夢に囚われて(仮題)

「秋月研究助手は夢ってある?」
「夢?」

すぐに答えが浮かばなかったので、相手の話を聞くことにした。

「そういう春日研究助手はどうなの?」
「私はね――」

以下回想


次の日、彼女は仕事に来なかった。部屋で昏睡状態に陥っているところを発見されたそうだ。いつ目覚めるのかも、そもそも目覚めるのかすらわからないという。
彼女がやっていた仕事は私が代わりにすることになった。(ここに代表がやりそうなこと)や(代表がやりそうなこと)など。私にはこんなことはできないし、これからもやることはないだろうと思っていた。でも私はあくまでも彼女が目覚めるまでの代役。これは一時的な仮の状態。そう思っていた。今思えば楽観的に考えていたのかもしれない。今日にでも彼女が何事もなかったかのように現れるような、そんな気がしていたから。いつからだろう、この状態が当たり前になってしまったのは。

研究員になって初めて、私は彼女が昏睡状態に陥っている原因を知った。それと同時に、このサイトに高クリアランスレベルを持つ職員や危険なオブジェクトが存在しない理由も。全てはこの異常現象のせいだったのだ。

インタビュー記録を読み返して不自然さを感じた。これは一体どういうことなのだろう。

追記: 元SCP-1646-JP-αの内、長期間の昏睡状態から覚醒した職員の多くに、英雄症候群や救世主妄想に酷似した精神疾患の兆候が明確に示されました。これを受けて実施された更なる調査の結果、SCP-1646-JP-αとなった職員の大半が上記症例と酷似した心理・精神状態を有していると診断されました。
この結果より、SCP-1646-JPが精神影響作用を有する可能性、もしくは、一種の英雄願望や誇大妄想的願望を持つ職員がSCP-1646-JP影響の対象になりやすいという傾向性の存在が示唆されています。また現在、上記事柄に関する調査検証が継続されています。

彼女のことを悪く言っているようで追記を書くのはためらわれた。しかし、彼女が常々世界を救いたいと言っていたのもまた事実なのだ。


回想終わり
「秋月研究員、今までお世話になりました」

そう言って花束が手渡される。私はお礼を言って後輩たちを見渡す。

私は今日、このサイトを去る。大きなプロジェクトへの参加が決まり、それに伴っての異動だ。仮説が正しければ、私がSCP-1646-JP-aになる可能性はない。つまり彼女がなにを見ていたのか知ることはもうできないのだ。

車に乗り込むと、雲一つない青空が目に付いた。太陽に胸が締め付けられる。研究員の肩書、自分を慕ってくれる後輩たち、プロジェクトへの配属。本来なら彼女が手にしていたであろう全てを、私は奪い取ってしまった。
景色が動き出して、慣れ親しんだサイトが、彼女が、遠ざかっていく。私の手の届かない場所へ。
私は建物が見えなくなるまで、ずっと見つめていた。(前を向いた、のほうがいいか?)

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