天空神話×仁義

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画面右上がSCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-Aに指定された実体及び要注意団体"有村組"の動向は監視されます。SCP-XXX-JP-Aが暴力事件に関与して異常な現象を発揮することになった場合、未然事後に関わらず関係者に記憶処理を実施します。

"旧版アーカイブ済みプロトコル"

東京都の必要とされる幾つかの地点にA/S広域散布記憶処理装置をモニュメントに偽装して設置します。その地域で確認された降雨、あるいは落雷のたび、民間人の影響緩和のためにこの装置が使用されます。東京都に降る雨に暴露した、していないのに関わらず、東京都に在住する人物は潜在的にSCP-XXX-JPの影響を受ける可能性があり、財団の傘下に置かれている病院はいつでも対処しなければなりません。

SCP-XXX-JPの無力化プロジェクトが進行中です。

説明: SCP-XXX-JPは2019/6/15の最初の出現を境に東京都に継続して現れるようになった擬似神格実体です。財団による広範な調査の結果、SCP-XXX-JPはフィンランド神話のウッコ(Ukko)に関連づけられた存在であることが判明しています。SCP-XXX-JPはかつて現在と異なった実体を見せていました。初期のSCP-XXX-JPは、東京都の天候/現実性に多大な影響を与え、その危険性から無力化が提言されてきました。しかし、SCP-XXX-JPは2019/7/16のある事象からまったく異なる別の異常に形を変えました。現在の東京都に対するリスクは不明瞭です。

2019/6/15〜2019/7/16までがSCP-XXX-JPの第一段階に当たります。この時のSCP-XXX-JPは、計193万tの水量を有した1粒1粒が完全に混ざり合わない水滴の集合体です。1cm³あたり1.6Hm〜2.3Hmのヒューム値を持ち、内部で起こる雷雲の発生などの事象を現実改変能力により外側に反映します。SCP-XXX-JPは特定の地域を中心に大規模な降雨を発生させます。これは1時間の雨量が80mm以上に達することもあり、多くの場合強い風も同時に確認されます。

この雨に接触した人物は激しい動揺と雨天恐怖症を発症します。発症者は雨の降る間外へ出ることに対して著しく消極的になり、日常的な行動に支障が出ます。この発症者同士の感じる恐怖のニュアンスは多数の事例で同一であり、「自然に対する畏敬の念」を感じたというところに集約されます。同時に雨天恐怖症の発症者は山や湖などの自然に対する意識に変化が見られます。心理テストは発症者が「自然の中に強大なものを見做した」ことを示しています。インタビューの記録もこれに同期します。

SCP-XXX-JPがこの状況に至るまでになったのは、「神」を自称する多数の知性体の存在が関与していると考えられます。これらの実体のSCP-XXX-JPに対する立場は様々であり、主に日本に土着したと主張する実体とフィンランドを起源に持つと主張する実体の2つに分かれています。この2つの実体群はSCP-XXX-JPの出現に対して代表者を2名ずつ選出し、会議を行いました。以下は財団職員が同席したその記録です。記録中一度も財団職員は発言をしていません。

記録XXX-JP.1
2019/7/16

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実体A: 日本に土着した「神」であることを主張する女性人型実体。会議を行なった部屋に枕や布団などの寝具を持ち込んでおり、記録の前半は常に睡眠している。

実体B: スーツを着用した男性人型実体。会議はこの実体がほとんど行なっている。

実体C: フィンランドに信仰の起源を持つと主張する外見的には老齢の男性人型実体。青い作業服を着用しており、自分で作成したとされる1mはある剣を背中に背負っている。会議中これを手放さない。

実体D: 実体Cと同属と考えられる女性人型実体。クマの人形を手にはめており、そこから発生する音声のみで会話を行う。実体本体が会話した記録は確認できず。

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[記録開始]

実体B: あー、とりあえずいいですか？今回は私、雷神が会議を進行します。議題はあなた方の最高神をどうするか、です。

実体C: [笑い]本当にすまねえ。しかし我々もうすでに信仰を失っている身なのでね。いくら天高き最高神、空の全てを司るものウッコ様と言えどもう痴呆症というか、我を失ってしまっているのさ。他の神よりは早く信仰を失っている。キリスト教が来たからな、君らの比ではないさ。

実体B: 勝手にこちらの国へ上がり込んできた上にこの状況とは大迷惑なことで。あなた方が制御できないものですかね。

実体C: できてたらとっくにそうしてるよ。腐っても最高神、強大な力を引き止めるにはトール様くらいのレベルがないとならない。…北欧神話って俺らからしたら近所に住んでた人って感じでな。それも結構気難しめの。頼み込んだらむしろ機嫌を悪くして状況を悪化させるかもしれねえ。できれば他の国には頼りたくない。

実体B: そもそもなぜ日本にいたんですか？

実体C: 俺とそこのクマの嬢ちゃん、そして今暴れてる最高神ウッコ様で日本観光に来ていたのさ。午前中浅草を見て回った後、次は原宿で最先端のポップカルチャーを楽しんでやろうと山手線に乗ろうとしたんだが、トイレに行ってる間車椅子ごといなくなっていたって寸法だ。

実体B: 前にも同じようなことはあったんですか？参考になるかもしれません。

実体C: なかった筈だが…どうだかな。

実体D: 兄 イルマリネン 忘却 1723年 最高神 自我 喪失

実体C: あぁ、ありがとう。前は俺が力を持ってたからな。うまい具合に空へ飛んでいって攻撃を仕掛けるだろう。そして爆発してドーン！てな。そんな感じで元に戻してた。

実体B: …参考にならないですね。それでは人型に戻す方法はどうでしょうか？

[常にうつ伏せになっていた実体Aが顔を上げる]

実体D: 起床？

実体B: 何かアイデアがあるんですか？

実体C: そうだ。天照様も最高神じゃないか。

実体B: えーと、信頼できない時も[中断]

実体A: んー？日本の誉れ高き私にそんなこと言う奴は誰だー？

実体B: 何が誉れ高きですか。寝ぼけ神。

実体A: アイデアならないこともないよー。

実体A: そう。人型に変える方法ねー。別のまったく反対の人間に帰るんだー。肉体を若返らせたら大人しくなるでしょ。精神に相応の体をあげないとね。じゃあ、やるー？

実体C: そう簡単にできるのかよ。あんたも力を失ってるんじゃないのか？

実体A: そうでもないよー？まだまだ人気者だしね。

実体C: 頼む。やってくれ。

実体A: じゃあ、いくよー。

[実体Bがカーテンを開くと会議室に太陽光が入ってくる。初期段階時のSCP-XXX-JPは完全に消えており、空には晴天が戻ってきた]

実体A: こんな感じでー、どう？

[記録終了]

この事象からSCP-XXX-JPは形を変え、別の様子を見せるようになりました。「人型の実体」で上空から落下したSCP-XXX-JPの捜索がなされましたが、予測落下地点にSCP-XXX-JPは発見されせませんでした。次に財団がSCP-XXX-JPを補足したのは、2019/7/29の要注意団体"有村組"と指定暴力団"三陽会"の下位組織"屋良組"との戦闘により発生した警察の捜査です。"三陽会"は関西地方を中心に活動する非異常の指定暴力団です。兼ねてから有村組の上位組織"東栄會"と対立しており、大規模な抗争が発生することが危惧されていました。

警察は民間人からの通報を受けて██区の廃工場を捜査しました。廃工場には屋良組構成員の3名の死体と流血や落雷の痕跡が発見されましたが、生存者は全員退去した後のことでした。このことを認知した財団は奇妙な落雷跡に注目して、生存した屋良組構成員にインタビューを行いました。以下はその記録です。

記録XXX-JP.2
2019/7/23

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対象: 伊川修造氏

インタビュアー: 白石研究員

付記: 簡潔にするため前半部分は省略した。

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[記録開始]

インタビュアー: それでは抗争中に起きたおかしな現象の事ですが…。

対象: あんなこと初めて見たよ。奴ら卑怯な手は使わないと普段から言って回る癖にあれは酷い。ウチだってあんなことしねえよ。周りから叩かれても文句言えないことだ。

インタビュアー: 卑怯なことですか？

対象: そりゃもちろんチャカは使うしダイナマイトで爆発もさせるが、ガキを連れてきてそれが罠なんて誰も思いやしない。

インタビュアー: 何が起きたのか順番に説明していただきたいです。

対象: そうだな。少し興奮しすぎたようだ。そもそもこの抗争は俺らが有村組のシマ荒らしたから起きたことだ。だから道義的に悪いのは屋良組の方であるしそこは間違いない。

インタビュアー: それでは何故「卑怯な手を使った」と表現するのでしょうか。

対象: それは奴らが子供を罠に使うような仁義のじもねえクソカスに堕ちたからだよ。手前のことを自分でやらないやつにヤクザ者を語る資格はない。…あの工場は有村組が借金のカタで潰れたところをもらい受けたんだ。だから封鎖は完璧と言わないまでも年端のいかない少女が入り込んできたらビビる程度ではあったわけだ。

対象: 俺らはまず追い出そうとした。一通りびびらした後、島村のやつが安全なところまで抱きかかえて持って行こうとした。でも妙なところがあったんだよ。いくらびびらしても顔ひとつ変えない。最初怖すぎて固まってしまったのかと思ったが、違う。アレは興味の無いものを見る目だった。そしたら…。

インタビュアー: そしたら？

対象: ドカーンよ。爆発した。アレは有村組の奴らが適当な子供拾ってきてダイナマイトもたせたに違いない。

インタビュアー: なるほど。その子供はどうなりましたか？

対象: いや、わからない。念入りに死体がないか探したが骨ひとつ見つからなかった。

[記録終了]

人型の実体が確認された時点でSCP-XXX-JPはEuclidに指定されました。

SCP-XXX-JPは新たにSCP-XXX-JP-Aと指定されました。SCP-XXX-JP-Aは、5歳から10歳ほどの外見年齢を持つ女性人型実体です。

SCP-XXX-JP-Aは自発的に消失と出現を繰り返すためその物理的な収容が困難です。SCP-XXX-JP-A自身の証言によれば、SCP-XXX-JP-Aの本質はすべての空や雨に「偏在」するためにいかなる拘束もすることができないとされています。その詳細は不明ですが、SCP-XXX-JP-Aは確保されると消失し、東京都██区の様々な場所(多くは有村組の拠点)に出現します。

SCP-XXX-JP-Aは東京都における天候改変能力を持つと考えられています。これまで確認された中では局所的で短時間の降雨、強い風、落雷、狭い範囲の晴天の発生を含みます。これらの事象は時折、SCP-XXX-JP-Aの任意により事故を引き起こす可能性があります。

補遺1: SCP-XXX-JP-Aの活動

SCP-XXX-JP-Aは有村組の組長、PoI-23696("有村香澄")に扶養されていると考えられています。これはSCP-XXX-JP-Aが日々の食料や住居を必要としている証拠にはなりませんが、SCP-XXX-JP-A側にもなんらかの必要性があって協力関係にあるのではないかと考えられています。これまでSCP-XXX-JP-Aが引き起こした事案が複数確認されています。SCP-XXX-JP-Aは有村組が関係した暴力事件に積極的に関与し、僅かな事例では時空間異常の作成を見せています。以下は事例の抜粋です。

事例#1:

日付: 2019/8/3

異常: 小規模な風の発生

概要: 有村組管轄の風俗店で屋良組構成員と有村組構成員の間で暴力事件が発生した。SCP-XXX-JP-Aはその最中に出現した。SCP-XXX-JP-Aの前方すぐに発生した小規模な風の塊は店内にあるガラス製品を巻き込み、四方に分散した。この事案において屋良組3名が負傷した。

記録XXX-JP.3‬
2019/8/3‬
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対象: 葛原美智氏

インタビュアー: 白石研究員‬

付記: 簡潔にするため大部分を省略してある。対象の葛原氏は有村組が管轄する性風俗店で働いている。

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[記録開始]‬

対象: 私たちの間では有名ですよ。組長のお孫さんが用心棒だってことは。可愛い女の子が酔いどれの悪漢をバッタバッタと倒していくのは誰でも目を張るものよね。私も初めて見た時は驚いたわよ。ここってどうも治安が悪いから嫌な客は来るわけ。でも有村組にショバ代を払っていたら、こうしてソラ¹ちゃんに守ってもらえるし、他のヤクザも来なくなるしね。

インタビュアー: 組長のお孫さんが用心棒というのはどういうことでしょうか？

対象: お孫さんというか拾った子であるらしいですよ。

インタビュアー: 拾った？養子ということですか？
‬
対象: 養子…かどうかはわからないけど、夏の始まり頃にはもう有村組の組長が子供拾って用心棒にしてるって噂はたっていたわよ。なんでもダイナマイトか何か持たせて敵に突っ込ませたとか。でも、そんなことないのはわかるわ。組長はそんな外道なことしないってホームレスでもわかってる。

インタビュアー: 随分と信頼されているのですね。

対象: まあね。多分皆も同じだと思うわ。それに2人が仲良いのも噂になってるの。ウーちゃんはドーナツが大好きだから、駅前のお店によく2人で現れるとか。側から見ると普通にお爺ちゃんと孫みたいだって。

[記録終了]

事例#2:

日付: 2019/8/29

異常: 繁華街での局所的な落雷の発生。

概要: 屋良組構成員6名が行おうとした、有村組の若頭桃花元治氏への暴行を阻止した事例。██近辺のコインパーキングに車を駐車した桃花氏は屋良組からの襲撃に遭った。SCP-XXX-JP-Aはそれを防ぐために出現し、落雷による被害を6名に引き起こした。

事例#3:

日付: 2019/8/15

異常: ██市に時空間異常の作成。

概要: SCP-XXX-JP-Aは2時間にの間屋良組の構成員7名を時空間異常に連れ込んだ。その内無事に帰還したのが6名。1名は未帰還。以下に示すのは構成員柳沢六郎氏が所持していた携帯カメラに残る記録である。

記録XXX-JP.4‬
2019/8/31‬
‬
[記録開始]

02:30 柳沢氏はカメラ機能で撮影しながら草原を歩いている。あたりは霧が深く遠くを見渡すことが困難である。

02:39 SCP-XXX-JP-Aが霧の中を飛行している。柳沢氏の歩くスピードが少し上がる。

02:53 自然に対する恐怖を吐露し始める。"霧が人みたいだ"や"空がヤバイ"などと発言する。

03:01 "何がヤバイって雨が降って風が吹いて広くて大きいってことだ。"と発言。

03:19 柳沢氏がフィンランド民謡イェヴアン・ポルカを小声で歌い始める。SCP-XXX-JP-Aもそれに同調して空を浮遊しているように見える。

03:41 遠くにクマのような生物が見える。柳沢氏はこれを避けて進む。

04:03 巨大な叫び声が聞こえる。

05:15 画面が安定しない。

05:19 イェヴアン・ポルカが終わる。画面はブラックアウトする。

[記録終了]

補遺2: 確保作戦XXX-JP-A

前述の異常性によりSCP-XXX-JP-Aの確保が困難であるとされるまで、SCP-XXX-JPの担当者黒柳博士の主導の元、確保作戦が実行されていました。以下はSCP-XXX-JP-Aの確保に限りなく肉薄した機動部隊3-α("財団スカイツリー")²の通信記録です。

記録XXX-JP.5
2019/8/16

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機動部隊3-α-1: 堂島

機動部隊3-α-2: 大倉

機動部隊3-α-3: 弓削

機動部隊3-α-4: 浜松

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[記録開始]

機動部隊3-α-2: 正常な通信を確認した。

機動部隊3-α-4: α-4こちらも確認しました。

機動部隊3-α-1: 了解です。それでは弓削が遠くから狙うので各自配置についてください。

機動部隊3-α-3: 準備できました。そちらから合図お願いします。

機動部隊3-α-2: 対象は毎週木曜日にこのドーナツ屋に立ち寄る。全品100円のセールがあるからだ。現場のエージェントから有村の事務所をもう出たと通信が来た。対象がドーナツを買ってきたらα-3、頼む。

機動部隊3-α-3: もう準備できています。それより今回の対象なんか気が抜けません？ドーナツ屋から出てきた幼女を麻酔銃で狙撃するのって初めての経験ですよ。

機動部隊3-α-2: その言い方には間違いがあるな。お前の持つものは麻酔銃なんてものじゃないし、アレは少女の形をしてるだけで神格だ。油断してはいけない。

機動部隊3-α-3: その神格ってのもいまいち納得いかないんですよね。あまりに俗っぽいというか。

機動部隊3-α-1: 2人とも私語は慎んでください。

[沈黙]

機動部隊3-α-4: 対象が来ました。2人の有村組構成員と思わしき男性を同伴しています。有村本人はいませんね。おそらく細身の長身が金庫番の久保田で恰幅の良い方が若頭の桃花かと。

機動部隊3-α-1: 了解です。対象は何をしていますか？

機動部隊3-α-4: 対象はまだ店内にいます。…桃花が期間限定にするかいつも通りにするか悩んでいるそうです。

機動部隊3-α-3: その悩みわかるな…。

機動部隊3-α-1: 他の2人はどうですか？

機動部隊3-α-4: SCP-XXX-JP-Aも久保田も期間限定の抹茶リングで即答です。

機動部隊3-α-1: α-4はその場で客のフリしたまま待機。α-2が入店してください。

機動部隊3-α-2: 了解した。

機動部隊3-α-1: それでは作戦通りにいきましょう。

[機動部隊3-α-2が桃花とぶつかる。]

機動部隊3-α-1: 思いの外理性的に対応していますね。

機動部隊3-α-4: SCP-XXX-JP-Aの前だからでしょう。しかし見誤りましたか。

機動部隊3-α-2: 大丈夫だ。次はもっと強気にいこう。

[機動部隊3-α-2がもう一度桃花とぶつかる。]

機動部隊3-α-1: 始まりました。店内の被害を避けるため外へでることを促してください。

[SCP-XXX-JP-Aを含めた4人は駅の広場に出る。]

機動部隊3-α-2: 出したぞ。会話を進行中だ。

機動部隊3-α-1: 弓削！いけますか。

機動部隊3-α-3: もう少し左に寄れますか？木の影になって当たるか心配なので。

機動部隊3-α-2: まて、ナイフを持っている少し厄介だ。

[桃花が機動部隊3-α-2を投げ飛ばす。]

機動部隊3-α-3: SCP-XXX-JP-Aの位置をずらしてください。

機動部隊3-α-2: お前、人使いが…。

機動部隊3-α-3: 今ので少しずれました。いけます！

[SCP-XXX-JP-Aに対抗神格弾(DESs)が着弾する。SCP-XXX-JP-Aは白い蒸気を放ち始め上半身から順番に消失する。衣服を含め現場には何も残らない。有村組の2人が逃走する。]

機動部隊3-α-1: 追わなくても大丈夫です。次は後のメンバーにまかせましょう。これにて作戦を終了します。

[記録終了]

補遺2: 成功したインタビューの記録

SCP-XXX-JP-Aの確保が失敗してから、財団職員はSCP-XXX-JP-Aの起源を研究する目的でインタビューを試みました。その多くは有村組構成員により阻まれるか、SCP-XXX-JP-Aの予測不可能な移動により失敗しています。以下は奈良博士が単独で行った結果成功したインタビュー記録です。

記録XXX-JP.6
2019/8/20

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インタビュアー: 奈良博士

対象: SCP-XXX-JP-A

付記: ██区にある有村組の事務所で行われた。

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[記録開始]

対象: 茶がある。飲め。

インタビュアー: …ありがとうございます。

対象: なぜ手をつけない？せっかく飯田が淹れた。

インタビュアー: ではいただきます。はい、美味しいです。

対象: よかった。

インタビュアー: それでインタビューを始めたいと思います。私が今から質問しますのでそれに正直に答えてください。

対象: わかった。

インタビュアー: あなたの名前は？

対象: ソラ。

インタビュアー: 空？

対象: カタカナでソラ。新しい名前。

インタビュアー: あなたはいわゆる「神」というものですか？

対象: 多分。今の状態がどう定義されるかわからないが。

インタビュアー: あなたはどこから来ましたか？

対象: [沈黙]

インタビュアー: 分からない時はそう答えてください。

対象: [天井を指差して]上。

インタビュアー: 上、空ということですか？

対象: 間違いない。

インタビュアー: それでは父や母などの知り合いについて教えてください。　

対象: 父？母？有村が父と言った。

インタビュアー: それ以前のあなたの生みの親はわからないですか？

対象: 有村組、暴力団の別名〇〇一家。有村一家、家族と違う？

インタビュアー: なるほど。あなたはどれほどの異常現象を行使できますか？わかりやすく言うと、どれほど天候を変えることができるのでしょうか。

対象: 異常現象、ではない。さっき、私は上から来たと言った。これはある意味では間違いがない。しかし、今の現状を正確に表していると言えない。私は空。むしろ空そのもの。今の私は…なぜか封じ込められた力の塊、エネルギーの集合体。著しく知性が低い。力と知性が分けられている。この状態、言語表現に難がある。

インタビュアー: あなたの母語を使えば多少なりと改善しますか？

対象: 否。そもそも、スウェーデン語、話せるか？

インタビュアー: 私が話せなくても翻訳機があります。なんならスウェーデン語の母語話者を連れてくることもできます。

対象: 少し興味がある。だが、必要はない。質問の続きをしてほしい。

インタビュアー: …あなたが元の状態になるためにできることはありますか？

対象: わからない。

インタビュアー: それを知っている人に心当たりがありますか？

対象: あると思う。しかし連絡がつかない。あの女、太陽の主神。閉じ込めて強制固定した。ただ1つわかることがあるとすれば、その女。「失った信仰」を再び求めよと言った。

インタビュアー: 信仰が有ればあなたは元の状態になるということですかね？

対象: わからない。

[外で雨が降り始める。この日の降水確率は9%だった。]

対象: そういう問題ではない。もうすでに私は役割を終えている…。失われた神話、知られない神話。空の偉大さが私。

[記録終了]

補遺3: SCP-XXX-JP-Aの消失

2019/9/6にPoI-23696はSCP-XXX-JP-Aの消失を訴えました。その前日の午後8時には確実にSCP-XXX-JP-AはPoI-23696宅に居ましたが、それ以降SCP-XXX-JP-Aの居場所を示す情報はありませんでした。有村組構成員と財団エージェントによる大規模な捜索が行われました。捜索が開始されてから3日後にエージェント新山と有村組構成員笠田が、██区のコーポ██の屋上で横たわっているSCP-XXX-JP-Aを発見しました。酷く衰弱しているように見え、体にいくつか裂傷が確認されました。SCP-XXX-JP-Aは現場のサイト管理官の判断で財団フロント企業の病院に搬送され、治療を受けることになりました。

2019/9/10にPoI-23696からSCP-XXX-JP-Aとの面談の申請がありました。叙情的見地及び新たにSCP-XXX-JP-Aとの会話を記録する目的からこれは許可されました。以下はその記録です。

記録XXX-JP.6
2019/9/10

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PoI-23696: 有村香澄

対象: SCP-XXX-JP-A

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[記録開始]

対象: 有村。家族ってなんだ？

PoI-23696: 何を今更聞きやがる。とっくにこっちはお前のこと家族だと思ってるんだからよ。

対象: それは嬉しい。しかし、私は家族というものについて考えたことがない。

PoI-23696: なあ、聞きたいことがあるんだ。お前にも色々事情があるんだろうし聞かないでおこうと思っていたけど、どうもしっくりこないことがある。もしかしてソラは何か別の場所でいたんじゃないのか？

対象: 最初に自己紹介をしたはず。私は空から来た。天空神、自然の偉大なるもの。

PoI-23696: なんだ？

[記録終了]

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1. portal:3442755 (28 Jul 2018 16:30)

Footnotes

1. 有村組でのSCP-XXX-JP-Aの呼称。

2. 人口の密集した市街部でのアノマリー確保、戦闘に特化した機動部隊です。