SCP-2983-JP - お肉・最終章(仮題)

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アイテム番号: SCP-2983-JP

オブジェクトクラス: Yesod

特別収容プロトコル: 財団職員の就職時研修に含まれる超常歴史学講座における38コマ目に、SCP-2983-JP-1実例を扱う講義が挿入されています。全て1の財団職員は、講義内のSCP-2983-JP-1が実際に発生したものであると認識することが求められます。

一般社会におけるイタリア史学会にSCP-2983-JPに対する複数のカバーストーリーを適用することにより、SCP-2983-JP-1の実効性を保ちつつ、その内容が露呈することのないようになっています。SCP-2983-JP-1の真の内容を記載した全ての文書(本報告書を含む)には、冒頭にSCP-2140が添付される必要があります。

説明: SCP-2983-JPは1945年4月25日〜28日の期間中におけるイタリア北部の複数地点を対象として発生している述懐性因果律の反転です。一定個体数以上のホモ・サピエンスがSCP-2983-JPの対象となる地点で発生した現象に関する統一された見解を有する場合、逆説的な過去改変により当該見解に沿う内容の現象が基底歴史軸へと挿入されます。SCP-2983-JPによって発生する過去改変は可逆的であることが知られています。

SCP-2983-JP-1は、現在の特別収容プロトコルにおいて設定され維持されている、第7次オカルト大戦で最も多くの犠牲者を出した超常戦闘行為に関する一連の情報です。当時のイタリア社会共和国ロンバルディア州の諸地で繰り広げられた戦闘により、約26万人の死傷者が出たことが記録されています。犠牲者は全て超常社会的地位を有する人間であると見做されており、一般社会からは彼等の全ての痕跡が抹消されています。

補遺 - SCP-2983-JP-1に関する資料より抜粋

注記: 以下の添付資料はいずれも実在するものです。

べニート・ムッソリーニ、1945年4月25日に書かれた手記とされる

今日、ミラノを発った。コモを抜けて北上し、ヴァルテリーナへと向かう。売国奴のRSI2は遂に私の話を聞き入れることはなかった。祖国が連合国の手に落ちる事態だけは阻止しなければならない…私は祖国を決して見捨てることはない。ローマを捨てた国王と同じ非難を受けるつもりはない。

C軍3が我々を見捨てようとしていることを私は今日初めて知った。アドルフが私を最良で唯一の友だと言っていたのは嘘だったのか。やはりどのような形であろうとも、心から何かを崇めるような人間は信用に値しないのか。

私は人種の存在を信じていないし、神の存在も信じていない。祖国のために教会と手を取り合うことがあっても、ドイツの援護を得るために人種法を制定することがあったとしても、畢竟、私自身には信じるべきものは何もない。第一、キリストにしろアーリア人にしろ、なぜその存在を信じなければならないのだ?目の前にあるものの存在を認めるのに、わざわざそれを信じる必要などない…信じるまでもなくそれらは存在する。逆もまた然りだ…およそ信仰を得ないと存在できないような者どもは、即ち存在しないのだ。

存在するものが私の全てだ。祖国を守るために私は最後まで抵抗する。

RIDIA軍事部門 輸送官、フェリーチェ・マラスピーナによる述懐

忘れもしない1942年の7月初頭、私はフィレンツェ郊外の嵐の空ボーラを北西に向かって飛んでいた。行先は第三帝国ドイツのエルディング、アーネンエルベからRIDIAに対して要求された所定の物資を届けるのが私のその日の任務だった。当時のイタリア空軍は既に斜陽、正規軍にしろ超常組織間の構想にしろ、大局で生き残るためには帝国の高配を仰ぐのが適切な手段だったのだ。ヴァスコ4に無理を頼んで送ってもらった超常聖杯は、エルアラメインで壊滅の憂き目にあった前線兵力に届くことはなかったのだ。そして、私の本当の目的地であったドイツ本土にすらも、な。

それは予定された飛行ルートの半ばを過ぎた時に始まった。停滞する黒雲に覆われた空模様の中に、遽に天から光の帳が降りてきたかのように見えたのが最初だ。眩い大気の束は私の進路を僅かに逸れた位置に現れたようだったので、私はそれを無視して先を急いだ。次に私の目に映ったのは、光の中にぽつり、ぽつりと現れ始めた点のように小さい黒影だった。ちょうど、窓の桟に止まった羽虫のような。それで、黒影はたちまちのうちに数を増していった。それら一つ一つが何枚もの鳥の翼を一つに集めたかのような歪んだ姿形を有していることを認識するまで、そう時間は掛からなかった。

さて、私は後年まで語り草にするような明らかな異常事態の出現に気がつくことなく…いや、正確には気がついていたにもかかわらず、だな…正しい荷物の受け渡しを完遂させることを優先して飛行を続けた。そうこうしているうちに嵐は凄まじく足早に過ぎ去り、辺りは却って少しの風も吹かない穏やかな空に早変わりした。そしてそこには、私と共に空を駆けるギブリ5よりも更に遥かな高みから、ワイヤーに見える細い何かが大量に垂れ下げられているのが見えた。位置が近過ぎた…私はそのワイヤーの群の中に突っ込んだ。さながら劇場の舞台の天井裏のような、作り物の世界をぶら下げる糸だ。そして私は翼を切断された愛機と共に、そしてRIDIA本部から託された聖なる木杯と共に、明らかに地上ではない世界へと落下していったのだ。今思い返しても不思議に思うのだが、不時着の態勢をとったときの私は死の恐怖というものを全く覚えなかった。まるで夢の中の話だと思ったのか?それとも、私を迎え入れる世界が未知でも何でもない慣れっこの場所だとでも感じたのだろうか?今となっては分からない。ともかく確実なのは、私がこうしてこの体験を生きて語れているという、ごく単純な事実だ。

結論から言うと、私は見知らぬ土地の地面に激突することはなかった。先ほど軽く触れた鳥の翼の塊の群れが素早く私とギブリを取り巻き、落下する飛行機の胴体を支え、吊るされた天の土地へと静かに軟着陸させたのだ。ひとまず墜落死は避けられた私だったが、コクピットから外を見渡すと何やら鳥の塊たちに囲まれているではないか…どうということはない、それらは天使Angeliだったのだよ。彼等は操縦席の窓を破ってギブリの中に入り込んできたが、しかし侵入者に叫ぶ私には目もくれず、ゴソゴソと辺りを掻き回すばかり、程なくして聖杯を収めた箱を巻き上げられた。私ももちろん抵抗はした…しかし、天使に触ることは遂に出来なかった。夢か幻のようにすり抜けるのだ。

結局、私は見たことも聞いたこともないはずのどこかの幻の地に、翼を失った飛行機と共に放置されてしまったのだ。私はそこまでの話を昨日のことのように思い出せる。しかし、現にいま私はここにいる…私が吊るされた天からどうやって地上に戻ったのかは全く記憶がない。そもそも私は本当に天空の地に不時着などしたのだろうか?

この話には私にも不可解なことがある。私が最初に天使たちを目撃した時、私にとってそれらは全く見慣れたものだったように感じたのだ。天使だけじゃない。私が不時着しかけたと感じていた、吊るされた天の存在も。大詩人・ダンテが生涯の大作のクライマックスに記した、まるで彼が実際に見聞きしていたかのように活き活きとした奇妙な空間を。これもまた不思議なことだ…『神曲』には「吊るされた天」なんてものは出てこない、イタリア中の人間が知ってることだ。だが私は、確かに天空の大舞台の上で、私の懐へと潜り込む天使たちの囁きを聞いたのだ…『聖なるもの、須く至高天へと昇る』とな。

1945年4月27日、ロンバルディア州で発生した超常現象

概要: ロンバルディア州の全域に、既知の現生種でない多種類の動植物が出現し、急速に個体数を増やした。該当する生物の多くは体長1メートルを超える海生節足動物の特徴を有するもので、人間に対し積極的な攻撃性を示した。目撃者はそれらの生物が「南方の空から降ってきた」と証言しており、後の調査では生物の出現地点がトスカーナ州上空の発達した積乱雲の内部であったことが推測されている。また、生物群の中には種々の超常的形質を持つ個体が多数確認されており、一部は確保後にSCP-███-ITとして再分類されている。
発生日時: 1945/04/27
追跡調査措置: 1980年以降、この時に出現した生物の一部が、カンブリア爆発によって出現した古生物と酷似した外見を持つことが明らかになった。それら古生物の多くが1945年時点では一般に知られていない種であったことは特筆すべき点である。

ヴァスコ・ロマネッリ、元・RIDIA6異常研究部門 管理官の述懐

時は1942年6月、沢山の同胞たちと共にナポリの地下深くに潜伏していた俺は、軍事部門Divisione Militareからの度重なる督促状を前にして頭を抱えていた。彼等の前線は北アフリカのエルアラメイン、干上がった湿地帯を前にして常勝策の迂回戦術を取れなくなったアフリカ装甲軍が、来たる英国連合軍との正面衝突に向けて少しでも多くの戦術物資を要求していたんだ。しかし、俺の机の上に広げられたアノマリーの総覧は見渡す限り、既に黒のチェックマークで覆い尽くされていた。

天から齎される人智を超えた存在・アノマリーに対し、粛然とした研究者の矜持に拘っていた往年のRIDIAはこの頃にはもうなかった。足掛け20年くらいの世界情勢の目まぐるしい変化のせいですっかり荒れ果てていたんだ。王とドゥーチェ7の名の下に、イタリア中から超常物品がRIDIAの手元に集められ、「研究」という名の分析を済まされた後に適当な戦術的用途のために加工され、国家防衛と勢力拡大の狭間でせめぎ合う現場へと配備されていった。その前線の一つが、イタリア領リビアと英国領エジプト間で1940年から続いていた北アフリカ戦線だったというわけだ。

最初はローマ帝国の再来もかくやという勢いで攻め上がったイタリア軍は、しかし翌年にはイギリスの猛反撃を受けて一転窮地に立たされ、ドイツ帝国のロンメル将軍率いる鋼鉄の騎士団の助けによってどうにか戦線を立て直したという状態だった。敵国のバックに付いているのは英国神秘情報部、エジプトの地に眠る夥しい数の超常物品をむざむざ他国に奪わせることを奴等が決して容認しないのは考えるまでもなく当然のことだ。常勝将軍ロンメルの手腕を持ってしても、人理を外れた攻撃にまともに晒されれば無事では済まないだろう。それで、前線の陸軍部隊を支援するために、RIDIAで最も強大な軍事部門は他のディヴィジオーネに対して一刻も早いアノマリー兵器の投入を強要していた、というわけさ。ま、問題だったのはその強要に対する「適切な対応」は今までにもう何度も取られてきてたはずだって点だな。

俺はひとしきり悪態をつきながら、せめて俺の顔を立たせられる策はないか、どうにか余り物に見えない物品を送りつけられないか考えに考えた。読める欄が残り少なくなってきたアノマリー便覧をもう一度隅から隅まで読んで、俺はようやく次に前線へ投入する異常物品を発見することができた。“オブスクラ軍団”、この頃には非公認になっていたドイツの超常組織が、パリから奪取したものだと記した上で数点のアイテムを送りつけてきていたのだ。これを俺たちからの寄贈品だということにしてやろう。アーネンエルベの超常活動成績は色々な意味で目覚ましかったにしろ、当のヒトラー総統閣下はその手の分野にはあまり口煩く突っ込まないと聞いていたし、ましてや本国から離れたアフリカ戦線の兵士たちがこれらのアイテムの真の出自に気付くとも思えなかったからな。

だがな。オブスクラ軍団が送ってきたアイテムには明らかな軍事利用の痕があったばかりか、そのエネルギーを引き出す詳細な手段すらも併せて俺たちに寄越していたんだ。信仰を具現化させる炉とかいうのは機構を見たところ確かにまともに動作しているようだったし、試運転した限りでは出力も兵器として十分に見えた。となるとだ。軍団はなぜこれを手放すことを選択したんだろうな?彼等の手にはこのレベルの兵器は既に溢れんばかりに満たされているということか、それとも他の理由があったのか。オブスクラの手稿に記されている少しばかり精気の欠けた筆跡を思い返しながら、俺は静かに木製の杯を所定の場所へ送る作業へ移ったのさ。

救世主カインの話

吊るされた天が落ちた話

神の非実在化の話

財団の財源の話


[下書きここまで]
タグ
scp-jp esoteric-class 宗教 歴史 チームコン20 聖杯を仰ぐ翳 オブスクラ ridia asci カイン

プロット

アイデア

  • 第七次オカルト戦争における最大の激戦地のお話。
  • しかしその戦いは一般社会から消し去られ、そればかりか超常コミュニティですらもごく一部の記録にしか残されていない。
  • 財団が超常を封じ込めることを決意し、「財団」となる方向を決定づけた一幕。
  • 場所はイタリア辺りがいいかな
    • なるべく史実のWW2では大きな被害を受けなかった土地が良い。
    • ギリシャは昔に手掛けたことがあるがオカルトの話題は出しやすいかも。キリストと神話は相性悪いかな
    • 北欧は激戦地にするにはちょっと遠い?
  • 「お肉万歳」のチーム名を回収するのが目標
  • 聖杯をはじめとするさまざまな宗教エネルギーの出所は結局のところ人間である。信仰をするのは人間の主体的行為だ
  • 人間が超常を使う。超常が人間を使うことはあってはならない
  • 健全な精神は健全な肉体に宿る…
  • そうなってくるとオブスクラとかの枢軸超常軍がコントロール不能な超常怪物を解放してしまったとかが筋書きとしてはやりやすい?
    • 軍隊は人間であり戦争行為や作戦も人間のものである。そこに人智を超えた怪物が噛んでくるとどうなるか
  • ギアーズに「娘(アウレリアを指す)はもう独り立ちできる年齢だろう」とか言って欲しい…
  • カイン&アベルも他作品の描写に応じて出せるかも。どうかな
  • 激戦地ではこの世のものと思えない光景が広がる
    • この手の描写をする場合は1998作品群と差別化しないといけないけど(悪魔とか次元異常とかは向こうでもうやっちゃったので)、何かしら信仰にとって都合悪いものが来ればいいか
    • 個人的な好みとしてはエイリアン系。カンブリア紀の海底がそのまま地上に現れたような。神が世界を作った事実の明確な否定? 否、神こそが怪物どもを作ったのだ、的な
  • 日本支部オリジナルの超常収容機器の開発者の名字とか組み込めたりしないかな
    • メトカーフ、シュタイナー、レヴィなど
  • 投稿目標期日は10/31の0時
    • 大長作品になるので、最終日駆け込みが来る前に余裕を持って投下した方が読んでもらいやすい

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