k-cal-32--b714

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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはそのシストを冷凍保存することで収容します。成虫が必要な場合は、冷凍されたシストを解凍後直接ヒトの鼻孔に埋め込むことで成長を促します。

収容外で新たなSCP-XXXX-JPが発見された場合、宿主からサンプルを回収後、周囲の除染及び宿主の記憶処理を行います。回収されたサンプルは形態学的・遺伝学的な分析が行われ、未知の遺伝情報を持つ場合は水につけ産卵を促します。卵が孵化した場合、孵化した幼生を含んだ水にカ科(Culicidae)の幼生を導入し、寄生を促します。カ科の幼生への侵入が確認された場合、その幼生からシスト化したSCP-XXXX-JPの幼生を取り出し、冷凍保存します。

説明: SCP-XXXX-JPはヒトを最終宿主とする線形の寄生虫で、形態的にはハリガネムシ綱(Gordioidea)の一種とみなされています。

SCP-XXXX-JPは終端部にかぎ爪型の突起を有し、これを用いてヒトの鼻孔に寄生します。体色は黒色であり、通常の長さは1 cm未満です。これらの特徴は、ヒトの鼻毛に擬態するためのものと考えられています。寄生したSCP-XXXX-JPは鼻腔内に生成される有機物の他、呼吸に伴って吸引する微細な有機物を絡め取り、摂食します。

SCP-XXXX-JPは一般的なハリガネムシと類似した生活史を有します。水中で孵化した幼生は能動的に移動し、吸血性の水生生物(主にカ科の昆虫)の幼生の体内へと侵入します。その後中間宿主となったカの幼生の体内でSCP-XXXX-JPはシストとなります。カは成虫後、不明な原理でヒトの鼻腔へと誘引され、吸血を行います。この際吸血管を通って、SCP-XXXX-JPのシストがヒトの鼻腔に定着し、その後SCP-XXXX-JPは成虫へと成長します。ヒトへの寄生後は後述の異常性によってヒトを水場へと誘引し、卵を放出します。

SCP-XXXX-JPの宿主となったヒトは水に浸かること、水を浴びることに対する欲求を報告し、社会的規範に違反しない範疇でそのような行動を実行しようとします。これは、異常な手段によるSCP-XXXX-JPの意識決定プロセスへの弱い介入が原因であると考えられています1

SCP-XXXX-JPは宿主となっていた清水勝也氏(当時34歳)が周辺人物による通報を経て確保されたことにより発見されました。発見当時、清水氏に寄生したSCP-XXXX-JPは異常な肥大化を見せており、その体長は3 cmを越え、結果としてSCP-XXXX-JPは清水氏の鼻腔外へ露出していました。清水氏は普段マスクを着用することで、肥大化したSCP-XXXX-JPを隠匿していました。以下は清水氏へ行われたインタビューの記録です。

インタビュー記録-1

対象: 清水氏

インタビュアー: 研究員

<録音開始>

清水氏: これくらいで大丈夫ですか。[清水氏が自身の鼻孔から数匹のSCP-XXXX-JPを抜き取り、トレイに置く]

研究員: はい。大丈夫です。何度も申し訳ありません。

清水氏: もうやめ、ちが、やめてください。

研究員: 何をですか?

清水氏: この子たちを連れていくのをやめてください。どうして殺す、んですか。

研究員: ……あと3回ほど我慢してください。実は僕も辛いんです。僕も小さいころから虫が好きで。だからこの子たちには長く生きて欲しいと思っています。ただ、申し訳ないのですが、あまり研究がうまく進んでいません。この子たちは、他の子を長生きさせる研究に協力してもらいます。

清水氏: [沈黙]

研究員: ……はは、信じてもらえていない気がします。まあ、仕方ないですよね。あなたを閉じ込めて、あの子たちを奪っているのは私たちですから。

清水氏: はい。そうだと思います。

研究員: [微笑む] そういえば、これ、差し入れです。僕が若いころの本で申し訳ありません。

[研究員は日焼けした本を手渡す]

清水氏: ……これ。

研究員: 良い本ですよ。寄生虫の図鑑なんですが……なんていうと、はは、みんな嫌がりますけどね。でも私はこの図鑑が大好きで。ぜひ読んでみてください。お気に召すかはわかりませんが、暇を紛らわせるくらいには。

<録音終了>

終了報告書: 本インタビューの後、清水氏によってSCP-XXXX-JPの生育には十分な量のハウスダストが必要であることが示唆されました。これにより、SCP-XXXX-JP個体の生存期間が改善されました。

インタビュー記録-2

対象: 清水氏

インタビュアー: 主任研究員

付記: 本記録はSCP-XXXX-JPの感性評価プロセスに対する影響を確かめる実験の最中に行われた会話の記録です。

<録音開始>

主任研究員: [清水氏が課題を遂行している間、前回までの実験結果に関する資料に目を通している]

清水氏: いつもの人は。

主任研究員: [資料から目を逸らさず] ああ、あれですか。あれは担当から外しました。

清水氏: [作業の手が一瞬止まる]

主任研究員: 集中を。

清水氏: [無言で作業を続け、6分後すべての課題を終える。主任研究員は結果の確認をする。]

主任研究員: [ため息] 結果にブレがありますね。

清水氏: ごめ、ちが、申し訳あ――

主任研究員: 適材適所ですよ。

清水氏: 適材適――

主任研究員: テキザイテキショ、わかりますか。人には得意なことと、苦手なことがありますね。適材適所というのは、苦手な仕事ではなくて、得意な仕事をやってもらうと――

清水氏: あの、知ってます。

主任研究員: [ため息] あれはその虫に変な情を持っていまして、おかげで行うべき実験が行われず、研究が遅れてしまいました。そういう人間は、この場所には適さないのです。ですから外れてもらいました。清水様にはご迷惑をおかけします。研究が長引けばここに居て頂く期間も――

清水氏: それなら、どこにあの人は行くん、ですか?

主任研究員: [ペンを鳴らし、書類に視線を落とす。] もちろん、彼に適したところへ。

清水氏: それはどこ――

主任研究員: さあ。私の知るところではありません。それを見つけるのは彼の責任でしょう。

清水氏: [沈黙]

<録音終了>

終了報告書: 本会話後、前回までの担当研究員の復帰を交換条件に、清水氏からSCP-XXXX-JPの繁殖方法について情報提供の申し出がありました。

インタビュー記録-3

対象: 清水氏

インタビュアー: 研究員

付記: 省略部分での語りにおいて、研究員は相槌を打つことに専念し、会話の修正を試みていません。

<記録開始>

<冗長部分省略>

研究員: それでは、蚊が中間宿主ということですか。

清水氏: はい。普通のハリガネムシはカゲロウとかですが、人間は虫食べないから、直接刺せるようになったんだと思、います。ボウフラが水にいるときに入ってシストになって、あ、シストというは――

<冗長な内容が多いため省略>

研究員: なるほど。情報提供ありがとうございます。助かりました。これで彼らに合った環境を用意することができそうです。

清水氏: よかったです。

研究員: 一つお尋ねしてもいいですか。

清水氏: [沈黙]

研究員: ……どうして僕を助けてくれたんですか?

清水氏: 私もあの図鑑を好きだからです。あの図鑑の話がしたかったから。

研究員: あ、読んでくださったんですね、ありが――

清水氏: いや、ちが、あー、えー

研究員: [沈黙]

清水氏: 子供の時にすでに読みました。だから読んでな、いません。

研究員: [微笑む] そうだったんですね。では、どの虫が好きだったんですか?

清水氏: あ、えー、おじいちゃんが買ってきて――

<図鑑の内容に関する会話が続くため省略。会話が派生して、SCP-XXXX-JPと清水氏の関係に及ぶ>

清水氏: お風呂が嫌で。入らなきゃいけないのはわかってるんですけども。でも、この子たちが来てからは、お風呂に入りたくなって。それで、店長に怒られることもなくなっ、ちが、なりました。

研究員: [頷く]

清水氏: だからこれ以上取らないで、ください。

研究員: 本当なら、清水さんにはすべてを忘れてもらって、この子たちともお別れしてもらう必要があります。

清水氏: [立ち上がる] やめろ!

研究員: [微笑む] 大丈夫ですよ。10日待ってください。それまでに、清水さんを飼育員として雇えるようにしておきます。

清水氏: 本当ですか。

研究員: はい。清水さんはこの子たちに詳しいですから。きっと認められますよ。

清水氏: それは、よかったです。[ゆっくりと着席する]

研究員: そうですね、清水さんが詳しいということを証明するために、もう少しこの子たちについて教えてもらえますか。

清水氏: わかりました。

<録音終了>

終了報告書: この後の一連の証言により、清水氏に寄生した個体群の肥大化は食用昆虫の粉末を用いた栄養状態の管理によるものであることが判明しました。その他にもいくつかのSCP-XXXX-JPの生態に関する知見が得られました。本インタビューをもって、清水氏の持つ有用な情報はすべて得られたと判断されました。

注記: 以上の一連の記録は個人の心理的特性にあわせた尋問方法の有用性を示す一事例として保存されています。本尋問から得られた情報によって、オブジェクトの安定的飼育のために通常必要な維持・研究コストは事前の見積もりから約40%減少しました。この見積りには、清水氏の読書経験を含めた広範な個人的記録を調査するためのコストも含まれています。安定的飼育法の確立後、清水氏はオブジェクトについて記憶処理されたうえで解放されました。


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