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アイテム番号: SCP-xxx-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-xxx-JPは標準人型収容セルに収容されます。通常、SCP-xxx-JPの収容セルに入場する際は必ず2人以上で入室しなければなりません。またSCP-xxx-JPの収容担当者及び直接の接触者は、月に1度以上、潜在的な指標を用いてSCP-xxx-JPの主観的魅力を測定する必要があります。
SCP-xxx-JPを収容する施設は、Dクラスを含むすべての職員に対し、月に1度以上呼び声現象の経験に関する聞き取りを実施し、呼び声現象の経験者をリスト化しなければなりません。
SCP-xxx-JPは安定収容のために人員による積極的な相互作用を必要とするオブジェクトであり、以下の特殊相互作用手順に基づいて、定期的な相互作用が行われます。
収容違反への対応及び抱擁イベント中の注意事項については、特殊相互作用手順に記載されています。
特殊相互作用手順
<収容倫理評価> 本相互作用手順のコストはAttrition (C)、リスクはAttrition (C+)であり、収容倫理評価基準を満たします。
<手順開始規則> 抱擁イベントの対象の失踪が確認された場合、30日経過以前に以下の相互作用手順が実行されなければいけません。
<手順説明> 収容室内の監視設備のうち、SCP-xxx-JPの背部を撮影するものは手順中停止されなければいけません。SCP-xxx-JPの収容室内に1名のDクラス職員を入室させ、それ以外の人員は収容室から退避します。抱擁イベントの発生が確認され次第、イベントの終了まで収容室への立ち入り及びSCP-xxx-JPの直接的な視認は禁止されます。イベント終了後、Dクラス職員は回収され、失踪まで観察下に置かれます。
<リスクと対応> 以上手順が不達成のまま30日以上が経過した場合、呼び声イベント経験者のうち1名が収容室内に転移する可能性があります。本現象の発生が確認された場合、SCP-xxx-JPの背部を撮影する機器の停止、職員の収容室からの退避が迅速に行われなければなりません。当該イベント対象者が収容室に出現して以降、対象者はDクラス職員として扱われ、以降上記手順に従って付随する抱擁イベントへの対応が行われます。
説明: SCP-xxx-JPは翼を有した人型実体です。容姿は概ねコーカソイド系の成人女性ですが、両腕部が存在しません。その表情はつねに微笑んでいるように観察されますが、如何なる刺激に対しても情動的反応を示すことはなく、あらゆる意思疎通の試みは失敗に終わっています。
SCP-xxx-JPの両翼の翼開長は約2.5 mで、白色の羽毛に覆われており、その動作機序・外見・組成は鳥類の翼に類似しています。この両翼はSCP-xxx-JPの肩甲骨部分から発生しており、後述の抱擁イベントを除いて、常に背部を覆うように折りたたまれています。なお、両翼が開かれている間(すなわち抱擁イベント中)にSCP-xxx-JPの背部を機器によって撮影することは、機器の致命的な不具合を引き起こします。このため、SCP-xxx-JPの背部を観測することは実質困難です。
SCP-xxx-JPの主な異常性は、以上の形態学的異常・電子機器への干渉能力のほか、精神干渉的異常および後述する2つの能動的異常性(抱擁イベント・呼び声現象)によって構成されます。
精神干渉的異常について、SCP-xxx-JPへのあらゆる直接的な接触は非異常の水準を越えて、SCP-xxx-JPへの対人魅力の形成とそれに伴う近接欲求の増加を引き起こします。これまでの研究によって、この効果は親近性1による魅力形成過程が異常に強化されることによって生じると考えられています。これを裏付けるように、概念的潜在記憶処理はこの異常性によって形成された魅力の減衰に一定の効果を示しています。
SCP-xxx-JPは発見時、外見上非異常な女性の形態で███川の底部に存在していました。その後財団により回収されると、以下の文書-1が出現し、それに伴って現在の形態・異常性を獲得しました。またその後の相互作用のたびに、SCP-xxx-JPの付近にはSCP-xxx-JPの起源に関係するとみられる文書が出現しています。これらの収容経緯と出現する文書の内容、積極的な相互作用の要求という特徴を加味し、現在SCP-xxx-JPは"かつて一つだったばらばらの世界"に属する物語的遷移存在2であると見做されています。
文書-1
これは、かつて一つだったばらばらの世界のお話です。
ゾアの端のある町に、心優しい一人の母親が、息子と二人で暮らしていました。
彼女は一生懸命に働き、たった一人の息子を、大切に、大切に育てました。彼が迷うだろう全てに正解を与え、彼を惑わすだろうものすべてを取り除きました。それに応えて、息子も、彼女のために尽くしました。裕福ではありませんでしたが、彼女は幸せに暮らしていました。
あるとき、息子は戦争に連れていかれました。彼女はいつ彼が帰ってきてもいいように、彼の代わりに必死に働きましたが、彼は、そのままずっと帰ってきませんでした。
やがて、彼女は息子がこのまま永遠に帰ってこないことを悟りました。しかし、彼女は泣きませんでした。
彼女は、働くのをやめて、町の人々の様子を見て回りました。
町には彼女と同じように、愛する者を失った人々が溢れていました。それに、常にどこからか、泣き声や怒鳴り声が聞こえていました。悲しみに暮れた人々の心は荒み果て、争いごとが増えていたのです。
それを見た彼女はこう考えました。
「わたしが、みんなに欠けた愛を埋めてあげなければ」
そうして、彼女は優しく微笑んだまま、赤い涙の川に身を投げました。
しばらくして町に現れた彼女は、その暖かい天使の羽で、人々を包み込みました。
呼び声現象: SCP-xxx-JPを収容する施設に関わる人員は、不定期に幻聴を経験します。この幻聴は経験者によって、親しい女性の声が自身を呼ぶ声であるように知覚されます。本現象は呼び声現象と呼称され、平均して10.4日に1度の頻度で、無作為な1名を対象として発生します。経験者は現象後、SCP-xxx-JPの魅力の僅かな上昇と、SCP-xxx-JPへの接触願望の僅かな増加を報告しますが、これらの精神影響は極めて軽微であり、収容環境を脅かすものではないと評価されています。
抱擁イベント: 1名の人物が他者による直接の観察がない状態でSCP-xxx-JPの正面に立った場合、抱擁イベントが発生します。SCP-xxx-JPは両翼を広げた後、その翼で対象者を抱くように一方的に包み込みます。これは不確定な時間継続します。
抱擁イベント中、SCP-xxx-JPは認識災害のベクターとなります。SCP-xxx-JPを直接視認した人物は、オブジェクトを特定の(多くの場合親しく、もはや会うことが困難な)知人であるかのように錯覚し、明瞭な意識の維持・記憶を阻害されます。その結果、被影響者はSCP-xxx-JPに積極的な接近を試みるようになり、またその後抱擁されることへの抵抗を示しません。SCP-xxx-JPによる抱擁は、唯一この認識災害の影響下を脱する手段です。
抱擁イベントの後、対象者は穏やかな多幸感とSCP-xxx-JPに対する強い魅力の形成を報告します。イベント後不定の期間(最短で1週間)が経過すると、対象者は失踪します。対象者がその後帰還した事例は存在しません。対象者が最後に存在したと思われる地点からは、以下の文書-2が発見されます。
文書-2
人々は毎日彼女の前に通いました。
彼女はその翼で立ち尽くす彼らを抱きしめました。
人々は彼女に、失った者たちを見ました。
町には愛が溢れました。彼女はずっと微笑んでいました。
戦争が終わらずとも、町から人が少しずつ消えようとも、愛に満ちた町で、誰がそれを気にするというのでしょうか?
遷移記録: 20██/██/██、認識災害効果の低減を目的として、被験者に事前に記憶補強剤を投与し、オブジェクト本来の容貌に関する記憶を強化する実験が行われました。この被験者を用いて抱擁イベントを発生させた際、被験者は自発的に、抱擁イベントの最中にSCP-xxx-JPを抱擁することを試みました。これが契機的相互作用となり、オブジェクトの物語段階遷移が発生しました。この遷移は、新たな文書 (文書-3) の発見と、以下にまとめるいくつかの重要な性質の変化から構成されています。
なお本遷移による性質の変化は、一定期間の観察及び特殊相互作用手順の再評価の後、メインセクションに反映されます。
文書-3
ある青年が、誰もいない町に、たった一人で立ち尽くす天使を見つけました。
青年が天使の前に立つと、天使は翼で彼を包んだので、彼も両手を開いて、天使を抱きしめようとしました。
だけども青年は、天使の背中に手を回したとき、あることに気が付きました。
それの中には、何もなかったのです。
彼女があのとき泣けなかったのは、彼女が最初から空っぽだったからです。
彼女が人々に愛を与えたかったのは、彼女がずっと空っぽだったからです。
空っぽの愛を与えて、代わりに本当の愛で埋めて欲しかった彼女は、彼女自身ではなく、愛される他人の写し鏡になることを選びました。
けれども、彼女が彼女でなくなったのなら、誰が彼女を愛せるというのでしょうか。そうして実際に、誰が彼女を愛したというのでしょうか。抱き返すだけで簡単に明かされた彼女の秘密は、今まで誰にも知られないままでした。
あなたは、一歩離れ、天使の顔を見ました。
契機的相互作用の直後、SCP-xxx-JPの顔及び頭部の上半分が崩壊し、消失しました。一方で、残された部分の表情に感情的な変化は見られず、微笑は維持されました。その後、SCP-xxx-JPの両翼が開かれ、背部から大量の肉片が放出されました。これらの肉片は、以前SCP-xxx-JPの異常性に暴露したのち行方不明になっている人物のものであることが確認されています。
以下のリストは、本遷移に伴うオブジェクトの異常性の変化の一覧です。
- 背部の調査を阻害していた異常が取り除かれました。結果として次の2点が確認されました。
- 背部の皮膚は、肩甲骨より下部から臀部にかけて、そぎ落とされたように消失しています。
- オブジェクトの内部は空洞で、いかなる臓器も存在しません。
- SCP-xxx-JPの容貌は、いかなる場合においても正常に知覚されるようになりました。
- 呼び声現象は継続していますが、その音声は意味をなさない低いノイズとして知覚されるようになり、いかなる精神的異常も発揮しなくなりました。
- SCP-xxx-JPによる抱擁は、いかなる精神的影響も及ぼさなくなりました。また、その後の人員の消失も発生していません。
- 接触・呼び声現象による異常な魅力形成能力は消失し、すでに影響下にあった職員もその影響から脱しました。SCP-xxx-JPへ接触歴のある職員への調査の結果、SCP-xxx-JPへの逸脱した近接欲求もはや存在しませんでした。
ページコンソール
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任意A任意B任意C- portal:3383689 (04 Jun 2018 06:02)
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