かしこくなるけむり

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8138の低危険度物品収容ロッカーに収容されます。担当職員は1日に1度SCP-XXX-JPの煙が漏れていないかどうかを確認する必要があります。煙が漏れていることが確認された場合、防護服を着用させたDクラス職員を対処にあたらせてください。

新たにSCP-XXX-JP-1が発見された場合、麻酔銃などを用いて無力化し、SCP-XXX-JP-1の意識が消失していることを確認してから高所から移動させてください。移動後は高層に位置する収容室に収容し、1日に3度食事や水分などを配給してください。収容から1ヶ月が経過し、SCP-XXX-JP-1の知能が正常に戻った兆候が確認された際にはSCP-XXX-JP-1に対してSCP-XXX-JPについての情報を尋ねた後、記憶処理を施し解放してください。

二階堂氏の自宅は付近に設置されている監視カメラで24時間監視する必要があります。侵入を試みる人物が存在した場合、警察を装ったエージェントが対応を行います。中に入る必要がある場合は防護服を着用した上で中に入り、作業を行ってください。窓や扉は玄関を除いて封鎖し、SCP-XXX-JP-2から放出された煙が外部に漏れることのないよう注意してください。

説明: SCP-XXX-JPは作成者不明である陶器製の香炉です。構成する物質に異常性は確認されていません。SCP-XXX-JPの内部には線香が立っており、この線香は取り除かれても即座に再出現し、火が消えるなどした際にも同様の現象が発生します。また、線香の火は不明な原理によって自然に着火されます。これを防ぐ方法は発見されていません。

SCP-XXX-JPが放出する煙を人間が吸引すると、知能の急激な低下が開始します。その後その人物は高い場所1を探し、そこに登ることを試みます。(以降、この状態に陥った人物をSCP-XXX-JP-1と表記)SCP-XXX-JPの煙を吸引しても知能が低下しないような場合も確認されているため、SCP-XXX-JPが及ぼす影響には個人差があると考えられています。SCP-XXX-JP-1は高い場所に登り終えると、大声で「自分は大発見をした」といった内容の発言を行います。この内容は総じて日本の義務教育課程の内、初等教育で学習可能な内容となっていますが、SCP-XXX-JP-1は上記の旨を指摘した場合、一切の応答はしません。SCP-XXX-JP-1は不明な方法で自らが位置する高さを感知することが可能です。2SCP-XXX-JP-1との意思の疎通は知能の著しい低下によって困難ですが、簡単なやり取りを行うことは可能です。SCP-XXX-JP-1の知能は約1ヶ月で正常に戻ることが確認されており、現在まで例外は確認されていません。

SCP-XXX-JPの異常性の詳細を把握するためにDクラス職員を対象に実験が行われましたが、密室で実験を行った際には高所を見つけることができなかったSCP-XXX-JP-1が自死を試みようとしため、実験は中止されました。解放された空間で再度実験を行うことも計画されましたが、SCP-XXX-JPの煙の有効範囲が不明であるという点から実験は延期されています。

SCP-XXX-JPは、宮城県██市において高所で叫ぶ不審者の存在が多く確認され、その行動、発言のほとんどが共通していたことから財団の関心を引き、調査が開始されました。当初、██市での異常現象の特定は難航しており、より長期の調査が必要とされるとされていましたが、九条氏が警察にSCP-XXX-JPについての情報を証言したため、その情報を元に収容が行われました。SCP-XXX-JPは数学者である二階堂 聡氏の自宅で発見され、証言によると「珍しいものが手に入ったので来てほしい」と学者仲間たちを呼び集めたとされています。SCP-XXX-JPの煙を吸引したのは8名とされていますが、二階堂氏を含むその内の2名は現在も発見されておらず、現在も捜索が行われています。SCP-XXX-JP-1の知能は約1ヶ月で正常に戻ることが確認されているため、二階堂氏らの知能も正常に戻っているのではないかと推測されていますが、未だに発見されていないことから、死亡している、または警察などの機関にアプローチすることが困難な状況にあるか、現在もSCP-XXX-JPの影響下にあるのではないかという可能性も考えられています。

以下のインタビュー記録は和狩氏にSCP-XXX-JPを使用した当初のことについて聴取したものです。
インタビュー記録XXX-JP

付記: 九条氏にはこのインタビューは警察による事情聴取だと説明しています。

<記録開始>

伊集院博士: それでは聴取を開始します。

九条氏: はい。

伊集院博士: まず、あなた方が使用していたあの香炉についてお聞かせください。

九条氏: あの……あの香炉はやはり違法なものだったんですか……?危ないドラッグだったり……

伊集院博士: 現在調査中です。あの香炉を使用した日のことを聞かせていただいてよろしいですか。

九条氏: はい……わかりました……あれは二階堂が用意したものです。私たちはなにか珍しいものを手に入れたらそれを持ち寄って、それについて話し合ったりしていました。とは言っても、だいたい最後には酒を飲んだりして、話が脱線してしまっていて、みんなそれを目当てに来ているような感じでした。あの日もいつものように出来杉の家に行くと、あの香炉がありました。変に歪んでて、今にも崩れてしまいそうだな、と思ったのを憶えています。

伊集院博士: なるほど。では次に、香炉を使用した時のことについてお願いします。

九条氏: はい。二階堂は「この香炉の煙を吸うと、賢くなるらしい」と笑いながら言っていました。もちろん誰も信じてはいませんでしたが、吸うだけで賢くなれるならと、みんなで試してみようということになりました。煙を吸ってみると、なんだか頭がぼんやりとしてきたのを覚えています。これは何か違法なものなんじゃないか、やめた方がいいんじゃないか、とも思いましたが、だんだん考えがまとまらなくなって、煙を吸い続けました。

伊集院博士: その後はどうなりましたか?

九条氏: 急に高い場所に行きたくなって、集まっていた他の奴らに構わず、家を出ました。そして目についたビルの屋上を目指して走りました。到着した時は、とても楽しい気持ちだったことを覚えています。馬鹿みたいに高い所に登るのが楽しかったんです。私は高所恐怖症なんですが、不思議ですよね。あと、なんだかすごい発見をして、興奮していたような気がしますが、よく覚えていません。……すみません、あの日のことはここまでしか覚えていません。気が付いたらここにいました。

伊集院博士: ありがとうございます。二階堂さんは香炉をどこで手に入れたのか知っていますか?

九条氏: わかりません。何も言っていませんでした。たぶん、怪しいものを掴まされてしまったことを恥ずかしく思っていたんじゃないかと思います。あいつ、よく偽物とかに引っかかっていたので。

伊集院博士: 他の方々には構わずに外に出た、ということは他の方々がどこに行ったのかはわからない、ということでしょうか。

九条氏: そうですね……わからないです。……みんなは無事なんですか?

伊集院博士: 無事ではありますが、少々不安定な状態が続いているので、しばらく会うことはできないと思われます。

九条氏: そうですか……

伊集院博士: 今日はここまでにしましょう。ご協力ありがとうございました。

<記録終了>

インタビュー終了後、九条氏は記憶処理を施された後に解放されています。

追記: 二階堂氏の自宅の調査を行っていたところ、床板の一部に不安定になっている箇所が発見されました。そこを取り外すと、地下深くまで掘られた穴が2つ発見されました。この穴は人間が1人通れるほどの大きさの穴となっており、所々に人間の手のような痕がついていたため、人間の手によって掘られたものであると考えられています。また、穴の側面には何かの数式や図のようなものが書かれており、それが何を意味しているのか、調査が進められています。穴がどこまで続いているのか、探索が行われていますが、穴は所々が崩れかかっており、危険性が高いと見られているため探索は難航しています。

追記2: 二階堂氏の自宅の地下から発見された穴の探索が開始してから1ヶ月後、穴からSCP-XXX-JPが放出するものと同様の異常性を持つ煙が放出されていることが確認されました。この煙は約30分後に放出が停止されました。その後、探索用ロボットを用いて穴の内部の調査を行ったところ、穴の中腹と見られる位置にSCP-XXX-JPを模して作られたような物体が発見されました。この物体は粘土で作られており、その内部からは線香が燃え尽きてできたと見られる灰が発見されています。これはSCP-XXX-JPとは異なり線香が再度出現することはなく、放出されていた煙以外に異常性はないと考えられています。この物体に二階堂氏の指紋が付着していたことから、これは二階堂氏の手によって作られたものだと推測されています。また、これ以降穴の深部から定期的に煙が放出されており、このことを受けてこの穴はSCP-XXX-JP-2として指定され、オブジェクトクラス、特別収容プロトコルの改定が行われました。


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