UMB-3宇宙往還機の概略図。SCP-001-OSとして回収されたのは上部のみ。
アイテム番号: SCP-001-OS
オブジェクトクラス: Anomalous
特別収容プロトコル: SCP-001-OSの管理は財団外宇宙支部によって行われており、地上サイト-0018内の地下格納庫に保管されています。SCP-001-OSの全機能は停止しているため、特殊な収容手順は実施されていません。SCP-001-OSの実態を隠匿するため、1947年に発生したアメリカ陸軍の高高度気球の落下事件を利用して、カバーストーリー「ロズウェル事件」および「SCP-135-D[廃止]」「SCP-1051」が1978年より適用されています。
SCP-001-OSの性質はAnomalousアイテムに類別されるべきものですが、経緯の特殊性から外宇宙支部においては001スロットが割り当てられています。
説明: SCP-001-OSは、アメリカ合衆国ニューメキシコ州のウォーカー空軍基地で回収された起源不明のUMB-3宇宙往還機、およびそれに付随する各種物品の残骸です。
SCP-001-OSは196█年7月、ウォーカー空軍基地で行われていたアトラス大陸間弾道弾(ICBM)発射施設の建造工事中に、アメリカ空軍によって地下3 mより回収され、ボウ委員会を介して財団へと引き渡されました。生死を問わずSCP-001-OS内から乗員は発見されていません。
当時、UMB-3の開発は基礎設計および模型による風洞実験の段階にありましたが、SCP-001-OSのエンジンやアビオニクスなどは当時の設計案より進歩したものであり、一部には原設計から改装されたとおぼしき箇所も確認できます。また、機体表面の耐熱タイルなどには大気圏突入の痕跡が残されています。ただし、SCP-001-OS自体に異常性およびその痕跡は一切認められていません。
機体に記された識別記号は木星圏派遣船隊所属機のものですが、196█年当時の同隊は発足準備段階にあり、部隊として機能してはいませんでした。また、ウォーカー空軍基地の対空警戒設備は、1941年の開設以来SCP-001-OSに該当する飛行物体を探知していません。
SCP-001-OSのカーゴベイからは、意図的に破壊された痕跡がある1基の未知の器材の残骸(SCP-001-OS-A)が回収されています。SCP-001-OS-Aは異常性を含むあらゆる機能を喪失していますが、ラング博士らの研究チームが行ったリバースエンジニアリングによって、周辺空間のヒューム値を操作することによる一種の広域現実改変装置であったと推測されています。また、SCP-001-OS-Aには標準財団マークとともに「SCP-2237-█」という表示が刻印されていますが、該当するスロットに登録されているSCPオブジェクトは存在しません。
補遺001-OS-01: SCP-001-OSの機内コンピュータ、および乗員の私的な所持品と見られる収得物からは、SCP-001-OSの活動経緯などを示す断片的な文書・音声・映像情報が回収されています。以下は、電子データの修復された更新ログなどを判断基準として、回収された情報を推測される時系列順に並べたものです。
俺たちが助かったのは、無人超光速通報艦の開発が公試段階まで進んでいたおかげだ。既存の電波通信に乗った汚染済み情報を追い越して、「見るな!」と内惑星圏から警告が届いたんだからな。ミーム汚染だろうが認識災害だろうが、触れなきゃあらかたは防げるもんだ。
O5からEクラスまで、職員はみんなもうダメみたいですが、施設の環境保守コンピュータとか、そういう自動システムからは幾つか応答がありました。手段CYA-009なるものについての問合せが来ています。こちらの検疫用VM内では異常性は見つかりませんでしたが、念のため未解凍のを転送しますね。
地球でのK-クラスシナリオ発生による一切の交信途絶を受け、機能を維持している各財団地球外サイト上層部の見解は、O5評議会に相当する強力な監督機関を設けるべきという意見で一致しています。この監督機関、およびその隷下での財団00ブロックの再編については、81ブロックで施行されていた支部制および理事制が参考になると考えられます。
- 202█年6月6日
のゼロ地点と推測されるサイト-8141の詳細情報の回収に関して、SCPSウェザビーの高次元域センサ・アレイは
納得できる結果だ。地球を除く太陽系は、基本的にあらゆる知性体にとって未踏の場所であり、空間は思想的にニュートラルであるとともに、開拓手段は現代性に拠ってのみ獲得される。「前現代」の存在しない場所に、王は君臨できない。地球から遠ざかるというのはそういうことだ。
しかし、SCP-2237群の建造行程は72パーセントを消化したところであり、恒星間用推進系は未成状態であるとともに、建造・自己防衛用の自動システムこそ健在なものの、地球からの資材投入が絶たれたことで建造再開の見込みは立っていません。また、GOC側のレイライン航路網はハブである地球の失陥によって機能不全に陥っています。よって、それらによる太陽系脱出の実現可能性は現在では限りなく低いと言えるでしょう。我々に残された道は唯一つ、地球の緑の丘を取り戻すことのみです。
強引さには別の強引さで対抗すべきというわけで、幕僚団の主流派が唱えるXSCDの転用案が一番有望なのは確かだ。あれは手を伸ばせばすぐ届く所にある。問題は、本部直轄資材であるSCP-2237に対し、我々は直接的なアクセス能力を持たないという点だ。建造はオートマトンによって無人状態で進められているから、説得してみるわけにもいかないしな。
だから、彼らが真正面からのアクセス方法を考えるのと平行して、我々は「プランB」以降を練らなければならない。充当しうる切り札は、地球に存在するものすべてだ。地球にはどのみち帰るのだから。
タロゼットブリート(Taros'zedbreet)に関する資料をローカル領域で保存されている方を探しています。地球の財団データベース・ハブがアクセス封鎖されているため、検討のための情報が不足している状態です。
通達OPLAN-2623OS-27: ジョリー・ロジャー作戦におけるGOC星間部門の一部との緊急避難的協調に際し、襲撃作戦参加船艇には誤射その他の予防のために以下の共同識別信号の発信が義務づけられる。
ヨーホー! 俺たちゃ今や宇宙海賊だ!! お宝はいただきだぜ!!
カーゴベイに施され[データ破損]への重心点の移動により、機体の挙動[データ破損]UMB-3S-Ex4が、ジョリー・ロジャー作戦によって確保されたXSCD搭載を前提とした特別改造機であることに起因する。故に、UMB-3S-Ex4の操縦においては[データ破損]の意識が必要とされることになる。
タイトル: α合同軌道任務部隊の出撃
(復元に成功した唯一の映像資料。付近を航行中の宇宙機から、岩石質の小天体を中核とする泊地より発進していく複数の惑星間宇宙船を撮影したものです。発進する宇宙船はいずれも武装しており、船体には財団外宇宙支部かGOC星間部門の標準的なマークが描かれています。うち、最大の船の形状はSCP-2117に酷似していますが、主推進器の作動パターンはSCP-2117の「パワーコア」とは異なり、核パルス推進ドライブのものと一致しています)
SCP/GOCSジェロルドよりガニメデ・コントロール、事前情報があってもやはり信じられません。地球が青く見えない。赤が7分に地球が3分だ!
- 205█年4月7日
[データ破損]撃を受けました。[データ破損]鳥[データ破損]旧カナダの噴出孔より現出したエンティティは[データ破損]対抗忌避信号は正常に始動。論理言語デコイ1番、2番[データ破損]。
機体の損害は軽微[データ破損]振動により一部生物種の形態学要素メモリバンクが破損。ヒト種[データ破損]突入[データ破損]変わります。予備作戦の想定着陸地点より南南東[データ破損]。ですが、まだ陸路で持ち直せる範囲です。回避機動を[データ破損]
Ameranthropoides loysiの再生成は絶望的か?
XSCDの動作完了。異常性[データ破損]反動としての許容値内。生物面の欠落は[データ破損]行類すべて、およびヒトを含む一部類人猿[データ破損]。これより、予備作戦に則り、XSCDの破壊およびシャトルの隠匿作業の後に作戦次段階に入る。ローバーの機能に異常なし。[編集済]への到着は[データ破損]日後の予定。
もうすぐ終わる。今回は運が味方したから、何とか事態を収拾できるだろう。しかし、ことが片付き次第、僕達は来るかもしれない次に備えなきゃならない。次は単なる幸運であってはいけないんだ。
補遺001-OS-02: 197█年、SCP-001-OS由来の情報の提示、および████████国立公園内の地中からローバーの残骸が回収されたことを受け、当該事案群に対するカルネアデス条項の適用と、レッドシフト計画の実行およびブルー・プラネット作戦計画の研究が承認されました。これにより、独立指揮系統を有する外宇宙支部および理事制の存在はO5評議会に追認され、木星圏以遠の探査開拓と人類生存可能領域の確保、[編集済]が外宇宙支部の潜在的な優先目標となります。また、以後の外宇宙支部の拡充計画は、いずれもレッドシフト計画とブルー・プラネット作戦計画の実行を前提とした形で策定されます。
補遺001-OS-03: SCP-001-OSに関連して、外宇宙支部理事会より以下の宣言が発表されています。
SCP-001-OSが物語るのは、外宇宙“支部”誕生の顛末の断章であると同時に、外宇宙支部が支部として独立して存在しなければならない理由でもある。
SCP-████-██によるK-クラスシナリオを許した最大の理由は、本来ならば真っ先にアノマリーを封じ込めなければならないはずの財団が、異常性の影響下に置かれ機能不全を起こしたことだった。正常性を維持するための組織が異常に冒された時、その組織自身の主観的な認識ではそれを異常だと判断することはできない。SCP-001-OSの情報はそれを証明している。
見張りが発狂した時、誰が見張りを見張るのか。この命題に対する1つの回答こそが外宇宙支部なのだ。
我々は完全に独立した最後の予備兵力として、財団本体、そして人々の世界との間に、常に物理的および指揮系統面での十分な安全距離を保たねばならない。そしてそれ故に、我々は彼らの世界の遥か彼方へと遠ざかり続けなければならない。今は地球外から外惑星圏まで、今後必要が生じれば太陽系外、銀河系外、あるいはこの宇宙の外までも。
我々は常に、彼らの認識範囲の向こう側、外なる宇宙アウター・スペースに存在する。そうでなければならないのだ。そして、あの青い星もまた、我々が見張らなければならない星の1つであることを自覚せよ。
確保、収容、保護。探査、発見、観測。
- 外宇宙支部理事“Sunday”
拝読しました、面白かったです。
並列の「、」と区切りの「、」が混同されて、非常に読みにくい文章になっているように思われました。何かしら改善が必要かもしれません。
「〜いたおかげだ。」の誤字でしょうか。
批評ありがとうございます。ご指摘をいただいた2点は修正してみました。
地球にある財団施設が異常に侵されてしまった場合の正常性を維持する為に、外宇宙支部が独立した支部として存在し離れた位置から地球を監視しているのは面白く、納得のできる設立経由だと思いました。
面白かったです。そういうバックアップはあってしかるべきであろうと思いましたし、何よりわくわくしました。
強いて言うなら内偵の調査員に「O5認可済やで」まで教えていいのかな? はちょっと気にかかりましたが、その程度です。投稿を楽しみにしています。
polodexus様、notyetDr様、批評いただきありがとうございます!
notyetDr様からご指摘かあった「O5認可済~」のくだりは、O5本人が御先交渉人にコンタクトしている以上、別に隠す必要もないかと思うので、そのまま残す方向で進めようと思います。申し訳ありません。
異常性が存在しないのであればAnomalousアイテムとして分類されないのでは? と感じましたが、回収物-Aと拐取物-Bを含めてアイテム指定がなされているのでしょうか? 起源不明だけではアイテム指定の理由として弱いと感じました。
それ以外は壮大な物語の始まり、そして外宇宙支部の大きなカノンとしての側面も有した素晴らしいTaleであるように感じました。上記に関しても個人的に気になった点で、物語そのものに大きな影響はないため、投稿された場合、UVすると思います。
批評ありがとうございます。投稿を楽しみにしていただければ幸いです。
「起源不明だけではアイテム指定の理由として弱い」というご指摘に関しては、nemo111様と自分の「ヘッドカノンの差」に帰結するのだと思います。
自分は、たとえ異常性がなくても「主流科学から逸脱しない地球外知的生命体の死体」や「中生代ジュラ紀の地層から発掘された化石化したテレビ」などは、財団ではAnomalousアイテムに分類されると考えています。今回の奴もそれと同じ枠になるのかなぁと。
ご意見を反映できず申し訳ありません。
「あの星を警戒せよ」として本投稿させていただきました。
サンドボックスおよびDiscord、Twitterで批評にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました!