アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 適切なクリアランスレベルを持つシトラ=アキュラ合同司令部の職員を除き、当オブジェクトに関する情報は開示されません。
SCP-XXXX-JP-1および-2は、生物収容サイト-81BX内のBSL-4の設備を有する収容区画内に設置された、気密性の高脅威度オブジェクト収容コンテナで個別に冷凍保存されます。実験に際してはシトラ=アキュラ合同司令部のレベル4職員最低2名からの許可が必要であり、オブジェクトと直接接触する職員はレベルAのHazmatスーツを着用しなければなりません。実験の終了後、接触した職員は指定の手順に従い除染を受けます。
特別収容プロトコル: 適切なクリアランスレベルを持つシトラ=アキュラ合同司令部の職員を除き、当オブジェクトに関する情報は開示されません。
収容体制の安定維持のため、原則として財団はSCP-XXXX-JP内コミュニティへの干渉は行わず、収容体制は当該地域一帯の一般社会からの隔絶に向けられます。カバーストーリー("県有地")の下、SCP-XXXX-JPと他町村との境界線を有刺鉄線で囲み、その周辺を定点カメラで監視してください。外部から許可無く敷地内へ侵入した人物は機動部隊イプシロン-6("村のアホ")により拘束され、記憶処理あるいは終了措置が執られます。
説明: SCP-XXXX-JPは、日本国神奈川県旧戸田越村(現山北町)として知られていた地域一帯を指します。面積108.07km2、総人口は102人であり、登録上は24世帯が存在していました。
戸田越村は神奈川県の最西端に位置し、同県山北町・山梨県南都留郡道志村・同県山中湖村・静岡県駿東郡小山町と隣接していました。戸田越村は1946/03/14までの間存在していましたが、同村において異常存在が複数が確認されたため、財団が介入し、結果戸田越村は廃村、山北町に吸収合併されました。
SCP-XXXX-JP内部には、SCP-XXXX-JP-1、-2と指定される計2種類の異常実体が存在します。
SCP-XXXX-JP-1は計24世帯の建造物です。オブジェクトの異常な点として、その構造の約8割が生物学的な生体構造物(骨やキチン質、筋肉など)で構成されている点にあります。初期収容の時点で、SCP-XXXX-JP-1は著しく破壊されていました。しかしながら、オブジェクトに腐敗の兆候は確認されておらず、また物理的な攻撃に対しある程度の耐久性を有しています。
SCP-XXXX-JPの構造は、これまでに確認されてきたSK-BIO タイプ005個体のそれに非常に酷似しています。現在までに収集された資料から、SCP-XXXX-JPはサーキシズムと強い関係性を持っていると断定されており、SCP-XXXX-JP-1は、後述のSCP-XXXX-JP-2に住居および"キラーク"として使用されていたと考察されています。
SCP-XXXX-JP-2は計43体のヒト型実体です。オブジェクトの遺伝子はヒト (Homo sapiens sapiens) と同一ですが、いくつかの点で非異常性のそれから逸脱した特徴を有します。
SCP-XXXX-JP-2は何れも有知性・有自我であり、SCP-XXXX-JP-2と同様高い耐久性を持つほか、自己再生能力を示し、非異常性のヒトと比較して非常に長い生命スパンを有します。SCP-XXXX-JP-2はSK-BIO タイプ003個体に酷似した特徴をいくつか有しており、例としてオブジェクトの消化器系の臓器は機能しておらず、そのため物質の摂食が不可能です。しかしながら、これにより生命活動に異常が発生した例は確認されていません。
SCP-XXXX-JP-2は何れも郡内方言話者である他、財団に対して敵対心を抱いていません。全体的に非常に内向的な性格であり、基本的にSCP-XXXX-JP-1外から出ることはなく、外部との接触を忌避する傾向にあります。SCP-XXXX-JP-2はプロト-サーキシズムを信仰しており、収集された資料は、古来より戸田越村にプロト-サーキシズム信仰が根付いていたことを示していました。SCP-XXXX-JP-2は、専ら日中は綿花や藁の栽培に徹し、夜間にプロト-サーキシズムの教義を集団で実践します(詳細は資料-XXXX-JP:行動サイクルを参照)。
補遺XXXX-JP.1: 発見経緯
1945/08/28におけるGoI-8100("蒐集院")との合併交渉の妥結に伴い、財団本部は同年9月以降に日本国内における異常存在の調査を開始しました。その調査の過程で、SCP-XXXX-JPに関する異常存在は1946/02/18に財団に認知されました。一般社会への情報漏洩の防止のため、SCP-XXXX-JPの全領域は財団の管理下に置かれ、戸田越村は廃村措置が取られました。オブジェクトとプロト-サーキシズムとの関連性は、収容後の調査で判明しました。
補遺XXXX-JP.2: SCP-XXXX-JP-2個体へのインタビュー記録
情報収集の一環として、SCP-XXXX-JP-2個体へのインタビューが計画されていましたが、オブジェクトの内向性の強さから対話は困難を極めました。しかしながら、継続的に実施された交渉の末、1948/09/05に一体のSCP-XXXX-JP-2個体との接触に成功しました。以下は、インタビュー記録を郡内方言から標準日本語へ翻訳し書き起こしたものです。
対象: SCP-XXXX-JP-2(以降"対象")
インタビュアー: 朝比奈 誠一研究員(以降"インタビュアー")
日付: 1948/09/05
付記: インタビューに応じたSCP-XXXX-JP-2個体は、戸籍上は1832/05/12に誕生し1895/03/25に死去した、篠宮 康隆という名を持つ成人男性です。インタビューは現地で実施されました。
<録音開始>
インタビュアー: ご協力に感謝いたします。ではまず最初に質問します。この村が成立したのはおよそ何年ほど前でしょうか?
対象: 詳しくは分からない。ただ、大陸から渡ってきた民族の末裔がおれ達だと、先祖から聞いたことがある。おれ達の信仰もそこで伝来したと。
インタビュアー: ありがとうございます。[周囲を見回して] …日中は農耕をするので?
対象: ああ、藁とか綿花とかを育ててるよ。主に衣服のためだな。…おれ達は飯を食わないから、食物は育てないし、村の外にも出ないから馬も牛も飼ってないな。
インタビュアー: 夜間は何を?
対象: 村の皆で"村長"の家で集会を開くな。…あー…申し訳ないが、詳しいことは言えない。
インタビュアー: …承知しました。お話して頂きありがとうございます。では次に…あなた方の年齢についてです。戸籍上、貴方はおよそ100年前に誕生し、50年前に亡くなりました。…しかしながら、あなたは今ここにいます。記録上は享年63歳ですが…あなたは何年前から生きているのですか?
対象: [十数秒間の沈黙]
インタビュアー: …ああ、すみません。今回の聴取で得た情報は部外秘と、我々側で既に取り決めております。その点はご安心下さい。
対象: …戸籍の通りだよ、生年月日は。死んだ日は出鱈目だ。
インタビュアー: ありがとうございます。…他の村民の方々も同じで?
対象: ああ。[数秒間の沈黙] あそこの家に住んでる子は、おれが死んだ日に生まれた。…おれ達は常人とは違う。他人と比べて、異常に生が長い。だからこそおれ達は戸籍を偽る。ある程度時が経ったら、国に偽の死亡届を出すんだ。
インタビュアー: と言いますと、つまり戸籍を偽って生きていると。
対象: ああ、死亡届を提出したら、あとは隠居だ。"家"に籠り、その生を終えるまで祈りを捧げる。
インタビュアー: なるほど。では、そのように戸籍を偽って生きるのは何故でしょうか?
対象: …あんたが何人か…中国人か朝鮮人か、それとも遠い国の人間なのかは分からんが…その服装を見るにどうも異国の人間らしい。…あんたが知っているかは分からんが、この国には昔から、あんたらみたいにおれ達を「怪異」として捕らえる組織があったんだよ。
インタビュアー: …蒐集院、でしょうか?
対象: …ああ、そう。奴らに目を付けられないように生きるために、おれ達は"人間"を真似て生きてきた。おれ達は"人間"に似てはいても、"人間"では決してないから。
インタビュアー: …ありがとうございます。では最後に一つ、質問させて頂いてもよろしいでしょうか。
対象: ああ。
インタビュアー: この村に点々としてある…あの茶色い染み。あれは一体━━
対象: …すまないが、話はこれで終わりにさせてくれ。
インタビュアー: …はい?
対象: 終わりにさせてくれ。
<録音終了>
終了報告書: 戸田越村と彼ら自身に関する情報はある程度把握できましたが、SCP-XXXX-JP-3の出自や、SCP-XXXX-JP-1が何故破壊されているのかなど、不明な点は依然残っています。そして彼らは…これらに関してとりわけ口にしようとしません。オブジェクトの研究の上でこれらの情報は是非とも入手したいことですが、その前にまずは財団と戸田越村のコミュニティとで友好・信頼関係を樹立させることが先決でしょう━━相当の時間を必要としますが。
ただ、収穫も十二分にありました。戸田越村は明らかに、プロト-サーキシズムと関係を持っています。SCP-XXXX-JP-2個体からの情報を信用するならば、西モンゴル一帯や中国大陸における古代サーキシズム信仰が出自にあると推定できます。なお蒐集院との関係性は、資料が不足している以上確実視はできません。ただし言及されている以上、財団が吸収した蒐集院の元研儀官に対しインタビューを実施する必要はあると考えます。
まずは時間をかけ、戸田越村との関係を構築していきましょう。情報収集の実行はその次です。 ━━安比奈研究員
補遺1519-JP.3: SCP-1519-JP-2-αへのインタビュー記録
収容体制の確立後、財団は戸田越村との友好関係の樹立に向けて交渉し続け、その過程で村民であるSCP-1519-JP-2個体とのインタビューを記録上計11回実行しました。結果、第一回のインタビューから約7年後である1955/11/09に、コミュニティ内で高位階級に位置すると推測される実体(便宜上SCP-1519-JP-2-αと指定)との接触・インタビューの実施に成功しました。以下は、インタビュー記録を郡内方言から標準日本語へ翻訳し書き起こしたものです。
対象: SCP-1519-JP-2-α(以降"対象")
インタビュアー: 朝比奈 誠一博士(以降"インタビュアー")
日付: 1955/11/09
付記: SCP-1519-JP-2-αは、これまでに確認されたSCP-1519-JP-2個体の中で最もSK-BIO タイプ003に酷似した外観を有していました:目は皮膚に覆われ退化し、耳は漏斗状に変形している他、ハーレクイン型魚鱗癬に似た疾患を発症しています。当該個体は村内で「カルキスト・タキザワ」と呼称されており、コミュニティ内である程度の権力を有しているものと考察されています。
インタビューは現地で実施されました。
<録音開始>
インタビュアー: こんばんは、カルキスト・タキザワ。これよりインタビューを開始しますが、問題はありませんか?
対象: ええ。目は見えなくとも、私には耳があります。貴方の言葉はしっかり聴き取れますとも。
インタビュアー: 承知しました。ではまず…その身体を手に入れた経緯を教えて頂きたいと思います。
対象: この肉体は、今は亡き父により施され、授かったものであります。…滝澤は代々この村を治めてきました。いつの時代も変わらないことです。
インタビュアー: というと、つまり貴方がこの村の住民が言うところの"長"であると?
対象: 自治体上は別の方が務めていましたが、実質的にはそうなります。
インタビュアー: ありがとうございます。では次に、この村において過去起こったことについて教えて頂きたいです。例えば…蒐集院について。…よろしいでしょうか?
対象: …ええ。出来る限り詳細にお伝えいたします。
インタビュアー: ご協力に感謝いたします。…我々がこの村に対し調査を進める上で、幾つか疑問点が浮上しました。今回の聴取ではうち3つ、質問させて頂きたいと考えます。まず第一に、戸田越村にある数十世帯の住居…これを我々は便宜上SCP-1519-JP-1と呼称していますが、これらの全ては我々が発見した時点で、著しく破壊されていました。このような現状に至った経緯について、説明をお願いしたいです。
対象: 承知しました。まずそれ以前に…この村の様子は大分奇っ怪だったでしょう。例えば…家屋が肉で造られている点など。
インタビュアー: …ええ、一般的な"家屋"と比較して考えれば、かなり逸脱した構造を有していると感じます。
対象: そう、その通りです。この村も最初は、他の集落と何ら変わらない。家も肉塊で造られてはいませんでした。
インタビュアー: では、家屋は後になってあのような構造になったと?
対象: はい。望まれたことでは、決してありませんでした。…貴方方がこの村に来る丁度5年ほど前でしょうか…この村は戦役を経験しました。我々は戸籍を偽り、生活を真似、出来る限り"怪異"ではなく"人間"としての生活を続けてきました。…ですがそれも、遂には終わりを迎えたのです。
インタビュアー: 蒐集院に捕捉されたと?
対象: ええ。…切っ掛けは誰にも分かりませんでした。戸籍の偽装が発覚したのかも、噂として外に流れていたのかも…ただ、真相を突き止めようとしても無駄だという点は理解していました。…院の人間はこの村に来て直ぐ、皆の家々に押し入りました。止めに入った者は捕らえられ…その後どうなったのかは存じ上げません。そして私は、死亡届を既に提出され、隠遁生活を送っていた者が家から引きずり出される様を目にしました。
対象: 蒐集院は…我々が怪異であることを確信したのです。その後何が起こったのかは、この村の現状がよく表しているでしょう。
インタビュアー: …ありがとうございます。…調査の過程で気になった点として、村の登録上の人口と貴方方の人数が合わないという事実があります。総人口は102人であるとされており、これに戸籍上死亡した人物を含めれば、これを優に超える人数になるはずです。しかしながらこの村には…確認できるだけで、村民は43人しかいない。この点もその戦役と関係があるので?
対象: ええ。…我々の一生は、貴方方と比べれば非常に長いものです。しかし…不死ではない。槍で急所を貫かれれば、我々は死ぬのです。
インタビュアー: …成る程。となると、地面に点々としてあるあの染みも…?
対象: …蒐集院と攻防を繰り広げている過程で、我々は大きな過ちを犯しました。結果的に蒐集院は撤退し、我々は生き延びましたが、代償は大きいものでした。…ええ、貴方の考える通り、あれは村の民だったものです。ですが皆があのような姿になってしまったのは、院の仕業によるものではありません。…家屋が変貌したのもそうです。
対象: …我々の祈りによって、全ては引き起こされたのですから。
<録音終了>
終了報告書: SCP-1519-JP-2-αの証言と戸田越村の現状を考慮すると、SCP-1519-JP-2が過去大規模な戦闘を経験したことは確実なものと思われます。後日、財団所属の元研儀官に対しインタビューを実施し、オブジェクトと蒐集院との関係性を明瞭にしたいと思います。
SCP-1519-JP-2-αの最後の言動に関しても、個人的には調査を行いたいと考えています。仮にSCP-1519-JP-2が儀式的プロセスを実行し、蒐集院へ損害を与え、戸田越村における新たな異常存在の出現を招いたのだとすれば、オブジェクトの脅威レベルは比較的高いものとなります。収容プロトコルの改定も必要になるでしょう。 ━━安比奈博士
補遺1519-JP.4: 蒐集院元研儀官へのインタビュー記録
SCP-1519-JP-2-αへのインタビューの実施後、元蒐集院所属の財団職員に対し、蒐集院の所有資料と照らし合わせた上で調査が実施されました。結果、元研儀官であった博士階級の職員が過去に戸田越村の制圧計画に関わっていたことが判明し、情報収集のためインタビューが実施されました。以下はインタビュー記録を書き起こしたものです。
対象: 狭山 宗一郎博士(以降"対象")
インタビュアー: 朝比奈 誠一博士(以降"インタビュアー")
日付: 1948/09/05
付記: インタビューはサイト-81AZにて実施されました。
<録音開始>
インタビュアー:
対象:
<録音終了>
終了報告書:
ページコンソール
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補遺2まで確認しました。全体的には問題ないと思います。
一部に気になった表現がありました。
現時点で既にプロト・サーキックのオブジェクトとしての雰囲気がよく出ており、続きが大変楽しみな記事です。完成をお待ちしております。
批評依頼を引き受けてくださりありがとうございます。
削除しました。
ご指摘の通りに変更しました。
初耳でした…!修正しました。
「大陸から渡ってきた民族」に変更しました。
下書きが完成次第ステータスを批評中に変更し、改めて本格的に批評を募集しようと思います。