██解釈
これらの理論は、あくまで██博士が独自に提唱しているものにすぎません。
既存の理論では理解しがたい状況に出会った時や、独自の研究のためなどには参考にはなるかもしれません。
現実性について
現実とは
現実とは、以下の3つからなる"情報"である
- 法則: 物理法則などの、自然の摂理。
- 過去: 確定した因果。基本的に変わることはない。
- 現在: 確定しつつある因果。不確定と確定の狭間に存在する。
※未来は不確定であり、現実には含まない。
現実性とは
現実性(reality)とは、特定の現実を確固たるものにするための能力である。
もともと現実性とは、すでに確定された過去や確定しつつある現在、世界の法則が捻じ曲げられないようにする能力のことで、至極"守備的"な概念である。現実を守る城壁に例えられる。
現実性が強固であるということは、それだけ現実が強固に守られており、現実改変の影響を受けにくいということである。
現実子とは
現実子とは、現実性の強度を決定する架空の粒子である。
あくまで話を簡略化するための架空の粒子で、実際には存在しない。1
実際にこの現実子の働きをしているものがなんなのかは、この理論の範疇ではない。
現実性強度の決定
ジェフスキー派との違い
ジェフスキー派は現実子密度(後述)のみが現実性強度(ヒューム値)を決定すると考える。
一方、██派は現実子密度に加え、指向力(後述)がヒューム値の決定に関係すると考える。
現実子密度とは
一定区間内に存在する現実子の量である。単位はDHm。
一般的な物質や空間は現実子密度を1DHmをもつ。
指向とは
現実性が作用する目標(向き)をあらわす。
「ケーキを増やす指向を持った現実子」「現実子にケーキを増やす指向を付与する」「現実子にケーキを増やすことを指向させる」のように使う。
自身の存在(現実)を維持するという指向を基本指向という。
普通あらゆる存在は基本指向を現実子に付与している。この法則を"基本指向の第1法則"という。
指向は一度に複数付与することが可能であるが、その場合は指向力が分散し、ヒューム値が下がる傾向にある。
指向力とは
現実子が一定の指向に働く強さである。単位はVHm【他に何かいい単位はないか。この説明でスカラー値と認識してもらえるか】。
普通、基本指向の指向力は1VHmである。("基本指向の第2法則")
基本的指向の指向性の高さは、基本的に変動しないが、存在そのものにかかわるような指向が発生した場合は基本指向に変動が出る場合がある。("基本指向の第3法則")。
指向と指向力を合わせて、ヒュームべクトルと呼ぶ。
現実改変とヒュームベクトル
通常、現実子は基本指向しか持たない。しかし、基本指向以外の指向を得た場合、現実子はより現実性強度の低い存在の現実を書き換えることを可能とする。城壁は据え置かれるならば守りに使えるが、投げつけてしまえば武器に変わるのと同じである。このとき、城壁の強度が現実子密度、飛ぶ向きが指向、飛ぶスピードが指向力であると例えることができる。
ヒュームベクトルの発生
ヒュームベクトルを発生させる方法の1つは、意識することである2。
一般的な人の場合、0~1.1 VHmの指向力を発生させることが可能である3。
意識以外にもヒュームベクトルを発生させる方法があることは判明している4が、これについてはよくわかっていない。
同一性とは何か
同一性とは、「一つの存在」として観測・認識されることにより発生する連続性のことです。
同一存在の一部は連続している同一のものとみなされ、情報の継承が行われます。
ヒトの体を構成する物質は常に移り変わっていますが、そのヒト全体が、ある一つの存在として認識されている以上同一性・連続性が発生し、たとえ体を構成する物質が全て入れ替わったとしても以前と同一の存在であるとみなされます。
集現実子力について
集現実子力とは
集現実子力とは、現実子密度を高め、維持する能力である。
集現実子力はさらに基本集現実子力と特殊集現実子力にわかれる。
基本集現実子力
これはある地点から現実子を吸い上げる能力で、吸い上げる対象の地点によって3つに分類される。
- 第1集現実子力: 自身の付近から吸い上げる
- 第2集現実子力: 遠隔地から距離を無視して吸い上げる
- 第3集現実子力: 別宇宙や別次元などから吸い上げる
ふつう、あらゆる存在は自身の現実子密度を1DHmにするような第1集現実子力を持っている。1DHmを超える第1→第2→第3集現実子力の順に珍しくなる。
特殊集現実子力
これはある地点から現実子を吸い上げる能力で、吸い上げる対象の地点によって3つに分類される。
- 創現実子力: 現実子を作り出す
- 現実子密度回復力: 現実子密度が基礎値(普通は1DHm)を下回ったときに、非常に緩やかなスピードで現実子を生み出して現実子密度を基礎値まで回復させる
- 反集現実子力: 現実子を吸い上げて消滅させる
ふつう、あらゆる物体は基礎値が1DHmでゆっくりとしたスピードの現実子密度回復力を持っている。基礎値が1DHmを超えたり、素早い回復を見せる現実子密度回復力や、その他2つの特殊集現実子力を持っている存在はほとんどいない。
高い集現実子力を持つ実体は、自身の集現実子力を調整できることが明らかになっている5が、例外として調整できない個体の存在も確認されている。
集現実子力と同一性
集現実子力は、同一性に依存して発生する。
つまり、体の構成物質が変わっていったとしても、同一である限り集現実子力は消失しない。
ただし、何らかの異常で集現実子力が失われたり、新たに発生することはあり得る。
また、集現実子力がどの同一性に依存しているのかも重要である。ある人物全体の同一性なのか、もしくはある人物の肝臓の同一性なのか……ということだ。
もし肝臓の同一性に依存していた場合は、肝臓を摘出されることで集現実子力が失われることもあり得る6
なお、現実改変者の死亡後に臓器を取り出すと、それぞれの臓器の集現実子力が低下することが判明している。これは、ある人全体としての同一性に依存していた集現実子力が失われるからである。
同一性と集現実子力と指向
ある同一性に依存する集現実子力によって集められた現実子は、その同一性を保持する存在の指向にのみ影響を受ける。(現実子指向の第1法則)
高い現実子密度をもつ現実改変者の付近に近づいたとしても、他者は基本的にその現実改変者のもつ現実子には指向を与えられないということだ。
ただし、先ほどの例えで、肝臓の同一性に依存する集現実子力の場合は、その肝臓の保持者が現実子に指向を与えることができる。これは、肝臓が肝臓そのものとしての同一性をもちながら、それよりも大きな肝臓の保持者という存在の同一性の一部でもあるからだ。
空間現実性濃度について
空間現実性濃度と個体現実性強度
個体現実性強度とは何らかの存在のヒューム値のことを指し、内部ヒューム値とも言われる。一方空間現実性濃度は空間のヒューム値のことをあらわす。結論から言えば、この2つに本質的に違いはない。
ただし、空間そのものが同一性のあいまいな存在で、物質の流動性や密度などが個体のそれとは大きく異なるために、空間現実性濃度には個体現実性強度にない特殊な性質を生じている。
静現実改変抵抗力の変化
静現実改変抵抗力というのは、「現実改変の起こりにくさ」をあらわす力である。
空間現実性濃度が高いほど、静現実改変抵抗力は上昇することになり、現実改変を起こしにくくなる。この性質を利用し、空間現実性濃度が高いことで知られるヒマラヤ山脈では、現実改変オブジェクト専用サイトを作る計画が進行中である。
この静現実改変抵抗力の下方向への変動は現実改変の起こしやすさに大きな影響をあたえる。
ただし、一旦現実改変が始まれば、静現実改変抵抗力はあまり意味をなさない。
現実性濃厚領域・現実性希薄領域への侵入
一般的な人間が現実性濃厚領域に立ち入った場合、2.0Hmまでは、霊的なエネルギーを感じることがある。
ただ、2.0Hmを超えると問題が起きてくる。多くの人間は頭痛や吐き気など、乗り物酔いに似た症状を訴えるようになる。
これがヒューム中毒や現実酔い、現実性差症候群と呼ばれる症状だ7。
財団はヒューム中毒緩和装備という防護服のような装備を開発していて、ヒューム上昇を緩やかにすることでヒューム中毒の影響を減らすことにも成功している。また、ヒューム中毒は物質的な影響だけではなく、少なからず精神にも影響は出るようだが、それが高揚に向かうのか、それともその逆なのかは、人によって異なる。
一方で一般的な人間が現実性希薄領域に立ち入った場合、0.7Hmまでは問題ないことがわかっているが、これ以上低いとヒューム中毒に陥る可能性がある。
ヒューム拡散
ヒューム拡散とは、現実子が濃度の高い方から低い方に流れていくことである。
現実性濃厚領域内では自身にヒューム値が流れ込んできて、自分の内部ヒューム値が上り、逆に現実性希薄領域では現実子が流出して内部ヒューム値が下がってしてしまう。8
現実性希薄領域について
現実性希薄領域では、単純なヒューム値の低さと静的現実改変抵抗力の低さによって、場合によっては一般人にさえ、現実改変的な能力を用いることが可能になることもある9。
その他に、アノマリーや空間の裂け目の発生が多くなること、物理法則が若干狂うことも知られている。現実性希薄領域内部で自然発生したアノマリーは、現実性希薄領域外部に出てもその異常性を保持し続けることが知られている。空間の裂け目については、任意の既存の空間に接続可能なクラス-A"トランスポーテーション"ワームホール、ワームホール内に特殊な圧縮空間を発生させるクラス-B"スタブル・ポケット"ワームホール、非常に危険で不安定なクラス-C"ブロークン・エントリー"ワームホールなどが確認されている。
現実性希薄領域の中でも、0.05Hmを下回るような空間を現実性極希薄領域のと呼ぶ。
現実性極希薄領域では、物理法則はほぼ通用せず、現実改変も発生しない。
現実改変が発生しない理由は、「低すぎる現実性により常に現実性の拡散が発生し、改変したとしても、改変したという現実が存在できないから」という説と、「書き換える対象の現実が既に存在していない」と考える説がある。また、現実性極希薄領域内では、自身の内部ヒューム値が徐々に拡散していき、自身が希薄化していくことになる。
現実性極希薄領域では法則性があまりにも崩れているために、実際に何が起こるのかはほとんど何もわかっておらず、予想もついていない。
現在の財団の技術では0.35Hm程度までしか現実性を希薄化できないのでこのような状況に出会うことはほとんどないが、現実性極希薄領域はこの世のあらゆる存在の脅威となる領域である。
現実改変者の脅威度による分類
脅威度クラス
脅威度クラスとは、精神傾向レベル・改変能レベルの2つの属性で現実改変者の危険性を分類をする方法である。これはGOCによる分類と、"現実改変者: 分類と推定脅威度"に影響を受けている。
精神傾向レベル
属性、精神傾向レベルでは、現実改変者はその精神傾向によって、U,D,G,0~4の8つに分類する。ランク | 説明 |
---|---|
0 | 自分の現実改変能に気付いていない |
1 | 自分の現実改変能に気付いたが、それを否定する |
2 | 悪意はない。能力を実験してみる |
3 | 自己利益目的でで他者に危害が及ぶ行為を実験的に行う。良心の呵責が見られる |
4 | 他者を傷つけることを厭わない |
D | Determination 普通であるために、自身の能力を使わないことを決意する。存在は稀 |
G | Goodwill 自分の能力を他者のために使おうとする。存在は稀10 |
U | Unknown 精神傾向は判明していない |
改変能レベル
改変能レベルとは、現実改変を起こす能力、つまり現実改変能がどれだけ強力かをあらわす属性だ。U、NとE~Aの7段階のレベルで表される。表には目安の数値が書かれているが、内部ヒューム値が目安の上限より1以上高くない限りは周囲のヒューム値を基準に考えるべきである。
ただし、ヒューム値は平常でも最大で±0.09Hmの揺らぎがあるため、それも考慮に入れるのを忘れてはならない。
レベルEの基準に満たない現実性差では基本的に現実改変は起こせない。
ランク | 説明 | 周囲のHm(以下) | 内部Hm(以上) |
---|---|---|---|
N | No power 現実改変能力を持たない | 1.0 | 1.0 |
E | 非常に弱い | 0.8 | 1.2 |
D | 弱 | 0.7 | 1.5 |
C | 中 | 0.6 | 2.0 |
B | 強 | 0.5 | 3.0 |
A11 | 極強 | 0.3 | 6.0 |
U | Unknown 現実改変能の強度は判明していない | 不明 | 不明 |
これらの属性表示を使えば、現実改変者の大まかな危険性を簡単に表すことができる。(クラス1Uの現実改変者、クラス4Aの現実改変者など)
単にアルファベット一文字、つまりは「クラスC」と呼ぶ場合は、そのアルファベットは改変能レベルをあらわしている。
現実改変について
現実改変とは何か
現実改変とは、ヒューム値の高いものが、ヒュームの低いものの現実を上書きする行為である。
現実は情報であるため、現実の上書きとは、パソコンでファイルを書き換えることに近い。
書き換えの物理的な範囲
現実の書き換えができる物理的な範囲は現実改変能の強さによって変わる。
- クラスE: 現在見えている範囲内
- クラスD: 視界の届く範囲
- クラスC: 半径5kmの範囲
- クラスB: 街1つ
- クラスA: 地球1つ
※これは単なる目安であり、実際にはもっと広い場合も狭い場合もある。
※クラスB以上は、因果律をたどることで実質距離に関係ない現実改変が可能。12
現実との乖離
現実との乖離(DFR:Deviation From Reality)とは、現実改変の結果がどれだけ現実と離れているかという概念である。DFRが高くなると現実改変の難易度は上昇する。
このDFRは、予想される現実改変の結果が現実から乖離すればするほど、つまり荒唐無稽になればなるほど上昇する。特に、法則を書き換えるときはDFRの上昇が顕著である。遠い因果(より多くの因果律をたどってたどりついたもの)を改変する場合も著しく上昇する。
また、現在より過去を改変するときの方が上昇値は高い。これは、現在が確定しかけている情報なのに対し、過去はすでに確定している情報だからである。
現実改変と矛盾
現実改変は情報の書き換えであり、基本的に改変者がどこまで詳細に改変するかを決定できる。
パソコンのメモ帳にあかずきんをコピーアンドペーストしたとすると、結末だけを唐突に書き換えることもできるし、ストーリーを徐々に変えていくことも可能である。もちろん後者の方が労力が必要だが、より矛盾は少なくなる。この労力が、DFRの正体でもある。
改変者が可能な行為の目安は以下の通りだ。
- クラスE: 現在の唐突な改竄と、微弱な物理法則の改竄。(突然目の前にぬいぐるみが現れ、誰もがその異常さに気付く13)
- クラスD: 過去と現在の唐突な改竄。(過去の唐突な改竄では、過去のある地点において突如ぬいぐるみが出現し、そしてすぐに消える)。
- クラスC: 連続的な過去の改変により、ある程度矛盾を軽減することが可能。ぬいぐるみが元からそこにあったように見せられる。(ただし、疑いを持って操作すれば矛盾を見つけることは比較的容易14)
- クラスB: 相当念入りに調べないと矛盾が見つからないほどまで矛盾を軽減することが可能。
- クラスA: 矛盾はほぼ見つからない。矛盾がない可能性もある15。
※過去の一部を書き換えたとしても、自動でその後のつじつまが合うようなことはない。過去はすでに確定しているからである。イメージとしては、メモ帳の赤ずきんの物語のどこか一文を書き換えたとしても、その後のストーリーが変わるようなことはないのと同じである。
矛盾は情報の齟齬という形でも発見できるが、空間にヒューム値の異常が発生したり、空間の微妙なずれ、物理的なゆらぎなどでも観測が可能。
これらの矛盾の痕跡をまとめて現実改変の効果流といって、この効果流をたどることで現実改変の大本を探ることができる。
また、この矛盾は土橋博士の提唱した現実性非同期障害という形でも出現する。現実改変によって作成され、通常動作しないような機構を持つ物品は、現実性希薄領域にいる間は動作するが、現実改変の範囲外に出たとたんに矛盾を突き付けられて機能不全を起こすことになる。これらの物品が現実性希薄領域内で機能できるのは、自分が生存できるように弱い現実改変を行っているからである。
矛盾の調整方法
矛盾を軽減する方法には意識的調整と無意識的調整がある。
意識的調整とは、自分で何を変えるのか意識して行う調整である。
一方、無意識的調整は特に意識をしないもので、クラスB以降ならこれを行う力を持っている。因果律をたどる過程で矛盾を検出し、自動で矛盾を修正していくのだ。
現実性非同期障害は、これらの調整を行うことで乗り越えることができる16。猫の体のつくりを知らない低レベルの現実改変者が生み出した猫は、現実改変の影響外に出ると機能不全を起こして死んでしまうが、しっかり構造を理解した現実改変者ならば影響外でも生きていける猫を作り出すことが可能なんだ。また、クラスB以上の現実改変能力者には、単に猫を意識するだけで、世界の法則に照らし合わせて構造に矛盾のない猫を作り出すことが可能なものもいる。
もう一つ現実性非同期障害を乗り越える方法としては、基本指向を変質させてしまうという方法がある。つまり、作り出されたものの"普通"を世界の"普通"から隔離し、基本指向そのものを異常なものにすることで、基本指向の第2法則を利用し存在を確立させることが可能なんだ。ただしこの行為は非常に高いDFRを生じさせることになる。
世界の修正力
このようにして世界に生じた矛盾は、世界の修正力によって徐々に修正されていく。たとえば不自然なエントロピーの現象は、帳尻合わせにいつかどこかでエントロピーが上昇することで修正される。つまり、現実改変を用いて無限のエネルギーを作り出す試みは、将来的な破滅をもたらすことになりかねない。また、世界の修正力を大きく超える改変は、それだけで世界の負担になり、世界の崩壊を早めることになるだろうと予想されている。
世界の修正力は、世界という一つの同一性を持った存在による、基本指向なのではないかという説が有力だ。
また、現実改変によって生み出された物品の多くは、世界の修正力を受けて、常に微弱な内部ヒューム値の変動を示すことが知られている。
集団による現実改変
集団による現実改変とは、指向性を利用し何らかの形で集団が協力し現実改変をこなうことである。条件としては現実改変に参加するものたちが、みな似たような指向を持っていることであり、その指向が明確であればあるほど効果は高くなる。ただし、人間がみんな全く同じことを考えられる、つまり指向することはほぼ不可能であり、得られる指向性は単純な足し算よりはるかに低いものになることがほとんどである。
集団による現実改変には3つの形がある。
抽出型: 1人の強い集ヒューム力を持った存在が、周囲の存在によってすでに指向を付与された現実子を抽出して利用する方法。17
重複型: 数十人をこえる大人数が同じ指向を持つことで、現実改変の重複が起こり、現実改変が発生する事象だ。現実改変の重複とは、同じ、もしくは似た指向をもつものが現実改変を行うことで、その結果が少しずつ重複し、1人では不可能なレベルの現実改変を引き起こしたり、静現実改変抵抗力を突破して現実改変力を起こすことである。18もっとも効率が悪い。
集中型: 一つの個体に複数の精神が同居する場合などに発生する。3つのなかではもっとも効率良い指向性の上昇がみこめるが、そもそも一個体に複数の精神を詰め込むということ自体が難しい。19
#現実改変の重複には、その逆の現実改変の反発という事象も存在する。反発が起こると現実改変が発生しないだけでなく、現実改変の衝突によるエネルギーでワームホールが発生したり、集現実子力を失ったりなど、予測できない事象が発生することがある。20
現実改変に関係する機器
スクラントン現実錨(SRA)
スクラントン現実錨(SRA)21は、周囲の現実性濃度を2.0Hmに保つ装置である。この装置の製作には多くの銅ベリリウム合金が用いられている。
スクラントン現実錨は、の宇宙以外の宇宙から現実子を吸い出しスクラントン現実錨自体の現実性強度を高めつつ、現実子力を細かく調整することでヒューム拡散を促し、周囲のヒューム値を2.0Hmに保つ。この過程には相当のエネルギーが必要である。
現実子を吸い出す宇宙はK-クラスシナリオなどですでに壊滅した宇宙が選ばれる。
スクラントン現実錨は周囲の空間を2.0に固定するだけであり、2.0Hmより高い内部ヒューム値を持つ現実改変者自身のヒューム値を2.0Hmまで下げることは不可能で、現実改変者が2.0Hm以上のヒューム値を持つときは、現実改変を完全に防ぐことはできない。
このスクラントン現実錨の固定する2.0Hmという値は変更が可能だが、この変更と維持のためには多くのエネルギーが必要で、莫大なコストがかかる。また、利用する宇宙の寿命も急速に縮まる。宇宙は無限ではないことを忘れてはいけない。このような理由で、スクラントン現実錨はほとんどの場合はその値が2.0Hmで固定されている。
また、スクラントン現実錨はそれが作用する過程の中で高いヒューム値を持つことになる。スクラントン現実錨はそれ自体が現実改変を行うオブジェクトであるともいえるのだ。それが正しく機能しているのは、スクラントン現実錨が我々の現実に則った行動をしているからで、もし、スクラントン現実錨が狂ったとしたら、大規模な現実改変が起こり、最悪CK-クラスシナリオが起こることもあり得る22。これはスクラントン現実錨のヒューム値が2.0Hmという値で固定される理由もう一つの理由でもある。
スクラントン現実錨パネルなど、さまざまな形状で活用されている。
スクラントン・ボックス(mSRA)
おもに文書の保存に使われる機器で、内容はほとんどスクラントン現実錨とは変わらない。
カント計数機
カント計数機は、ヒューム値を測定する機械である。
財団はスクラントン現実錨によって固定された、0Hmの小現実空間とと100Hmの小現実空間を維持している。
カント計数機にはこの小現実空間に繋がるポータルが設置されていて、これらを基準にヒューム値を測定する。
シャンク-アナスタサコス恒常時間溝(XACTS)
シャンク-アナスタサコス恒常時間溝(XACTS)は定常タキオン流を発生させ、時間・因果律・空間の隔絶を発生させることで、内部を現実改変などから保護する装置だ。
タキオンという粒子は、光速より速いスピードで動く粒子で、この粒子の存在を懐疑する声もあるが、財団はタキオンを発見している。
光速を超える定常タキオン流の影響を受けるフィールドは、周囲の空間の時間の流れや因果律から隔絶された空間になる。これは、現実改変の影響を最大限防げることを意味する。
ただし、この装置の使用はあまり推奨されていない。宇宙の現実というのは常に微弱に変動していて、この装置の中に”変動から取り残された空間”が存在するということは、その空間の因果や法則が宇宙のものと徐々に離れていくことを意味する。これは、ある意味消極的な現実改変と同じで、宇宙そのものへの負荷になってしまうんだ
シャンク=スクラントン因果擾乱器Xyank-Scranton causality disruptors(XSCD)
この機器の使用は推奨されていない。この機器は非常に危険な現実改変兵器23である。対象の基本指向を擾乱することで強制的に対象の存在を希薄化、現実改変の影響を受けやすくする。ただし、この基本指向の改竄は思わぬ副作用的な改変を生み出す場合があり、場合によってはそれが連鎖的に恐ろしい事故を引き起こす可能性がある。
アスクレウス現実杭
これは、スクラントン現実錨に似た原理で、周囲の現実性濃度を上昇させつつ、因果律を歪ませることで疑似的な因果の隔絶を発生させ、現実改変の影響を抑える装置である。太古のものとみられるアーティファクトであるが、現代でも実用化に成功している。ただし、スクラントン現実錨の方が安定度が高いためそちらの方が多く用いられる。24何らかの情報を保全する効果としてはスクラントン現実錨より高い効果が見込めるが、常に因果律をゆがめているために暴走の可能性も高く、また現実性そのものの安定化には特化していないため、現実改変者の封じ込めには向かない。
T-4/T-5型現実性濃度変動検出器
この機器はカント計数機よりも低いコストかつより小さなサイズで周囲の空間現実性濃度の変化を察知し通知する。ただし、分かるのは変動したかしていないかのみで、正確な値を検出することはできない。0.1Hmの変動から観測することが可能で、ヒューム拡散を応用し、自身の内部ヒューム値の変化を観測することで空間現実性濃度の上昇を観測することを可能としている。T-4型は現実性濃度の上昇、T-5型は低下のみを検出可能である。この機器は各地に監視カメラなどに偽装されて設置され、財団が異常を察知するために使われている。
エリュトリール効果流検出装置
これは空間に残された効果流を可視化、数値化することで、現実改変の状況を特定するのに使用される機械。普段から調査に使われる非常に便利な機械である。
ペンジアス因果並列検出器
複数地点における現実(因果・過去)を同時に抽出、比較することによって、因果の矛盾を検出し、改変の有無を検査する装置。現実改変者の過去改変のプロセスによる研究の成果により製造に成功。
ただし、比較のみであり、何があったかを調べることは不可能である。
エリュトリール効果流検出装置は空間異常から、カント計数機は現実性強度から、ペンジアス因果並列検出装置は情報から改変の綻びへアプローチする。
もちろんペンジアスが万能なわけではなく、しっかり狙わないと因果の矛盾は発見できない。状況にあった機器を使うべきである。
その他の質問など
現実改変者は終了すべきか?
クラスA以上の現実改変者は下手なKeterクラスオブジェクトを大きく上回る脅威をはらんでいる。終了ることも視野に入れる必要がある25。
もちろん、終了するべきでないと主張する人もいるが、財団の理念――これは、確保・保護・収容のことではなく、もっと根本的な目的、つまり人類のためになる行動を行うという視点を忘れてはいけない。財団が封じ込められない、かつ人類に驚異的な被害をもたらしかねないものは、人類のために終了する必要があるだろう。ただし、大事なのはリスク管理だ。あらゆる選択肢を並べて、そのなかで終了のリスクが最も低いのなら、迷わず終了をすべきだろう26。
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任意A任意B任意C- portal:3383689 (04 Jun 2018 06:02)
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