WWRY

このページの批評は終了しました。

クレジット

タイトル: メイドインヘブン
著者: ©︎indonootoko
作成年: 2019

若い女の目隠しが取られる。

「こ、ここ何処？」

目隠しを取った男が口を開く。

「ここはスカイ･キャリー･ピジョン航空ロンドン行エメロット135便ファーストクラス、3万3000フィート上空のVIPルームだ」

男が女に喋らせる暇を与えず続けて口を開く。

「ここはどうでもないが、この後ろのエコノミークラスは超満員だ。なんでか分かるか？」

男は質問しておいて女に返答の機会を与えない。

「ライブエイドだ。世界的に人気を博す音楽家たちが一堂に会しチャリティライブを行う。恐らくは20世紀最大のチャリティライブと評価されるだろうこのイベントに参加する民間人達であふれている」

「は、はぁ」

女は早口に言葉を飛ばす男に押され、気が抜けた返事しか返せなかった。男はそれを鼻で笑うと一間置き更に口を開く。

「おまえ、クイーンは聞くか？」

「いいえ、聞きませんが……。」

男は眼を瞑り小さく何度も頷き”そうかそうか"といったような反応をした。男が再び眼を開くと先ほどまでの嫌味な視線は無くなっていた。

「本題だ。クイーンのヴォーカル、フレディ・マーキュリーが急死した。死因はエイズが原因の肺炎。メンバー達の目の前で血を吹き倒れてそのままだそうだ」

「これをどこで知ったか、マナによる慈善財団とかいう連中が過剰なリアクションを示している。コイツらは主催とは無関係のはずが募金額が減る事に危機感と使命感を抱き、とある団体へ駆け込んだ」

「日本生類創研だ。コイツらと日創研の蜜月は意外と古い。コイツらは日創研にフレディの複製を作らせるそうだ」

男の眼光は変わったが早口は変わらない。若い女はただただこれを聞かされている。

「我々としてはこれをやらせたくない、わかるな？そのために我々はMCFにちょっとした取引を取り付けている。MCFもライブが予定通り行われれば日創研の世話になる必要は無いからな」

「フレディに似たパキスタン人の芸人を用意した。彼のパフォーマンスや容姿は我々が保証する。後は声だ。」

「生まれつき歯が4本多い彼の声は特殊だ。似た声を探すのにも一苦労だし、多分見つからないだろう」

「そこでおまえだ。」

VIPルームに"何か"が運び込まれる。同時に部屋に"嫌なにおい"が漂う。

「これはお前にとってチャンスだ。あの収容室で一生を終えるか、それとも別の未来か」

"何か"に掛けられた布が取り払われる。謎の肉塊、恐らくはフレディの遺体。

「そんな！私には歌えません！」

「曲は6曲、ボヘミアン・ラプソディ、レディオ・ガ・ガ、ハマー・トゥ・フォール、愛という名の欲望、ウィ・ウィル・ロック・ユー、伝説のチャンピオン。CDと歌詞カードは渡しておく」

「おまえはベストを尽くす以外選択肢がないぞ。資質と忠誠を示せSCP-███-JP-β。いや、萌里菻職員候補様」

差し出されたナイフとフォーク。ペレットが焼ける音が聞こえる。

---

• • _
  批評コメント批評コメント

  
  コメント投稿フォームへ

  批評コメントTopへ

  - hide block

ERROR

The indonootoko's portal does not exist.

エラー:	indonootokoのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。

利用ガイド

1. portal:3461191 (20 Jul 2018 11:22)