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k-calが主に批評で使う語のリストです。書いてあることは私見です。よく出る指摘のわりに文章量が多いものはここに詳しく書いておくので、参照をお願いします。

テンプレ的

「テンプレ的」というのはどういった状態でしょうか。

例えば、異常性でいえば「人を何かに変化させる」。展開でいえば「誘惑に負けて死者に会ってしまう」。そういった、SCP作品を問わず多くの作品で見かける設定や展開を、私たちはテンプレと呼びます。そうして、読んだ時点でその「テンプレ」を感じさせ、「ありきたり」と感じさせる作品のことを、「テンプレ的」と評価します。

テンプレ的な作品は次のような問題を抱えています。

  1. 展開の先が読め、ドキドキ感や驚きがない
  2. いかなるメッセージ性も薄っぺらく感じる
  3. ありきたりで、読者に新たに与えるものがない

すなわち、「テンプレ的=面白くない」と考えて頂いて構わないでしょう。

これらの評価を受けたときは、次のような解決策が考えられます。

  1. テンプレからずらしてテンプレを感じさせない:新奇化
  2. 大枠はテンプレを踏襲しつつ、細部にオリジナリティを付加する:独自化(具体化)

ここからは次のようなオブジェクトを想定して、これらの解決策のイメージについて説明していきます。

例題オブジェクト
異常性: 飲むと鳥になる薬。(テンプレ:人が何かになる, 魔法の薬)
バックストーリー: 病気の少年が願ったらいつの間にか枕元に置いてあった。それを飲んで少年は鳥になり、どこかへ飛んで行った。(テンプレ:不幸な子供の願い→願いが叶って幸せになる/不幸になる)


1.新奇化

新奇化は最も単純でパワフルな解決法です。そもそもテンプレから外れてしまうことで、テンプレを(当然ですが)感じさせない方法です。

例えば、例題オブジェクトの異常性。これは「人が何かになる」というありがちなタイプの異常性になってしまっていますが、それなら人でなくしてしまえばいいわけです。置き換える対象は新しく奇妙であった方がよいでしょう。例えば、「VRゴーグルに振りかけると鳥になる薬」など。「魔法の薬」もありきたりだというのなら、「VRゴーグルにかけると鳥になる中濃ソース」にしてみましょう。

バックストーリーについても同様に、「めちゃくちゃムキムキなハトが願ったら、八百屋のオジサンがくれた」などにできます。すると、例題オブジェクトは次のようになるでしょうか。

例題オブジェクト - 新奇化([]内は置き換え箇所
異常性: VRゴーグルに振りかけると鳥になる中濃ソース。(テンプレ:[人]が何かになる, 魔法の[薬])
バックストーリー: めちゃくちゃムキムキなハトが願ったら、八百屋のオジサンがくれた。ハトはそれを使って大統領になった。(テンプレ:[不幸]な[子供]の願い→願いが叶って幸せになる/不幸になる)

ここまで聞くと簡単に聞こえますが、ここで重要な規則を三点導入します。

  1. 要素をなるべく具体化する。
  2. すべての要素は展開に関わるか、何らかの仕方で合理的に結びつく
  3. 納得感を損なわない(特にオチ)

規則①ですが、これは単純に新しさを保証するための規則です。抽象的なものは題材として被りやすいため、より小さな(より具体的な)概念を要素として採用するように心がけましょう。

つまり、「人」を何かに置き換えるとき、「動物」よりも「猫」がよく、「猫」より「ロシアンブルー」がよく、「ロシアンブルー」より「お隣の田中さんが飼っているロシアンブルー」が(当然ですが)よいわけです。それだけ被る確率は少なくなり、テンプレ感も減少します。

それではどうしてすべての記事が「お隣の田中さんが飼っているロシアンブルー」を採用していないのでしょうか、それは規則②に関連します。

規則②は最も厳しく、最も重要な規則です。すなわち、記事全体を通してすべての要素が「その要素でなくては果たせない仕事」を果たさなくてはならないのです。具体化すればするほど「その要素でなければいけない」(より抽象的な要素では不十分である)ことを示すために必要な労力は大きくなります。

例えば先ほどの「VRゴーグルにかけると鳥になる中濃ソース」という例であれば、「VRゴーグルじゃなくて電子機器なら何でもよくないか?」「ソースじゃなくてただの液体でもこの記事成立しない?」と思わせてはいけません。結局そういった風に抽象化が可能な記事は、「テンプレ通りの記事」と何も変わらないからです。記事を読んだ読者が、「ああ、これはVRゴーグルと中濃ソースじゃなきゃ成立しないな」と思えなくてはいけません。

そういう視点を持つと、「むちゃくちゃムキムキなハト」「お隣の田中さんの飼っているロシアンブルー」が如何に使いにくいかがわかっていただけると思います。「このオブジェクトは加藤さんじゃなくて田中さんのロシアンブルーじゃなきゃ話が成立しない!」とはほとんどの場合言えないでしょう。

また一見バラバラに見えた要素が一つのバックストーリーや一つの概念によって結び付けられるというケースもあり、例えば「苦み」、「糞」、「粉砕」という要素は一見バラバラですが、「コーヒー豆」という一つの概念によって結び付けられます。ミステリなども一見バラバラに見えた繋がらない要素が、犯人の犯行手順というバックストーリーによってつながっていくわけです。

これがしっかりとできている例はSCP-1406-JPでしょう。それぞれの要素がしっかりと生きています。多少の抽象化は可能ですが、テンプレ的なところまでは後退しません。

規則③は最後の仕上げです。新奇性ばかりを意識すると、なんとなくまとまりを失ったり、展開がご都合主義的になったりします。特に展開については、具体的な要素を繋げようとするあまり突拍子のないバックストーリーになってしまいリアリティが損なわれたり、展開自体に新奇性を出して無理にオチをハッピーエンドをバッドエンドに変えたりというケースがあり得ます。特にオチを変えるケースですが、無理にオチを変えると納得感が減少してしまい、ご都合主義的印象を与えてしまいます。オチを変えるならば、伏線を丁寧に貼り、「なぜテンプレ通りのエンドにならずこのエンドになるのか」を読者がすっと納得できるようにしておく必要があります。

異常性や登場人物の思想・心情はこの新奇化が使いやすいポイントです。特に登場人物は「その人にしかない人生」があり、結果としてその人生の凝縮としての「その人にしかない思想・心情」があるはずです。同じ「人を救う」という判断でも、「人を救いたいから(正義感)」というのはテンプレ的で薄っぺらく、「人を救わなければ死んだポチが天国で殺戮の限りを尽くしてしまうから」は新奇的で魅力的です(もちろん新奇的なだけ、規則②の適用が難しくなりますが)。特にTaleを書く場合はこの思想・心情の新奇化は重要でしょう。


2.独自化(具体化)

独自化(具体化)はテンプレからの逸脱を目指しません。代わりにテンプレの抽象的な要素を十分に独自の(
(他の記事で使われていない)要素に具体化することで、テンプレ臭さからの脱却を狙います。

例えばアクション映画などはほとんど「主人公が危機に遭うが何とか敵を倒す」というテンプレです。それを展開の工夫とこの独自化で魅力的にしているのです。例えばスピードという映画は「危機」という抽象的な要素を「自足80 kmを下回ると爆発するバス」という「他の映画にはなく(独自)」「具体的」な要素に置き換えています。

実際に適用してみましょう。

例題オブジェクト - 独自化・具体化([]は独自化・具体化部分)
異常性: ボディビルが飲むと鷺になる葛根湯。(テンプレ:[人]が[何か]になる, 魔法の[薬])
バックストーリー: 両親を交通事故で失い猫と一緒に暮らしていた少年が願ったら、いつの間にか枕元に置いてあった。それを飲んで少年は鳥になり、どこかへ飛んで行った。(テンプレ:[不幸な子供]の願い→願いが叶って幸せになる/不幸になる)

それぞれの項目がテンプレから逸脱せず、あくまで抽象的なものの範囲を限定し、具体化したものだということがわかっていただけると思います。

具体化・独自化に関する規則は次の通りです。

  1. 要素をなるべく具体化する。
  2. すべての要素は展開に関わるか、何らかの仕方で合理的に結びつく
  3. 納得感を損なわない(特にオチ)

つまり、「新奇化」と本質的には同じです。規則②が重要なのも、「新奇化」と同様です。

敢えて二つを分けて述べたのは、「テンプレから無理にずらさずとも、具体的にすることで解決できることがある」ということを強調するためです。

付け加えるとすれば、「可能な限りよくある設定は避ける」ということです。特に人物のバックグラウンドについてはよくある設定に逃げてしまうことがよくあるのですが(「両親を亡くした」のみなど)それだけでは新しいテンプレの罠にはまっただけであり、十分に具体化できていません。

具体化は特に展開のテンプレ感を取り除くために使えます。いかなるテンプレ的な展開も、状況や登場人物を具体化し、独自化することによって大枠の展開はそのままに魅力的なものに変えることができるポテンシャルを持ちます。

基本的には以上の二つの戦略を使って「テンプレ感」を消していくことが目標になるでしょう。


諦: やめる

慣れないうちは「やりつくされた異常性」や「やりつくされた展開」を「新しい」と思い込んで採用してしまうことが多々あります。

特に壮大な記事や財団世界を掘り下げる記事はその典型です。kクラスシナリオの真実、「青い、青い空」についての何かしら、記憶処理剤について、Dクラスについて……大抵のことは財団ですでにやられているか、星新一がすでにやっています。そうして毎年こういった記事は大量に投稿され、そして消えていきます。

そういった記事を書くなとは決して言いませんが、それにこだわることは酷い苦しみを伴うはずです。それは、アイデアが新しくないだけではなく、壮大な記事は往々にしてその壮大さに応じたいくつもの執筆スキルを要求するからです。

それならば、一旦批評に出して反応が芳しくなかった場合、その壮大なアイデアは安定してよい記事が書けるようになるまで置いておく方が良い場合もあります。


邪: 無理やり物語のテクニックで持っていく

候補には挙げませんでしたが、物語的な記事を書く場合、サスペンスや対立などを用いることで読者を惹きつけ、そのテンプレ感を誤魔化す方法があります。
ただ、そもそもそこまで緻密に物語を組むこととそれなりに高度なテクニックを要する話(そして物語のテクニックはこの項で語るべきことではない)なので、詳しくは述べません。


注:テンプレについて

テンプレというのはSCPを書きだした当初はよくわからないものですが、多くの低評価/高評価を問わない記事を読み続けることで何となくわかってくるものです。
ですので、テンプレ的という指摘を受けたときにどこがテンプレ的かわからない場合は「どんなテンプレを想起したか」を尋ねておくと、改稿に役立つかもしれません。




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