スシブレード(仮)

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは一定の範囲から移動することがないため、周囲、店内に監視カメラを設置し、その行動を監視します。SCP-XXX-JPが監視カメラを不審に思っている様子を見せた場合は、防犯用の監視カメラであると説明してください。

一般人のSCP-XXX-JPが経営する寿司店への入店を阻止することは困難であるため、一般人の入店を確認した場合、その人物の身元を調査し、監視してください。

SCP-XXX-JPは財団傘下の医療機関で治療を受ける必要があります。SCP-XXX-JPの病室内や、その付近は常に監視されます。担当職員は不審な人物を発見した場合、その人物がSCP-XXX-JP-aと関連性があるかどうかを確認し、SCP-XXX-JPを他の医療機関に移動させてください。

SCP-XXX-JP-aの捜索は常に行われます。SCP-XXX-JP-aに関連性があると思われる情報を入手した場合、調査を行い、信憑性が高いと判断された場合、確保に向かってください。SCP-XXX-JP-aは非常に高い戦闘能力を持っている可能性があるため、SCP-XXX-JP-aの確保等の作戦を実行する際は必ず機動部隊を出動させてください。

説明: SCP-XXX-JPは50代の日本人男性のような外見的特徴を持つ人型実体です。SCP-XXX-JPは宮城県██市に存在する「回転寿司 勝」という看板が掲げられた寿司屋の中に滞在しており、この建築物の外に出ることはありません。

SCP-XXX-JPの異常性は寿司屋の中に自身を除いて2人以上の人物が入店してきた際に発現します1。この際、入店を阻止しようとした人物が存在した場合、その人物は「自身も入店しようとしていた」と認識するようになります。入店してきた人物は自身がここを訪れた理由を「寿司を回すため」だと認識し、SCP-XXX-JPはそれぞれの人物に自身が握った寿司を渡し終えると、「寿司の回し方」についての解説を始めます。SCP-XXX-JPに直接寿司の回し方についての指導を受けたうえで以下の動作を取ると寿司が高速で右回転を開始します2。回転を開始した寿司はSCP-XXX-JP-1として指定されます。SCP-XXX-JP-1は寿司ネタと何らかの単語を合わせたような名称が付けられます。

  1. 割り箸をできるだけ綺麗に割る3
  2. 割り箸で寿司を掴む4
  3. 湯呑で箸頭を全力で叩く。
  4. 寿司が箸を離れ、着地した瞬間右に回転する。

全員が寿司を回転させることに成功すると、次にSCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-1を用いた競技である、「スシブレード」についての解説を開始します。スシブレードの大まかなルールは以下の通りです。

  • 「3、2、1、へいらっしゃい」の掛け声を出しながら寿司を回転させる。掛け声を出し、寿司を回転させた後には両腕を大きく広げる。
  • 直径50cmの土俵を模したような円形の台の上で寿司を回す。
  • お互いのSCP-XXX-JP-1を台の上でぶつけ合う。
  • 相手のSCP-XXX-JP-1が台の外に出るか、回転を停止、または寿司ネタとシャリが分離した際に自分のSCP-XXX-JP-1がまだ回転を継続していた場合、自分の勝利となる。
  • 台の外に出たなどしたSCP-XXX-JP-1は捨てずに残さず食べなければならない。

SCP-XXX-JPはルールの説明を終えると全員に2人組を作成し、スシブレードを開始するよう促します。指示が出されると2人組は即座にスシブレードを開始します。決着がつくと、SCP-XXX-JPは両者に労いの言葉をかけ、勝者に対して好きな寿司を獲得させる権利を与えますが、敗者に対してはこのような行為を取ることはありません。敗者はそれに対してとても悔しがるような態度を示し、屋内から逃げるように飛び出します。その後勝者は頻繁にSCP-XXX-JPの元を訪れるようになりますが、敗者は日数が経つにつれてSCP-XXX-JPなどについての記憶を失うため、再び訪れることはありません。ただし、勝者、敗者はどちらも記憶処理を受けてもSCP-XXX-JPやスシブレードについての記憶を失うことはありません。これらの人物は店外でスシブレードを行うことはなく、SCP-XXX-JPについての発言も控える傾向にあるため、SCP-XXX-JPの存在が広く認知されることはありません。

SCP-XXX-JP-aは2019/4/28に新たに存在が確認された人型実体です。詳細は追記を参照してください。

SCP-XXX-JP-1の性能について5
名称 特徴など
アルティメットマグロ  これといった長所はないが、安定した回転が可能。初心者向き。     
エビリュウオウ 尻尾による攻撃が非常に強力だが、寿司ネタとシャリが分離しやすい。
イクラリオン イクラを周囲に拡散させることで相手のSCP-XXX-JP-1の回転を妨害することができるが、イクラが少なくなるほど回転速度が落ちる。
タコボーグO 相手のSCP-XXX-JP-1に吸い付くように回転し、超至近距離からの攻撃が可能。バランスを取るのが困難であるため、上級者向け。
カッパマーキュリー 回転中、1回のみキュウリ(Cucumis sativus)を発射することが可能。この攻撃は絶大な威力を誇るが、発射後は軽量化するため、攻撃に対する耐久力が落ちる。

映像記録XXX-JP

付記: この映像は客を装っているDクラス職員に所持させた隠しカメラによって記録されています。

<記録開始>

SCP-XXX-JP: へいらっしゃい。……おっと。[笑みを浮かべる]

D-1028: 何ですか?

SCP-XXX-JP: へっ。寿司、回しに来たんだろ?

D-1028: [はっとしたような顔をする]そうです。

D-1228: [D-1028と同様の反応をする]俺たちに寿司の回し方を教えてください!お願いします!

SCP-XXX-JP: ちょっと待ってな。今から回すための寿司握るからよ。

D-1028、D-1228: ありがとうございます!

[前述した寿司の回し方やルールを解説する。]

SCP-XXX-JP: と、まあこんな感じかね。

D-1028: なるほど……。

D-1228: 俺にもできるかな……。

SCP-XXX-JP: 大丈夫だよ、きっとできるさ。よし、じゃあ早速勝負してもらうかな。

D-1028: もうですか?

D-1228: すごく不安です……。

SCP-XXX-JP: いいからいいから。今から土俵の準備するからちょっと待ってな。

[SCP-XXX-JPが割り箸、湯呑、円形の台を準備する。]

SCP-XXX-JP: これでよし、と。あとはそっちの好きなタイミングで始めてもらって構わないぜ。

D-1028: 頼むぞ、サルモン6……。

D-1228: 頑張ろうぜ、カンパッチェ7!もう大丈夫です。

SCP-XXX-JP: それじゃあ構え!

D-1028、D-1228: 3、2、1、へいらっしゃい!

[両者の寿司が回転し始め、激しくぶつかり合う。]

SCP-XXX-JP: ほう、2人ともなかなかいい腕をしている……。

D-1028: いけ!サルモン!そこだ!

D-1228: 負けるなカンパッチェ!

[特筆すべき点がないため中略。]

SCP-XXX-JP: ……潮時か。

[D-1028のSCP-XXX-JP-1がD-1228のSCP-XXX-JP-1を台の外に弾き飛ばす。]

D-1028: よし!

D-1228: そんな、俺のカンパッチェが……。

SCP-XXX-JP: 勝負あり!勝者、██8、サルモン!

D-1028: やった、俺たちやったんだなサルモン!

D-1228: クソ、畜生![SCP-XXX-JP-1を頬張り、D-1028を押しのけ、外へ走り去っていく。]

D-1028: あ、おい!

SCP-XXX-JP: [D-1028の肩に手を置く。]今は1人にしてやったほうがいい。

D-1028: ……そうですね、わかりました。

SCP-XXX-JP: さて、勝者の君には褒美をあげなければな。

D-1028: 褒美?一体何ですか?

SCP-XXX-JP: 君には特別に好きな寿司をあげようじゃないか。君の大切な相棒になるんだ。慎重に決めるんだぞ。

D-1028: ありがとうございます!……でも、ご遠慮させてもらいます。すいません。

SCP-XXX-JP: どうしてだ?

D-1028: こいつが、サルモンが言うんです。お前と一緒に回りたいって。

SCP-XXX-JP: [呟くように]そうか……君には寿司の声が……

D-1028: え?

SCP-XXX-JP: [笑う]いや、何でもないんだ。君のようなスシブレーダーは初めてだよ。ここにはいつでも好きな時に来てくれて構わないよ。ぜひまた来てくれ。

D-1028: はい!ありがとうございます!

<記録終了>

補足: 寿司屋の周囲はエージェントらによって包囲されていたにも関わらず、D-1228は発見されておらず、現在も調査、捜索が行われています。これについて、SCP-XXX-JPは「負けたのが悔しくて修行の旅に出たのだろう」と発言しており、関与を否定しています。また、D-1028が所持していたSCP-XXX-JP-1は低脅威度物品保管ロッカーに保管されています。

追記: 2019/4/28、SCP-XXX-JPが重傷を負った状態で発見されました。店内は荒らされており、特に調理器具や食材が徹底的な破壊を受けていました。店内に仕掛けられた監視カメラにはこのような状態になった経緯が記録されていました。

映像記録XXX-JP-2

<記録開始>

SCP-XXX-JP: へいらっしゃい。お客さん、おひとりですかい?

不明な人物: [沈黙]

SCP-XXX-JP: お客さん?

不明な人物: [無言で店の奥に進む]

SCP-XXX-JP: ちょっと、困りますよ。

不明な人物: [台を手に持ち、戻ってくる]

SCP-XXX-JP: ……そういうことか。構えな。[懐から寿司を取り出す]

不明な人物、SCP-XXX-JP: 3、2、1、へいらっしゃい!

SCP-XXX-JP: 左回転だと?き、貴様!これは![歯ぎしり]

不明な人物: ……そうだよ。ハンバーグだよ。

SCP-XXX-JP: 禁忌とされているものに手を出すだけでなく、相棒である寿司に名前すら付けてやらないとは!貴様!スシブレーダーとしての誇りはないのか!

不明な人物: 道具に名前なんているかよ!勝てればいいんだよ!勝たなきゃ意味がないんだ!

SCP-XXX-JP: [叫び声をあげる]

[両者のSCP-XXX-JP-1が20分間激しくぶつかり合う]

SCP-XXX-JP: まさかとは思っていたが、この寿司さばき、貴様は███9ではないか?

不明な人物: [沈黙]

SCP-XXX-JP: 答えろ!何故だ!███!

不明な人物: ……そんな奴知らないね。[上着のフードを脱ぎ、その下からブタ(Sus scrofa domesticus)のような頭部が露出する]

SCP-XXX-JP: お前、まさか……ハンバーグに飲まれて……

不明な人物: ハッ!油断したな!

[SCP-XXX-JPのSCP-XXX-JP-1が台の外へ弾き飛ばされる]

SCP-XXX-JP: しまった!

不明な人物: まだまだこんなもんじゃねえぞ。[SCP-XXX-JPのSCP-XXX-JP-1を踏み潰し、自身のSCP-XXX-JP-1をSCP-XXX-JPに向けて繰り返し発射する]

SCP-XXX-JP: [呻き声を上げる]や、やめてくれ……このままでは……戻れなくなるぞ……

不明な人物: [笑い声を上げる]ざまあねえな。それじゃとどめを……おっと。[扉の方向を見る]

[店内にSCP-XXX-JPと酷似した人物(SCP-XXX-JP-aに指定)が侵入し、SCP-XXX-JPに近づいてくる]

SCP-XXX-JP-a: ひでえザマだな、勝の兄貴。

SCP-XXX-JP: お前、栄か……?

SCP-XXX-JP-a: その名は捨てたよ。今は闇寿司の親方、闇って名乗ってんだ。

不明な人物: 師匠、こいつは俺が。

SCP-XXX-JP-a: 落ち着け。こいつは俺がやる。血の繋がった弟に始末されんならこいつも本望だろうさ。[笑う]

SCP-XXX-JP: やめてくれ……

SCP-XXX-JP-a: 昔はよく兄貴が寿司の稽古つけてくれたよな。頼んでもないのによ。俺がやめてくれって言って、やめてくれたことがあったか?

不明な人物:師匠、そろそろお時間が。

SCP-XXX-JP-a: ああ。わかってるよ。じゃあな、兄貴。[懐から器のようなものを取り出し、2本の蓮華で挟む]

SCP-XXX-JP: [驚いたような顔をする]嘘だ、そんな、まさか。

SCP-XXX-JP-a: 嘘じゃねえよ。弱い寿司なんかにこだわり続けることに何の意味がある?時代遅れはもういらねえんだよ。これが、俺の……[取り出したものをSCP-XXX-JPに向けて発射する]

SCP-XXX-JP: [発射されたものが直撃し、叫び声を上げた後意識を失う]

SCP-XXX-JP-a: ラーメンだ。

不明な人物: [鼻で笑う]口ほどにもない野郎でしたね。……まだ息があるようです。とどめを刺した方がよろしいのでは?

SCP-XXX-JP-a: [この映像を記録しているカメラへ一瞬視線を移す]……必要ないだろう。放っておけば勝手にくたばるだろうさ。……もうここに用はない。行くぞ。

不明な人物: はっ。

[扉を開け外へ出ていく]

<記録終了>

補足: SCP-XXX-JPは発見されてから即座に財団傘下の医療機関へ搬送され、治療が行われました。急所を外れていたことが幸いし一命は取り留めたものの、現在に至るまで意識は回復していません。この映像記録によって存在が確認された「闇寿司」については何も分かっておらず、調査が進められています。また、この映像記録の終盤での行動や、SCP-XXX-JPの監視のために設置されていたカメラの一部を破壊していたことから、SCP-XXX-JP-aが財団の存在を把握している可能性が指摘されています。


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