このページの批評は終了しました。
エージェント・斑鳩は師匠の財団神拳伝承者が離反したと聞き現場に急行した。財団施設の残骸を量子歩法ですり抜けると、師匠が待ち構えていた。
両者の専攻は量子力学、されど師匠の方がより造詣が深い。となれば正面から戦えば斑鳩が負けるのは自明の理だ。
ならば答えは一つ。斑鳩はかつて戦った強敵の構えを取った。
「ほう、日本生類創拳か」
斑鳩に勝ち目があるとすれば豊富なフィールドワークを通して学んだ他流派と財団神拳との融合である。斑鳩は日本生類創拳の脳内麻薬分泌式シナプス闘法により限界を超える力を引き出した。だが、決死の攻撃も師匠には通用しない。
斑鳩は間合いを取り、自動醸造症候法の構えに切り替えた。激しい腹式呼吸と共に腸内のイースト菌が活性化し、朝食のおにぎりが一瞬でアルコールに分解された。
斑鳩は激しい運動を伴うアルコール摂取により瞬時に酩酊状態となった。アルコールの匂いに困惑する師匠をよそに斑鳩は新たな構えを取った。酩酊拳奥義、千鳥脚だ。ふらふらとした足取りで師匠の激しい攻撃をいなしていく。
かつて斑鳩は酩酊街に迷い込んだ事があり、防御に特化した護身術である酩酊拳の存在を知った。酩酊した酔客の繰り出す一見不真面目な戦い方の中に、洗練されて行く財団神拳から忘れられた何かがあると斑鳩は考えていた。
しかし、その防御に優れた千鳥脚をもってしても師匠の攻撃を防ぎきる事は出来なかった。少しずつ千鳥脚に乱れが生じ始める。そして師匠から牽制として放たれた共振遠当てを受けた際に、足がもつれて体勢を崩した。
大きな隙を見せた斑鳩に師匠の共振パンチが当たるかに見えたその刹那、逆に師匠の体が激しく弾き飛ばされた。
斑鳩はただ攻撃を受けていた訳ではない。圧倒的な力の差を覆すために酩酊拳・千鳥脚と財団神拳・量子歩法の融合を試みていたのだ。後の財団神拳の歴史において『量子もつれ脚』と記される無敵の奥義の誕生である。
量子もつれの前で古典力学による技は意味を成さない。勝負ありだ。師匠は負けを認め口を開いた。
「見事だ斑鳩よ」
「はい」
「技の完成のため離反したと一芝居打たせて貰った」
「はい」
「恐るべき事に、平行世界の試割りを行おうと企んでいる者がいる」
「はい」
「我々の世界もその試割りの対象だ」
「はい」
「斑鳩」
「はい」
「お前酔ってないか?」
「全然酔ってません」
「そうか」
「はい」
「敵は『真空崩壊掌』なる奥義を使う。名は、犀、ガハッ……」
突如師匠の胸に拳大の穴が開き、鮮血が噴き出した。
「はっ!?師匠、一体何が?敵の名は、サイ、何ですか?」
師匠は咳き込みながらも必死に何かを伝えようとしているが、酩酊状態の斑鳩には理解出来なかった。そして、師匠は無念の表情を浮かべたまま力尽きた。
「師匠、あなたの死は無駄にはしません」
斑鳩は名も知らぬ敵を屠るため、怒りと悲しみを胸に立ち上がった。彼が歩みを止める事は無い。この世にアノマリーがある限り。
ページコンソール
批評ステータス
カテゴリ
SCP-JP本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
翻訳作品の下書きが該当します。
他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。
言語
EnglishРусский한국어中文FrançaisPolskiEspañolภาษาไทยDeutschItalianoУкраїнськаPortuguêsČesky繁體中文Việtその他日→外国語翻訳日本支部の記事を他言語版サイトに翻訳投稿する場合の下書きが該当します。
コンテンツマーカー
ジョーク本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。
本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。
本投稿済みの下書きが該当します。
イベント参加予定の下書きが該当します。
フィーチャー
短編構文を除き数千字以下の短編・掌編の下書きが該当します。
短編にも長編にも満たない中編の下書きが該当します。
構文を除き数万字以上の長編の下書きが該当します。
特定の事前知識を求めない下書きが該当します。
SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。
シリーズ-JP所属
JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。
JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。
JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:3389120 (02 Jun 2018 15:05)
>その千鳥脚をもってしても師匠の攻撃を受けきる事は出来なかった。
受けるではなく、防ぐのほうがいいかもしれません
to2to2 does not match any existing user nameさん、ご批評ありがとうございます。
指摘頂いた部分修正いたしました。
拝読いたしました。
イースト菌、と言われるとパンの発酵というミームがあまりにも強いので、そこもいいアクセントになってると言うことなんですかねえ…良い意味でのツッコミどころだらけで下書きなのにuvすべくVoteボタンを探してしまいましたw
タイトル未定、との事ですが師匠の死を乗り越える系のイメージで思いっきりクドいのが来ると、更に内容の破壊力が増しそうです。
強いていえばですが、
>両者の専攻は量子力学で師匠の方が造詣が深い。
「量子力学、されど師匠のほうがより造詣が深い」という風にすると、ボス戦めいた雰囲気が増すと思いましたが、どうでしょう。
いい感じに突っ込み要素が配置出来ているようで良かったです。
voteの話で評価モジュールを忘れていた事に気付いたので付けました。
タイトルは平行世界要素と死をこえる感じで付けてみました。
されど、の部分は提案頂いたように変えてみました。
んーーーーッ、良いのですがオチとそこまでの流れが噛み合わせ悪いように感じます
犀ガハッ、より各種GoIの名を冠した様々な神拳ネタで上手いこと最後まで一本筋を通すともっと良くなるかもです、勿体無さを感じます
それこそワールドベースボールコンテインの様に
ご批評ありがとうございます。
全体的に組み替えないといけないので時間かかりますが、これと別のパターンにも挑戦してみます。
拝読しました。
犀、ガハッっで吹きだしました。ですが犀賀派の行動や記述がジョーク次元でなく通常の犀賀派通りなのが少し引っかかりました。闘いの荒野でにでてくる技を出すなどもう少し犀賀派をネタ寄りにすると面白いかなと思いました。
最後の「酩酊拳のせいでまったく状況を理解できない斑鳩」がとてもシュールで面白いと感じたので、ここを増強するとより強烈なオチになりそうだと思いました。斑鳩のセリフをもっと呂律が回らないようにするとか、最後の一文をピントがずれた支離滅裂な決意にするとか。
好き勝手申しましたが、少しでも参考にして頂ければ幸いです。
ご批評ありがとうございます。
>通常の犀賀派通り
脳筋っぽくしました。
>ここを増強する
酔っている感じを強めシュールさを増強しました。
また何か気になる点ありましたらよろしくお願いいたします。