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名もなき惑星
気付いた頃には、もう遅かった。
日本の首都、東京を中心にいつしか発生した異常事象。みるみるうちに人間だけが忽然と姿を消していく。まるでそこに元々何もなかったかのように、痕跡を残すことなく消え去っていく。
あまりに静かなその異常に、人々が気付くことは容易ではなかった。あるいは気づいた時点で遅かった。目の前で人が音もなくいなくなったのならば、次はその目撃者の番だったから。逃げるも虚しく、すぐいなくなってしまうのなら、逃げたって仕方ない。
財団が認識したのは異常が発生したその日うちのことだったが、いささか遅かったようだ。人々が消える「範囲」を財団は最初に見出した。東京を中心とした円形の「範囲」、しかしかなりの速度でそれは拡大している。人々の消える周期も目に見えて短縮されている。じきに東京の収容サイトも「範囲」に飲み込まれるだろう。原因を特定するだけの余裕が現地の職員にはなかった。すぐさま退避命令が発動されたが、やがて誰からの応答も得られなくなった。
被害は異様な速度を持って広がっていた。異常発生から2日目にして、日本の土地から人間は消滅した。続いて周辺国で人体消滅が報告されたかと思うと、5日目にして日本を中心とした地球の半分から人間が消失した。残された人々は自らの番を待つことしかできなかった。「範囲」の拡大は留まるところを知らなかった。やがて残された財団職員が「人々が消滅するほど範囲の拡大速度も大きくなっている」ことに気付いたが、気付いたところでどうしようもなかった。
「範囲」はさながら重力を増すように、その拡大と消失周期を速め続け、人々の逃げ場をなくしていった。
そして7日目にして、地球と月からヒトは呆気なく絶滅した。もう誰も名前を知らない惑星だけが、残された生命を携えて漂っていた。
そんな惑星のとある部屋に、かつていたものたちの名前がひっそりと確かに記録されていた。しかしそれを誰が知っているというのだろうか。
意味もなく刻まれたエピタフは碧く豊かな星に抱かれ、誰に読まれることもなく静かに眠っている。
記事ここまで
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:3705485 (31 May 2018 15:13)
拝読しました。
ありきたりなKクラスシナリオ描写の最後に置きたいオブジェクトがただ置いてあるだけ、という印象の域を出ません。最後の2段落を別のオブジェクトに置き換えても成立してしまうと思います。
このTaleのコンセプトは何でしょうか? 名前の意味がなくなった惑星とオブジェクトの対比? もしそうだとしたら、もっとコンセプトを前面に押し出し、「このTaleは面白いぞ!」という顔をした方が良いのではないでしょうか。「その星は地球という名前だった」みたいな書き出しで始めてみるとか、オブジェクトの読み方を入れてみるとか、色々な方法があると思います。現状このTaleは状況を描写しているだけで、著者が書きたかったことが魅力的に伝わってきません。
面白くならなそうなので諦めます。