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愛妻近影
アイテム番号: SCP-3000-JP-J
オブジェクトクラス: 𝙐𝙣𝙘𝙤𝙣𝙩𝙖𝙞𝙣𝙚𝙙 𝙏𝙝𝙖𝙪𝙢𝙞𝙚𝙡 𝙇𝙤𝙫𝙚
特別収容プロトコル: 私はSCP-3000-JP-Jを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、収容に違反したときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓います。この確固とした決意の言葉を、特別収容プロトコルの詳説に代えさせていただきます。
2022年6月1日 小鳥遊 貴志
説明: SCP-3000-JP-Jは私の妻となるであろう女性人型実体です。オブジェクト 彼女は私が中2の頃から妄想していた長編ダークファンタジーのヒロイン「シモーネ・フランツィスカ・エスターライヒ」嬢であり、亡国の神代魔法を使いこなす、クールで麗しき大魔導師です。空想科学部門の学術知識と在野の超常技術、及び彼女への揺るぎなき愛を組み合わせることで、ここ基底次元への召喚に成功しました。現実への転移に伴う形質劣化は0.00%であり、これは作中のシモーネ嬢そのものが出現したことを意味しています。
というわけでですね、これから彼女に告白したいと思います!いやー緊張するなあ!
プロポーズログ
[記録開始]
小鳥遊研究員: へゃ、へへ……やっと会えたね、シモーネちゃん。
SCP-3000-JP-J: 誰よアンタ。
[記録中断]
致命的な論理破綻があったため、SCP-3000-JP-Jとの婚姻プロセスは失敗に終わりました。現在、カバーストーリー("私は異世界「ニホン」の首席賢者であり、魔王軍討伐の助力を乞うべく、魔法使いとして高名な貴殿を召喚した。突然の召喚のお詫びとして、最大限のもてなしをさせて欲しい")を適用し、彼女を家に留まらせつつ、今後の収容策を全力で検討しています。
財団の監視の目をくぐりつつ、PAMWAC掲示板の有識者に意見を募ったところ、以下のような案が提出されました。
素直に好きだと口説く 顔が良ければ落とせる
却下。彼女は物語の主人公「ヴェルナー・フォン・タカシ」に恋をしており、初対面の人間が口説き落とすのはあまりにも無謀な試みである。こんなもん最初から気付くべきだった。
自分が創造主であることを打ち明ける
却下。創造主であると説明しても、抱かれるであろう感情は愛ではなく「崇拝」または「嫌悪」ではないか?そうなった時点で、健全に付き合うことは極めて困難となるだろう。
財団に通報した 機動部隊がやってくるから彼女を守って吊り橋効果を狙え
それが本当の場合、私など秒で無力化されるので無理。
え、マジで通報したの?
適当に最強装備召喚してさ、機動部隊に勝てば惚れるんじゃない?
俺自体のステータスはレベル1なんだが 精神攻撃で終わるわそんなん
純愛は諦めて強引に行け [編集済]だ
最強装備を使えば理論上は可能。でも嫁にんなことできるわけないだろしねかす
催眠魔法とかそういうの使えば?
そこまで堕ちたくはない……
媚薬で即落ちですよ
抜きゲーじゃないんだよ
一旦送り返して、主人公を好きじゃない、むしろ嫌いな状態のシモーネちゃんを召喚するというのは?
それは作中のシモーネと言えるのか?理想上の嫁と言えるのか?
お前もうパラオタク向いてないよ 技術はあるのに純情すぎる
…
インシデントログ
[記録開始]
[小鳥遊研究員はスレッドをそっと閉じ、SCP-3000-JP-Jを見やる。彼女はマッサージソファにもたれつつ、あずきバーを片手に相撲中継を眺めている。]
小鳥遊研究員: ど、どうですか?我が国のおもてなしは。
SCP-3000-JP-J: まあ……悪くはないわね。とてもエキゾチックだわ。
[そうは言っているものの、彼女の身振りからは退屈が見て取れる。]
SCP-3000-JP-J: それで、ここの魔王軍とやらはいつになったら攻めてくるの?そろそろ、タカシ達の所に戻りたいんだけど。
小鳥遊研究員: あ、あの、えっとですね、あの、実は……実は、隠していたことがありまして……
SCP-3000-JP-J: [訝しげに] ふーん?何かしら。
小鳥遊研究員: ええっと、つまりその、僕はあなたの……その……ああ……。
[数秒の間。意を決する小鳥遊研究員。]
小鳥遊研究員: あなたの……ファンです。ファンなんです。
SCP-3000-JP-J: ファン?
小鳥遊研究員: ええ……はい。皆さんの冒険については、魔法のノートを通して、始終拝見しておりました……その中でも、特に貴女、シモーネ嬢の活躍には目を見張るものがあった!氷神アイス=ヴァインを倒した時の、あのシビれるような機転ときたら!参謀役としての振る舞いも、時折見せるお茶目な仕草も、一切合切が大好きなんです!
SCP-3000-JP-J: あらまあ、ずっと見てたの?それはちょっと、いやかなり……恥ずかしいわね。というか…… [顔を赤らめる] あなたまさか、あんなとこやこんなとこも見てたんじゃないでしょうね?この変態ヒューマン!
小鳥遊研究員: いやいやいや大丈夫です大丈夫!かなりほんと、硬派なやつなんで、そんなシーンは書き…… 見ませんでした!
SCP-3000-JP-J: 本当かしらぁ?けど、まあ……異世界にも冒険が知られるってのは、なかなか嬉しい話ね。お褒めの言葉、有り難く頂戴しておくわ。それで、魔王軍はいつ──
小鳥遊研究員: [満足した顔で] ……機は、熟した。
SCP-3000-JP-J: えっ?何よいきなり。
小鳥遊研究員: いやあ、申し訳ない。実はですね、貴女の召喚でだいぶ魔力を使っちゃいまして。今までずっと、大気からマナ的なアレをチャージしてたんですよ。いやはや、たいへん長らくお待たせしました。……それでは!
SCP-3000-JP-J: ちょ、ちょっと。何よコレ!?
[小鳥遊研究員は自作の装置を起動し、残りの勇者パーティを連続召喚する。仲間の登場に、ぱっと笑みを浮かべるSCP-3000-JP-J。主人公のヴェルナー・フォン・タカシら一行は困惑の表情を見せる]
SCP-3000-JP-J: あっ……![主人公にかけより、強く抱擁する] タカシ!みんな!やっと会えたわ!
小鳥遊研究員: [頷く]
タカシ: おいおい、どこ行ってたんだシモーネ!というか、ここは一体……何処だ?
戦士: クソみたいに狭めぇ部屋だな。物置か何かか?
SCP-3000-JP-J: あら、こう見えてけっこう快適なのよ?賢者曰く、「愛の巣」とか何とか……
小鳥遊研究員: ははは……。
戦士: なあ、このおっさん……誰?
巫女: はわわ、頭を振りながらニタニタ笑ってるのです。
SCP-3000-JP-J: 彼は異世界ニホンの首席賢者、タカナシ・タカシよ。
小鳥遊研究員: あ、ええ……そうですね。タカシです。賢者やってます。
巫女: はわわ、賢者様でしたか!アブドゥルの馬鹿が失礼しました!
主人公: タカシか。私の名字に似てるな。よもや貴殿、ハイウィズダムの里の出身か?
小鳥遊研究員: ええと、うーん……まあいいや。あの、えー…… [強く目を瞑る] みんな、ごめん!
[小鳥遊研究員は一行に向かって土下座をする]
小鳥遊研究員: いきなり呼び出してしまって、本当にすみませんでした。けど……この世界の魔王軍は、僕たちの力ではどうにもならなくて……。不死身の魔竜に緋色の魔王、腐肉の魔獣に混沌の……まあとにかく、とんでもないモンスターがうじゃうじゃいるんです。もう明日にでも世界が滅亡しそうなんですよ。そこで、えー……人類を代表して、私から頼みがあります。"神殺し"の渾名を持つ皆さんに、この世界を救って頂きたいんです。俺みたいな厄介ファンが言うのもなんですが……どうか……
小鳥遊研究員: 皆さんの、外伝を、見させてください!
[記録終了]
紆余曲折ありましたが、ご覧のように、Thaumiel級技術の発明、およびThaumiel級アノマリーの生成・維持に成功した次第です。寛大なる処遇を何卒お願い申し上げます。
小鳥遊研究員
いやまあ、大局的に見れば、確かに大手柄だとは思うよ?でも結局のところ、これってアノマリーの私的濫用なのよね。あと、報告書に私情挟みすぎじゃない?がっつり情報漏れてるし。おまけに、機動部隊との応戦で町に被害出まくり。誤解が解けるまで財団に被害出まくり。etcetc….
宇宙ウロボロスと彼らの決着がつき次第、小鳥遊君から首席賢者の職位を剥奪し、懲戒処分とする。財団日本支部理事 "升"
付与予定タグ: scp jp thaumiel 異次元 人工 人間型 pamwac
気になる点: (3000コンに出せないけど)幻想感はありますか?幻想(ユメ)も含まれるものとして
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ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:3266034 (01 Jun 2018 15:33)
拝読いたしました。
個人的にとても面白いと思いました!投稿されたらUVします。
記事としてはかなりコンパクトですが、開幕誓いの言葉から早々に折られる小鳥遊研究員、かつての時代の「ああ〜分かる」感がしっかり散りばめられていること、純情すぎてPAMWACに見放される小鳥遊研究員、SCP-3000-JP-Jのお約束のキャラ造形、容赦ないオチなど、興味を惹くポイントが多数ありながら物語として綺麗にまとまっていてあっという間に読んでしまいました。
気になされていた幻想感ですが、「〇〇は俺の嫁」という概念そのものが(割と悲しい)幻想であると言えますので、要素としては十分回収できているのではないかと思います。
一点気になる点としては、PAMWAC掲示板の有識者に意見を募った部分の書式にて、提案と回答の関係が分かりにくく感じました。小鳥遊研究員の回答は提案に対する反応ですので、回答の方を段下げした方が自然なのではないかと思います。
ほぼ批評らしき批評ではなくなってしまいましたが、とにかく面白かった!という事をお伝えしたくコメントさせていただきました。ささやかながら応援させていただきます。
とても面白かったです。Joke記事はこう書くんだとお手本として刻まれました。
特にプロポーズログの[記録中断]が好きです。絶対泣きながらレコーダー止めてるでしょこれ……
2点気になるところがありまして、1つめは説明セクションの「人形実体」という文字が、横にフィギュアの写真があるために「にんぎょう」と読めてしまいました。「人型実体」と書かれた報告書も多数ありますので、こちらに変えてはいかがでしょうか。
2つめはskyder_2ndさんもあげられてますが、有識者との応答の部分の見づらさが気になりました。
十全ではありませんが表示の提案をさせていただきますので、もしお気に召したらお使いください。
面白い記事を読むと創作意欲がわいてきます。微力ながら応援しています。
御二方ご意見ありがとうございます。好感触を得られてよかったです。
指摘された点は取り入れ&修正を行いました。