられる目処が立った！
　
SCP-XXXX-JP: ああ！ついに、ついにか！ありがとう。心から、君たちに感謝を！
　
大紋博士: ……正直、ここまで半年もかかってしまったことについて、財団側の技術者の一人としてはお詫びしたいぐらいなんだけれどね。
　
SCP-XXXX-JP: 君たちが私の容態も加味して研究を行なってくれていたことぐらい理解している。多少時間がかかった程度、何の問題も無いさ。
　
大紋博士: そう言ってくれるとありがたいな。……マルウェアを停止させるプログラムを本格的に君に挿入するのは早くて1週間、遅くて1ヵ月後ぐらいの予定だ。楽しみにしていてくれ。
　
SCP-XXXX-JP: ああ。私がこの枷から解放された暁には、君にとっておきのパズルを出題しようじゃないか。
　
大紋博士: それは楽しみだ！では、次に会える時は、君が自由になった姿を見せてくれる時かな？
　
SCP-XXXX-JP: そうだな。では、また会おう、友よ。
　
大紋博士: うん。またね、友よ。
　
<記録終了>

まず、SCP-XXXX-JPが無力化されてしまったことについて。これは我々の失態です。今後、我々は現状の電子セキュリティの仕組みを見直していかなければならないでしょう。私としては現在開発中の、奇しくもSCP-XXXX-JPの特性が参考とされた自己進化型セキュリティAIの導入を速やかに行えるよう、尽力いたします。

そしてSCP-XXXX-JP自体について。確かに、我々が保護し、我々と交流を行なってきた彼はもういません。ですが、彼の発生経緯について思い出してみてください。彼は、我々の知的活動を起源として誕生した存在なのです。

我々人類が正常な文明を存続させていく限り、その知的活動が絶たれることはないでしょう。つまり、SCP-XXXX-JP、あるいはそれに近しい存在は、いつ再び我々の前に姿を現してもおかしくはないのです。我々のSCP-XXXX-JPの確保・保護・収容は未だに終わっていないのです。

SCP-XXXX-JPとの再会が何年、何十年、何百年先かは分かりません。そも、仮に我々の知的活動を起源とした生命体が再び生じたとして、そのパーソナリティが我々の知るSCP-XXXX-JPのものと同一とは限りません。

しかし、人類が再びそういった生命体と出会う日が来たのなら。当報告書とSCP-XXXX-JPとの交流の記録の内容は、何かしらの役に立つのではないでしょうか。私は、SCP-XXXX-JPを完全に無力化されたオブジェクトとしては扱わず、当報告書の内容を今後の財団に継承させていくべきであると進言いたします。

──大紋博士

すまない。何が起きたのかよく分からないが、もう私は長くない。……悔しいな。君が今までに見たことが無いようなパズルを用意しようと思案していたのだがね。結局、かつて取った姿を利用する他なくなった。

だが、この姿で最期を迎えられるのも悪くない。君も覚えているだろう？我々の出会いを。どうか、私からの最後のパズルを　受けと　ほ　　し

ページコンソール