収容倫理評価制度とは?
オブジェクトの中には、安定した収容のために一定の犠牲を強いるものが数多く存在します。かつてはそのようなオブジェクトそれぞれの、それぞれの収容計画について、倫理委員会は個別に倫理的な評価を下していました。
一方で財団の広域化とオブジェクト収容数の増加によって、以下のような問題が生じ始めました。
- 倫理委員会の仕事の増加
- 倫理委員の判断における時間的・地域的なぶれの発生
- ドクトリンの複雑化による議論時間の延長
- 前例の増加に伴う、過度な前例重視の傾向
これらを解決するために、統一的なガイドラインが設けられ、収容における倫理評価の標準化・機械化が試みられました。これが、現在の収容倫理評価審査制度です。
収容倫理評価審査の流れ
- 収容計画が立案される。
- 収容倫理評価講習を受けた職員によって、収容計画について収容倫理評価が行われる。
- 収容倫理評価とリスク・コストの概要が倫理委員会に提出される。
- 倫理委員会は収容計画が収容倫理評価基準に沿っていることを確認し、計画を承認する。
- プロトコル中にリスク・コストの収容倫理評価、収容倫理評価基準を満たした旨を記載してもよい。
用語解説
収容倫理評価審査制度とは、標準化された収容倫理評価を用いて収容の倫理的な妥当性を審査する制度です。
収容倫理評価とは、積極的収容活動によって生じ得るコストと消極的収容活動によるリスクの評価を行うこと、及びカテゴライズされた評価自体です。
収容倫理評価ガイドラインは、収容倫理評価の際に用いる分類法を規定しています。このガイドラインに従って、個々の具体的リスク・コストはそれぞれのカテゴリに分類されます。
収容倫理評価基準とは、この評価を比較する際に用いられる基準で、それぞれの評価カテゴリ・およびその重要度の事前に規定しています。
消極的収容とは、可能な限りオブジェクトとの接触を禁止し、また重要資産の積極的な損耗がほぼない状態で行われる収容を指します。ボックステストの比喩を用いると、箱に鍵をかけて閉じ込め、機械を通して定期的に餌を投入するような収容を指します。
積極的収容とは、積極的にオブジェクトに対して操作を行うことによって行われる収容を指します。特に、財団の重要資産を犠牲にすることによってオブジェクトの収容安定化、リスク低減を図る場合に、消極的収容と比較する形でこの単語が用いられます。ボックステストの比喩を用いると、箱に鍵をかけて閉じ込めた後、時折人員が箱の中に入り、オブジェクトを撫で、餌になるような収容を指します。
リスク・コスト・損害は、どれもオブジェクトが財団・一般社会に対して与える被害を表します。特に積極的収容活動の過程で生じるものをコスト、消極的収容状態で生じるものをリスク、これらをまとめて表現する際に損害の語を用います。
収容倫理評価ガイドライン
収容評価は、以下の3部分によって構成されます。
(損害) クラス: 主に損害の対象と種類を示します。アルファべットの単語で表現されます。
(損害) ランク: 損害の対象の質的な重要度を示します。アルファベット一文字で表現されます。許容不可能となる閾値およびそれ以上を「U」とし、以降は重要度の高いものから「A」、「B」、「C」……と分類されます。
(損害) レベル: 損害の対象の量的な重大さを示します。損害ランクのあとにプラス(+)を付け加えることで表現されます。許容不可能となる閾値とそれ以上を「*」とし、それ以外を「+なし(ベースレベル)」から「++++」の5段階で設定しています。
これらは、[損害クラス (損害ランク 損害レベル)]の形式で表現されます。
実例: "Attrition (C+)"
- 損害クラス: Attrition(人間に対する、回復不可能かつ社会復帰不可能な損害)
- 損害ランク: C(職員・無差別)
- 損害レベル: +(少数)
Attrition
torment
Expenses
収容倫理評価基準
以下の基本原則を満たす場合、収容計画は倫理的に妥当とみなされます。
- リスクとコストが同じ損害クラス・損害ランクの場合、コストの損害レベルの方が低い。
- リスクとコストが同じ損害クラス・損害レベルの場合、コストの損害ランクの方が低い。
- コストの損害クラスが「Negligible」であり、リスクがそうではない。
- リスクの損害ランクが「U」ないし損害レベルが「*」であって、コストがそうではない。
多くのオブジェクトの持つ異常性は限定的であるため、収容状態によって被害の種類(損害クラス)が大きく変わることはほとんどありません。したがって、多くの場合この基本原則で対応することができます。
同じ分類の場合
評価の結果、リスクとコストが同じクラス・ランク・レベルに分類された場合、審査の申請の際に、収容計画がいずれの点で消極的収容計画より優れているかの具体的な数値等を用いた比較を記述する必要があります。
同クラスで、損害ランクと損害レベルが異なる
リスクとコストが別々の損害クラスに分類される場合や、同じクラスでもレベルとランクが異なるような場合は、
クラスが異なっている
それぞれのクラスが持つ、みなし同等表を用います。みなし同等表には、その評価が別クラスのどの評価に対応するかが記述されています。表に規定がない場合、細則及びここまでの前例に基づいて決定されます。
コストとリスクが両者許容不可能なランク・レベルに達している。
倫理委員会の個別検討案件です。重要案件として倫理委員会に報告してください。
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