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fivefivetower.jpg

2007/05/30に出現したSCP-xxx-JP実体の写真。一般人によって撮影され、一時的にインターネット上で公開されていた。

アイテム番号: SCP-xxx-JP

オブジェクトクラス: Neutralized

特別収容プロトコル: 2015/09/01現在、SCP-xxx-JP実体の将来的な出現は想定されておらず、実行中の特別収容プロトコルは存在しません。SCP-xxx-JPの出現が確認された場合、旧特別収容プロトコルに従って対処を行ってください。

[[█collapsible show="+ 旧特別収容プロトコルを閲覧" hide="- 閲覧終了"]]
出現したSCP-xxx-JP実体は可能な限り速やかに不透明なシートで覆い、一般人によって視認されないことを最優先とします。SCP-xxx-JPを視認した対象者には、異常作用を受けたか否かに関わらず、クラスB記憶処理を施します。隠蔽後は、『行政主導のアート企画』等のカバーストーリーを用いて実験・調査を行ってください。周辺の人口密度が極端に高い等の理由によりカバーストーリーの維持が困難であると判断された場合、SCP-xxx-JP実体を爆発破壊し、残骸を回収します。
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説明: SCP-xxx-JPは日本・関東近郊で不定期に出現していた異常実体です。初めて観察された1990/03/15から、無力化されたと推定される2009/07/05までの期間に39実例が確認されました。

SCP-xxx-JP実体は高さ30mから40mの縦長の建造物の形を取ります。実体の構成要素は木材・石膏・金属ワイヤー・繊維布等の従来的な材料からなりますが、遠方から観察した場合、実体の各部分はヒトの身体部位を模しているように見えます。また、材料に異常な生物要素は含まれていないように観察されます。

SCP-xxx-JPの材料構成から推測される強度は、自立に必要な値を必ずしも満たしていないにも関わらず、実体が自然倒壊した例はありません。構成材料の部分的な採収は可能ですが、それら単体から異常性は検出されませんでした。一方、構造を維持したままSCP-xxx-JPを他の場所に運搬することを試みた場合、実体は不明な原理により消失します。

SCP-xxx-JPを肉眼で視認した対象者の約20%は心理的な強制作用を受けます。対象者は、SCP-xxx-JP近隣にある特定の住建造物・商業店舗・大学施設へ移動する欲求を覚えます。該当する場所に到達した場合、対象者は移動先の内壁・外壁に対して様々な言語のフレーズを書き記すことを試みます。筆記具、塗料を用いた通常の手段が優先されますが、それらが行えない場合は、種々の体液(他の影響下の個人のものを含む)を壁に塗り付ける形で実行を試みます。フレーズの内容は、不特定人物の孤独からの脱出を賞賛する文言、自身の昇天(ascension)を祈願する文言、第五主義を想起させる雑多な散文が主です。

[[█collapsible show="+ 出現事例抜粋" hide="- 閲覧終了"]]

日付 SCP-xxx-JP実体の構成 曝露者の移動先 備考
1990/03/15 男性の胴体の石膏像が縦に積み上がった構造。首及び四肢の断面に眼球を模したガラス玉がはめ込まれていた。 千葉県███市の住宅、同市の飲食店、██大学███キャンパス 機動部隊による回収の試みの際に消失。
1997/07/20 鉄筋コンクリートを主材料とした尺骨・橈骨・手骨を模した構造。空隙には臼歯らしき突起とビニールの舌が複数見られた。 茨城県██市のアパート、同市のオフィスビル、██大学██キャンパス N/A
2005/09/05 木製の左足・左腕が束ねられた構造。上端には下顎を除いた頭蓋骨が配置されていた。 東京都██区の下宿、同区の進学塾、███大学██キャンパス 出現地点の人口密度を考慮し、破壊処分。
2008/05/12 樹脂製の人差し指・中指が絡み合った構造。上端から黒色のゴムパイプが多数垂れ下がっていた。 埼玉県██市のアパート、███大学第一キャンパス 指先には指紋が描かれていたものの、関係者の発見には繋がらず。

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[[█collapsible show="+ 確認されたフレーズの例" hide="- 閲覧終了"]]

差し伸べられた手を離すな、若人よ。君は既に光ある道を歩いている。あとに待つのは万物が交換しあう約束の地だ。

Thou reach to the Ceiling, so high that it masks the Moon. How I wish to ascend and stand upon it.
(其方は月を覆うばかりの天井に届かんとする。昇りて、その天井の上に立つことが出来たなら、どんなに素晴らしきことか。)

Heuschrecken. Büffel. Die Sonne geht unter. Ich lebe auf dem fünfhändigen Seestern.
Chamäleons. Pottwale. Der Wind bleibt stehen. Ich sterbe unter den fünfhändigen Seestern.
(イナゴ。バッファロー。沈む太陽。私は五つ手のヒトデの上を生きる。/カメレオン。マッコウクジラ。風は止む。私は五つ手のヒトデの下に死ぬ。)

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また、フレーズを残した同対象者はその場にある物品を盗み1、自宅へ持ち帰ることを試みます。盗品を自宅に持ち帰った時点で強制作用は解除され2、対象者はSCP-xxx-JPを視認した時点以後の記憶を失います。典型的な反応として、対象者は自身の無自覚な移動、身体損傷、ならびに見覚えの無い物品に困惑を示します。

SCP-xxx-JP影響下の対象者の移動先は、特定人物の生活圏を想起させます。このことは、移動先として選定された商業店舗の大半が過去にアルバイトを募集していた点からも補強されます。しかしながら、移動先の傾向と生活圏が合致し、かつ異常性と関連を持つと考えられる人物が特定された例はありません。広域の現実改変あるいは過去改変の影響を想定して調査が進められましたが、有力な結果は得られませんでした。

補遺xxx-1/事案記録: 2009/07/05、神奈川県███市の住宅街付近の空き地に、ヒトの脹脛2つを縦に継いだ軸に10対の耳が付着した外観の構造物が前触れ無く出現しました。当該構造物を視認しても認識災害は発生しなかった為、財団エージェントによって容易に隠蔽が達成されました。構造物の根本付近では、ヤリイカ(Heterololigo bleekeri)の死骸と一本の出刃包丁が置かれていました。また、周辺で不審な挙動を見せていた同市在住の大学生(POI-xxx.1に指定)が拘留されました。

POI-xxx.1には異常な身体欠損、感覚器官の増殖が見られました。また、当該人物はそれらの異常性をSCP-xxx-JP関連事象の一つであること等を主張しました。

過去に確認された認識災害が発生しなかったことから当該事象の指定に関する議論が発生しましたが、POI-xxx.1の供述を考慮し、当該構造物は例外的なSCP-xxx-JP実体に指定されました。また、今後長期間に渡ってSCP-xxx-JPの出現が見られない場合にオブジェクトをNeutralizedへ再分類することが提案されました。オブジェクトはNeutralizedに再分類されました。

補遺xxx-2/暫定無力化後報告: 以下は、佐倉主任研究員の報告です。

第五教会において頭足類を信仰に用いることは稀ですが、朝鮮半島に伝来した文派に例があります。しかしながら、曝露対象者が残すフレーズはどちらかと言うと西洋的な第五信仰を想起させます。したがってSCP-xxx-JPの考えられる要因としては、散発的に発生した個人ないし小規模の信仰集団の存在が有力です。アーバンライト・プロトコル規制ミームの隠蔽は日本においても不完全なものであり、情報統制を潜り抜けた個人を起点として一連の異常が人為的に引き起こされたと考えることができます。

SCP-xxx-JPが明確に非生物実体である以上、POI-xxx.1との関連を断定することは出来ませんが、示唆的な要素はあります。外耳と脹脛の形状は十分に当該個人のものと類似しています。縫合痕も同様であり、これに関しては医療記録との照合もなされました。焦点となるのは、当該個人の認識抵抗値やミーム曝露の程度です。POI-xxx.1は間違いなく(一人、あるいは複数の)第五主義者と接触していますが、有害ミームの言及はありません。これが偶然によるものなのか、異常の一部であるのかは結論が出ていません。

以下は、POI-xxx.1を対象としたインタビューからの抜粋です。

POI-xxx.1: あの人3は、私の大事な人でした。

エージェント██: もう少し具体的にお願いできますか。

POI-xxx.1: 友人以上の関係だと、少なくとも私は思っていました。交際と呼べる関係では無かったかもしれません。とにかく、落ちこぼれていた私にとって、あらゆる意味で救いになってくれた人でした。出来ることならいつまでもついていきたいと思っていました。

エージェント██: しかし、現場であなたが証言したことは…。

POI-xxx.1: 外出していた時に偶然…偶然ですよ?あの人を見かけたんです。マントを被った、性別も分からない謎の人物と歩いていました。英語混じりの、ほとんど聞き取れない言葉で話していました。「すろん」、「とらえ」のようなことを言っていました。その時、直感したんです。私の体がおかしくなったのはあの人のせいだったんだと。気付けば右手に耳が生えていて、何故か音が聞こえて、つねると痛くて。足首の片方が跡形もなく消えていて、でも足先は繋がっていて。爪という爪が触ったことも嗅いだことも無い材料に変わっていて。全部あの人のせいだったんです。

エージェント██: それらの発生は確か、3日前と――

POI-xxx.1: 裏切っていたんですよ。あの人は、最初から。そういうつもりで、近付いてきたんです。私の為だとかあの人は言って、十億年前の超新星爆発だとか、ペンタケラトプス座だとか、ディエクティクスの浄化だとかについて私に聞かせてきました。でも私はあの人の御託には興味なんて無かったんです。だから興味のある振りをしていました。だって普通信じられないじゃないですか、そんなこと。ただあの人は大事だったから、付き合いました。エクササイズにも協力しました。でもあの人は、最初から…

エージェント██: 話を――

POI-xxx.1: ナイフはその、事情があって持っていたんです。それで、思わずあの人を刺してしまいました。人があんなに簡単に死ぬとは思わなくて、私は…私は。あの人の見開かれた目も、血に染まった髪の毛も、破れた服も、骨が地面に叩きつけられる音も、返り血も、確かにあったはずなんです。でも、あの人が死んだ時には既に、気付いたら、いなくなっていました。そしてあの塔が建っていたんです。それで…終わったと思いました。自分のことでは無く、あの人はもう終わって、私がついていくことも出来ないのだと。

[5秒間の沈黙]

エージェント██: 起こったことは信じるとしましょう。しかし、あなたがどうしてそれを実行したのか、理解に苦しむところです。

POI-xxx.1: ただ…私にはあの人が必要でした。だから、どうしても許すことが出来なかったんです。

[[/collapsible]]


記事のタイトル: 大学生とフィフシスト(仮)

付与する予定だったタグ: neutralized 第五教会 芸術 認識災害 反ミーム

主要な異常性: 出来損ないの現代アートのような構造物が突然街中に出現する現象です。認識災害作用あり。

記事の簡単な要約、オチ: とある第五教会の信徒が、社会性の乏しい大学生をターゲットにして"布教活動"を行っていました。構造物は、被害者が変質させられた結果として出来上がったものです。しかし人間を軽く見ていた信徒は、被害者になるはずだった人物によって(物理的に)返り討ちに遭います。

その他アピールポイントなど: 表通りを跋扈する反ミーム人型実体、理不尽なカルト、ミームについて。イメージそのままで書いたので、ひねりが足りないかもしれません。

画像ソース: 画像1(PD)・画像2(CC BY-SA 2.0)を合成。指は自前です。


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