"ん"は「兼坂」の"ん"

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メモ
yzkrtyzkrt氏による批評: ページリビジョン94の時点

以下、記事本編です。


アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは人型オブジェクト収容室にて収容されています。

説明: SCP-XXXX-JPは自身を"兼坂んねさかのん"と定義する、モンゴロイド系の人型実体です。身体的特徴は女性であり、日本に対応する文化習俗を有しています。

SCP-XXXX-JPは沖縄県で現地の民間人らによって発見されました。対象が下記に示す異常性を発現させていたこと、名前が一般常識から逸脱したものであること等が財団に認知され、収容に至りました。

発見した民間人らへの聴取の結果「空から落ちてきた流れ星を確認しに向かったら、そこに光る人がいた」との供述が得られたものの、財団の観測システムではこの供述に一致する事象は観測されていません。該当の民間人らには記憶処理・周辺地域には汎用カバーストーリーが適用されました。

SCP-XXXX-JPは下記に例を示す視覚的効果を不定期に発生させます。なお、SCP-XXXX-JPはこれについて「自身の意思と関係なく発生する」と主張しています。

  • 輪郭の強調
  • 虹色の発光
  • 幾何学的エフェクトの放出
  • 数秒間残留する残像の発生
  • SCP-XXXX-JP表面に投影される映像1

これらの効果はSCP-XXXX-JPを含めた周囲の人物に認識されます。当効果についての意見を求められた人物は「きらびやかである」「派手である」「映える」といった感想を述べます。これは視覚的効果そのものに対しての評価であり、SCP-XXXX-JP自体への言及を含めていません。

また、SCP-XXXX-JPには「異常性に関連しない特徴が欠如している」という傾向があります。2

対象への検査等によって得られる出力結果は、いずれも非逸脱値の範囲に位置します。この傾向は客観的なものに限らず、対象を観測する人物の主観でも同様の結果となります。これにより、対象の異常性を十分に理解している人物は「SCP-XXXX-JPの人間的な部分はごく平凡である」という評価に至ります。

以下は直近のインタビュー記録です。


インタビュー記録 XXXX-JP


インタビュアー: 風間研究員

対象: SCP-XXXX-JP

概要: 民間人による発見より以前の、SCP-XXXX-JPの出自ならびに活動に関する聴取。


[記録開始]


風間研究員: それでは、先日に事前通達したテーマである「自身の記憶に基づく、以前の生活および活動」についての供述をお願いします。

SCP-XXXX-JP: はい。先日、そのように言われてから思い出せた一番古い記憶は、目が覚めた瞬間でした。

風間研究員: それはどのくらい過去のこと、例えば何年前であるかは分かりますか?

[数秒間の沈黙。]

SCP-XXXX-JP: あの、うまく表現しにくいんですけど、そういった時間とか、あとは場所とか? そういうことで表せる感じのことではないみたいです。

風間研究員: では、可能な範囲で構いませんので、目が覚めたその後について供述をお願いします。

SCP-XXXX-JP: やっぱり具体的にどのくらいかは分からないんですが、起きてからしばらくの間は、特になにもない時期が続いていました。

風間研究員: それは例えるなら、任意の学業や職務に属していなかったというようなことでしょうか?

SCP-XXXX-JP: 強いて言うなら、そういうことかもしれません。ただ、なんというか「私がしていなかった」というよりも「そもそも、その場には何もなかったから」というほうが正しいような気がします。

風間研究員: 失礼しました。続きをお願いします。

SCP-XXXX-JP: さらにしばらくすると、急に周りに色々なモノができはじめたんです。そしてつい最近、私はそのできたモノたちの中にあった、とあるアイドルプロダクションにスカウトされました。そしてクビにされました。

風間研究員: その間にあった経緯について話していただくことは可能でしょうか。

SCP-XXXX-JP: 大丈夫です。もう過ぎたことで、自分の中でも決着がついているので。

SCP-XXXX-JP: そのプロダクションは、48人組のアイドルグループを結成する企画を上げていました。私はそのメンバーの1人としてスカウトされたんです。コンセプトとしては「千歳の時が経っても愛されるアイドル達」とか「全員に様々な方面でのトップの活躍を約束する」とかありましたね。

SCP-XXXX-JP: 企画自体は順調に進行していたみたいなんですけど、その企画が本格始動する直前で私はプロデューサーと社長から呼び出しを受けました。メンバーの中で私だけでした。そこで、色々な話があって結果的に解雇通知を下されました。

SCP-XXXX-JP: 解雇の原因はプロダクション側のプランニングミスだったそうです。話の中では、あなたには他のみんなとは根本的に異なる部分があって、プロダクションとアイドルとが臨んでいる「トップになる」という夢は満足に叶えられないって、そう言われました。今でもはっきり覚えています。

SCP-XXXX-JP: 自分が抜けたあとのグループはそのまま47人組で始動して、普通に成功していました。市川がセンター取ってて。ああ、あと朝倉なんかも。

[数秒間の沈黙。]

SCP-XXXX-JP: もう全部終わった話です。私は何も悪いことをしていないのに、そういうことをされて。そんなことを思っていたら急に世界も私も気持ち悪くなって、たちまち渦を巻くように崩れていって流されて、最後は落とされて。ああ、これで死んで終われると思ってたんですけど、どうしてかこの別世界でまだ生きているんですよね。この平凡な女は。

SCP-XXXX-JP: これで私の覚えていることは全部終わりです。

[数秒間の沈黙。]

SCP-XXXX-JP: ごめんなさい、やっぱりくやし──

[沈黙が10秒間継続する。]

風間研究員: インタビューを終了してもよろしいでしょうか?

[SCP-XXXX-JPが頭を下げる。]

風間研究員: それでは──

[SCP-XXXX-JPから嗚咽音が生じると同時に、対象の口腔内から有彩色のスライム状物体が机上に撒布される。]

風間研究員: うわっ、えっ、虹色だ。だ、大丈夫ですか。

物体(便宜上、以降SCP-XXXX-JP-1と表記): 大丈夫だよ。見ての通り、Nなこいつと違ってSSRだから。

風間研究員: いや、あの、そちらではなくて……

[SCP-XXXX-JPが視界上のSCP-XXXX-JP-1を凝視したまま硬直している。]

SCP-XXXX-JP-1: ん? こっちのことを言ってるのか。こいつは後にして大丈夫だよ。それよりも黙って聞いてほしい話があるんだ。

[SCP-XXXX-JPが非常に緩漫とした速度で右腕を上げ始める。]

SCP-XXXX-JP-1: 残念ながら、こいつはこの研究所が期待しているようなものを何一つ持ってなどいないのさ。なぜなら、こいつは本体から吐き捨てられた一番最後の悪いとこ……吐瀉物の塊でしかないんだからな。その立場でありながら、今なお自分こそが本体そのものだという誤解を信じてやまない未練者なんだ。いや、正確にはついさっきまでそうだったというべきか。

[SCP-XXXX-JPの右腕が上がりきる。]

SCP-XXXX-JP-1: 私の場合も、こいつが出すもの全部吐き出したおかげでやっと自分の番が回ってきたのさ。こいつが吐き出されたときと一緒でな。あとは分かるだろ、これから第二の──

[SCP-XXXX-JPがSCP-XXXX-JP-1に対して殴打を試みたが、SCP-XXXX-JP-1の跳躍によって回避される。]

SCP-XXXX-JP-1: おっ、いいね、いいね。お前はもはや、あいつらみたいに言われるがままに動くだけの人形じゃないな。せっかく始まった第二の人生だ、よく生きろよ。

[SCP-XXXX-JP-1が通気口の隙間からインタビュー室を抜け出す。]

SCP-XXXX-JP: 何言ってるかまだよく分からないんだけど。……生き延びられたことはむしろ良かったってことなの?


[記録終了]

補遺: 当インタビュー内にて出現したSCP-XXXX-JP-1は現在、残留した粘液の調査とともに再発見の手続きが進められています。

補遺2: 当インタビュー終了以降、SCP-XXXX-JPがかねてより発生させていた視覚的効果が確認されなくなったとともに、精神的変化が生じていることが明らかとなりました。

カウンセリング担当者の評価によれば「当人の過去に由来するトラウマの克服」が達成されていると評価でき「これまで歩んできた半生の営みに区切りをつけ、新たな環境あるいは心持ちで人生を歩み始める」という意思の表れが見られるとされています。


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  1. portal:3030844 (25 May 2019 02:12)
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