拾い食いはいけません

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ごくごくたまにある非番の日にAgt.西塔がオフィスルームに足を運んだのは、彼女が勤勉な財団職員であるという理由からではない。
ただ単に、「明日は非番だしちょっとぐらい贅沢しちゃおっと」というレベルの思い付きが、購買部のもの好きが仕入れたフィンランディア、それと敬愛すべき局長代理殿の潤沢なクレジットとデスクの底に隠してあった本場ロシアのウォッカによって盛大に花開き、その代償として盛大な二日酔いを味わいながら自身のデスクにしまった常備薬を取りに来たのである。

普段の3割増しのドスを利かせながら、珍しく無人のオフィスにある自身のデスク、書類城砦へ凱旋する西塔の目に、ふとあるものが目に入る。
応接用のガラス製テーブルの上に置かれている、プラスチックカップに入ったミルクブラウンの液体。中にはコロコロと黒い粒が揺蕩う。

タピオカミルクティー。

酒精の分解で酷使された西塔の体は水分と糖分を限りなく欲していた。
そして目の前には水分×糖分=破壊力、のような代物。
カップに西塔の手が伸びストローをかなぐり捨て、がぱがぱと中身を胃の腑に収めるまで10秒とかからなかった。

西塔が座り込んだ来客用ソファからカップをデスク向こうに放り投げ一息ついた直後、オフィス入口の扉が開く。黒いジャンパーに煙草の匂いを染みつかせた男、Agt.差前が廊下からのそのそと顔を出す。
珍しい客じゃねぇか、声をかける西塔に対して差前は無言でその顔をじっと見つめてきた。

んだよ、と西塔が口に出しかけた瞬間、差前は突如顔を青ざめさせ
「西塔よォ…この辺で黒い粒の入ったカップ見なかったか?」
と聞いた。
背筋にうすら寒いものを感じつつ、黒い粒?と聞き返し様子を見る西塔に
「あれ中身、仕事道具用に偽装した純ナトリウムでよ…無くすとかなりマズイんだよー!」
大の男がオイオイと泣き始め、呆気にとられる西塔だが
「あの粒が間違って体内にでも入ろうものなら!外側の被膜が溶けて内臓がドン!ってなっちまう!ンなもん無くしたら減給じゃ済まねえ!」
今度は西塔が青ざめる番であった。

「最後に寄ったのがここだからあると思ったんだが、ホントに何か知らねぇか?」
知らねえよ、と白を切る西塔に
「被膜は胃に入ってから10分しか保たねえし…頼む!西塔!手伝ってくれ!」
差前が両手を合わせ頭を下げるころには、西塔はその横をすり抜け一目散に医務局へと走りだしていた。

財団サイト-81██医務局報
来局者名:西塔道香
来局内容:早急な胃内容物の除去
実施処置:レントゲンによる胃内容物の確認後、胃洗浄とチューブ吸入による除去を実施。内容物は単なるタピオカと判明
コメント:散々購買で並んで買ったのを勝手に飲みやがったからからかっただけですよ先生 _A.差前
     そんなことで我々の仕事を増やさないでください _倉石医務局員
追記:当該治療の費用はAgt.差前の給料より差し引かれました。

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