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アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団ウェブクローラがインターネット上のSCP-XXX-JPに関する言及を自動的に保存・削除しています。情報の発信者は検査と聞き取り調査の後に記憶処理を施され、解放されます。対象の精神状態の人為的な改変によるSCP-XXX-JPの抑制は現在保留されています。
説明: SCP-XXX-JPは一定の特徴を有する夢です。地球上の不特定な個人に影響を及ぼしますが、一度影響下に置かれた人物は以後も複数回に亘って影響を受けやすいことが確認されています。その時期ないし間隔に規則性は認められません。特筆すべき点として、SCP-XXX-JPは何らかの形で創作活動を行っている人物によく見られます。
証言によってSCP-XXX-JPの内容には微かな差異が存在しますが、以下のような点は全ての実例において共通しています:
- 対象は広大かつ平坦な地面に立っている。後述の樹木以外に目立った存在は確認されない。
- 付近には不定な種の樹木が存在し、種によっては花や果実も見られる。覚醒後の対象はこの樹木に対し概ね好意的な意見を示す。
- 地面を視認した場合、対象は地中に何らかの存在が埋没していること、及び素手での掘削により容易にそれを掘り起こせることを直感的に理解する。対象は埋没している存在に関する知識を持たない。
- 以前のSCP-XXX-JPにおいて地面を掘削した経験があっても、その痕跡は認められない。
対象が掘削を行ったかに関わらず、樹木に接触した時点でSCP-XXX-JPは終了し、対象は覚醒します。多くの場合、対象が夢の中で掘り起こした存在の詳細を想起できるのは覚醒後のごく限られた時間のみであり、関連した記録は殆ど存在しません。
SCP-XXX-JPの発生は記憶処理を含めた既知の手段では抑制することができません。しかし対象の精神状態の変容に伴って発生が減少・停止した事例が複数確認されており、何らかの発生原理が存在すると推測されています。
補遺XXX-JP.01: インタビューログ
以下に記載されたインタビューの対象者はいずれもSCP-XXX-JPの影響下に置かれていることが確認された人物です。
インタビューログXXX-JP.01
インタビュアー: 石田博士
対象者: 生島 蓮
[記録開始]
石田博士: どの頃から件の夢を見始めたか、思い出せますか?
対象者: ううん、多分高校に進学するくらいの時には見始めてた、曖昧だけど。
石田博士: そうですか。では、可能な限り詳しく説明をお願いします。
対象者: あー、そうだな。あの夢がどうも妙だと思い始めたのはこの前のことで、最初はただよく夢に見る風景としか捉えてなかった。気付いたら真っ平でだだっ広い場所に立ってて、1本の樹の他にはなんにも無かった。
石田博士: どのような樹だったかは分かりますか?
対象者: 前にちょっと調べたんだけど、確か橘だったと思う。実もいくらか生ってた。
石田博士: 成程。他に何か変わった点は?
対象者: 別に、どうも。ただ綺麗な樹ってだけだよ。橘が特別好きって訳でもないんだがなあ。まあ夢ってそんなもんだろ?
石田博士: そうですね。では橘以外のことについて教えてください。
対象者: さっき言ったけど、前までは別にあの夢をどうとも思ってなかったんだよ。それで、何か月か前かな。夢の中で小石かなんかに蹴っ躓いて転びかけた。地面を見たのはそれが初めてだ。
(沈黙)
石田博士: 地面を見て、どうなったのですか?
対象者: 俺は、地面を見て…ああ埋まってるな、って思ったんだ。何かが。
(対象者は頭を乱雑に掻き毟る)
対象者: 何が埋まってたのか全く思い出せねえ。俺はそれを見つけて、掘り起こそうとするんだ。実際掘り起こせるんだよ。俺は掘り起こしたのを見て、大切そうに…何か自分によって大事なものだってことは分かる。でもどこがそんなに大事なのかも分からん。
石田博士: 大事なもの、ですか。何か心当たりなどは有りませんか。
対象者: さあ、そりゃ大事なものなんていくらでもあるよ─いや、違う。1つだけ覚えてる。確かに土から出てきた。でもあれは…俺はあれを最後まで掘り出さなかったし、あんなもん絶対に大事でも何でもない。クソ…何なんだ。
石田博士: それは…何が出てきたのですか?
対象者: 死体。若い女の死体だよ。上半身しか見てないけど多分そうだ。確か服は着てたし、まだ生きてるみたいに綺麗な状態で、傷なんかも無かった。…一番気味悪いのは、俺がそれに何も思わなかったってことだ。ビビりもしなかったし、冷静だった。夢なんだから気にしても仕方ないけどな。(溜息)なあ、ちょっと休憩させてくれ。
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
石田博士: それから、現実に起きた影響などは?
対象者: ご覧の精神状態以外何も無えよ…いや、ちょっと待ってくれ。俺がネットで絵とか描いてんのは言ったっけ?
石田博士: ええ。
対象者: そう、夢の中で穴掘り始めてから、妙にキャラデザとか設定とかのネタがポンポン出てくるようになった。そうだ。不思議なくらい。いや、逆に言うとそれぐらいなんだけどさ。沈んだ気分で起きる割には妙に筆が進むんだよ。
石田博士: そこまで顕著な違いが?
対象者: まあ体感の話だよ。なんとなく。夢占いじゃないけど、掘り返すってのはこう、象徴的なやつなんだろ。物心付いた時から絵ばっか描いてたし、覚えてないだけで子供の頃からずっと見続けてるのかもな。…他には特に無いな。これ、なんか役に立つ?
石田博士: 大いに役立ちますよ。ありがとうございます。
対象者: そりゃ良かった。
[記録終了]
インタビューログXXX-JP.02
インタビュアー: 石田博士
対象者: 筧 七海
[記録開始]
石田博士: あなたが見ていたという夢についてお聞かせください。
対象者: そうですね、朧気なんですけど、何かを一心不乱に掘り起こす夢だったと思います。というより自分の意思で掘り起こしてた感じですね。
石田博士: ふむ。ではまず、周囲には何がありましたか?
対象者: すぐ近くに大きい柳がありましたね。枝垂れ柳です。あと遠くには林が見えましたけど、行ってみたことはありません。それ以外には特に何もありませんでした。
石田博士: そうですか。次に、何を掘り返していたか覚えていますか?
対象者: すみません、あんまり。ただいくつかはなんとか思い出せます。
石田博士: それは、何が埋まっていたのですか?
対象者: ███ ██って知ってます?
石田博士: …あなたの小説の主人公?
対象者: よくご存じで。その人が埋まってました。死体みたいに、ぴくりとも動かずに…本当に死んでたかはちょっと分かりませんけど。単に眠ってるだけのようにも見えましたし。他も大体同じ感じですね。どれも私の作品のキャラクター、の死体もどきです。
石田博士: そうですか。その、掘り返したものを覚えていられた理由は分かりますか?
対象者: 夢日記を付けてたからですかね。そんなにまめに書いてた訳でもないんですが、日記に書いたものに限っては思い出せます。
石田博士: なるほど。では次に、夢に対してあなた自身はどんな印象を持っていますか?
対象者: ええと、吉夢とまでは言いませんけど、私自身あの夢に救われたようなものなので、そんなに悪い印象はありません。
石田博士: 救われた、とは?
対象者: そうですね、実は小説家になる前から趣味で小説を書いてまして。でも高校3年のときに丸1年くらい執筆を止めてたんです。受験勉強とか、他の人と自分を比べたりして自信を失ってたりだとか、理由は色々あるんですが、その時は精神的な疲れも相まって全く書けなくなってたんですよ。
初めて例の夢を見たのもその頃です。最初は不思議な夢だなーとしか思ってなかったんですが、その内埋まってるものに気付いて、掘り返すようになりました。そうするとですね、今まで出てこなかったアイデアが堰を切ったように浮かんでくるんですよ。掘り返したものの数が多いほど、アイデアも豊富になりました。
石田博士: なるほど。夢の中にキャラクターが埋まっていた、という事柄とも何か関連があるのでしょうか。
対象者: そうかもしれません。あの夢は私が無意識に思いついて無意識に忘れていったアイデアが埋まっている場所なんじゃないか、とは考えています。あのキャラクター達も、引いては物語そのものも、突然思いついた訳ではないんです。ずっと昔に原型となるアイデアを漫ろに思い描いて…そのまま忘れていきました。それをあの夢が切っ掛けで思い出したんです。なんの前触れも無く、ですよ。
石田博士: そうでしたか…興味深いですね。
対象者: それと、これは完全な主観的意見なのですが、あの夢ってどこか舞台装置めいてるというか、恣意的な感じがします。埋まってるものを掘り返すことがアイデアを思いつくことに繋がるって、象徴にしてもお誂え向きが過ぎると言いますか。
石田博士: 確かに示唆的ではありますね。
対象者: でしょう? なので、情緒的に解釈すると、あれは私の深層心理にあるアイデアが私を奮起させるために見せたものなんじゃないかと思うんですよ。アイデアと言っても所詮は私の一部なんでしょうが、そう思った方が良いような気がするんです。事実、あの夢が切っ掛けで創作活動を再開できましたしね。そのお陰で大学落ちたのはまあアレですけど。
[記録終了]
補遺XXX-JP.02: 特異事例の記録
以下は2012年2月にSCP-XXX-JPの影響下にあることが確認された瀬山 ██の証言です。同氏はインターネット上で精力的に創作活動を行っていましたが、財団に捕捉される数週間前から急激な活動頻度の低下が確認されていました。
いつから見始めたのかは余り覚えてません。よく夢に見る同じ場所って子供の頃から有りましたし、そういう人も結構いるみたいだったので、まあ珍しいことでもないか、と。…流石に何週間も連続で見てからはうんざりして、何か精神でも病んできたのかと思いましたが。それだけで精神科に厄介になるようなことはしませんでした。
内容ですか? いつも同じ内容です。いつも、桜があるんです。見たこともないくらい大きな。何がうんざりしたかって、私は桜が嫌いなんですよ。花びらが散るのを見ていると、自分の中身まで零れて落ちて、からっぽになったような気分になるんです。しかも散りっぱなしで、地面にいつまでも残って─ああ失礼、止めましょう。なので、夢の中の私はいつも桜から目を背けて俯くんです。そうしたら、地面に何か埋まってる。なんで地面を見ただけで分かるんだとか、そういうのは気になりません。夢は荒唐無稽なものです。まあ色んなものが埋まってて、それを掘り返したり、掘り返さなかったり。…埋まってるのは、大体が人か動物でしたが。
はい。覚えてました。ほら、職業柄…寝る前に急にアイデアが浮かんできたりするんです。で、そのまま寝ちゃうと、まあ、駄目なんです。すっかり頭の中からいなくなる。だからいつも枕元にメモ帳と鉛筆置いて寝てるんですよ。それで、何を掘り返したのかも起きて直ぐに書き留めることにしました。最初の内は所詮夢だし、と忘れたは忘れたで放っておいてたんですけど、こうも続くと気になるでしょう。夢の中で掘り起こしたものを書いておいて、なんとなく眺めてユングの真似事をしてみたり、ネタが出てこないときにそこから構想を広げてみたり。結構役に立ってくれましたよ、実際。出てくるのは私の作品に出てくるような人間、アイテム、それといくらかの奇妙な動物。皆、死んでいるように見えました。ぴくりとも動かないし、何もリアクションしてくれませんでしたが、不思議とどんなものか直感することができました。
あれはきっと、死んだアイデアです。私が一度思い付いたまま、生まれる事無く死んでいった設定の蓄積ですよ。私がそれを利用していたのは、ほら、供養ってやつです。意外と昔のアイデアにこそ発想の種があるものです。それにアイデアというのは私自身の人生の投影のようなものですし…掘り出したものは可能な限り創作に生かすよう努めました。何だか彼らに応援して貰っているような気がして。起きた直後に設定や外見の細かいところまで書いておくのには苦労しましたが、正直、便利だなってくらいの意識でした。まあ、まさか書き留めておけないアイデアが出てくるなんて思いませんし。
確か1月くらい前です。例の如く地面を素手で掘ってたら、いつも通り、出てきたんです。女の子でした。女の子、だったんです。すみません、あんまり思い出せなくて。土から引き摺り出してから、少し観察して、次のを掘り出しにかかりました。その頃になるともう、慣れてしまっていました。掘るのにも、彼らが目を覚まさないという状況にもです。
ええ、目を覚ましました。女の子が、です。はっきり、どんな感情が籠ってるのかすら分からない目で、こっちを見ていました。私はどんな顔してたでしょうね。その時は次の─確か今度は青年でした─その人を抱えて起こそうとしてました。片や地面に半ば埋まった青年を抱えて硬直した奇人、片やそれを見据える女の子…滑稽を通り越して、哀れですよね─ハハハ。いや、失礼。続けましょう。暫くして、私は青年を放して立ち上がろうとしました。「あなたは何者ですか」と、そう少女に尋ねようとしていました。その時、小さい悲鳴と一緒に、腰の辺りを掴まれて…「危ないだろ」と、そう聞こえました。さっきまで抱えていた青年も、目を開いて、何か言いたげな目で、私を見てるんです。「倒れたらどうする」そう言われたと思います。彼は立ち上がって、服の土埃を払って、私を睨めつけて…その後、小さな、小さな声で、「ろくなもの書けない癖に」って。それを聞いて私は─「ごめん」、ですよ。ハハ。自分でも馬鹿だと思います。謝るだけ謝って、それで…走って逃げました。勿論、忌々しい桜の樹に向かって、です。
はい? 終わりですよ。桜に触ったら目を覚ますことは知ってたので。それ以降、あの夢は見てません。見たくもありません。またあんな経験をするかもしれないと思うと、怖いんです。あれは恐怖でしかありませんでした。目覚める直前、私は振り返りました。まだ2人が私を見ているのかと思って。違いました。2人は正反対の方向に、小走りに駆け出していました。青年の方は、私に向かって振り返っていました。もう少し樹に触れるのが遅かったら、私は叫び出してたでしょう。だって、あの女の子は、女の子が、最後に、青年に向かって、なんて言ったと思いますか? 「他の人の方が上手く描いてくれるよ」、ですって。どう思います? いえ、もういいですよ。ただの笑い話ですよ、こんなの─ハハハ。
財団による調査の後、瀬川は記憶処理を受け、解放されました。瀬川の自宅からは上の証言において言及された手帳が回収されました。最新のページには他と比較すると明らかに拙い画風で男性と思しきキャラクターが描画されていましたが、このキャラクターと同年6月に出版された漫画雑誌に掲載されていた漫画作品のキャラクターとの外見的特徴の類似が指摘されています。漫画作品の作者と瀬川との接点は存在しませんでした。
検査の結果、瀬山と上記の漫画作品の作者、及び回収された手帳からはいかなる異常性も発見されませんでした。SCP-XXX-JPが未知の性質を有している可能性、並びに上記の証言で言及された"少女"の存在を鑑みて調査が継続されています。
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