Alex Thorley Hungers For a Bagel

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出典: Alex Thorley Hungers For a Bagel
著者: JakdragonXJakdragonX
作成日(EN): 2022/04/28
Alex Thorley Hungers For a Bagel
アレックス・ソーリーはベーグルに飢える
タグ: en tale アレックス・ソーリー 非現実部門

出典: Alex Thorley Hungers For a Bagel (rev. 32)
著者: JakdragonXJakdragonX
作成日(EN): 2022/04/28


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I'm hungry.

腹が減った。

What a bizarre thought. Ever had one of those? Something utterly random. Inexplicable even — like one moment you're fine, and then suddenly you catch yourself thinking nonsense thoughts until you realize how stupid you sound.

なんて突飛な考えだ。今までそんな考えを抱いたことあったか? 完全な思いつき。何なら不可解でさえある — まるで、ある時点では平常だったのに、唐突にナンセンスな考えが浮かんで、自分がいかに馬鹿げているか気付くまで抱き続けるような感じだ。

Is any of this making sense? I hope so. But I'm still hungry. Extremely hungry, even. I wonder if I should order something now? Or… no, maybe I'll wait until later? Actually, I shouldn't do that. Not unless I was doing something really important.

それに何か意味があるのか? 私はあると思いたい。しかし、依然として腹は空いている。極めて空いているくらいだ。今すぐに何か頼むべきだろうか? あるいは…… いや、もう少し待ったほうがいいか? 実のところ、その選択肢は取るべきではない。私が何か、よっぽど重要なことにでも取り組んでいない限りは。

But, of course, I'm not really doing anything at all. This room's been empty since I got here. Still not for sure why though, I wasn't ever given an explanation for it. Even if someone could explain, I’m not really worried. It's not like I got lost in some janitor's closet or something. Site-19 has plenty of people in it, I'm sure someone would've said something by now if I was anywhere but where I’m supposed to be.

しかし当然ながら、私は全く何にも取り組んでいない。この部屋は、私がここに来た時からずっと無人だ。どうしてかは未だによく分からない、何の説明も受けていないからだ。もっとも、たとえ誰かが説明してくれたとしても、私は別に気に掛けない。どこかの守衛室に迷い込んだとか、そういうわけでもないしな。サイト-19には大勢の人がいるのだから、もし私がいるべきでない場所にいるのなら、今ごろ誰かが何か言ってきているはずだ。

But no, this is right. I can feel it. Oh, speaking of feeling things: I'm still hungry. Maybe it's time that I ordered something. But what should I order?

しかしそうではない、これで合っている。そんな感じがする。おっと、感じるといえば、私は腹が減っていたんだった。そろそろ何か頼むべきかもしれない。けど、何を頼んだらいい?

A bagel.

ベーグル

I— wait… who said that? That didn't sound like me. But I guess that also implies that I know what I sound like. And who really knows that, right?

そう — 待て…… 今のは誰が言った? 私の声とは違ったぞ。しかし、それはつまり、私の声がどういうふうに聞こえるか知っているということでもあるんじゃないか。そして、誰がそんなことを知っているというんだろう?

I'm getting side-tracked again. I need to make a call.

また話が脱線しつつある。とにかく電話をかけなければ。

I pull my phone out and begin to dial. But I'm not really sure who I'm dialing for. Hopefully it doesn't matter. Just tapping digits… one by one. And then it rings.

私は携帯を取り出し、電話番号を入力し始める。しかし、誰に電話を掛けようとしてるのかはよく分かっていない。願わくば、誰に掛けようが問題なければいいんだが。ただひたすらに数字をタップする…… 一つ、また一つと。そして電話が鳴った。

Ring…! Ring…! Ring…! Ring…!

プルルル……! プルルル……! プルルル……! プルルル……!

Oh, come on — don't tell me I picked the wrong number again.

おいおい — まさかまた電話番号を間違えたんじゃないだろうな。

Ring—! "Hello? How can I help you?"

プルル……!「もしもし? ご用件は?」

"Hi. Do you sell bagels?"

「どうも。ベーグルは販売されていますか?」

Click!

プツッ!

Oh. That's unfortunate. Maybe they don't sell them after all? I should probably try again.

ああ。ツイてない。もしかして、そもそもベーグルは売ってないのか? もう一度確かめるべきか。

Ring…! Ring—! "Hello? How can I help you today?"

プルルル……! プルル —!「もしもし? 本日はどのようなご用件でしょうか?」

"Do you sell bagels?"

「ベーグルは販売されていますか?」

He's been silent for a while now. I wonder if he's looking to see if they have them.

相手の男がしばらく沈黙する。ベーグルがあるか確認しているのだろうか。

"No, but we sell donuts. Is that okay?"

「いいえ、ですがドーナツであれば販売しております。そちらでもよろしいでしょうか?」

"Yeah, that's fine. I'll be there soon."

「ええ、構いません。すぐに向かいます」

It's not really fine, but he asks for my name and tells me to come by anyway. Guess that means it's time to leave. I'm not sure how to do that though. There are no doors anywhere. They're just gone. Maybe I can find a window somewhere instead. Or a skylight. Do you think ground lights exist? I think those would be neat. I'm sure they'd serve a purpose somewhere. But don't ask me about it. I just think they'd be cool to have around.

本当は構うのだが、彼は私の名前を尋ね、とにかくここまで立ち寄るよう告げた。そろそろ帰るべきなんだろうか。けど、どうやって帰ったらいいのか分からない。どこにもドアがないんだ。先ほど無くなってしまった。もしかしたら、どこかに窓があるのかもしれない。それか天窓が。地上照明って存在すると思うか? 私としては、存在したなら素敵だろうなと思う。きっとどこかで役に立つはずだ。いやまあ、これ以上は私に訊かないでほしい。ただ身近にあったらクールだなって思っただけだ。

I manage to walk out of the room. The exit wasn't very far, even if I had to walk a few minutes to reach it.

私は何とか部屋から抜け出す。出口まではそこまで遠くなかった。仮に徒歩で数分かかったとしてもそう思っていただろうな。

I'm doing that thing again — maybe it's really time to leave.

また同じことをしつつある — 本当にそろそろ帰るべきなのかもしれない。


Do you think your feet know that you're walking? I'm sure they're at least somewhat aware of it. One foot in front of the other, stepping on-and-on. Like little toy soldiers, even. The thought makes me happy.

あなたが歩いている時、両足はそのことを知っていると思うだろうか? 少なくとも、幾分かは認識しているはずじゃないか。片方の足がもう一方の前に出て、どんどんステップを踏んでいく。小さな玩具の兵隊みたいだとも言える。そう考えると幸せに感じる。

I don't know where I'm walking to. I never did get the name. I'm hoping it's nearby somewhere — I can't imagine what I'd do if it wasn't. Maybe walk some more, actually. I think it's good for you.

私はどこへ歩いているのか分からずにいる。名称が聞き取れなかったんだ。この近くにあると信じたい — そうでなかったら、私はどうすればいいのか想像もつかない。実際、もっと歩く羽目になるかもしれない。それが体に良いことだとは思う。

There are some people nearby. A mother and her child. They're walking up to me now.

近くに何人かいる。母親とその子供だ。2人は私の方へ歩いている。

"Hi."

「どうも」

The little girl smiles at me and waves. She looks like her Mom.

少女が私に微笑み、手を振る。彼女は母親と瓜二つだ。

"Hello, stranger."

「こんにちは、知らない人」

I smile back and wave too. We do that for a little while actually. Just waving. Though I don't think her Mom likes me much. She just keeps staring at me like she's seen a ghost. She looks like a ghost too. Tiny, frail, and pale all over. The girl smiles at me some more before her Mom ushers her to walk away. I think they look like a happy family.

私も微笑み、手を振り返す。実際、少しの間私たちはそうしていた。ただ手を振り合っていた。しかし、どうも彼女の母親は私のことをあまり好いていないと見えた。少女はまるで幽霊でも見るかのように、私を見つめ続けている。そういう少女も幽霊のようだ。小さくて、弱々しくて、全身が青白い。少女はまた私に微笑み、母親に促されて去っていった。幸せそうな家族だと思う。

I wonder what that feels like… maybe I should make another call.

ああいうのは一体どんな感じがするんだろう…… じゃない、また電話を掛け直すべきかもしれないな。

Oh, I'm walking inside now. It smells cozy. I think I'm in the right place. There's another lady standing behind a countertop. She's a blonde like me. Does that make us friends?

おっと、今室内に入った。居心地の良い香りがする。きっとここが正しい場所なのだろう。カウンターの向こうに別の女性が立っている。私と同じ金髪だ。友達になれるだろうか?

"Hi, can I help you?"

「どうも、ご用件は?」

She's smiling. It's all big and wide, the type of smile you give to special customers. I feel like a special customer. There's something about the walls that makes me itch with joy.

彼女は微笑んでいる。満面の笑み、特別なお客様に見せるような笑顔だ。私はまるで特別なお客様になったかのように感じる。壁に貼ってあるものを見て、私は喜びでうずうずした。

"I ordered a donut."

「ドーナツを注文した者です」

"Oh, what's your name?"

「そうでしたか、お名前は?」

It takes me a second to remember. Is that a bad thing? I think it's okay if we forget things sometimes. Even if it's probably important not to. It just kind of happens. Strange how things work — but I manage to remind myself regardless.

思い出すのに1秒かかる。何か悪いか? 私としては、人は時々物忘れをしてもいいと思う。たとえ、忘れないことが重要であるとしてもだ。そういうのがよくあるだけ。奇妙な話だが — それでも私は何とか思い出す。

"Alex Thorley."

「アレックス・ソーリーです」

"I'm sorry, who?"

「すみません、どなたですか?」

She tells me that there are no orders with that name. I try telling her it's okay. She smiles at me again before offering a bagel. I think it's maybe her bagel. One that she was reserving for herself. I take it and thank her, but she seems to have already forgotten who I was.

彼女はそんな名義の注文は受けていないと告げる。私は大丈夫だと彼女に伝えようとする。彼女は再び微笑み、ベーグルを1つ差し出した。思えば、それは彼女のベーグルだったかもしれない。彼女が自分自身のために取っておいたものかも。私はそれを受け取って彼女に礼を述べたが、彼女は既に私が誰なのかを忘れているようだった。

At least the bagel still tastes good.

少なくとも、ベーグルが美味いのは変わりない。











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腹が減った。

なんて突飛な考えだ。今までそんな考えを抱いたことあったか? 完全に無作為なもの。何なら不可解でさえある — まるで、ある時点では平常だったのに、唐突にナンセンスな考えが浮かんで、自分がいかに馬鹿げているか気付くまでそれを続けるような。

それが何か意味を成すのか? 私は成すと思いたい。しかし、依然として腹は空いている。極めて空いているくらいだ。今すぐに何か頼むべきだろうか? あるいは…… いや、もう少し待ったほうがいいか? 実のところ、その選択肢は取るべきではない。私が何か、よっぽど重要なことにでも取り組んでいない限りは。

しかし当然ながら、私は全く何にも取り組んでいない。この部屋は私がここに来た時からずっと無人だ。どうしてかは未だによく分からない、何の説明も受けていないからだ。もっとも、たとえ誰かが説明してくれたとしても、私は別に気に掛けない。どこかの清掃用クローゼットに迷い込んだとか、そういうわけでもないしな。サイト-19には大勢の人がいるのだから、もしここが私のいるべき場所でないのなら、今ごろ誰かが何か言ってきているはずだ。

しかしそうではない、これで合っている。そんな感じがする。おっと、感じるといえば、私は腹が減っていたんだった。そろそろ何か頼むべきかもしれない。けど、何を頼んだらいい?

ベーグル

そう — 待て…… 今のは誰が言った? 私の声とは違ったぞ。しかし、それはつまり、私の声がどういうふうに聞こえるか知っているということでもあるんじゃないか。そして、誰がそんなことを知っているというんだろう?

また話が脱線しつつある。とにかく電話をかけなければ。

私は携帯を取り出し、電話番号を入力し始める。しかし、誰に電話を掛けようとしてるのかはよく分かっていない。願わくば、誰に掛けようが問題なければいいんだが。ただひたすらに数字をタップする…… 一つ、また一つと。そして電話が鳴った。

プルルル……! プルルル……! プルルル……! プルルル……!

おいおい — まさかまた電話番号を間違えたんじゃないだろうな。

プルル……!「もしもし? ご用件は?」

「どうも。ベーグルは販売されていますか?」

プツッ!

ああ。ツイてない。もしかして、そもそもベーグルは売ってないのか? もう一度確かめるべきか。

プルルル……! プルル —!「もしもし? 本日はどのようなご用件でしょうか?」

「ベーグルは販売されていますか?」

相手の男がしばらく沈黙する。ベーグルがあるか確認しているのだろうか。

「いいえ、ですがドーナツであれば販売しております。そちらでもよろしいでしょうか?」

「ええ、構いません。すぐに向かいます」

本当は構うのだが、彼は私の名前を尋ね、とにかくここまで立ち寄るよう告げた。そろそろ帰るべきなんだろうか。けど、どうやって帰ったらいいのか分からない。どこにもドアがないんだ。先ほど無くなってしまった。もしかしたら、どこかに代わりとなる窓が見つかるかもしれない。それか天窓が。地上照明って存在すると思うか? 私としては、存在したなら素敵だろうなと思う。きっとどこかで役に立つはずだ。いやまあ、これ以上は私に訊かないでほしい。ただ身近にあったらクールだなって思っただけだ。

私は何とか部屋から抜け出す。出口まではそれほど遠くなかった。仮に徒歩で数分かかったとしてもそう思っていただろうな。

また同じことをしつつある — 本当にそろそろ帰るべきなのかもしれない。


あなたが歩いている時、両足はそのことを知っていると思うだろうか? 少なくとも、幾分かは認識しているはずではないか。片方の足がもう一方の前に出て、どんどんステップを踏んでいく。小さな玩具の兵隊みたいだとも言える。そう考えると幸せに感じる。

私はどこへ歩いているのか分からずにいる。名称が聞き取れなかったんだ。この近くにあると信じたい — そうでなかったら、私はどうすればいいのか想像もつかない。実際、もっと歩く羽目になるかもしれない。それが体に良いことだとは思う。

近くに何人かいる。母親とその子供だ。2人は私の方へ歩いている。

「どうも」

少女が私に微笑み、手を振る。彼女は母親と瓜二つだ。

「こんにちは、知らない人」

私も微笑み、手を振り返す。実際、少しの間私たちはそうしていた。ただ手を振り合っていた。しかし、どうも彼女の母親は私のことをあまり好いていないと見えた。少女はまるで幽霊でも見るかのように、私を見つめ続けている。そういう少女も幽霊のようだ。小さくて、弱々しくて、全身が青白い。少女はまた私に微笑み、母親に促されて去っていった。幸せそうな家族だと思う。

ああいうのは一体どんな感じが…… また電話を掛け直すべきかもしれないな。

おっと、今室内に入った。居心地の良い香りがする。きっとここが正しい場所なのだろう。カウンターの向こうに別の女性が立っている。私と同じ金髪だ。友達になれるだろうか?

「どうも、ご用件は?」

彼女は微笑んでいる。満面の笑み、特別なお客様に見せるような笑顔だ。私はまるで特別なお客様になったかのように感じる。壁にあるものを見て、私は喜びでうずうずした。

「ドーナツを注文した者です」

「そうでしたか、お名前は?」

思い出すのに1秒かかる。何か悪いか? 私としては、人は時々物忘れをしても良いと思う。たとえ、忘れないことが重要であるとしてもだ。そういうのが起こるだけ。物事の仕組みというのは奇妙だが — それでも私は何とか思い出す。

「アレックス・ソーリーです」

「すみません、どなたですか?」

彼女はそんな名義の注文は受けていないと告げた。私は大丈夫だと彼女に伝えてみた。彼女は再び微笑み、ベーグルを1つ差し出した。思えば、それは彼女のベーグルだったのかもしれない。彼女が自分のために取っておいたものだったのかも。私はそれを受け取って彼女に礼を述べたが、彼女は既に私が誰なのかを忘れているようだった。

少なくとも、ベーグルが美味いのは変わりない。


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