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タイトル: SCP-XXXX-JP - メタタイトル
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音を削りだせ、それがショクニンだ |
トーキョー回覧板 24年1月号
第一回音楽工房設立秘話!
ギンザ駅にて待望の音楽工房が開設された。今や楽器は発掘品を追い求める希少品のそれではなく。フードチケットや電池と交換に誰もが手に入れることができる娯楽品となった!
職人たちが木を削り、素材を張り合わせて塩化ビニールで補強する。トンテンカンと小気味いい音が鳴り響き、音楽を作るための音楽が工房に鳴り響く。楽器工房、地下深くの今の東京では滅びたと思っていた光景がそこにある。
どこの誰が、どうしてこの工房を作ることになったのか。どうしてこんな奇異な連中が集まったのか?
地下世界の源泉がどうやって思い上がったのか?それを掘り起こしていこうと思う。
始まりはギンザ時間の2023年7月、しがない交易商人とギンザの議員の荒唐無稽な会合がきっかけであった。
トーキョー回覧板組合 合同編集部
2023年 銀座時間:7月16日 午前 地下東京 ギンザ駅 タキ・ヤマハ / ギンザ同盟・交易商人
「ギターを一つ手に入れてほしい。アコギ、ウッドギター、最悪ウクレレやら似通ったそれっぽい音が出る楽器なら何でもいい。ギターに類する楽器を手に入れてほしい。」
銀座駅の他の場所より少し暗めの照明、傷だらけのテーブルが並んだかつてどこぞのスタバだかタリーズだかのコーヒーショップだったスペース……今では交易商人たちが商談のために身を寄せ合い、ぼそぼそと商談を交わすその場所で告げられた依頼はどうにもこうにも頭を抱えざるを得ない内容だった。
忘れ去られた過去の遺物、議員とかいう権力に座っていたクライアントが至極真面目ぶった表情で告げた内容に私は苦笑しながら記憶を呼び起こす……ギンザがいくら他より豊かだからって娯楽が豊富なわけじゃない。
「ギター?今じゃ楽器なんて新宿で振ってくる遺物から掘り出すか東京駅のアンティークを直し続けている奴しかないぞ。少なくともこの辺りで出物を見たのはどこぞのスカベンジャーがガットの折れた本体を燃料用に持ち込んできたのが最後だよ。今じゃ音楽はチケットを牛耳っている連中の蓄音機か吟遊どものハーモニカ程度のもんだ。」
分かっているだろ?そんな視線を送るが依頼人……この道楽者はそれをわかってるとでも言いたげな顔で私に再び言葉を紡ぐ。まだ見れるスーツを着た懐かしの政治家、やり手の新人といわれた議員はかつての雰囲気をそのままに再び口を開く。
「だからあんたにお願いしに来たのです。あなたに新作を作ってもらいたい。かつてヤマハでギターを作っていたあなたのところにね。」
目をパチクリさせて議員……以前もらった名刺とかいう気取った貴重品によれば確か細谷とかいったクソ野郎の顔を見る。相変わらず真面目腐った顔で出来るだろ?とでもいいたげに頷いている。もう何年もギターを触れていない指先を握り隠すようにして目をそらす。どれくらいだろうか、10秒かそこらの沈黙の末に小さくため息をつくと一言尋ねる。
「報酬は?」
「少なくとも後援はつくでしょう。それに工房が開ければ私どものほうで必要な駅からの依頼を持ってきてもいい。なんなら開業費用としてマンガン電池をいくらか供出してもいいですよ。もちろんまだ使えるもので。」
このくそったれの議員は足元に置いていた書類カバンから電池の束をいくつかテーブルに積み上げる。10本入りのセットが5個、50本分も積み上げたところで続ける。
「必要な機材は鍵屋が都合してくれました。それに……」
一瞬の間をあけてこう続ける。
「それにあなたを待ってる人もいますよ。」
そういって彼は1枚のタブレットをこちらに滑らせた。
2023年 銀座時間:7月17日 午後 地下東京 ギンザ駅・メンテナンスルート タキ・ヤマハ / ギンザ同盟・交易商人
結局のところ、俺は依頼を受けざるを得なかった。電池があればしばらくは食うに困らないっていうのもあるが
あのクソ道楽議員が集めてきた人材を見ては引くに引けなかったというのが正直なところだ。
タブレットには同じように声をかけた同業者名の名前が連なっていた。トウカイの若手にフェンダー帰り、ブローカーにミュージシャン崩れまで経歴はさまざまであったが業界人といえる人材がそろっていた。これで断ったら今後そういう何かがあった時に爪はじきにされるのは火を見るより明らかだった。
「あとは実際にギターをハンドメイドで作れる人間がそろえばか……」
自分の持てるだけの財産を担いでやってきたのはギンザ駅の境界ぎりぎりのメンテナンスルート、その中でもギンザ同盟が倉庫として資材をため込んでいた場所のはずだった一室であった。部屋には数人の男たちが集まっており部屋の隅に設置された製図版の前であーだこーだ言い合っている。
「手を出すならウッドギターだ、エレキは使おうにも電源の問題がある。」
「いや、それならウクレレの方がいい、あっちのほうが手軽に作れて軽い。どこの駅だって少しでも安く量産されたほうが手に入れやすいだろう。」
「いや、愛着を持つなら多少高い方がいい。」
何から作っていくかあれこれ言い合っていたらしくこちらの姿には全く気が付く様子もない。再びため息をつくと仕方がなくこちらから声をかける。
「作るならウッドギターだ。素材も機材も電子機器を考慮するにいは限られているしウクレレなんてつまらない音で今後の顧客が取れるわけないだろう。楽器を作るなら最初の一本は最高のものを作らないと。」
つかつかと無駄に足音を立てて製図台に近づいて1枚の図面を張り付けてやる。鉛筆で雑に書きなぐった、手工業も末かと思わせるようなソレであったがそれでもただ行ってやる。
「俺たちのギターを作るぞ。あのクソ議員が口を閉じられなくなるくらいの激やばの逸品を。」
ギンザ同盟のホソヤ議員、今やクラフトマスターの名前をほしいままにするヤマハ氏、そして工房の立ち上げにかかわった数多の人々はこうして最初のギターを作るための旅へと歩みだしたのだった。
待ち受けるは温水便座の洗礼!ニクデンシャの悪夢!
いかにして最初のギターを作り上げ、彼らの工房を表舞台へ持ち上げていったのか!
第二階へ続く!刮目して待て!
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トーキョー回覧板組合 合同編集部
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:3073138 (01 Nov 2019 04:49)
この作業内容でトンテンカンという音は果たして鳴るでしょうか?描写が少々ピンと来ませんでした。素材を張り合わせる時に出るものとは思いますが…
降ってくる
不要な改行
誤字
何個かの章に分かれるのはいいのですが、前編としても1個のTaleと扱うにはこれだと少々短すぎるように思います。起承転結の起だけで止まっている感じで、せめて承までは見たい印象。話の流れもスムーズに過ぎておりフックが不足しています。もう1段落くらいあると嬉しいですね。
ありがとうございます、起承転結の起で止めるつもりだったのですが、ちょっとボリューム不足と言う事であれば
承の部分をつけ足して再度出したいと思います。(この先が胡乱になるのでまともなうちでわざと切っていました)