素晴らしき道程

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 SCP-XXX-JP内部

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 担当職員はSCP-XXX-JPに通じるポータルが存在するフロアを監視カメラを用いて常に監視してください。SCP-XXX-JP-1の出現が確認された場合、交渉役の職員を派遣し、何故こちらを訪れたのか、といった詳細な情報を把握し、説得を行い、SCP-XXX-JPに送り返すよう努めてください。

説明: SCP-XXX-JPはサイト-8138内に存在するポータルによって男性のみがアクセスすることが可能な異常空間です。SCP-XXX-JPには100人程度の人間(以降SCP-XXX-JP-1と表記)が存在しています。SCP-XXX-JP-1は通常の世界に存在する人間と差異はほとんど見られませんが、特筆すべき点としてSCP-XXX-JP-1は火や水を手から生成する、空中に浮遊し、自由に移動するなどといった所謂「魔法」のようなものを使用することが可能です。SCP-XXX-JPの文化レベルは通常世界の一般的な水準と比較すると大幅に劣っていますが、SCP-XXX-JP-1が用いる魔法には様々な分野が存在しているため、そのことを不便に感じている様子はありません。SCP-XXX-JPには農業や林業などといった、第一次産業にあたるものが存在していません。これは、SCP-XXX-JP-1らがそのような活動を行わなくとも魔法を用いて必要な素材などを入手することができるからだと考えられています。また、SCP-XXX-JP-1は全て30歳以上の男性であり、女性のSCP-XXX-JP-1の存在は確認されていませんが、SCP-XXX-JP-1によって生成されたと思われる人間の女性のような外見を持つ人型実体1は多数存在しており、これらの人型実体は家事などをはじめとする作業や、SCP-XXX-JP-1らが営業をしている店舗での作業を行うために用いられているようです。

SCP-XXX-JP-1が用いる魔法の例

  • 手から食料を出現させる。
  • 手から家具や調理器具などといった道具を出現させる。
  • 自分の髪型や体型を変化させる。
  • 一時的な筋力の増強。

SCP-XXX-JP-1が営業している店舗の例

  • 食堂 調理に関する魔法に秀でたSCP-XXX-JP-1が営業しています。
  • 宿屋 良質な建物やベッドなどの設備を生成することのできるSCP-XXX-JP-1が営業しています。
  • 魔道具屋 より複雑な魔法の行使を容易にすることができる道具などが販売されています。
  • 風俗店 「ラブゴーレム」と呼ばれる人型実体との性行為を目的とした店です。

SCP-XXX-JP-1らは自分たちが生活しているSCP-XXX-JPのことを「魔導帝国」と呼称しており、SCP-XXX-JPは自らを「魔導帝」と自称するSCP-XXX-JP-1(以降このSCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JP-Aと表記)によって支配されています。SCP-XXX-JP-Aは他のSCP-XXX-JP-1と比較して魔法の精度が高く、より広範囲に影響を及ぼすことが可能です。全てのSCP-XXX-JP-1は自分がなぜ魔法を使うことができるのか、ということの理由を「自分たちは清らかな身であるため」と回答していますが、それ以上のことは語ろうとしないため明確な理由は不明です。これについて財団は調査を行っていますが、調査資料の紛失、記録媒体の不具合などが続出しており、調査は難航しています。

SCP-XXX-JPへと通じるポータルは2000/10/28、サイト-8138の施設内に突如として出現しました。その場に居合わせた女性職員がポータルへの侵入を試みましたが、何かに弾かれるような反応が見られ、侵入することができませんでした。男性職員が侵入を試みると何事もなく侵入することに成功し、SCP-XXX-JP、SCP-XXX-JP-1の存在が確認されました。その後、ポータルを出現させたと思われるSCP-XXX-JP-1から「魔法の研究中に偶然アクセスしてしまった」との報告があり、他のSCP-XXX-JP-1へのインタビューの結果を踏まえてSCP-XXX-JP-1に敵意はない、という判断が下されました。SCP-XXX-JP-1は自分たちの存在を秘匿し、保護するという対応に満足しており、こちらに対して友好的なな態度を取っています。

インタビュー記録XXX-JP

付記: このインタビューはSCP-XXX-JP、SCP-XXX-JP-1についての疑問点などを調査するために行われたものです。インタビュー対象はSCP-XXX-JP-Aです。

<記録開始>

土手博士: それではインタビューを開始します。

SCP-XXX-JP-A: うむ。

土手博士: では最初にあなた方の魔法についてですが。

SCP-XXX-JP-A: 何度も言っているが、我々は清らかであるが故に魔法を使うことが可能なのだ。それ以上でも以下でもない。

土手博士: それでは明確な理由が分かりません。教えていただくことはできないでしょうか。

SCP-XXX-JP-A: 自分たちで調べてみればよかろう。

土手博士: 調査は行っていますが、様々なトラブルに見舞われてしまいなかなか進展がないのです。

SCP-XXX-JP-A: [笑い声]我々は貴殿らが真実にたどり着くことのないよう、認識を阻害する魔法を行使している。当然の結果であろうな。

土手博士: なるほど。そういうことでしたか。そちらには教えるつもりはない、ということですね。

SCP-XXX-JP-A: [笑い声]神秘を秘匿するのも貴殿らの仕事ではなかったか?

土手博士: 確かにその通りです。失礼しました。

SCP-XXX-JP-A: よい。許そう。

土手博士: ありがとうございます。では次に国の運営についてですが、陛下以外に政治を行う方はいらっしゃらないのですか?

SCP-XXX-JP-A: 私はこれまでの王とは比にならぬほど魔力が高い。私1人でも問題はないよ。

土手博士: なるほど。では、先代の王はご存命ですか?ぜひその方にもお話を伺いたいのですが。

SCP-XXX-JP-A: [眉間にしわを寄せ、俯く]

[側近たちがお互いに何かを囁く]

土手博士: 申し訳ございません。何か失礼なことを言ってしまったでしょうか。

SCP-XXX-JP-A: ……よい。貴殿らは何も知らぬからな。貴殿らに落ち度はない。では、話そうか。先代の王について。

土手博士: ありがとうございます。

SCP-XXX-JP-A: 奴も私のように強い魔力を持った王だった。民からも愛され、良き王として知られていた。奴は特殊な能力を持っていた。様々な世界を自由に行き来することのできる力だ。たびたび城を無断で飛び出しては側近たちを困らせていたよ。

土手博士: その世界には私たちの世界も含まれるのでしょうか。

SCP-XXX-JP-A: ああ。恐らくな。……そして奴は禁忌を犯した。奴は最後の魔力を振り絞り、やっとのことでこちらの世界に帰ってくることができたのだろう。禁忌を犯せば魔力は漏れ出し、魔法を使うことはできなくなるからな。

土手博士: 禁忌、ですか。

SCP-XXX-JP-A: そうだ。奴は口に出すことも憚られるようなことをした。そして、魔力を失ったその後も民たちを欺き、王として君臨し続けたのだ。だが、それも長くは持たなかった。王が魔法を使うことができなくなっている、ということに側近たちが気づき始めたのだ。考えてみれば、あの頃からだった。奴が妙に落ち着き払い、そう、まるで賢者のようになったのは。

SCP-XXX-JP-A: そして、奴は王座を追われた。裁判にかけられ、奴は魔導帝国での記憶を抹消され、異なる世界に追放されることとなった。

土手博士: はあ。

SCP-XXX-JP-A: 奴はその行いから、軽蔑を込めてこう呼ばれるようになった。非道帝ひどうてい、とな。

土手博士: そんなことが……それで、その禁忌というのは一体……?

SCP-XXX-JP-A: [俯き、震えながら]頼む。それを私に言わせないでくれ。

土手博士: 申し訳ございません。お辛いことを思い出させてしまったでしょうか。

SCP-XXX-JP-A: 良いのだ……奴の行いを知っている者が増えることは奴への罰となる。良いのだ。

土手博士: お気遣いいただきありがとうございます。それでは、そろそろ最後の質問とさせていただきます。

SCP-XXX-JP-A: うむ。聞こう。

土手博士: この国の城下町は良いところですね。どこも活気にあふれています。

SCP-XXX-JP-A: そうだろう。そうだろう。自慢の町、そして民たちだ。

土手博士: それで、風俗店についてなのですが。

側近たち: 貴様。王の御前で不敬であるぞ。

SCP-XXX-JP-A: よさんか。風俗といえど我が国の文化の1つ。私はこの国の全てに誇りを持っている。一向に構わん。

側近たち: 失礼いたしました。

SCP-XXX-JP-A: さて、続きを許そう。どうであった。我が国のラブゴーレムは。

土手博士: はい。思っていたよりもいいものでした。ですが。

SCP-XXX-JP-A: 何だ。

土手博士: あなた方の魔法は素晴らしいと思います。生成する食料は本物と見分けがつきませんし、味も全く同じだ。あのゴーレムも本物の人間と見間違うほどです。

SCP-XXX-JP-A: 当然だな。

土手博士: ですが……

SCP-XXX-JP-A: だから何なのだ。はっきりと申せ。

土手博士: なぜ女性器の造りだけ曖昧なのですか?あれだけは本物と似ても似つかないのですが。

SCP-XXX-JP-A: お、おまっ……おま……

[側近たちがざわつき出す]

土手博士: なぜなのでしょうか。

SCP-XXX-JP-A: 貴様!非道帝の手の者か!

土手博士: はい?

SCP-XXX-JP-A: この者を魔導帝国より追放せよ!

土手博士: えっ

<記録終了>

この後、土手博士はサイト-8138へと転送され、SCP-XXX-JPへの侵入が不可能となりました。このことからSCP-XXX-JPへの侵入は不可能になったと考えられましたが、侵入することができる男性職員も存在しており、現在SCP-XXX-JPへの侵入が可能となる条件の調査が進められています。


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