仇桜

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの周囲は遠隔カメラによって監視下に置かれています。周辺住民の居住区から離れた山奥に位置するという点、及び特定の期間以外には観測可能な異常が発生しないという点から、SCP-XXX-JP-Aの発生が確認されている期間のみ収容エリアへの一般人の侵入を防ぐ措置が取られます。

説明: SCP-XXX-JPは卯生山腹の卯生川1河川敷に存在する26本の枯死したソメイヨシノ(Prunus x yedoensis)です。遺伝子的な異常は無く、破壊耐性も有していないことが確認されましたが、腐食や生分解の兆候は見られません。

毎年3月下旬から4月半ばにかけて、SCP-XXX-JPの枝の先端付近には、クラスC霊体で構成されたソメイヨシノの花に酷似した実体(SCP-XXX-JP-A)が発生します。構造・器官は通常のソメイヨシノの花と同一ですが、雄蕊からの花粉の放出など通常の機能を有している様子は確認されていません。SCP-XXX-JP-Aは専門の機器以外の手段での観測は不可能ですが、質量を有しており物理的な相互作用は可能です。

SCP-XXX-JP-Aは通常のソメイヨシノの花と同様に蕾の形態を取って発生し、一週間前後の期間を経て開花するようにその形状を変化させます。"開花"後のSCP-XXX-JP-Aの花弁は風雨などの要因によって容易に脱落し、5枚全ての花弁が脱落したSCP-XXX-JP-Aは数十秒程度で消失します。脱落した花弁はその場に残留し、全てのSCP-XXX-JP-Aが消失した際、それと同時に消失します。

卯生川に由来する水に接触したSCP-XXX-JP-Aの花弁は不明な原理によって実体化し、通常の手段での観測が可能となります。この状態の花弁を検査した結果、微量のクラスC霊体で構成されたエクトプラズムを含有していることを除き、通常のソメイヨシノの花弁と同一であることが確認されました。その後花弁は90∼150秒程度の時間をかけて徐々に非実体化していき、霊体に復帰します。希釈された卯生川の水に接触した場合、その倍率におよそ反比例する形で非実体化までの時間が短縮され、2倍以上に希釈されると実体化することがなくなります。卯生川の水からは特殊な成分や異常性などは発見されなかったため、花弁がこのような反応を示す理由は判明していません。

集落に関する記録: 卯生山腹には53名の住民が居住する小規模な集落が存在していましたが、1943/4/23に山麓の郵便局員が集落を訪れた際に住民全員が失踪していることが発覚しています。集落は外部と隔絶された環境にあり、外部の人間が集落を訪れることも稀であったため、失踪の明確な日時は不明です。集落内に多量の血痕が残留していたことから事件性が示唆されていますが、住民の所在ないしSCP-XXX-JPとの関連性は判明していません。

発見: SCP-XXX-JPは1951/4/7、警察機関への異常な通報を財団が傍受したことによって発見されました。通報者は卯生山麓の郵便局に勤務する局員であり、郵便物の配達を目的として卯生山を登っていた際にSCP-XXX-JPを発見したとのことです。

以下は発見者が所持していた郵便物の内容の転写です。便箋に記載されていた住所は集落内部に存在した家屋であり、送付先として"瀬山 █"という署名が存在しました。

貴方の戯言には閉口します。貴方はそのような質の悪い冗談を仰るような人ではなかった。いえ、彼らを酔狂にもあの桜の下に葬ったという時点で気付くべきだったのかも知れません。私にはどうにも、あなたの真意が図り兼ねます。

あれが若し戯言でなかったなら、貴方がこれをお読みになることは無いでしょう。だからこそ私は今こうして筆を執り、貴方に私の気持ちを伝えようとしているのです。

私は普通に生きることなど望んでおりません。集落の人間として生きることを望むかと問われれば、私は首を縦には振りません。ただ、私が貴方と交わした約束事が今まで私を人間足らしめてきた唯一の事柄だったのです。

貴方はきっと、私がお嫌いなのでしょう。そして私があなたをどう思っていようとも、どんなに想っていようとも、最早どうにもなりません。

地獄でも私のことを覚えていてくだされば嬉しく思います。

筧 ██

"瀬山 █"及び"筧 ██"と同一の氏名を有する人物が失踪した集落住民に含まれていました。内容から、受取人である瀬山氏(失踪当時25歳、男性)は集落内部で、差出人である筧氏(失踪当時19歳、女性)は集落外部で生活していたものと思われますが、瀬山氏は既に死亡していることが文脈より予想されます。現在、両名の捜索が行われています。

送付先であった瀬山氏の住居には一部生活の痕跡が認められ、また居間からは1通の手紙が回収されました。署名から、上の手紙と同様に筧氏が瀬山氏へ宛てたものであると考えられています。以下はその内容の転写です。

瀬山さんへ

お元気ですか?あの集落での生活はさぞ大変だろうと思われます。流石に昔のような自給自足の生活はなさっていないでしょうが、生活必需品や食料の調達には手間が掛かるでしょう。貴方が私の援助を拒否される理由が不思議でなりません。

貴方が集落に戻ることを決断なされたのは、やはり其処に忘れられないものが有ったからなのでしょう。私にも確かにその存在が判ります。私には、特にあの桜にそれが象徴されているような気が致します。私だけでなく、集落の者は皆あの桜を随分と気に入り、執心していたようですから。自分が死んだときにはあの桜の下に埋めてくれ、などと言い出す者もありましたね。貴方は特にそれに否定的なご様子でしたが。

さて、私がこの手紙を書いたのは近頃貴方からの連絡が乏しく、心配であった為です。可能なのであれば、返信を下さると幸いです。くれぐれもご無理はなさいませんように。

筧 ██

補遺.1-1951/4/23: 改良型カーデック計数器を用いた調査の結果、21本のSCP-XXX-JPの根元に1本あたり1∼3体、合計51体の人間型Cクラス霊的実体が埋没していることが判明しました。この霊的実体群は知性の兆候を示しておらず、自発的な動作も確認できません。不明な原理により、霊的実体の体表全体からはエクトプラズム溶液が絶えず流出しています。SCP-XXX-JPの根は霊的実体群を包むような形で生長しており、オブジェクトを損傷させる恐れがあるとして霊的実体群の摘出は保留されました。

また、SCP-XXX-JP内部からもCクラス霊的実体で構成されたエクトプラズムが検出されました。エクトプラズムはオブジェクトの維管束に沿って存在しており、枝の先端から蒸発する様子が観察されました。この現象は、前述の霊的実体が流出させているエクトプラズムをSCP-XXX-JPが不明な原理によって吸収・運搬していることに起因しているという仮説が指示されています。

補遺.2-1951/5/4: 最も上流側に位置するSCP-XXX-JPの根元に埋没した状態の男性の白骨化遺体が発見されました。この遺体のDNAは集落に残留していた血痕2から回収されたDNAの1つと一致しました。男性は集落の元住民であると推測されており、また前述した瀬山氏と同一人物であるという見方も出ています。頸椎に損傷が認められたことから、死因は頸部圧迫による窒息であると結論付けられました。

男性の遺体と同時に、手紙と思しき文書が回収されました。署名から、瀬山氏が筧氏に瀬山氏に宛てたものであると考えられています。以下は内容の転写です。

筧へ

突然だが、この手紙は私の遺書であると考えてもらいたい。私はこれを書き終え、山を下り、麓の郵便局に投函した後、首を括るつもりだ。あの桜の樹にも手伝ってもらう。

私はこれ以上私の背負った物に耐えられない。視界の端に、鏡越しに見た自分の背後に、嘗て親密にしていた者の幻影のようなものが頻繁に現れるのだ。君にもそのような経験は無いか?ああ、彼らはそうなって当然のことをした。それは承知している。しかし私の為したこともまた、死に値する大罪と思えてならない。この集落に住んでいる以上、私は死んでいるのと同じなのだ。

無論、君がそうであるとは考えていない。全ては私の行ったことだ。君は被害者であり、加害者は私も含めた集落の者全員だ。尤も、あの手紙を送ってきたということは、それは君も既に承知しているのだろう。

あの桜は疾うに枯れてしまっていた。桜の寿命は短いとは聞いていたが、どうにも早すぎるように感じる。それだけ私達が長く生きたということだろうか。なぜ私が彼らを桜を以て葬ったのかは、私にも判らない。きっと私はあの惨劇を、桜の生命に満ちた美しさで帳消しにしてしまおうと考えたのだろう。今や、あの桜こそが惨劇の象徴だ。

彼らは私が再び、山頂の方の広葉樹林に丁重に弔っておいた。彼らが迎えるにしては随分と安らかな死に方だと思える。実際、永眠と形容するに一番相応しい死に様だろう。そして私は彼らをお節介にも葬った。その事実がある限り、彼らの死後は安泰だ。だが、きっと私に安らかな死などは有り得ないだろう。私を埋める者など誰もいないのだから。

これで最後になる。返信は無用だ。今まで有難う。君がこの先、普通の人間として生きることを願う。

瀬山 █

文書から得られた情報を基に卯生山の捜索を行ったところ、卯生川源流付近の地中から合計51体の白骨死体が発見されました。これらの死体は全てが樹木の根本に埋没しており、検出されたDNAの一部は集落に残留していた血痕と一致しました。白骨死体は集落の住民のものであると考えられています。特筆すべき点として、これらの白骨死体には生前に付いたと思しき損傷は存在しませんでした。

現時点でSCP-XXX-JPの調査・研究における最優先事項は筧氏の確保であると見做されていますが、未だ同氏の発見には至っていません。

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