SCP-CN-1930:点点荧光伴你入眠(蛍火があなたを眠りに誘う)
著作信息
タイトル: SCP-CN-1930-蛍火があなたを眠りに誘う
作者:©︎achsab
創作時期: 2020年3月2日
本文と《蟲師》の名曲[籠のなか]は相性が良いですw
SCP-CN-1930出現時に撮影された画像、画像の有する異常性は削除済み
アイテム番号: SCP-CN-1930
オブジェクトクラス: EuclidNeutralized
特別収容プロトコル: SCP-CN-1930は無関係な人物の存在を察知した瞬間に消失するため、収容することができません。財団のウェブクロウラーは常時インターネット上のオンラインコミュニティ、映像資料及びオールドメディア上のSCP-CN-1930に関する情報を監視するとともに、必要な時にインターネットへ標的性記憶処理プロトコルを解放することでSCP-CN-1930の大規模な情報拡散を回避することが許可されます。
現在SCP-CN-1930はNeutralizedに分類されています。財団ウェブクロウラーによりオンラインコミュニティ、映像資料及びオールドメディアを継続して監視し、関連するキーワードを捕捉することで潜在的にSCP-CN-1930の存在を知る人物を発見してください。
説明: SCP-CN-1930は八匹の中華黄蛍Luciola chinensis L.の総称であり、多くの場合は夏季に出現します。SCP-CN-1930は以下の条件を満たした幼児(以降、SCP-CN-1930-1と呼称)の付近に出現します。
- 長時間悲しみを感じている。
- 周囲に他の人物が存在しない。
- 年齢は多くの場合0~10ヶ月である。
SCP-CN-1930は出現後、SCP-CN-1930-1の頭上で散開して螺旋状に飛行します。この現象を観察した大多数の人間は、この時のSCP-CN-1930-1の状態を「喜んでいる」「愉快」「楽しそう」等と表現します。SCP-CN-1930が周囲のSCP-CN-1930-1以外の人物を察知した場合、瞬間的に消失します。この消失過程を観察する試みは成功していません。
SCP-CN-1930は軽微な視覚災害を有しており、SCP-CN-1930を3分以上注視したSCP-CN-1930-1は眠気を覚え、その2~3分後には睡眠状態となります。SCP-CN-1930の撮影記録も全て同様の異常効果を有します。SCP-CN-1930-1が入眠した後SCP-CN-1930は頭上で螺旋状に飛行を続け、5~10分後に瞬間的に消失します。
財団ウェブクロウラーが捕捉した動画内で、SCP-CN-1930が協力して床に落ちている毛布を瞬間移動させ、SCP-CN-1930-1の身体上に覆いかぶせる様子が初めて観察されました。当該オブジェクトは軽量な物体を瞬間移動させる能力があると推測されます。
補遺1: SCP-CN-1930が出現後、SCP-CN-1930-1の傍らでSCP-CN-1930との関連が疑われる手紙が発見されました。手紙の内容は次の通りです。
お元気ですか? こちらは変わりありません
何人かの子がそちらに向かいました
その子たちはかわいい赤ちゃんが大好きで、赤ちゃんが泣いちゃうのが許せません
恥ずかしがり屋ですが、時にはとっても勇敢になる子たちなんです
この子たちが、あなたたちに迷惑をかけなければよいのですが
酩酊街より、愛を込めて
インシデント: 20██年7月6日、SCP-CN-1930が一人の嬰児(以下、SCP-CN-1930-1-Aと呼称)の付近に出現しました。SCP-CN-1930-1-Aがいる室内で火災が発生し、SCP-CN-1930-1-Aは火災により発生した煙を吸引したことで泣き声を上げました。SCP-CN-1930はSCP-CN-1930-1-Aを救助したことにより無力化しました。
インタビュー対象: 張█
インタビュアー: 谷雨博士
<記録開始>
谷雨博士: こんにちは、我々は消防局の者です。昨日の火事についてインタビューをさせてください。
張█: ああ、わかった。何を話せばいいだ?
谷雨博士: 緊張しないで、ゆっくり話してください。まず、あなたは火災で何を見つけたか話してください。
張█: うん、俺は昨日、宴会の後家に帰った時にはもう夜も遅くなっていて、酒をしこたま飲んでいたから床に突っ伏して寝てしまったんだ。眠っている間、頭の上で何かが揺れ動くのを感じた。微かに光っていたが、俺は疲れていて関わりたくはなかった。それから少ししてから、また何かが俺の顔に当たった。俺はカッとなった。昼間は犬のように疲れていているのに、俺は夜もろくに休ませて貰えないのか? 俺は何が何だか分からないうちに、それを掴んでいた。
谷雨博士: その何かを一瞬で捕まえたのですか? あなたは良い腕をしている。(笑う)
張█: 子供の頃にハエや蚊を捕まえていて、できるようになったんだ。少ない金は学校に行くために全部使われて、ハエ叩きすら買えなかった。それにハエや蚊を叩くために教科書を使いたくなかったから、手で掴むしかなかったのさ。俺の周りには四匹の蚊が漂っていた。俺は力を込めて手を握り、そいつらを一気に捕まえた。捕まえたあの虫は、多分ホタルだったんじゃないか? まだ光っていたし、ハエや蚊ほどすばしっこくなかったからな。そういえば、そいつらが俺の顔に当たった時に濡れた感じがしたっけ。水生のホタルなのかもしれないな。街中だと蛍は滅多に見ないが、子供の頃田舎では夏の夜になると、草むらから沢山のホタルが飛び出してきたんだ。婆ちゃんはホタルを光る神様だと言って、俺に捕まえさせなかった。隣村の子供が夜にホタルを捕まえようとして、川に落ちて溺れ死んだからそう言ったんだと、後になってから知ったよ。あのホタルたちは俺が捕まえた時に、力を入れすぎてうっかり俺が潰したらしい…捕まえたそいつらを部屋の外に放り出そうと思ったが、少し気が咎めた…後でドアや窓を確認したが、全部閉まっていて、あいつらがどうやって入ってきたのか分からないし、何で俺の顔に当たったのか訳が分からない。だけど、あいつらがいなければ俺は隣家が燃えているのに気がついたとは思えない。あ…話が逸れたな、すまないな。
谷雨博士: 構いませんよ、こんなお喋りも良いもので、あなたをリラックスさせてくれます。
張█: 確かに、ずいぶんリラックスしたよ。実はあんたから受けるのが初めてのインタビューだったから、とても緊張していたんだ[笑う]。それじゃあ話を続けよう。あのホタルに叩き起こされたもんだから、俺は眠ることが出来なかった。書き物をしようと起き上がって、居間に行くと、窓から隣家が燃えているのを見つけたんだ。俺は火災報知機を鳴らしてから、隣家に誰かいないか見に行った。隣の家の鍵はかかっていなかった。少し開いたドアの向こうから赤ん坊が泣く声が聞こえて、俺は大急ぎでドアを開けて中に飛び込んだ。赤ん坊は火の手が一番大きな部屋の中にいた。ドアを入って右手にキッチンがあって、その蛇口は開いていた。俺は仕方なく大急ぎで自分を濡らして、赤ん坊を助けるために部屋に飛び込んだ。
谷雨博士: 実に素晴らしい、本当にヒーローのような行動ですね。
張█: ハハ、褒めすぎだよ。あの時も酒が残っていて頭痛がしたんだ。それに、もし消防隊が来るのを待っていたら、助ける一番いいタイミングを逃していたかもしれなかったからな。
谷雨博士: 素晴らしいことですが、推奨は出来ませんね。火災現場の状況が分からないまま軽率に突入することは危険でしょうし、それに加えて、その時あなたはまだ酒に酔っていたのですから。
張█: あー、わかったわかった。今度から気を付けるよ。でも俺は、ヒーローってのは普通の奴が出来ないようなことをやって、自分の命の安全に構わず他人の何かを助ける人間だと思うんだ。俺が子供の頃も恩人に助けられたんだ。昨日俺は隣の家の入口に立って、火事を見て、赤ん坊が泣く声を聞いた。俺の番が来たんだと、そう思った。あの時恩人が俺を助けたように、とうとう俺は他人を助けられるんだと。小さな頃から恩人がしたように、他人を助けられる人間になりたかった。それは俺がこの恩愛の情を受け継いでいくってことだろう。
谷雨博士: 恩愛の情を受け継ぐ、ですか? 素晴らしい。でも次は、自分自身の安全を確保してから他人を救助して欲しいですね。あなたは知らなかったでしょうが、我々が事後調査を行ったところ、赤ん坊がいた部屋のロッカー内で沢山の食用油が見つかりました。火の手はあと少しでロッカーの中に届くところでしたよ。幸いにも消防隊が来てすぐに火は消し止められましたが、そうでなければ悲惨な結果になっていたでしょう。
張█: そうなのか? それなら、俺のしたことはもっと正しいんじゃないか。もし炎がロッカーの中にまで届いていたら、消防隊が来たとしても火を鎮めることはできなくて、あの時あの子も死んでいたかもしれない。それに、俺は彼女を救い出せたじゃないか。 結局、俺はただ皮膚を焼いただけであの子の安全を引き換えられたんだ、それをやる価値があっただろう。
谷雨博士: それは…ああ、それでもあなたの行動を評価することはできません。ですが、あなたがもう少し注意してくれることを願います。危険すぎる。軽率な行動は我々の救出活動の難易度を上げるかもしれません。
張█: ハハ、おれは融通が効かないんだ、同僚達からいつも文句を言われているよ。俺はそれが正しいと思ったらきっと最後までやり通すだろう。俺みたいな人間があんたたちを困らせるんだ。(笑う)
谷雨博士: ああ…続けましょうか? インタビューの時間が限られているので、あなたの次の行動を聞くのを遅らせられません。その時、何か変わったことに気づきませんでしたか?
張█: ああ、あの子を抱き上げた時、全身がびしょ濡れで、ベビーベッドも濡れていた。その時は彼女がおねしょをしたのかと思ったよ(笑う)。だが嫌な臭いはしなかったから、ただの水だったんだろう。部屋の火災センサーが煙を感知して散水し、彼女を濡らしたのかもしれない。彼女を抱き上げた時の感じでは、身体が少し熱かったが、熱を出していたのかもしれないな。俺が部屋に入った時、煙はまだそれほど出ていなくて、大部分は部屋の上部に漂っていた。彼女は少ししか煙を吸い込んでいなかったから、幸いなことに無事だったんだろう。ひょっとしたら、あのたくさんの水で彼女は火傷をせずに済んだのかもしれない。あっ、それにあのキッチンの蛇口と、開きっぱなしのドア。ひょっとしたら、あの子の両親が部屋を出る時に蛇口とドアを閉め忘れたのかもしれないな、あっ…これは重要だぞ、赤ん坊がまだ家にいるのに…外出するのにちっとも確認をしなかったんだ…それ以外には何も無いな。
谷雨博士: いいでしょう、時間もちょうど終わりです。インタビューにご協力いただきありがとうございました!後日ご連絡させていただきます、ご協力に感謝します。
張█: かまわないよ、大した事じゃないさ。あー…もうちょっと聞きたいんだが…あの子の両親が昨日、彼女のための解熱薬を買いに車で外出している途中で、事故に遭ったと聞いたんだが…あの子は親族がいないらしいんだ…あの子は…
谷雨博士: 政府は彼女のために適した家庭を探すでしょうが、具体的には解りません。我々は消防署員に過ぎないのです。
張█: わかった、ありがとう。あの子が落ち着いたら、会いに行くよ。
谷雨博士: …わかりました、時期が決まれば政府はきっとあなたに知らせるでしょう。
<記録終了>
インタビュー後、張█に対してクラスB記憶処理を行い、その他の関係者に対してはクラスA記憶処理を施しました。
張█の家の寝室から水分を多量に含んだ3片の腐草Gymnosiphon nana(以下SCP-CN-1930-2-Aと呼称)が発見されました。SCP-CN-1930-1-Aのベビーベット付近から不明な灰色の粉末が発見され、鑑定の結果ではこれは焼かれて灰と化した腐草(以下SCP-CN-1930-2-Bと呼称)でした。SCP-CN-1930-2-A及びSCP-CN-1930-2-Bはモバイル-サイト-CNの標準収容ロッカー中に収容されます。
SCP-CN-1930-1-Aの両親は火災の当日、帰宅途中に発生した車両事故により二人とも死亡しました。SCP-CN-1930-1-Aには他に血縁関係にある親族がおらず、かつ異常オブジェクトに関連していました。記憶処理剤は嬰児に対しては副作用が大きく、記憶処理プロトコルを実行するには不都合でした。財団はSCP-CN-1930-1-Aを引き取りました。
結論:SCP-CN-1930はこのインシデントの後5年以内に観測されず、現場と張█宅の寝室に出現した腐草はSCP-CN-1930の死体が変化したものだと考えられました。当該オブジェクトはNeutralizedに再分類されました。
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