SCP-173の報告書にある特別収容プロトコルには
SCP-173は常に施錠されたコンテナに保管されています。職員がSCP-173のコンテナに入室しなければならない場合は、必ず3人以上で入室し、入室後にドアは施錠されます。職員がコンテナから全員退室し再び施錠するまで、常に入室した職員のうち2人はSCP-173を注視し続けてください。
とあるものの、もっと適切なやり方(清掃時の死亡リスクを抑える)はいくつも考えることができる。
ではなぜ、このリスクを抱えた特別収容プロトコルは継続されているのか?
以下の逃げ道によらない、現在もこの特別収容プロトコルを継続している理由について納得いく結論を出したい。
- この報告書は1993年当時の旧版であり、現在は改定された特別収容プロトコルが採用されている。
- SCP-173の担当となったDクラス職員が、HMCL主任代理へ意見書を提出する。開瞼器と水中メガネと点滴が組み合わされたような頭装備のイラストが書かれており、装着者は点滴から流れてくる人工涙液によって、開瞼器で開き続ける眼を乾燥から守ることができると説明されている。この器具の開発提案は却下される。
- SCP-173の担当職員、しかしその清掃担当ではない者たちは当報告書に付随する要クリアランス情報にアクセスするだけの権限があり、これを把握し、その管理に努めている。
- 財団は並行世界に存在する複数の財団との間で、一部の情報を共有している。その中でも特筆すべき項目として、SCP-173の分布率がある。並行世界は多かれ少なかれの相違点を持ち、ある世界には存在するオブジェクトがある世界には存在しないということはままある。しかし、SCP-173はこれに反するようにどの並行世界にも存在している。これが報告書には明記されないSCP-173の特殊性の一つである。
- SCP-173には、さらなる特異性があることが判明している。それは「財団が収容の安定性を上げると、これに対抗するように未知の新たな異常性が発生して収容の安定性が下がる」というものである。これは「需要と供給の曲線」に例えられる傾向であった。
- 一部の並行世界はSCP-173の収容の改善を試みた結果、その中にはK-クラスシナリオの発生に至ったものさえ含まれる──どれも異常性の悪化を発生させた。では、その逆で特別収容プロトコルに意図的に瑕疵を与えた場合は? 先に例示した通り、グラフは交点を下限としてV字を示すものであり、決して原点に近づくような挙動は示さない。意図的な瑕疵の度合いと対応するだけのインシデントが実現するにすぎなかった。
- 財団が現在SCP-173に対して与えている特別収容プロトコルは、SCP-173の異常性を最小限にするものだと結論づけられている。それは清掃を実行する職員にその事実を伝えないことをも含めたものであるため「なぜこのような不条理な作業を強いるのか」や「収容への提案」に対しては拒絶の意志を示すことが最適な対応である。
- これからも清掃を担当するDクラス職員は、その想定される確率のもと死亡するだろう。しかし、そのリスクは財団が最大に配慮を行って最低レベルまで下げたものである。HMCL主任代理は、決して伝えられないその慈悲をDクラス職員の背中に預けて、その無事を祈った。
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任意A任意B任意C- portal:3030844 (25 May 2019 02:12)
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