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私は██山に異常な植物が生息すると聞き調査に来たが、猛吹雪で外出できず宿泊中の山荘で管理人相手に情報収集をしていた。
「この辺りの植物が知りたいと。特徴を教えて頂けますか?」
流石に『人体に寄生し宿主の生命力を異常に高める性質の植物』と伝える訳には行かない。
「そうですね、外見は蔓状で──」
ふと、妙な物音がした気がする。
「何か物音がしませんでした?」
「雪が落ちましたかね」
「いえ、あの辺から」
私は客室を指した。
「体調不良のお客様が休んでおられる部屋ですね」
「何かあったんですかね」
「食事にも来られていませんし確認してきますね」
管理人が部屋を開けると同時に絶叫が上がる。様子を伺うと部屋の中にバラバラ死体が転がっているのが見えた。部屋の中に凶器らしき物は無く窓も施錠されており、まるで密室殺人事件のような状況だ。私は放心している管理人に声をかけた。
「この部屋の物には触れないようにして、まずは警察を呼びましょう」
状況を考えると犯人が部屋内に潜んでいる可能性は高い。私は内心焦りながらも冷静に振舞い部屋からの退出を促した。ただ、一旦引くにしても犯人を野放しにする訳には行かない。私はさりげなく小型生体ドローンを物陰に落とした。
「外は猛吹雪ですし殺人犯はまだ近くに潜んでいるでしょう。宿泊客にロビーへ集まるよう連絡を」
管理人が動き出すのを確認すると、私は部屋のドローン映像を片目の視界と同期させて犯人の尻尾を掴もうと試みた。

何故なら警察は事件に不可解な要素があればすぐに財団へ報告するからだ。財団に私物を調べられたら何もしていない私が罪を被る事になるだろう。横暴極まりない話だ。私は日本生類創研の研修センター講師の台詞を思い出した。
『不可解な事件に巻き込まれ逃げる手段が無いなら、不可解ではない状況を作り出しましょう』
そう、財団はただの殺人事件にまで干渉しない。明確な証拠が残らなければ異常な手段で証拠を捏造して宿泊客に罪を擦り付ければ良い。宿泊客全員をロビーに集めておけば柔軟に対応出来るだろう。
ドローンでバラバラ死体を見ると、体の切断面から植物の蔓のような物が伸びて繋がり合い、切断された肉体の一部が元に戻っていた。
私の脳内で線が一つに繋がった。私が探していたのはこの寄生植物だ。不死身に近い生命力を目の当たりにし、私は我を失いそうになる位興奮した。ドローンを移動させ別箇所を見ようとしたが、急に駆動部が故障したのか同じ場所を映している。
殺人事件は後から対処出来る以上、優先すべきは植物の観察だ。寄生植物の対策は異常物品で万全にして来たので、直接観察するために私はドアを開けようとした。
その時ふと疑問がよぎった。犯人が部屋に潜んでいる場合、不死身の怪物を制圧した犯人が一般人からは身を隠している事になる。つまりこの犯人は……あ、この部屋危な──
使用した画像
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- portal:3389120 ( 02 Jun 2018 15:05 )

>見た目の特徴は」
特徴は? か 特徴は――などとしたほうがいいかもしれません
to2to2さん、ご批評ありがとうございます。
指摘頂いた部分ハイフンにしたのですが、ハイフン同士が直線で繋がっているように見せるにはどう入力すれば良いのでしょうか。
どなたかご存知でしたらよろしくお願いいたします。
ハイフンの件解決しました。
パンチが足りないというか、1200字の中にある各要素がさらっと流されすぎている印象があります。死体が発見されたという状況、日本生類創研のメンバーである主人公の行動原理、締めの犯人の下りなどです。根本的に、山荘での状況説明と死体発見状況、主人公の立場、オチまで詰め込むには字数が足りませんので、もっと局所的な視点で描かないと無理が来ると思います。
字数制限を加味して見れば、本番である死体の発見がまず一番最初にあるべきだと感じました。雪山の山荘での密室殺人というポピュラーな状況の説明は正直字数を割くほどの重みがないので、できるだけ早く情報を飲み込んでもらった上で「普通の密室殺人と異なる点」に移りましょう。主人公が異常植物を調査しに来た=超常機関の人間であること、そして死体にその植物が寄生していることですね。
よく知られる元ネタがあるというわけでもなさそうなので、「山荘殺人事件」と銘打つからにはミステリーの雰囲気がなくてはいけません。導入部分を可能な限り削りつつ死体のディテール描写に字数を割くのがいいかと思います。初めの一文で全てを説明するのではなく、主人公が死体について洞察する中で「雪山の山荘で連絡が途絶えている」「異常植物の調査に来た」「できれば警察が来る前に死体を調べたい」という事項を徐々に明かしていきたいところです。こうした事項の見せ方によって財団職員とギリギリまで思わせておいて、最後の行動でミスリードを明かせればそれなりの要素になるんじゃないでしょうか。生体ドローンによる視界確保は現場保全を優先する財団職員らしさも見えます。オチがあまり濃いものではないため、そこの補強としても終盤にはもう少し何か欲しいところです。また、扉は開ける前に踏みとどまらずとも、そのまま侵入してから片目に飛び込んできた映像を見て手遅れを察する形がいいように感じました。
一文に情報が詰め込まれすぎています。「私は██山に調査に来た」「猛吹雪で外出ができない」「山荘の管理人に話を聞いている」これらはそれぞれ独立した一文で扱うか、省きましょう。
「物音がしませんでした?」または「音しませんでした?」が自然かと思います。
「おられる」→「いらっしゃる」が正しいです。
「来られていませんし、」と区切りましょう。「そういえば夕食にも来られていません。確認します」と二文で構成してもよいでしょう。
内心と外面上の態度としては、外面上あまり冷静であるのも不自然ではないでしょうか。前後の台詞についても、具体的な指示については地の文で行った方がいいように思います。動揺している様子を見せつつも管理人に的確な指示を行う、といった様子を台詞で表すのは手間ですし、字数も消費してしまうからです。
生体というからには何らかの生物の形を取るはずですが、どんなものかを描写すればイメージが付きやすいでしょう。創研らしい気持ち悪さを見せられる点でもあります。
財団を迷惑に思うところもそうですが、こうしたところの心情的な動きは具体的な身体の動きの描写を加えるなどして字数を割いておいた方が特に一人称視点では効果的に映ると思います。