夜襲

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ファイル:SCP-XXX-JPを開いています…



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コロニーTetiから観測された地球。画像左の暗部が『夜』と呼称された時間帯である。

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは現在未収容です。地球に最も近いスペースコロニーMonaのすべての機能はSCP-XXX-JPの調査のために用いることが許可されます。担当職員はコロニーMonaに駐在し、24時間毎に地球環境の変化をデータベースに登録してください。

フィールドエージェントの地球への移動は、目的の座標が日の出から1時間以上経過している場合にのみ認められます。また、地球からの離脱は日没予測時間の30分前に完了してください。

説明: SCP-XXX-JPは惑星地球の夜間1において、人体に対して発生する物理現象です。SCP-XXX-JPの観測による分析、および発生痕の調査からSCP-XXX-JPの対象になった人物は最大で2000kNを超える物理的な作用を受けていると断定されています。SCP-XXX-JPそのものの発生原因は明らかにされていません。

SCP-XXX-JPは、2129/08/17に発令されたサイト-77の緊急警報によって初めて観測されました。警報を受けた司令部はサイト-77管理官に通信を試みましたが、サイト-77より返答は得られませんでした。司令部はサイト-77に設置されたライブカメラの記録より、何らかの異常現象が発生していることを察知しました。

サイト-77のライブカメラ映像ログ

付記: カメラは直線の通路の突き当たり上方に設置されており、奥行き30mほどの視界が確保できている。


<ログ開始>

23:18:29: カメラの視界には通路のみが映し出されている。本ログの開始時点でサイト-77の職員は映っていない。

23:18:34: 視界がわずかに揺れ、通路の照明が明滅する。

23:19:50: カメラの視界手前から奥に向かって男性職員が走っていく。男性職員は後方を警戒しているような素振りを見せながら、そのままカメラ奥の視界範囲外へ消える。

23:20:14: カメラの視界手前から奥に向かって男性職員1名と女性職員1名が走っていく。2名はそのままカメラ奥の視界範囲外へ消える。

23:20:50: カメラの視界外に出た2名が、カメラの奥から手前へ走って戻ってくる。

23:20:53: カメラが設置されている位置から20m程度奥の位置で、男性職員が大きくよろめくと同時に左腕が胴体から分離する。彼は通路に倒れこむ。

23:20:56: 女性職員が振り返り、男性職員を助け起こそうとする。

23:21:00: 女性職員の頭部が弾かれたように胴体から分離し、カメラの視界範囲外へ吹き飛ぶ。

23:21:03: 倒れた姿勢から、男性職員の胴体が床から跳ね上がり、胴体が分断される。同時に通路の床面、壁面には大きなひび割れが発生する。

<ログ終了>

サイト-77の緊急警報に続きイタリア国内の多数の財団施設から緊急警報、被害報告が司令部へ発信され、最初の警報受信からおよそ1時間の間に同国内の15%の財団施設との連絡が途絶しました。監視衛星からの観測により、この現象が財団施設内でのみ発生している現象ではなく、多数の民間人に対しても同様に発生していることが確認されると、司令部はコード:レッドを全世界の職員へと発令しました。3時間後にはイタリアの約80%の財団施設に加えオーストリア、スイス等の近隣国で被害が確認され、ヨーロッパ圏へと同心円状に影響が拡大しました。

下記は、当時の状況について元特殊機動部隊員のクラウス2へ実施されたインタビュー記録の抜粋です。クラウスはSCP-███の特別要件スタッフとして、機動部隊ニュー-7("下される鉄槌")に一時的に所属していました。

(省略)

ニュー-7がどのような部隊だったか知っているか?  ニュー-7はまさしく財団最強の部隊の1つだった。幾多の収容違反や襲撃を鎮圧し、危機を乗り越えてきたチームだ。俺は████████の影響を受けないため、彼らが任務を完遂するまでの間だけ一時的に所属することになったが、彼らの徹底主義には頭が下がる。油断なく、わずかな見落としも無いように入念なミーティングと訓練を行っていた。俺は戦闘に関しては素人に毛が生えたレベルだが、彼らと一緒なら安心だろうと感じていた。

コード:レッドが発動された時、俺たちはフランスとイタリアの国境付近でキャンプを張っていた。睡眠から叩き起こされたばかりにも関わらず、緊急事態には慣れていると言わんばかりに、彼らは努めて冷静に異常現象に対する準備を進めていたの覚えている。手持ちの各種防衛装置や探知機器をすべて起動し、襲撃に備えた。何かしらの変化が発生した際にはすぐに動き出せるように、俺たちは決して油断なく周囲を警戒していた。

そんな俺たちの行動を嘲笑うかのように、"夜"はあっけなく彼らの身体を粉砕した。周囲を哨戒していた隊員が突然宙に浮き、プロテクターごと胴体がバラバラになったのが見えた。簡易シェルターからも悲鳴が聞こえた。センサーには何の予兆もなかったんだ。目の前にいた人間の首が転がって来たとき、目を閉じて俺は死を覚悟した。

だが結局俺の身体には何も起こらなかった。吐き気がするような光景の中、半ば混乱しながら司令部に状況報告をしたんだ。この情報が、当時の火急の状況の中で、"夜"は人間だけを嫌っているという1つの手掛かりにはなったと聞いている。

(省略)

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現象発生から4時間後のSCP-XXX-JP影響圏。各ポイントは主要な財団施設を示している。

被害の急速な拡大の中で、財団の無人施設、および非人間であるスタッフは全く影響を受けていないことと、日の出を迎えつつあったトルコ、ウクライナ等の地域で停滞し始めたことは顕著な特徴でした。SCP-XXX-JPが人間に対してのみ作用するものであること、そして夜間帯にのみ発生する現象であることがほぼ断定されたのは5時間が経過した後でした。ヨーロッパ西部およびアフリカ北部に壊滅的な被害が発生している状況の中、緊急編成された対策チームと司令部の合議によってプロジェクト・オートマトンおよびプロジェクト・ノアーズの限定的な発動が決定されました。

プロジェクト・オートマトンに関する覚書  キャンベル博士

プロジェクト・オートマトン  収容されたアイテムの完全なる無人管理の構想は20世紀の時点で既に財団内部で提唱されていました。何らかのパラノーマルなものによってもたらされた環境変動、もしくは自然の営みによる環境変化、理由は何であれ"人間が住めなくなった地球"という1つの結末は当時から容易に想定できるものでした。当然、そうならないように最善を尽くすことが我々の使命であったことは間違いありません。しかし、我々が相対する怪奇たちは常に想像を超えてきました。最善を尽くすことの結果が"人間が住めなくなった地球"である可能性は十分な現実性を帯びていました。

我々は"人類の保護"を最優先の使命としつつ、それが叶わなくなった次善を"地球の保護"と定めました。地球が存続しているのなら、何十年、何百年が経過したとしても、人類が帰るべき場所として復旧することができるからです。『人の手を使わず如何にして地球を保護するか?』という問いに回答するためには、世界を崩壊させうる無数のアイテムを永続的に管理する方法を考案する必要がありました。ロボット、人工知能、アンドロイド  当初は机上の空論と言われていたアイデアも、技術レベルの上昇に伴い少しずつ準備が進められてきました。

プロジェクト・オートマトンの限定的な発動は滞りなく成功しました。当時、既に全世界の収容施設はSCiPNETによって管理され各システムに対して十分な数のAICが運用されている状態であったこと、そして各施設にRSロボット、MFUシリーズのアンドロイドが部分的に配備されていたことが成功の主要因です。非人間のスタッフによるメンテナンスを行う前提であれば、数か月程度の間だけ財団施設を維持することは十分に可能でした。今日では、生命体でなければ取り扱うことのできない一部のアイテムを除いて、大多数をシステムの管理下に置くことができている状態です。目の前にある我々の故郷が今もその形を保っていられるのは、プロジェクト・オートマトンの誇るべき成果と言ってもいいでしょう。

プロジェクト・ノアーズに関するインタビュー  エージェント・デイヴィス

プロジェクト・ノアーズは財団によって長期間準備が進められてきた、地球からの避難方法の開発計画だった。『ノアーズ』は『ノアの箱舟』になぞらえたものだ。プロジェクトの要点は『宇宙への移動手段の開発』『地球外の居住区の構築』の2つ。21世紀の後半まではほぼ実現不可能であったものの、バイオテリウムなどの技術革新によって22世紀から加速度的に計画は進められ、世界各地への避難用ポッドの配備、そしてMona、Teti、Dimo、Meul、4基のスペースコロニーが建設された。

SCP-XXX-JPが発生したとき、まだノアーズは計画の途中段階だった。財団は小規模な人員を安全な場所へと退避させることが可能ないくつかのアイテムは保有していたものの、それらの使用目的はごく一部の人間の保護に限定されていた。正直に言えば、全世界規模の危機から人類を避難させるための方法は所持していなかった。そして1つの事実として、コロニーに常駐していたスタッフには被害は出ていなかったことから、可能な限りの人員を避難させるため、ノアーズは実行に移された。

コロニーが収容できる数には十分な余裕があったが、"夜"がやってくるまでに利用できるポッドには限りがあった。つまり  ノアーズの最も難しい任務は、誰の助け、誰を見捨てるのかという"命の選別"だった。エージェントとしての俺の仕事は、選別された"助けるべき命"が無事にポッドを利用できるよう、飛行機を操縦して陽の当たる領域に一緒に逃げることだった。

コロニーの中で生まれ育った、あの"夜"を知らない人間もずいぶん増えた。数十年が経過してもなお人類が生き残っていることを考えれば、財団にとってノアーズは成功だったんだろう。だが、今コロニーで暮らしている何万人かの人間が、何十億という命を見捨てた上に成り立っているということを忘れてはならない。

現在、SCP-XXX-JPの収容は財団の取り組むべき最優先事項の1つとして定義されています。4基のスペースコロニーのうち、コロニーMonaはSCP-XXX-JP関連の調査を目的として、コロニーTetiは既知のアノマリーの管理、収容を目的として運用されています。

補遺: SCP-XXX-JP調査記録

SCP-XXX-JPの拡大の中心はイタリア国内のおよそローマ近郊だと分析されています。エージェントによる調査はイタリア国内で重点的に実施されていますが、SCP-XXX-JPの発生原因について有効な成果は上げられていません。

以下の記録はSCP-XXX-JPの調査任務中に、エージェント・ジェンナーがPoI-B8240と遭遇した際の会話の記録です。

音声記録 PoI-B8240

日時: 2148/09/09

場所: イタリア フォッジア

付記: PoI-B8240との遭遇時、Mona管理室はエージェント・ジェンナーの安全を第一とし、エージェント・ジェンナーに対してPoI-B8240からの逃走を指示しましたが、PoI-B8240の追跡を振り切ることに失敗しました。


[ログ開始]

PoI-B8240: そろそろ逃げるのは諦めたらどうだ?

Mona管理室: 相手からできるだけ情報を引き出せ。死なないことを優先しろ。

エージェント・ジェンナー: 何が目的だ?

PoI-B8240: そう警戒しないでくれ。わかるだろ?人間と会話する機会は貴重なんだ。世間話でもしよう。

エージェント・ジェンナー: (沈黙)話に乗ろう。名前も知らない状態で話はできないだろ?俺はロバート。ロバート・ジェンナー。

PoI-B8240: ドゥランテだ。お前、財団の奴だな?宇宙からわざわざご苦労なことだ。

エージェント・ジェンナー: 違う、と言っても通用しなさそうだ。

PoI-B8240: その服装も装備も、似たものを何十年か前に見たことがある。記憶力はいいのさ。

エージェント・ジェンナー: お前は1人か?

PoI-B8240: 今はな。昔は仲間と行動していたこともあった。ケンカ別れしてな。今どこにいるかは知らん。しぶとい奴らだから死んではいないだろう。

エージェント・ジェンナー: お前たちはどうして"夜"を越えられるんだ?

PoI-B8240: 知りたいか?

エージェント・ジェンナー: ああ。教えてほしい。

PoI-B8240: 簡単だ。お前たちもよく知るように、あの"夜"は人間を憎む。

(グチュグチュと粘体が動くような音。)

PoI-B8240: つまり、人間でない者には何の興味もないということだ。こんな感じのな。

(粘体が動くような音が続く。数秒後、破砕音。)

エージェント・ジェンナー: 肉が、(沈黙)

PoI-B8240: どうだ?参考になったか?

(PoI-B8240の大きな笑い声。)

エージェント・ジェンナー: お前の目的は何だ。

PoI-B8240: 暇つぶしだ。言ったじゃないか、『人間』と会話する機会は貴重なんだ。(沈黙)ロバート、お前がイタリアに来たのは"夜"がこの辺りから始まったからだろう?"夜"がお前たちを憎んだ原因を探しているなら、それは見当違いだ。

エージェント・ジェンナー: お前は何を知っているんだ?それを俺に言って何のメリットがある?

PoI-B8240: 俺にとっては財団なんてどうでもいいのさ。どうとでもなるからだ。お前は俺の名前を1度も呼ばなかったな。お前たちはもう少し相手を敬った方がいい。(沈黙)じゃあなロバート。日が落ちるまでに帰るんだな。

[ログ終了]


PoI-B8240はSCP-XXX-JPに関する情報を持っている可能性が高いとみられています。PoI-B8240の行方は現在調査中です。

















レベル5オーバーライドを識別しました。


機密ファイルを表示します…


プロジェクト・ノアーズに関する覚書  Dimo統括官 ウィリアム・ウォード

コロニーの管理を務める者たちは、人々の多くが理解しているノアーズの歴史、それは部分的に脚色されたものだということを知っておく必要がある。なぜ財団は莫大なコストをかけて宇宙空間に巨大な居住区を設けたのか。これは苦し紛れの手法に過ぎなかったのだ。

地球からの避難方法の構想、当初のノアーズ計画は火星の開発だった。21世紀の中頃まではテラフォーミングという言葉が用いられ、一般に知られるサイエンス・フィクションの概念の1つでもあった。幸いなことに、そんなサイエンス・フィクションを現実にするためのいくつかの魔法のアイテム、手法を財団は所有していた。試験を繰り返し入念な準備を進め、ついに我々は火星に足を踏み入れることに成功した。100年以上前、2000年頃の話だ。だが  結論から言えば、試みは失敗に終わっている。

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コロニーDimoから観測された火星。

探査機による環境分析と事前に投入されたロボットによって、エージェント達の安全は十分に確保されており、ベースキャンプの設置は滞りなく完了した。周辺環境の調査を進めている最中、カメラから届けられた映像は、日没とともにエージェント達が無残な姿に変わる瞬間だった。その後、何名かのDクラスの犠牲を通して、我々は火星の"夜"は人間を拒んでいるということを確信した。

SCP-XXX-JPの割り当てはその時に行われた。我々は遠い宇宙にある脅威の情報を封印し、人類にとってテラフォーミングは空想のままにしておくことが最良だと考えた。そして、ノアーズ計画は火星の開発からスペースコロニーの建設へと、方針を大きく変更することにしたのだ。

地球に訪れたあの"夜"は我々が過去に封印したものと同一なのは間違いない。ここから導き出される1つの懸念は、人間に牙を剥くあの"夜"が地球に留まっている保証は全くないということだ。

"夜"に向き合う態度について  L.S.

ウィリアム、あなたたちがSCP-XXX-JPと呼ぶあの"夜"は、誰かの手によって導かれた、異常なものではないのです。あれはただの夜でしかありません。はじめに、これは宗教的な話ではないということを理解してください。あなたたち財団は自らの想像を超えるもの、奇跡、神秘への理解を放棄することが得意ですからね。一言で表現するなら、あれは夜からの人間に対する"逆襲"です。

人間はかつて夜闇の中に未知の存在を想起し、理外のものを恐れ、領域を侵すことのない生き方をしてきました。しかし、人間はいつしか夜を払うすべを持つようになりました。未知を開拓し、自らの世界を広げる精神を獲得しました。それそのものに問題はありませんが、問題は人間が夜を恐れなくなったことです。かつて恐れられた暗闇は、舗装され灯に照らされた安全な夜道へと変貌し、夜の領域はどんどん侵略されてゆきました。

万物には定められた"領分"があります。均衡が完全に崩れたことにより、再び均衡を作り出すために発生したのがあの"夜"です。人間から恐れを再び取り戻すために、あれは人間のみを襲うのです。

あの"夜"が発するメッセージはただ1つ、『分をわきまえよ』。いいですか?夜を畏れなさい。あなたたちの取るべき道は2つあります。1つは自分たちが"夜"への畏怖を持ち、赦しが出るまで待つこと。そしてもう1つは  地球ではなく火星に、なぜ人間を憎む"夜"が存在していたのかを考えると良いでしょう。


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