良き隣人

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-AとSCP-XXX-JP-Bの存在するアパートは財団によって買収されます。両室は二重の電子ロックで入室を制限され、内部清掃の際には人員が同時にSCP-XXX-JP-A、-Bに入室した状態にならないよう監視されます。

その他の住戸には異常性が存在しないため、財団職員の活動拠点として開放されています。付近での活動を行う職員は事前の申請の元、空き住戸を利用することが可能です。

説明: SCP-XXX-JPは新潟県村上市に存在する、コーポ・██の202号室及び203号室です。202号室、203号室にはそれぞれSCP-XXX-JP-A、SCP-XXX-JP-Bのナンバリングが割り振られています。SCP-XXX-JPの異常性はSCP-XXX-JP-A、-Bの両室に、人物が同時に入居¹した際に発生します。

両室に居住した2人は、双方に非常に好意的な感情を抱き、結果として親密な関係を築くようになります。この異常性の発生は両室の住人が同時に「引っ越しの挨拶」を行おうとすることから始まります。「引っ越しの挨拶」のために自身の住戸から顔を出した住人は、お互いがアパートの入居者であることに気が付き、意気投合します。2人の関係はその後にわたって続き、日数を経るごとに親密さは強まっていきます。財団はこれに対して2人の関係性を悪化させるためのいくつかの実験を行いましたが、有力な結果は得られず、むしろ多くの場合では協力して困難な障害を克服したとしてさらに親密になる様子が観察されました。

両室の住人の親密な関係は人種、性別、年齢を問わず発生します。特に男女の場合では、親密さが増加するものの、いずれの場合でも恋愛関係に発展する様子は見られませんでした。いずれのインタビューでも2人の対象は「人間として非常に好意的な人物であるが、恋愛対象としては認識していない」という回答がなされました。

数年が経過したのち、2人の住居者は外的要因によってSCP-XXX-JPから同時に退去します。多くの原因は卒業、就職などの社会的理由です。2人は離別前に再び再開する約束を行いますが、すべての場合において偶発的な要因により失敗しています。携帯電話の紛失、住所の間違えなどがこれに当たります。財団による引き合わせはいずれも車両の故障、伝達の不備などによりすべて失敗に終わりました。SCP-XXX-JP退去後の両者が出会うことはありません。

居住者に対する財団の追跡調査では、いずれの人物も好意的な感情をお互いに持ち続けていることが知られています。

音声記録XXX-JP.8

対象: D-1961

オペレーター: トム研究員

付記: D-1961はD-8732とともにSCP-XXX-JPの検証のためSCP-XXX-JPに入居させられました。D-1961、D-8732は共に模範的なDクラス職員であり、SCP-XXX-JPの検証のため決められた範囲内で一般的な社会生活を送っています。両者お互いがDクラス職員であることを認知していません。はこの音声は入居から176日時点での音声です。

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[記録開始]

[D-1961からトム研究員に連絡が行われる。トム研究員の番号は実験の異常発生時の連絡先としてD-1961に伝えられている。]

トム研究員: もしもし？　なにか異常事態ですか？

D-1961: ええと、オペレータさん。ちょっとおかしなことが起こっていて。

トム研究員: 落ち着いてください。具体的にお願いします。

D-1961: 俺はこのアパートの検証のためにここに住んでるんだよな？

トム研究員: はい。

D-1961: その検証する異常性は、何か危ないものか？

トム研究員: それはお伝え出来ません。実験結果に恣意的な結果が出てはいけませんので。

D-1961: じゃあこれが異常性って可能性もあるわけだな？　大分まずい。

トム研究員: 一体何が起こってるんですか？

D-1961: 俺が隣のジョン²と仲良くしていることは知っているよな？

トム研究員: はい。

D-1961: そのジョンの部屋に遊びに行ったんだけどジョンがいなくて。今日会う約束をしていたから直接部屋に行ったんだけどいないんだ。

トム研究員: えー、ちょっと待ってください。調べます。

D-1961: まさかとは思うけど悪い異常性に巻き込まれたわけじゃないよな？　ジョンが連絡もなしにいなくなるなんてないぞ。あいつはマメなんだ。ジョンがいなくなるなんて信じたくないぞ。

トム研究員: D-1961、ジョンさんですが。

D-1961: ああ神様…… [嗚咽]

トム研究員: あなたの部屋にいますよ。

D-1961: え？

[記録終了]

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付記: この電話の後、D-8732の部屋から飛び出したD-1961は、同じくD-1961の部屋から飛び出してきたD-8732と出会い、抱擁しました。2人は強い握手をしたのち、笑い合いながらSCP-XXX-JP付近のバーへと歩いていきました。2人は午前3時に退店し、アパートの扉の前で約10分談笑した後お互いの部屋に戻っていきました。

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経過報告書: 追跡調査は以下の要因により断念されました。
D-1961: 実験終了5日後にSCP-███の収容違反により死亡。
D-8732: 実験終了8日後に護送中の事故により死亡。
これは異常性によるものであると考えられています。

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1. portal:3205804 (02 Jun 2018 12:45)

Footnotes

1. アパートの所有主、もしくは管理を委託された人物と契約を行った状態を指す。この契約は厳密なものである必要はなく、契約を行った双方が契約を結んだ認識を持っていることが重要であると思われる。

2. D-8732の偽名。