SCP-XXX-JP - Resident Divinity

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SCP-XXX-JP-1。

アイテム番号: SCP-001-JP-te1

オブジェクトクラス: 暫定的Gödel2(推定Explaind)

特別収容プロトコル: N/A

説明: SCP-XXX-JPは形而上情報ストレージです。

SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JPに保存されているアイデア群です。SCP-XXX-JPに接続している人間はSCP-XXX-JPから思考中枢へSCP-XXX-JP-Aをダウンロードする事が可能です。

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SCP-XXX-JPより強制的情報介入を受けた時与えられた視覚イメージ。

不定期にSCP-XXX-JPから思考中枢への強制的情報介入が発生します。沈思した際身体の動作に影響を及ぼす、思考が希薄になった際思考傾向と無関係な情報系列を挿入する、睡眠中特定の視覚イメージを与える等の情報介入が確認されています。

SCP-XXX-JPは超越論的3な生得観念4の一部を司っている事が確認されています。特にメタ5レベルの存在や絶対精神6の認識に関する領域に於いて大きな割合を占める事が明らかになっており、即ちSCP-XXX-JP-AによってSCP-XXX-JP自体の認識が与えられている事になります。

これまで財団が接続の有無を確認した全ての人間がSCP-XXX-JPに接続しておおり、統計上ほぼ全ての人間が接続していると推定されます。

SCP-XXX-JPは明らかに実在7する一方で思弁8による神の存在証明9に類する手法でのみ観測可能である事は自己矛盾を内包します。これは実在と言うテーゼと非唯物的と言うアンチテーゼを止揚し導かれたジンテーゼ10だと解釈出来、取り入れ型概念形成術に類似した手法で生成されたと考えられます。

SCP-XXX-JPはデュラムプラン11に則っており、特にアートマン型デュラムプラン12に高度な一致を見せます。

限定された状況に於いて、SCP-XXX-JPからのダウンロードが国家、地球規模で発生します。基本的に、好戦感及び何らかの存在に対する嫌悪感が広く掻き立てられつつある大衆にはそれを補強しつつ更に普及を助け得る標語やデザインがダウンロードされます。また大規模な協調、共和、反戦の風潮が広まりつつある場合ほぼ全ての対象に対しそれらを補強しつつ同じく普及を助け得るアイデアがダウンロードされます。特筆すべき点として、前者の場合に好戦感及び嫌悪感を持っていない或いはそれらに反抗的な思想を持っている場合にはダウンロードが行われない或いは軽微なダウンロードに留まりますが、後者の場合には思想を問わず広くダウンロードされます。後者発生の事例として事案198513が代表的です。

SCP-XXX-JP容量及びSCP-XXX-JP-Aは固定されていない点に注意すべきです。即ち、SCP-XXX-JP-Aの規定範囲拡大に起因する他者との境界線14が招くAK-クラス:シナリオ15発生の危険性があります。これを避ける為、現在はカバーストーリー「無意識」を流布し、SCP-XXX-JP固定の試みが継続されています。

現在SCP-XXX-JPは縮小傾向です。これには世界的な思想・宗教の多様化及び利益対立の顕在化が原因として指摘されています。

SCP-XXX-JPは1940年代前半、エラノス会議16参加者を中心とするコミュニティにより生成されたと考えられています。生成時カール・グスタフ・ユングが主導的な立場にあったと見られ、また殆どのコミュニティ構成員が同様の証言をしています。また現在までBB会議17による事実上の承認が与えられており、当該オブジェクトへのアプローチを困難にしています。

SCP-XXX-JP-1からSCP-XXX-JP-18はSCP-XXX-JP制作に特に深く関与したと思われる人物です。SCP-XXX-JP-1こと精神科医カール・グスタフ・ユング、SCP-XXX-JP-3ことエラノス会議主催者オルガ・フレーベ・カプタインが著名です。

以下、SCP-XXX-JP-1に対し行われた聴取の記録です。

文書記録XXX-JP-128


インタビュアー: ブロイラー博士

聴取対象: SCP-XXX-JP-1


ブロイラー博士: 聴取を担当させて頂くブロイラーです。どうぞ宜しく。

SCP-XXX-JP-1(以下1): ユングです。ブロイラーか、私の師と同じ名前だね。

ブロイラー博士: オイゲン・ブロイラー氏でしょうか。存じております。

1: 自分が師事した相手がよく知られているのは、中々気分が良いですな。

ブロイラー博士: 我々は[1が手で制す。]

1: 私は、いや、我々は君達を知っていますよ。

ブロイラー博士: そうですか?

1: ああ。特に歴史学者や神秘学者の間では、実に有名だ。実業家達にとってもね。君達はある種の秘密結社だと自分で思ってらっしゃるでしょう? つまり注目の的だ。

ブロイラー博士: では、貴方が如何様な立場に置かれており、何故呼ばれたか、ご存じですね。

1: 勿論、これ以上無い程に。我々の行いは、貴方がたにとって"普通"で無かったらしい。その為の聴取でしょう。

ブロイラー博士: その通りです。貴方には黙秘を始めとする様々な権利がありますが、それが貴方にとって有利になるとは限らない事を認識しておいて下さい。

1: 黙秘などしないさ。どうして自分の業績を隠す必要があるかね?

ブロイラー博士: 業績ですか。

1: 然様。私は大いなる者を生み出した。私が集合的無意識と仮称する神だ。

ブロイラー博士: 神ですか。

1: その通り。我々の思想に深く関わり、それを根本で定義する存在。それを我々は神と呼ぶ、違うかね?

ブロイラー博士: 派閥に依るでしょうね。

1: そう、派閥、考え方に強く依存する。そして、私はこれを神と呼びたい。お付き合い頂けますかな?

ブロイラー博士: まあ、良いでしょう。

1: ありがとう。私は神を創った、これを否定するつもりはありません。

ブロイラー博士: どうして作ったのですか?

1: 簡単な事ですよ。好奇心、そして全能欲。

ブロイラー博士: 全能欲とは。

1: 人は知識欲や権勢欲と言う言葉を使いますが、それはリビドー18を僅かばかりの側面から捉えたに過ぎません。究極的には、神になり、神を超える事。これが私達人間に備わる欲動の終着点です。

ブロイラー博士: 知識欲や権勢欲もまた、情報や能力の収集過程に過ぎないと言う事ですか。

1: その通り! 話が早くて助かります。そして、我々は段階を飛ばし、早々に神を超える手段を手に入れてしまった。そして最終目標を達成した。

ブロイラー博士: 神の作成に成功した、と。

1: ええ。私達は神の枷から解き放たれ、人による人の世を手にしたのです。親離れ、と私は定義しています。

ブロイラー博士: 神との決別を意味するのですか。

1: そうです、そうです。我々が使用したチャンネルに割り当てられていた、何らかの形而上との接続を絶ってしまったかも知れない。それ即ち独立です。

ブロイラー博士: どのチャンネルを使用したか、自分達で把握していましたか?

1: どうでしょう? 恐らく貴方はこれから、私に神生みに係る様々な質問をなさるのでしょう。ですが、私はそれに答える事は出来ません。

ブロイラー博士: 何故ですか?

1: 我々は完全な分業を行ったからです。

ブロイラー博士: 他の人間が実行した、と?

1: そう言っても良いでしょう。言わば、私は思想的な主導者です。技術面では他の方々にとやかく口出しするだけの知識を持っていない。彼らは皿職人と同じですよ。私は土をこねて皿を作る事を知っているが、細かい作法は任せるべきでしょう?

ブロイラー博士: 成る程、理解しました。

1: それに、私に訊く必要は無いんじゃありませんか?

ブロイラー博士: どうしてですか?

1: 貴方がたは我々を調べる事が出来る。我々が創った物を検分する事が出来る。そして、私は嘘をつくかも知れない。まさか精神科医の嘘を見破れるとは思っていないでしょう。

ブロイラー博士: 確かにその通りですし、私達もそれは理解しています。しかし、我々は人道的で無い方法で口を割らせる事も出来る。それをさせないで頂けると大変助かるのですが。

1: 私はそれをされる事は構いませんが、世界が許しますかね。

ブロイラー博士: 他方から圧力が掛かると?

1: ええ。自分で言うのも難ですが、私は社会的立場がある。そして、私の友人は様々な所にいる。国際的な学会、政府中枢。貴方がたも他社に経済的に支えられた1つの財団に過ぎない。全てを無視する事は出来ないでしょう。

ブロイラー博士: それは挑発ですか?

1: いえ、警告です。

ブロイラー博士: こちらが恐れるべき事態が訪れると。

1: ええ。例えば、寄付額の減額、世界への露見。この辺りでどうでしょうかね。おっと、阻止する為に私を抹殺する必要はありませんよ。既に、連絡は回っています。


この聴取の後、複数の財団後援組織及び政府組織19から当該聴取に関する問い合わせが行われた。以降調査はSCP-XXX-JP-1から13の"協力"の下行う事とし、また当該オブジェクトに関する諸記録は財団本部から財団日本支部へ移管、隠蔽される。

以下、SCP-XXX-JP制作に深く関わると見られる獲得文書です。

文書記録XXX-JP-128


話者: SCP-XXX-JP-1及びSCP-XXX-JP-3

付記: 本記録はSCP-XXX-JP-3により残されたと思われる会話記録を再編集した物である。


SCP-XXX-JP-3(以下3): どうして滅びをプログラムするの?

SCP-XXX-JP-1(以下1): あれは滅びでは無い、自己選択の許容だ。

3: 自己選択?

1: 生きたくない者が生き続ける程、苦悩と苦難に満ちた世界は無い。それは何人にとっても不幸だ。

3: 生の放棄と同意だと、こちらで断じてしまうのね。

1: 人はそれを裁きと呼ぶ。

3: 人に人を裁く資格があるとでも?

1: 神の名の下に審判を代行させる。人を裁く基準は人にしか作れない。

3: 紛い物の神であったとしても。

1: そうだ。我々が望むのは理想無き人類賛歌では無く、死と生が万物へ平等に与えられるアルカディア20だ。快楽のフィリア21無き者に永住は許されない。

3: 混沌を招く者に破壊を、共栄を望む者に平穏を、と言う事ね。

1: ああ。全てを一つに概念に束ねんとする発想は分断しか齎さない。アウフヘーベン22は元から備わった素養では無い。単独者23としての共通性の放棄が、善悪の実と分化を賜った24我々の生存手段だよ。

3: でも、一切同じ基盤を持たなければ、共存出来ない。

1: だからこそヌース25を生み出す。我々は、魂の由来が一カ所で無い事を知っている。それでは真の意味での単一種族ではあり得ない。

3: 人類の出自を揃えれば良いと。

1: ガフの部屋26を開く。既存の魂の通路から外れたモークシャ27だ。人類をシッダ28へ導く標となるだろう。

3: もしアポトーシス29に従わない癌細胞がいたら、どうする?

1: 宿願成就の日に祝杯を。自律するマリオネットこそ生命と呼ぶに相応しいと思わんか?

3: オートマタ、いえ、群体だからオートマトンね。舞台を踏み抜かない様祈るわ。

1: 真に完結した生命は何も壊さないさ。何も求めず、残す事もしないがね。

3: 神すら未完結と言う訳ね。私は不完全な人の世の方が良いな。

1: 土と肋骨30にはそれが相応しかろう。

3: 群として生まれた者は群として生きるべき。その為の共栄、その為の調停者。

1: 赤い土の生物31が永久に栄える唯一つの道だ。ダアト32は空位では無いがまだ顕現していない、我々の像でそのセフィラを書き換える。園に再び戻る事は出来ないが、ケルヴィエルの監視を掻い潜る33事は出来る。

3: 形ある夢、まさに幻覚ね。

1: 夢が無ければ人間は生きられんよ。

3: でも、父なるエロヒム34はそれを許すかしら?

1: 親離れは子の宿命だ。これはきっかけに過ぎん。

3: 子は親を選ぶ、か。

1: 生まれてからでも遅くは無い。神は彼の天に在り35、ここにはいないからな。

3: 器に紛い物を込める必要はあるのかしら?

1: お前がやれば良いじゃないか、と?

3: ええ。貴方はそれに相応しい人間だし、他にも候補者はいるでしょう。

1: 形而上に旅立つ方法をまだ知らぬ我々には、そこに遠隔で像を結ぶより方法は無い。

3: 私達は空を夢見る小鳥か。

1: 太陽に近付けば翼を失う36だけだ。

3: 素晴らしい教訓ね。しかし……本当に神生み出来るなんて。

1: 形成の書37の完全な原本を手に入れられたからな。オルガ女史の尽力のお陰だ、感謝している。

3: 私は引き合わせただけ、何もしてないよ。強いて言えば、会期中料理を出し続ける位はした38かしらね。

1: 皆それが出来ないから苦労しているのさ。君の手料理がモチベーションだった者も少なくあるまい。主催者は参加者を煽らねばならないからね、君は立派に主導する立場を務めている。

3: だと良いけれど。

1: 何か不満は無いのかね?

3: 無いわ。望む世界、何て美しい。

1: それは素晴らしい。

3: カール、貴方こそ何か無いの?

1: 私が骨子を組んだんだ、あろう筈があるまい。……いや、申し訳無い、1つあった。

3: お聞かせ願える?

1: 我が師、あの方に、この美しい世界をご覧に入れたかった。

3: フロイト先生?

1: ああ。もう遅過ぎるが。もし私の誘いを受けて下されば39、まだご存命だったのではないかと思えてならない。

3: 分かるわ。アメリカまで行けば良かったのに。

1: ……そうだな。

3: 選別プログラムも、フロイト先生の為に組み込んだんでしょう?

1: どう言う意味かね?

3: 先生が探し続けた、人が人を傷付けてしまう理由。タナトス40、だったっけ。それを否定したくなかったから。

1: そう思うかね。

3: フロイト先生の学説は疑似科学、無い事が分かった瞬間にこの世から消え去ってしまう。だから、正しいと言う事実を知ってる必要があるんでしょう? 私達以外の全人類が知らなくとも。

1: 私が、私欲の為にこのプロジェクトと君達を利用したと?

3: あら、私は私利私欲に塗れた不純な動機で皆を集めたけど?

1: 自らの思うままに。我々は神と変わらんな。

SCP-XXX-JP-1の真意は不明であり、またいずれの記録も真実である可能性、いずれも誤っている可能性があります。

以下、財団倫理委員による注記です。

財団日本支部倫理委員による提言

SCP-XXX-JPについて


当該オブジェクトがどう作成されたか、どこの層に位置するか、それらは本質的に重要な問題ではありません。制作者の意図すらです。

我々が認定せねばならないのは、これが異常であるかどうかの1点のみです。
本当に彼らによって生み出されるまで存在しなかったと言う証拠がありません。
存在する前の世界との違いも誰も覚えていません。
これをオブジェクト認定するには、この概念が異常だと"断定"する必要があります。

―倫理委員 彼岸花


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