黄金に藁苞

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 全てのSCP-XXX-JPはサイト-8118の低脅威度・非移動性オブジェクト収容室に、不透明な容器に収容された状態で保管されています。一部のSCP-XXX-JPの焼却処分が協議されていますが、現状結論は保留されています。

説明: SCP-XXX-JPはアマチュア芸術家である芳岡 月彦によって製作されたと思しき33点のオブジェクトの総称です。その多くは絵画や立体作品など芸術品の形式を取っており、物理的な異常は認められません。

SCP-XXX-JPは曝露した人間に認識災害を引き起こし、オブジェクトに対して一定の印象を抱かせます。この際、曝露者が本来有する価値観や芸術への知識・造詣、および作品の巧拙は無視されます。結果として、1つのSCP-XXX-JPは常に1通りの芸術的評価を受けることになります。オブジェクトを芸術作品として認識しないこと、オブジェクトを破壊すること1、および記憶処理を除いて認識災害を無効化する手段は発見されていません。そのため、現状SCP-XXX-JPの正常な芸術的評価・鑑定は不可能です。

この認識災害によって齎される印象は各オブジェクトごとに異なり、SCP-XXX-JPはそれに基づいてA~Eの5種類に分類されています。

分類 詳細 作品数
E 一切の興味を抱かない。 15
D 軽微な興味を抱く。肯定的印象を持つには至らない場合が多い。 4
C 中程度の肯定的印象を抱く。 5
B 強い肯定的印象を抱く。 7
A 非常に強い肯定的印象を抱く。自身の中での最高級の評価を示す場合が多い。 2

SCP-XXX-JP-JP-32/-33は共にAクラス相当のオブジェクトであり、それぞれ釜崎 優芽、釜崎 泰穂の死体が素材として用いられています。釜崎 泰穂は芳岡と交際関係にあった、いわゆるシングルマザーであり、釜崎 優芽はその娘です。死体はプラスティネーションに類似した手段で樹脂加工を施されていますが、発見に至るまでのタイムラインを考慮すると、恐らくは数日中に加工が完了する未知の技術が使用されたと推測されます。

SCP-XXX-JP-32/-33に含まれる死体は曝露者からは精巧な塑像・彫像として認識されます。この効果はそれが死体であると認識することを不可能にする一種の反ミーム的性質に起因しており、オブジェクトを異常な点の無い芸術作品と認識させることが目的であると考えられます。このことから、認識災害は芳岡氏に由来するものである一方、反ミーム的性質は何らかの異なる手段を用いて付与されたものであるという仮説が有力視されています。その両方がAクラス相当のオブジェクトであることとの関連性は不明です。Wクラス以上の記憶補強薬によってこの影響は無効化されます。

補遺.01: 歴史

SCP-XXX-JPの発見の約半年前、2018年6月頃から芳岡の動向には異変が認められており、勤めていたアルバイトを無断欠勤して自宅に閉じ籠るようになった他、極度に憔悴した様子を見せ、周囲の人間との連絡をほとんど拒絶していたことが確認されています。また、その間に芳岡と接触していた数少ない人物の1人として、"Are We Cool Yet?"関係者と思しき詳細不明の男性の存在が判明しています。この男性と芳岡の交流が最初に確認されたのは2018年初頭であり、何らかの形でSCP-XXX-JPに関与した可能性も推測されていますが、詳細は判明していません。芳岡が異常芸術に関わった記録は存在しないものの、それ以前から複数の"Are We Cool Yet?"メンバーとの交流を有していたことは特筆に値します。

同時期に、釜崎 優芽が行方不明になっています。芳岡やその自宅も警察機関による捜査の対象となっていましたが、異常は発見されていません。この時点で釜崎 優芽は芳岡によって殺害され、SCP-XXX-JP-32に加工されていたものと思われます。芳岡の異変はそれに関連するものと考えられますが、当時は釜崎親子との関係が良好であったことを根拠に、釜崎 優芽の行方不明に対する不安感の表出だと解釈されていました。

2018年10月、釜崎 泰穂が行方不明になったことを契機に、異常存在が関与した可能性があるとして財団による捜索の実施が決定され、その一環として芳岡の調査が行われました。その結果、芳岡の自宅からSCP-XXX-JP-32/-33を含む数点のSCP-XXX-JPが発見されました(詳細は補遺.03を参照)。異常性に曝露したエージェントの異常行動が報告されたことでそれらのSCP-XXX-JPは収容され、以降は個人所有のオブジェクトが散発的に回収されています。

補遺.02: インタビュー記録

インタビュアー: 二科博士

対象者: PoI-1861

前記: 対象者は"Are We Cool Yet?"メンバーであり、複数のSCPオブジェクトの製作に関わったとして拘留下にあった。芳岡とは交友関係にあり、また死亡する直前の彼と交流を保っていた人物の一人。


PoI-1861: それで、次は何だよ。もう知ってることは全部話したって。俺がここを出てく日程の打ち合わせか?

二科博士: いえ、残念ですが現状その目途は立っていません。お聞きしたいのはあなたの知人の芳岡 月彦氏に関することです。あなたが知っていることをお教えください。

PoI-1861: は? 芳岡? 確かに知り合いだけど。なんで?

二科博士: 先日、芳岡氏が自宅で死亡しているのが発見されました。こちら側もまだ詳細は把握できていないのですが─"Are We Cool Yet?"が関わっている可能性も考えられます。その調査の一環ですよ。

PoI-1861: あいつが? 死んだのか。…ええと、その、なんだ。自殺か?

二科博士: 申し訳ありませんが、ここでお話しする訳にはいきません。

PoI-1861: …あー、そうか。そうだな。いや、いいけどさ。別にあいつ、異常芸術家アナーティストって訳でもないし。ただ俺らの内の何人かと知り合いだったってだけで、特にトラブルも無かったと思うんだがなあ。

二科博士: 芳岡氏は異常な芸術品を作っていたわけではないのですね?

PoI-1861: 俺が知る限りは。

二科博士: では、あなたが拘束される前、芳岡氏に何らかの異変はありませんでしたか。

PoI-1861: …ああ、そういや、俺らの界隈でちょっと話題になってたな、あいつの作品。なんか急に売れ始めたんだよな。

二科博士: それまでは、あまり評価されていなかったと?

PoI-1861: まあ、芳しくはなかったな。技術面は申し分無いのに、なんか響いてこないっていうか…結構いるんだよ、そういう奴。で、何の前触れも無く注目され始めるっていうのも、俺らの界隈じゃそう珍しくもないことだ。それにしてもちょっと不自然なくらいだったけどな。

二科博士: あなたはその作品を見ましたか?

PoI-1861: 見たよ。ここにぶち込まれるちょっと前、あいつの自宅兼アトリエ行った時、そこら中に置いてあった。まあ大抵はどうってことない作品だったけどな。話題になってるやつだろうって分かるのがいくつかあった。もう全部買い手が付いてるって話だったんで、見たのはそれっきりだ。

二科博士: なるほど。あなた自身はその作品に対してどんな感想を抱きましたか?

PoI-1861: そうだな、見た瞬間に高評価の意味を納得したよ。あれは正直、俺でも作れるかどうか分からないレベルのもんだった。いや、今までに見たどんな芸術よりも心に響いたかもしれない。なんで急にあんなもの作れるようになったかは分からんが…とにかく、素晴らしい出来だったよ。それは確かだ。

二科博士: そうですか。ところで、PoI-1861。

PoI-1861: その呼び方面倒くさくねえの?

二科博士: あなたは芳岡氏が自殺に至るような理由を何か知っているのですか?

(沈黙)

PoI-1861: (溜息)そういう回りくどいの止めようぜ。まあな、誰にだって話したくないことの1つや2つあるんだよ…ああクソが、話せばいいんだろ?

二科博士: どうぞ。

PoI-1861: 芳岡がちょうど評価され始めた頃だ。あいつ、塞ぎこんで家に閉じこもってるって噂になってたんだよ。そもそも俺があいつの所行ったのもその噂聞いたからなんだ。その時は何日も寝てないし何も食べてませんって感じだった。まあ、それも決して珍しいことじゃない、芸術家ってものには。そういうのはだいたいプレッシャーだとか創作意欲の暴走だとかで根詰めすぎた結果なんだが…そんな感じじゃなかったね。

二科博士: 何か他の要因があるように見えたと。

PoI-1861: 確かに多少は無理もしてただろうが、あれは精神的にやられた人間の顔だ。

二科博士: 精神的に負担がかかるようなことが、芳岡氏に?

PoI-1861: ああ、多分…俺も無関係じゃない。1年ぐらい前、あいつと飲んだんだよ。その時、あいつが「いつまで経っても、どんなに作品を作っても売れない、どうしたらいいんだ」とか言い出してさ、ついカッとなって、「そう思うんならやめちまえ、満足に暮らせないまま続けるくらいならさっさと働き口見つけた方がマシだ」ってさ。言っちまったんだよ。

二科博士: ふむ…その出来事が原因で芳岡氏に心境の変化があったと。しかし、それ自体は強い精神的負担の要因になる程ではないように思いますが。

PoI-1861: 俺が思うにさ、あいつは何か隠し事をしてた。俺には分かる。いや根拠は無いけど。あいつとも長い付き合いだから、分かるんだよ。

二科博士: 隠し事、ですか。

PoI-1861: なあ、あいつに女がいたのは知ってるか?

二科博士: …ええ。

PoI-1861: その女…釜崎だっけな。シングルマザーってやつでさ、生活もそこそこキツかったらしい。それであいつ、芸術家として食ってけるくらいになって養ってやるんだって、息巻いてたんだよ。でも一向に芽が出なくて、悩んでた。ならさっさと就職しろって思わんでもないが、気持ちは分かる。諦められなかったんだろうな。

二科博士: なるほど。

PoI-1861: あいつは焦ってたんだ。それで、俺の言ったことが原因で、良い評価得るためにヤバいものに手を出したんじゃないか、ってな。それがあいつが急に評価され始めたことにも、死んだのにも…関係してると思う。

二科博士: あなたの言う隠し事に、何か心当たりは?

PoI-1861: そうだな…あ、あの時、俺があいつの家行った時な。椅子に座ってる女の彫刻があったんだよ。それがもう、この世のものとは思えないぐらい美しくてさ。で、そう言ったらあいつ、そうだろ、美しいだろって言って、泣き出したんだよ。なんかあったのか問い詰めても何も無いの一点張りだし、それから急に帰ってくれって無理矢理締め出されたし。あの彫刻が何か関係してるのかもしれない。

二科博士: 何か、とはなんでしょう。

PoI-1861: それ調べんのがあんたらの仕事だろ?

二科博士: ごもっとも。では、そろそろインタビューを終了しましょう。

PoI-1861: ああ、これで俺はようやくチェックアウトできるって訳だな? これ以上は部屋の無駄遣いだぜ。

二科博士: ええ、便宜は図っておきますよ。

PoI-1861: どうも。まあ、あいつと違って俺には帰りを待つ子供なんかいないから、もう少しなら泊まってやったっていいけどな。

補遺.03: 特筆すべきSCP-XXX-JPの抜粋

分類 詳細 備考
E 606×500㎜の油彩画。椅子に座っている釜崎 泰穂と思しき女性を描写している。 裏面に表記された作成日から、最古のSCP-XXX-JPと思われる。
E 727×530㎜の油彩画。██公園2と夕焼けの風景を描写している。 -
D 少年男性を象った木製の彫刻。手にはプラスチック製の使い古された絵筆とパレットが螺子を用いて固定されている。 絵筆とパレットには、稚拙な筆跡の「よしおか つきひこ」という掠れた文字が存在する。
C 金属製のワイヤーで構成された、宙に浮く人間の右手を模した立体作品。万年筆を持つように固定されている。 万年筆の持ち手には「T.Yoshioka」と刻まれており、過去に芳岡の両親3が彼に贈ったものだと判明している。
C ボア生地と綿で構成されたテディベア。釜崎 泰穂と憂芽の頭髪を用いて縫合されている。 -
B ボール紙を基盤としたコラージュアート。解析の結果、使用されている素材の大部分がクレヨンで人間の顔を描写した幼児画であることが判明した。 それらの幼児画には随所に稚拙な筆跡で「つきひこへ」と記されており、釜崎 憂芽が作成したものであると推測される。
B 727×530㎜の油彩画。██公園と夕焼けの風景を描写している。成分調査の結果、釜崎 憂芽のものと同一の遺伝子を持つ血液が検出された。 構図や色彩などは上記の油彩画とほとんど同一。
B 絡み合う複数の左腕を模した木彫りの像。中央の像の薬指には白金製の指輪が固定されている。 指輪は2017年末に釜崎 泰穂が購入したものであると同定された。
A 彫刻された木材、様々な種類の造花、釜崎 優芽の死体の各部位から成る構造物。 -
A 木製の椅子に釘と金属製のワイヤーで固定された釜崎 泰穂の死体。左手の薬指には前述したものと同じ指輪が嵌まっている。 また、他のSCP-XXX-JPと比較すると、加工の手法が顕著に粗雑である。
- 発見時、職員らによって破壊・焼却されたため、詳細不明。下記を参照。 側の壁には、芳岡の血液を用いて「失敗作」と記されていた。壁に残っていた指紋から、芳岡が自身で記したものと推測される。

初期収容時、芳岡の自宅には未分類のSCP-XXX-JP(暫定的にSCP-XXX-JP-0に指定)が存在しました。これを発見したエージェントは未知の精神影響的な異常性に曝露し、当オブジェクトを屋外まで運搬した後、破壊・焼却しました4。その後、異常性が無力化され、精神影響が消失したことでエージェントは自身の異常行動を認知しました。当人らの証言によると、SCP-XXX-JP-0を視認した瞬間に「芸術品として歴史に残ってはならない」「存在することも許されない駄作である」という激しい嫌悪感や怒りを覚えたことで衝動的な破壊行動に至っており、これは他のSCP-XXX-JPが有する認識災害の派生的な異常性だと考えられます。曝露者に否定的な印象を抱かせるものは現時点で他に発見されていないことに留意してください。

SCP-XXX-JP-0は釘などの金具、金属製のワイヤー、芳岡の死体で構成されていたと推測されます。また、周囲には芳岡の指紋および血液が付着した工具が散乱していました。SCP-XXX-JPの異常性が芳岡に由来するという仮説から、SCP-XXX-JP-0は芳岡が自身の体を加工して作成したものであると推測されます。この推測を補強する根拠として、全身の骨に切断を始めとした加工の痕跡が認められる一方、芳岡の利き腕である右腕の骨にはそれが見られないことが挙げられます。

また、SCP-XXX-JP-0の残骸からは、多量の合成樹脂が発見されました。この報告は芳岡の死体が何者かによって樹脂加工を施されていたことを示唆しています。


予定タグ: scp-jp safe are_we_cool_yet 感情 芸術 死体 認識災害 反ミーム




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