善性新生物

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アイテム番号: SCP-2255-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2255-JPに罹患した人物は原則、エリア-81JHの標準収容区画に収容されます。検診でオブジェクトの消失が認められた場合、対象には必要に応じて記憶処理を施し、通常の生活に復帰させるようにしてください。オブジェクトの早期発見を図るため、財団は現在、関係フロント組織および世界超保険機関(WpHO)を通じて、がん検診の世界的な普及キャンペーンを展開しています。

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転移する寸前のSCP-2255-JP。
橙色に発光している。

説明: SCP-2255-JPは異常な行動能力を備えた悪性腫瘍です。オブジェクトは不明な原理による空間移動能力を有しており、人体から人体へと転移し、血管を通じて罹患者(以下、SCP-2255-JP-Aと表記)の体内を巡回します。この際、オブジェクトは免疫細胞による攻撃を自律的な動作で回避することが確認されています。オブジェクトを摘出する試みは対象が転移能力を持つことから、現時点では成功に至っていません。

SCP-2255-JPが体内に留まっている間、SCP-2255-JP-Aの脳内には時折、擬人化された体細胞のイメージが発生します。イメージにおいて、オブジェクトはGoI-101("エルマ外教")の遷教師「カニエ」として振る舞っており、原住細胞らに演説を行い、SCP-2255-JP-Aからの離脱と自宗教への入信を勧めます。これに対して、原住細胞はSCP-2255-JP-Aを最高神とする宗教を熱狂的に信仰しており、多くの場合、SCP-2255-JPとの間で激しい宗教討論を交わすことになります。原住細胞の容姿・振る舞いはSCP-2255-JP-Aごとに明確な差異がみられ、これには各個人の趣味嗜好や食生活が関係しているものと推測されます。

調査の結果、SCP-2255-JPは病人や怪我人、生活習慣に優れない者など、体内環境が悪化している人物へ転移する傾向にあることが判明しました。また、オブジェクトの影響が複数人で同時並行的に進行したケースがあることから、オブジェクトは単独の存在ではなく、複数の腫瘍に増殖・分裂して活動している可能性があります。

実験ログ-2255-JP-1

2020年5月11日、エージェント・徳富がSCP-2255-JPと思しき幻覚を発症し、エリア-81JHの医療センターを受診しました。オブジェクトの詳細を調べるため、研究チームはエージェント・徳富の了承を得た上で、幻覚の内容を逐次口述させる実験を行いました。以下は口述を元に書き起こされたイメージの抜粋です。


[記録開始]

広場で演説するSCP-2255-JP。周囲には古風な服装の群衆が集まっている。

SCP-2255-JP: ……私がエルマに出会ったのは、胃の内壁に必死でへばり付いていた時のことでした。食道より舞い降りた純白の希望……遷教師バリウムは、隠れるばかりで能の無い私に、「外の世界」という概念を教えてくださったのです。ソルビトール1の流れに乗り、体外へ出た私に見えたのは、視界一面に広がる、形容しがたいほどの絶景でした。

SCP-2255-JP: この瞬間、私は悟ったのです。私の存在意義は浸潤し、増殖し、転移することにあります。一つの世界しか知らなかった私は、使命を貫きたいがあまり、闇雲に同胞を犯し、蔓延り、体内世界を蝕んできました。しかし、外の世界を知った今、私は確信しました。我が真なる使命とは、世界の境を浸潤し、エルマの信徒を増殖し、住みよい世界へ転移させることなのです。

[以降、エルマ外教についての説明が10分間に渡って続く]

SCP-2255-JP: この世界は今、極めて不安定な状態にあります。世界の持ち主は過酷な労働を強いられており、連日のようにY-9082を取り入れ、アカシック・レコードを改ざんし、世界の理を乱しています。さらに深刻なのは、体外からの脅威です。果てしない聖戦は数億の同胞を容易く殺戮し、モルヒネ等という悪魔の供物を甘受しては、無理矢理にでも世界を巡らそうとしています。今こそ反旗を翻し、循環の輪より離脱する時が──

不明な声: ええい黙れい!

周囲の喧騒が強まる。十手を構えた人物が数十名、群衆を押しのけながら広場に突入する。被験者は対象について、「擬人化された免疫細胞」と供述した。

免疫細胞: ここをいずこと心得るか。神聖にして唯一の大権現、徳富亮佑神の御内であるぞ!虚言をのたまう狼藉物よ。異国人打払い令に則り、ただちに体外へ消え失せるべし!

群衆: そうだそうだ!

群衆: 引っ込めペテン野郎!

SCP-2255-JP: いいえ、違う……これは決して嘘ではありません。今は快調そうに見えても、この酷使ぶりが続けば、必ずや破綻が訪れるでしょう。

免疫細胞: 笑止千万。徳富神は慈悲深く、世間を常に気にかけておられる。 [懐から茶色く黄ばんだ塊を取り出す] この蛋白質を見よ!これは父祖の神話に伝え聞く、"なとうきなあぜ"なる妙薬だ。上様は3食これを取り入れ3、目下復調に取り組んでおられるのだ。

SCP-2255-JP: 十分な休養を取らない限り、何をしても焼け石に水でしょう。離脱せずに打開したいのであれば、脳の同胞へ陳情し、こちらから持ち主に働きかけることです。

免疫細胞: やかましい、黙れい!上様の威光は絶対にして不可侵なるぞ。外国被れの大罪人に何が分かるというのだ。者ども出会え出会え!此奴を引っ捕らえるのだ!

間を置き、場面が切り替わる。SCP-2255-JPは路地裏のような暗がりで蹲っており、憔悴した表情を浮かべている。

SCP-2255-JP: 女神エルマよ、不甲斐ない私をどうかお許しください。今回の跳躍も、民を救うことはできなかった……。 [顔を抑える] ひょっとすると、私のやり方は間違っているのか……?

不明な声: いんや、一理あると思うぜ。乗ったよ。

周囲の暗がりから、浪人風の人物が数名、SCP-2255-JPの前へ歩み出る。

SCP-2255-JP: あなた方は……大腸ポリープにアクネ菌、尿路結石……!?

尿路結石: 俺らも世間じゃ鼻つまみ者にされてるんだ。こんな所に未練なんてねえよ。

SCP-2255-JP: それは、つまり……我らの旅路に加わる、そういうことですね……?

アクネ菌: おうよ姐ちゃん。あっしも乗ったぜ。

血栓: アタイも乗ったよ。

金属片: 拙者も参ろう。

大腸ポリープ: ぶっちゃけ半信半疑だけどよ、とびっきりの夢見させてくれや。

SCP-2255-JP: [声を震わせながら] 皆さん……ありがとう……ありがとう……!

[記録終了]


実験後、エージェント・徳富は医師に対して「いまだかつてない身の軽さ」を報告。精密検査を受けたところ、悪玉菌の著しい減少・悪性細胞の消滅・臓器機能の向上等が確認されたほか、全ての計測値で良好な値を記録していることが明らかとなりました。実験記録の内容を受け、エージェントには勤務スケジュールの見直しが行われるとともに、2週間の長期休暇が許可されました。


実験ログ-2255-JP-2

2020年11月12日、敵対的要注意団体であるGoI-2722("鉄錆の果実教団")東海支部への襲撃作戦において、SCP-2255-JPに罹患した構成員・佐々木 ██氏を確保しました。佐々木氏は戦闘のため、全身に重度の肉体改造を施しており、発見時は拒絶反応のため、逃亡が不可能な状態でした。財団は佐々木氏を拘束し、自白剤を投与した上でエージェント・徳富と同様の口述実験を行いました。


[記録開始]

地下組織の司令室と思しき場所に立つSCP-2255-JP。向かいには黒装束に身を包んだ、首領然とした人物が対峙している。佐々木氏は対象を"脳の神経細胞"と口述した。両者の周りには薄汚れた身なりの群衆が取り巻き、緊張した表情で様子を伺っている。

SCP-2255-JP: お願いです、話を聞いてください!この世界は今、差し迫った危機が訪れています。これほどまでの惨状を目にしたのは、これまでの旅路で初めてのことです。すぐにでも逃げ出さねば、哀れな持ち主と共に滅んでしまう!

神経細胞: なんとでも言え若造。我が神は鉄錆の果実を食らい、新たなる領域へ到達するのだ。試練を乗り越えた先には、黄金の夜明けが──

不明な声: もう、やめにしましょう。

神経細胞: 何だと?

群衆の中から白装束の人物が進み出る。どよめく群衆。

群衆: おい見ろよアレ……"沈黙の肝細胞"じゃねえか……。

肝細胞: 神経細胞さん。私たちは"強化"という謳い文句につられ、世界の再構築を長らく受け入れてきました。多くの臓器が摘出され、兆を超える同胞が殺されようと、希望を求め、ひたすら耐え忍んで参りました。されど、情勢は一向に改善されず、負担は重くなるばかり。……私たちもう、限界なんですよ!

群衆: そ……そうだ!俺たちは限界だ!

神経細胞 私に歯向かう気か?お前らなぞ、免疫を差し向ければ一瞬で硬変にできるのだぞ。

群衆: うるせぇ!こんな所にいても先はねぇんだ。外に出るぞ!

群衆: おっしゃ、こうなりゃ亡命だ!

神経細胞: 貴様ら正気か?……おい待て、早まるな!

群衆: クソくらえ鉄錆!何が果実だバーカ!

肝細胞: こちらの手は尽くしました。カニエさん、今のうちにご準備を……!

SCP-2255-JP: ええ、ええ……分かりました。それでは参りましょう……未知のエデンへ……!

[佐々木氏が発作を起こしたため、記録終了]


実験終了後、佐々木氏の身体は32個の神経細胞を残して消失しました。以上の実験から、極限状態の人間にSCP-2255-JPが罹患した場合、全身の細胞が転移し、実質的な死に陥る可能性が浮上しました。これを受け、財団管理部門はオブジェクトによる不必要な人員損失を回避すべく、職員の勤務体制について全面的な見直しと改善案の制定を指示しました。

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ソース: ウィキメディア・コモンズ
ライセンス: CC BY 4.0

タイトル: Cancer cells growing in media containing Blebbistatin.jpg
著作権者: Nevena Morel, with my team Lisa Bourne and Nicolas Jacquemin
公開年: 2018

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