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アイテム番号: SCP-2000-JP
オブジェクトクラス: Apollyon
特別収容プロトコル: アメリカ合衆国ハラク島(6°12'09.3"N 104°51'53.1"W)を中央とした半径50kmの海域は、アメリカ海軍の協力のもと火山活動の活発化をカバーストーリーとした進入禁止区域を設けています。財団の承認のない侵入の試みが行われた場合、身柄を確保して警察機関へと引き渡しを行います。
SCP-2000-JPの存在領域を包括する、エリア2000-JPが建設されました。SCP-2000-JPへの収容手順の不履行を引き起こす事態を未然に防ぐため、エリア2000-JPは人為的か否かに問わずあらゆる脅威への防衛システムが最優先で実装されます。
SCP-2000-JPは、SCP-2000-JPを中央とする10m四方の床面積と5mの高さを有する可動収容室内に位置しています。収容手順の実施時を除く可動収容室内への侵入は禁止されており、違反した職員には解雇処分が言い渡されます。可動収容室は壁および天井が床と分離して移動可能な構造を有しており、SCP-2000-JPが歩行を行った場合は上記の位置関係を維持するように壁と天井を移動させます。
SCP-2000-JPの精神影響に対する処置は機動部隊ガンマ-5 ("燻製ニシンの虚偽")が担っており、ハラク島の神格実体"ヤラー=アカー"に関する情報を起因としたインシデントへの適切な処置を行います。
1日につき最低でも50名のDクラス職員をSCP-2000-JPに接触させてください。担当職員は下記の異常性を考慮した上で、接触のタイムラインを作成してください。現在の手順は最長で5年以内に破綻すると想定されています。代替の収容手順が考案中です。
説明: SCP-2000-JPはアメリカ合衆国ハラク島に位置する人型実体です。外形は平均的な幼年期の人間に類似していますが、外見的特徴は無く平均約80ルーメンで白色に発光しています。現在まで、SCP-2000-JPのあらゆる生体機能の兆候は確認されておらず、意思疎通も成功していません。また、外力によりSCP-2000-JPの姿勢および位置を変化させる試みも失敗しています。SCP-2000-JPは、地面および床以外の無機物を透過します。
SCP-2000-JPは約10秒に1歩の割合で前面方向へ歩行します。これによりSCP-2000-JPの片足が地面または床に接触するたび、地球上のプレートの一部への突発的な応力の付与を起因とする地震を主とした災害が発生します。各国および財団の観測機関によって災害発生の兆候が確認された例はありませんが、発生した災害は標準偏差の範囲に収まる期間で収束します。これまでに確認されている例において、発生する災害の規模は回数ごとに指数関数的に大きくなっていると推定されています(Fig. 1参照)。対策チーム2000-JPの地質学部門は、発生する災害の規模が人類に対し甚大かつ不可逆的な損害を齎すラインを、約550歩であるとの見積もり結果を提示しました1。本報告書執筆現在において、SCP-2000-JPは511±10歩の歩行を行ったとされています。
SCP-2000-JPと接触した生物には、空間的、時間的、分子的、熱力学的異常が不規則に表れます。発現する異常の生命に対する脅威度は、接触した対象が生物学的にヒトに近いほど顕著に高くなる傾向が観察されています。これまでにおいて、SCP-2000-JPと接触した人間は全て死亡しています。上記の接触が行われると、SCP-2000-JPは一時的に歩行を停止します。生命に対する脅威度と同様に、停止時間は接触した対象が生物学的にヒトに近いほど顕著に長くなる傾向が観察されています。1人の人間が接触した場合、SCP-2000-JPは約30分間停止します。この停止時間は累積されることが判明しています。これらの接触に起因する事象や、生物種の選択性のメカニズムが現在解析中です。
SCP-2000-JPが出現したと推定される時刻から、ハラク島の神格実体"ヤラー=アカー"に対する潜在的な恐怖を抱いたという報告が世界中で確認され始めました。機動部隊プサイ-10("マズローの動機付け")の調査により、同様の精神影響を地球上の全ての人間が罹患していると結論付けられました。この効果による精神的および身体的活動への影響は基本的に小さなものですが、社会的な恐怖を煽る例やハラク島への接近を誘発する例も確認されています。この精神影響は記憶処理により取り除くことが可能だと判明しています。しかし、記憶処理剤の生産速度や副作用の問題2から、広域もしくは全世界の人間を対象とした記憶処理は見送られています。
発見経緯: 1871/11/08、ハラク島民から発光する人に関する通報がアメリカ本土になされました。加えて上記の精神影響との関係性が示唆されたことから財団エージェントが派遣され、SCP-2000-JPの発見に繋がりました。エージェントの到着時点で3名の島民がSCP-2000-JPとの接触により死亡しており、SCP-2000-JPは停止状態にありました。島民へのインタビューにより歩行および接触に関する情報が得られたため、追加で派遣された初期収容チームによりSCP-2000-JPの周囲5mおよび歩行予定経路の簡易的な封鎖が行われました。この封鎖の最中にSCP-2000-JPは歩行を再開しました。初期収容チームが最寄りの財団施設であるサイト-14との協議を行っている間に、世界中のランダムな地点で連続的に地震が発生している現象との関係性が示唆されました。精密な調査によりSCP-2000-JPの歩行と地震発生のタイミングに有意な相関性があることが判明したため、SCP-2000-JPの停止を目的とした現在の収容手順の制定に繋がりました。ハラク島の島民33名はアメリカ本土へ移送され、記憶処理が施されたのち財団の用意した生活環境化へ解放されました。
通達 1875/03/26
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- portal:3272149 (01 Jun 2018 11:03)
物語としてはとても面白く読ませていただきました。
ただ、表現として、過去のバージョンから順番に読ませていくのは、私はあまり好みではありませんでした。
まず、これを報告書としてみた場合の必要性がわかりません。収容手順の報告書であれば、まず最新版が表示され、参考資料として過去のバージョンが示されるはずです。収容担当者は基本的には今のバージョンだけが必要なのであり、過去バージョンを全部読む必要はないからです。
またオブジェクトクラスAppolionは秘匿されるべきクラスであり、過去バージョンだからといってサラリと出てくるべきものではないかなと感じました。収容可能になり報告書も開示できるレベルになった時点で、秘密裏にKeterに改竄されていてもよいと思います。
そして読み方として、リビジョンの変更点が示されているとはいえ、同じ内容の文章が何度も出てくるのは読みづらいです。スマホだとガーっとスクロールして青いところで止める感じでした。
参考になれば。
ご意見ありがとうございます。
Neutralizedの最新版がある状態で過去のバージョンから見せているのではなく、時系列順で最新版として読者は追いかけながら読んでいる、と想定して書いていました。しかし、見返すと全然そういう風になっていなかったため、アップデートの通達の部分の表現を少し変更しました。
Apollyonの隠匿に関しては、上記の通り過去バージョンの参照ではないため、アップデートの通達の部分の表現の変更で対応できたと思います。
読みづらさに関しては申し訳有りません…
部分的な変更を繰り返している都合上、現状の書き方以外の表現が思いつきませんでした。
何か良い案が出ない限りこのままにさせていただきます。
拝読いたしました
全体的な流れは物語として面白いですがいくつかの違和感があります
一つはオブジェクトクラスについてです。
Appolionのクラスは一般的には秘匿されているクラスであり、現状の無力化されたものと併せているとはいえ不可逆の終演の兆しを暫定的にでも残すべきではないと考えます
また4000についての記述にも違和感があります。SCP-4000でジェイパーズ博士が失踪した年代は2013年であり、そこから短い期間で博士が財団に帰還するのであれば相応の理由付けが必要かと考えます。
併せて名辞事象についても名辞そのものがオブジェクトの能力を増減させる以上、大規模な頒布はマザーグース上のモデルになったヤラー・アカーが神格視される事によって、もしくはマザーグースの裏にいる本来のそれが別の単語に置き換えられて実在していたことにされるなどのインシデントの恐れがありかえって影響を増加させる可能性があります。これは非常に大きなリスクであり流布に伴うセーフティを用意する必要があると思います。
ご意見ありがとうございます。
dr_torayaさんへの返信内容と重複するのですが、読者は最新版としてこれらの報告書を時系列順に追いかけている事を想定していました。そのため、ある時点で過去バージョンとなったApollyon時代の報告書には隠蔽工作がなされるかもしれませんが、最新版しか見ていない読者からは判断が付かない、とさせてください
4000に対する研究の目的に、4000の名辞災害の解消が目的という旨の内容を加えました。2000-JPの収容に用いるのは副産物的な研究結果であり、ジェイパーズ博士の帰還に踏み込むと別の作品ができてしまうので必要最低限の記述にとどめます。帰還理由に関しては、1000との協定に加入したことや、森の名辞災害の解消などを仄めかしと考えていただければ幸いです。
マザーグースの流布に関して、段階的に行ったという記述と、模倣子操作によりミームのうち変異に関する因子を抑制したという旨の内容を加えました。
アポリオンは参照用の正確な情報として残しておくべきです。SCP-3999や未訳のSCP-4005など、機密指定されていない記事でもサラッと出てくることはありますし、そもそもアポリオンが秘匿されるべきという考えもよく分かりません。是非冒頭でアポリオンを示し堂々たるフックにしてもらいたいです。
過去バージョンを先に示すことを違和感と言われてしまうと、この形態の記事の全てがおかしいことになってしまうので、きにしなくてもいいでしょう。ただ、冒頭で「過去版を参照してる」のをはっきり示して欲しいです。あるいはノワールボックスの提言のように、最初から全版へのリンクを示すのが良いでしょうか。
ご意見ありがとうございます。
ApollyonのNeutralized化がコンセプトなので、よっぽど破綻しているわけではない限り変更はしないつもりです。
(余談) 一次情報は確認できていないのですが、Dr.Clef氏は隠蔽を目的としてApollyonクラスを用いたそうです。ただ、最終的にその定義づけを本人はあまりよく思わず、結果的に2317はApollyonではなくなったそうですね。http://erimamanus.wikidot.com/non-standard-classes-list
dr_torayaさんとkarkaroff への返信内容と重複するのですが、読んでいる報告書は過去版の参照でなく、最新版として時系列順に追っているという読み方を想定していたため、よりそう見えるように表現を変更しました。ですが、この読み方が伝わりづらく、過去版の参照のほうが受入れやすいようなら変更しようと思います。
私個人はまさに「この形態の記事の全てがおかしい」と思っているので、著者としてこの形態で出したいという思いがあるのでしたら私の意見は気にしないでいただいて結構ですよ。
自分も過去バージョンから読ませる報告書は合理的でないと思っています。なので、この作品は過去バージョンを参照しているのではなく、全て当時の最新版です。作品の中には未来の報告書などがあるように、読者は作品世界の時間の流れに囚われないので、こういう表現も可能ではないかと考えています。
それであれば納得です。
ブラッシュアップした記事が投稿されるのを楽しみにしています。
物語、ギミック共に非常にハイレベルだと思います。
過去版から読み進めていくギミックを「最新版へアップデート」とするのは面白いですが、最初のアップデートが1855年なのを考えると、いくら財団とはいえ19世紀に電子媒体を持っているのか?という疑問が残ってしまいます。メタ的にこれがベターであるのはわかりますが、変なノイズを減らしたいなら過去版を参照していくのが良いかもしれません。
ご意見ありがとうございます。
完全に盲点でした。
ただ、過去版から読ませるというのも、その必要性などを考えると同様にノイズとなりうると思います。
年代を前倒しにできそうか、参考にした作品をもう一度見返しながら考えてみます。
無理そうなら、財団ならその時代でも電子媒体がある と押し通すかもしれません…
追記
発見時期と1度目の更新を20年遅くしました。話の流れからこのあたりが限界かもしれません…