プロジェクト・ファストドロウ

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クレジット

タイトル: SCP-3072-JP - プロジェクト・ファストドロウ
著者: WagnasCousin
作成年: 2023

SCP-3072-JP

アイテム番号: SCP-3072-JP

オブジェクトクラス: Thaumiel

特別収容プロトコル: SCP-3072-JPは配備されたサイトの低危険度小型生物収容室飼育用水槽内で収容されます。男性職員はサイト管理者の許可なく全裸でSCP-3072-JPの飼育用水槽を管理する事を禁じます。

説明: SCP-3072-JPは異常性を有する体長55mmのニセツノヒラムシ(Pseudoceros)個体群です。SCP-3072-JPは雌雄同体で、基本的な生態は非異常の個体と同一です。

SCP-3072-JPは交尾の際に異常性を発現します。SCP-3072-JPは、下記条件を満たす生物学的男性に接近した際、1対1で交尾を挑みます。

対象は健康体で、性的に興奮していない状態
対象は潜水しており、誰かの手を借りず単独行動をしている
対象は衣類を身に着けておらず、道具を使用していない

SCP-3072-JPは交尾を行う際、体内に格納されているトゲ状の2本のペニスを隆起させます。SCP-3072-JPは交尾対象に向けて高速で遊泳し、対象の任意の部位の皮膚にトゲ状のペニスを突き刺し、0.3秒以内に対象の体内で射精を行います。SCP-3072-JPに精子を注入された対象は瞬時に女性に変異します。この変異の前後で対象の異常性が変化する事はありません。

また、変異と同時に対象の卵巣から排卵が行われます。SCP-3072-JPの精子は対象の体内を移動し、対象の卵子と受精しますが、この受精卵にはSCP-3072-JPの遺伝情報は含まれていません。受精卵には対象の男性時の遺伝情報と女性に変異した後の遺伝情報のみが含まれており、受精卵が着床した場合は非異常の妊娠、出産のプロセスを経て人間の新生児が誕生します。

SCP-3072-JPは上記性質の有用性によりThaumielクラスに分類されました。

異常存在の解析には人体実験が許容されるDクラス職員の確保が必須となります。Dクラス職員は全世界の暴力犯罪による受刑者、特に死刑囚から徴用されています。一般社会の男女比率は概ね1対1ですが、受刑者の女性比率はほぼ全ての国で10%を下回ります。同様にDクラス職員の女性比率も低いため、女性被験者のデータは慢性的に不足しています。このような被験者の偏りは潜在的なリスクとなり重大インシデントに繋がります。

最も有名な例として2009/9/16の同時多発的収容違反事件が挙げられます。報告文書20090916によると、初期に収束を図った女性職員が未確認の異常性を発現させ、財団のセキュリティが一時麻痺した結果、制御不能な事態に悪化した事案が報告されています。この反省を踏まえ、緊急時に政治犯や難民、民間からDクラス職員を確保するプロトコル12の条件が緩和されましたが、依然として適用範囲は限られています。

SCP-3072-JPはこの問題を根本的に解消する手段として着目されました。現在、SCP-3072-JP個体数を増加させる研究が進められており、段階的に世界各地へと配備される予定です。SCP-3072-JPは一般的なニセツノヒラムシと同様に、先に体内に交尾相手の精子を注入されると受精卵が形成されます。この方法によりSCP-3072-JPの繁殖が可能ですが、その難易度の高さから失敗が続いており、プロジェクト・ファストドロウが策定されました。

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プロジェクト・ファストドロウ概要:
財団職員とSCP-3072-JPとの交尾による個体数増加を目的とした計画です。目的達成に向け、財団はDクラス職員からプロジェクトに適合する人員を選抜¹して機動部隊ん-0("ファストドロウ")を結成し、最短1年間の訓練²を課しています。

隊員は自身の肉体のみを使用してSCP-3072-JPより先に精子を注入し、かつ交尾の際のSCP-3072-JPの損傷を最小限に留める必要があります。訓練により下記の条件を満たした隊員からSCP-3072-JPとの交尾を行います。

・1分半以上潜水した状態で行動可能
・直近30回のシミュレーションで平均95点以上を取得
・水中内で非興奮状態から手を使用せず3秒以内に射精が可能
・ペニスの直径が最大で10mm未満

プロジェクトの策定により成功率が大幅に上昇しており、現時点で交尾試行の69件中7件はSCP-3072-JPに卵を孕ませる事に成功しています。

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  批評コメント批評コメント

  
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  EianSakashiba 28 Apr 2023 03:24

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  読ませていただきました。Thaumiel化の経緯が納得できるものでありながら、少し苦笑いしてしまうようなシュールさを同居しておりおそらくWagnasCousin様の狙った読後感を出していると思いました。

  強いていうのならば、文字数が現状ギリギリであるという問題を承知でもう少し描写して欲しい部分がありました。

  財団内の被験者の属性比率は一般社会と大きく異なるため、実験データの信頼性の低さはかねてより問題視されてきました。

  この部分がThaumiel化の動機となった部分だと思います。現状でも「被験者が男ばかりだから実験データの信頼性は低い」という理由は読み取れるのですが、具体的なオブジェクト実験の例等がないまま「実験データの信頼性の低さはかねてより問題視されてきました。」の一言で纏められるのは報告書というフォーマットで見ると不親切に感じました。

  Thaumielに限らず特殊なオブジェクトクラスを使用するということはそれ相応の特殊な理由があり、その理由の説明に文字数を多く割いて丁寧に説明すれば報告書としての分かりやすさや面白さが上がると個人的ながら思っています。ましてやThaumielは財団の理念からは遠いオブジェクトの利用を視野に入れている訳ですので、相応の丁寧さが説明には必要なのではと感じました。
  …ここまで言ってきましたが現状でも「そういうことか」程度の可読性に問題ないくらいには説得力もありますし、何より文字数がカツカツであるという理由を鑑みて現状でも良いと思います。

  以下細かい指摘です。

  SCP-XXXX-JPは交尾を行う際、体内に格納されているトゲ状の2本のペニスを隆起させます。SCP-XXXX-JPは交尾対象に向けて高速で遊泳し、対象の任意の部位の皮膚にトゲ状のペニスを突き刺し、0.3秒以内に対象の体内で射精を行います。

  ペニスも学術的用語ではあるのですが、過去の報告書を見てみると「性器」「男性器」の方が多いので差し支えなければそちらの方がいいかもしれません。

  長々と書いてしまい申し訳ありません。現状でも報告書の面白さは保証されているので私はuvします。あくまでも1個人の意見として、取捨選択してくださる事を願います。投稿お待ちしております。

  WagnasCousin 29 Apr 2023 08:20

  EianSakashibaさん、ご丁寧な批評ありがとうございます。
  狙い通りの読後感が出せているようで良かったです。

  ＞Thaumiel化の動機
  おっしゃられる通りその辺りの根拠の説明が足りていませんでした。全体を見直して文字数を捻出して描写を増やしました。
  ＞ペニスも学術的用語ではあるのですが、過去の報告書を見てみると「性器」「男性器」の方が多いので差し支えなければそちらの方がいいかもしれません。
  男性器は金玉とかも含めた総称なので不正確になってしまうかなと思うので現状のままで行きたいと思います。

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1. portal:3389120 (02 Jun 2018 15:05)

Footnotes

1. 現在Dクラス職員以外の人員は募集していません

2. 訓練内容は非公開です