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タイトル: SCP-XXXX-JP - メタタイトル
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作成年: 20XX
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karkaroff 2022/12/24 (土) 18:29:21 #72416532


tunnel

tunnel

ハッピーホリデーを楽しんでいるか?今の時間にも当然暇だっていう奴がいたら気まぐれで覗いてくれると助かる。せっかくのクリスマスイブに仕事をしてぐったりして帰ってきた雇われの腹いせを聞いてほしい。

いつの頃だったか、大学時代、就職が決まって時間に余裕ができたころの話だ。当時、私は日本で大学生をしていたファッキン怪談オタクであちこちのホラースポットを巡ったり、色んな奴らからそういう類のオカルトの話を聞き漁ったり、そういう事をしていた若い頃のちょっとした体験談だ。

karkaroff 2021/7/13 (火) 21:32:26 #72416532


以前、私は神奈川県内の大学に通っていて近所にある有名なホラースポットへのリベンジに燃えていたんだ。正確には少し前に友人たちと厚木っていう町にあるトンネルに行って心霊体験のようなものをしたので、今度こそきちんと何があったのか確認しておこうって思ったのさ

karkaroff 2021/7/13 (火) 21:47:48 #72416532


事態が動き始めたのはそれからしばらくしてだ。窓に頭を持たれかけて”うつらうつら”と眠気と戦っていると何処からともなくノイズが聞こえてきた。車のエンジンはかかっていないのに、カーステレオからサーっとホワイトノイズが小さく聞こえたのを覚えている。

あー、これは当たりを引いたかな?当時はオカルトにかぶれていたのでそんなことを思った。それでゆっくりと顔を上げると車の周りに何かがいた。

karkaroff 2021/7/13 (火) 21:55:58 #72416532


サアッと血の気が引いた。近くの街灯に照らされてそこに立っていたのは黒い、いや……本当に黒かったのかは分からないが、少なくともはっきりと姿が認識できない影かなにかの群れだった……と思う。

少なくとも私にはそう見えていた、見えているのに見えていない何かそういうものが車の周りを囲むようにして何体も何体も蠢いていた。多分だが、それが何かを理解してしまったら私は今頃ここでビールを片手にこの話を語っている事はなかったと思う。そういう類の見てはいけないものだったと理解している。

私はとりあえず寝たふりをした。一番厄介なのは認識していると悟られる事だ。

経験上、そう認識していた。少なくとも追い払える武器も、助けを呼ぶ術もなにもなかったのだ。気取られずにそれが過ぎ去るまで耐えるのが得策と考えた……しかしこれが良くなかった。

視界を下に落とす刹那、見えるはずがないバックミラー越しに、車の後部座席に誰かがいるのを見た気がした。そして、そう認識したとたんに車の後ろでギシっと音がした。

karkaroff 2021/7/13 (火) 22:05:05 #72416532


私は必死に寝たふりをしてそれが消え去るのを待っていたが現実は非情だった。
気取られてはいないつもりだったが、それがゆっくりと、ゆっくりと、ゆっくりと近づいてくるのが分かった。緩慢な動きで、それこそ焦らす様に私の後ろに迫っているのが直感で分かった。

私は耐える事しかできず、ただただ目をつむってそれが何かも知らないふりをして耐えた。ホワイトノイズが延々と耳に残り、残響で自分も震えるような錯覚を覚えるほど長い時間耐えた気がする。

そして、それは突然反転した。急な物音が聞こえ、その場に似合わない狂気の叫びがすべてを支配した。

『「ビックリするほどユートピア!」』

もう一台の車から飛び出てきた二つの影は渾身の力でそう叫んだ。

karkaroff 2021/7/13 (火) 22:10:01 #72416532


私はつい顔を上げてしまった。つい、顔を上げてしまったのだ。

そして人生で5本指に入る恐怖の光景を目にした。

服も、肌着も、靴も、靴下もすべてを解き放った二人組の英国人がすべてを通り抜けた狂乱の形相で、半分を炉目をむき、臀部をパチン、パチンと叩きながら叫びまくっていたんだ。

”びっくりするほどユートピア!” ”びっくりするほどユートピア!”

それはもう恐ろしい光景だった。飛び跳ねる全裸の二人組が車の周りを狂った調子で暴れまわるのだ、すべての心霊現象よりも人間が怖いと確信した瞬間だった。

余りの恐怖に全身を凍り付かせながら数分間、その地獄の光景を見続けた。そして、ふと我に返ると車から飛び出て、彼らに思いっきりびんたをしていた。

そして、思いっきり彼らをゆすっていた。その頃には、心霊現象のしの字も忘れていた。彼らの顔を数回はたくと、二人組はまるでつきものが落ちたみたいにその場にへたり込んだ。その頃には、奇妙な影も、後ろから迫る何かも、カーステレオから聞こえるノイズも消え去って、ただただ静寂が戻ってきていた。

彼らはいそいそと服を着こんで、私をRVに招き入れた。私は別の意味で恐怖を隠し切れなかったが彼らとRVに乗り込んで他の仲間が来るまでバドワイザーとジャーキーで時を忘れる事にした。

karkaroff 2021/7/13 (火) 22:22:22 #72416532


結局のところ、それから十分もしないうちにキャンプ場を見に行った奴らも戻ってきて、我々はいそいそと山中のスポットから走り去ることになった。

廃キャンプ場に行った奴らは妙な視線を感じたとか、公衆便所後で蟲の群れを見たとか色々と言っていたが、結局のところはそれらしい現象はあまり起きず、適当に雰囲気を楽しんで帰ってきただけだった。(正確にはカップルが一組できていた、滅びればいいと思う)

私は二人の英国人と見たことを震えながら喋り(びっくりするほどユートピアを隠しきったのだ、褒め称えてほしい)本厚木の駅の近くのカラオケで朝まで歌って、飲んで恐怖を紛らわせて過ごすことになった。

結局のところ、あの山中で現れた影が何だったか、今に至るまでその正体は分からずじまいだ。ただ、一つだけ覚えている。最後、アパートまで車で送ってもらい、去り行く際に車の底面に見えた影の中の白い目。

影は、何処に行っても人に付きまとう、あれは見えていないだけで今も何処かの陰に潜んで、溢れ出すのを待っているのだろう。そして、次にそれが私の前に現れた時……私も、きっと叫ぶことになるだろう……すべての羞恥を捨て去り、すべてを開放して叫ぶのだ。ユートピアと。

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