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如月 國彦(きさらぎ くにひこ)蒐集物覚書帳目録第壱玖壱伍番
性別: 男性 年齢: 不明(推定肆百歳以上)
大正百肆拾年捕捉。蒐集物覚書帳における最も古い記録は元禄拾壱年にまで遡り、当時の第壱玖壱伍番は「現人鬼あらひとおに」と呼ばれ、江戸幕府から密かに恐れられていたという。
「鬼」という語自体は陸世紀後半に「死霊」を意味する中国語の「鬼」が日本に伝来し、従来は「もの」と呼んでいたが、やがて「おぬ(隠、この世ならざるものの意)」が「おに」に転じて、「鬼おに」と呼ばれるようになったと言われている。「鬼」と呼称される異常実体は第壱玖壱伍番の他にも複数の記録があり、蒐集総院物覚書帳に示す最も古い事物は、第零零零玖番「酒呑童子」の長徳元年である。第零零零玖番は強力な現実改変能力を持つ呪霊実体であり、活動の養分として人を喰らったと伝わる。
しかしながら、第壱玖壱伍番の示す異常性質は、当人の証言に従えば、要注意団体「骨弥勒教」の教祖・ゐおんに接触したことで肉体が劇的に変化したものであり、元は同教団の初期構成員の多くと同じ通常人類・山城国内に居住していた穢多の一人であったと思われる。それ故、上述した悪霊怪異の類たる「鬼」とは本質的に無関係である。生まれつき病弱で、成人する前に結核を患い、死を待つのみであった第壱玖壱伍番は、自身を不死身の「鬼」と化して生き延びさせて欲しいとゐおんに頼み込み、偶然現実改変に高い耐性を持っていたことから、不老をはじめとする異常性質を体得したものと推定される。
第壱玖壱伍番の異常性質は、骨弥勒教徒特有の肉体変化術と、第壱玖壱伍番のみが所持する神秘術に大別される。
肉体変化については、他の骨弥勒教徒と同じく、細胞分裂の異常な活性化による不老と(原則的)不死の他、自身の意思で骨格や細胞をある程度自在に変化できることによる、高度な「変身」能力を所持している。他の教徒の「変身」が往々にして不可逆的かつ甚大な副作用を伴い、場合によっては個体的死を齎すのに反して、第壱玖壱伍番は子供から老人、男性から女性へと任意かつ可逆的に肉体を変化させることが可能であり、肆百年近くも蒐集総院の追跡から逃れていたのはこの能力によるものと考えられている。また、自身の身に危機が迫った場合、特定の骨や両腕を伸張させることにより、刺突や打撃による強力な攻撃を繰り出すことも可能であるが、当人曰くこれらの肉体操作には屡々大きな苦痛を伴い、可能であれば行う事は避けたいという。これは後述する当人の性格も影響しているのではないかと思われる。
肉体的弱点として、紫外線に対し重度の光線過敏を煩っていることが挙げられる。本人曰く、約数分で曝露した皮膚は爛れ、放置すれば一時間と待たず死亡するだろうと言う。今の肉体に変化した当初は、紫外線に直接曝露しなかった部分にも病変が現れたということから、全身性紅斑性狼瘡患者に近い症例ではないかと推測されているが、当人が総院による身体検査に対し非協力的であることもあり、研究の進捗は芳しくない。また、写真撮影時の露光も極度に苦手としているため、当報告書には研儀官による似絵を掲載している。
第壱玖壱伍番の神秘術を当人は「如月法術」と呼んでおり、ゐおんに与えられたものではなく、江戸時代に蒐集院の追手から逃げ回る最中で、偶発的に会得した能力であるという。「如月法術」の発動条件は、人間の骨1を素材の一部とした建築物を作成することである。素材の量が豊富であればあるほど、術式は強力になると第壱玖壱伍番は自称する。如月法術を施された建造物は、内部構造を通常の物理法則を無視して拡大・伸張することが可能である他、次元法則の超越や居住人への精神操作、果ては時間法則への干渉など、総院の使命たる正常性維持の著しい障害と成り得る特質を有している。
しかし、第壱玖壱伍番としてはこれらの建造物制作に悪意はなく、当人曰く「人間達への思い遣り、親睦の証」として建築したのが大半であるという。実際、総院の実地調査に寄れば、これら建築物に居住者へ致命的な悪影響を及ぼすものは少なく、あったとしても「安全性確保の失敗」等を表向きの理由として、第壱玖壱伍番自身により破壊されていることが判明している2。
第壱玖壱伍番は上記の法術を生かして建築会社「きさらぎ建設」を立ち上げ、社長として活躍していた。前述した光線過敏症のため夜間にしか姿を現さないことから、『建築業界の夜王』と呼ばれていたという。「きさらぎ建設」は優れた技術によって帝都内の重要施設建造に多数関わる傍ら、富裕層向けに法術を施した異常物件を秘密裏に販売し、巨利を得ていた模様である。
或る横領事件の捜査により、容疑者の住居が異常建築物であることが判明、「きさらぎ建設」と第壱玖壱伍番の暗躍が明らかとなった。同社が将来的に≪天皇機関≫に対する脅威と成り得る可能性を危惧した総院は、直ちに同社を要注意団体に指定すると共に、大正百肆拾年漆月弐拾陸日、第壱玖壱伍番の捕獲(場合によっては呪殺)のため、上級研儀官を中心とした特務憲兵隊を同人の邸宅に派遣した。
しかし、後述する理由によって、第壱玖壱伍番は≪天皇機関≫及び正常人類に対して害意を持っていないことが明らかとなった。事情を総合的に考慮し、即時の社長引退と自宅への軟禁、「骨弥勒教」を初めとする各要注意団体の情報提供を条件に、「きさらぎ建設」の経営存続と、使用中の異常建築物の一部現状維持が認められた。
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:2999720 (15 Jul 2018 03:34)
ライセンスとはまた別の問題が発生したため、一旦画像を取り下げ致しました。再度掲載後に改稿致します。
拝読しました。
現状だとNVです。
後半のギャップは良かったですが、前半の前置き部が長く感じました。「鬼滅のイメージをフリとして、如月國彦と無惨日輪衆のギャップで落とす」という構成上、記事本編の前振りは短い方がパンチが出ると思います。
具体的には、まず2段落目の鬼に関する歴史は本編と関係が薄いので削って良いと感じます。また、國彦の経歴や性質、能力に関する記述も詳細・長大すぎると感じたので、ある程度はインタビューの方で語らせ前振り部では簡略化するか削ってもいいかもしれません。
後半部も個人的には長いと思いましたが、これについては具体的改稿案もないので無視してもらっても構いません。
率直な感想として、如月工務店のオリジンがパロディものに回収されてしまうことには懸念を覚えます。「蒐集物覚書帳における最も古い記録は元禄拾壱年にまで遡り」を単純に読めば、この記事の設定は大正150年ハブのカノンの中に止まるものではありません。