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魂なる物があるのかという問題は、古くから論じられてきた。あると言う者も数多くいるし無いと言う者も同じほどいる。その答えは今に至るまで出ていない。
ある病院に一人酔狂な男がいた。彼は人間が死ぬときに何が失われるのかを知りたがった。彼はホスピスに赴き、患者が死にかける度にベッドごと患者を秤に乗せた。そして患者が死ぬと秤の針を読んだのだ。
秤の針は21gの減少を示していた。男は頷き記録を取った。数年後、記録は世界に公表された。
ある時誰かがある疑問を持って実験をした。人が死ぬ時何かが失われるのなら、それはどれほどの量があるのだろう?結果は21g。人が死ぬ時失われる物には21gの重さがあった。財団の介入は間に合わず、事実はみるみるうちに広まった。その実験は杜撰で稚拙で信憑性など少しも無い。後手を打った財団によりそんな評価が広がってなお、人はそれを魂の重さだとして伝えていった。
財団に一人酔狂な男がいた。彼はその実験を面白がった。彼は病棟に赴き、ベッドを巨大な秤に乗せて患者が死ぬのをじっと待った。そして患者が死ぬと秤の数字を読んだのだ。
秤の数字は21gの減少を示していた。男は頷き記録を取った。記録は財団のデータベースにしまい込まれた。
時代が変わり、死そのもの━━タナトマが抽出されるようになると、この見方は段々と変わっていった。人が死ぬ時に失われる物。タナトマがその条件を見事に満たしていたからだ。それまでの俗説は駆逐され、21gとはタナトマの重さであるという新たな俗説が広まっていった。この俗説は概ね正しい。けれどその裏側には隠された事実が存在する。
あるところに一人酔狂な男がいた。彼はその実験を面白がった。けれど真似するだけではつまらない。彼は考えた末にタナトマを抜いた後の人間の重さを計ってみようと思いついた。できる限り精度の高い企業を選んで依頼し、彼は準備を整えた。可能な限り全てのタナトマの抽出を受け、タナトマが抽出されると彼はその場で秤に乗った。
人が死ぬときに失われる重量は確かに21gだ。抽出されたタナトマの重さもそれを超えることはない。財団はそれをよく知っている。けれど、全てのタナトマを抽出した時に人から失われるものの重さは━━
秤の数字は42gの減少を示していた。男は瞬き、注射器のタナトマを秤に乗せた。タナトマは21g。42-21=21。21gの重量がこの空間から失われていた。
21g。それは人が死ぬ時失われていく何かの重さ。それは人から取り出した、死そのものの持つ重さ。そしてそれは、タナトマと共に取り出され、どこかに消えた何かの重さ。その重量が指しているのが何なのか、男はきっと知っていた。
━━タナトマよりも21g魂の重さ だけ大きいのだ。
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- portal:2955066 (06 Jun 2018 08:22)
彼はその実験を面白がった。とし、次の文を削除することでスマートになると思います。このTaleの中で登場している実験はこの段階で一つだけなので指示語を使った方がすっきりします。
これはほかの部分も同様です。
このまま投稿されたらNVかUVで迷うと思います。
以下、便宜上引用部と引用部に挟まれたパラグラフ群を上からa,b,c,dと呼称します。
雰囲気はかなりいい
このTaleの雰囲気はかなりいいです。無機質な繰り返しが死というテーマとよく合致しており、読んでいて心地よいです。
このTale自体がフワフワしているように見える
このTaleはタナトマと"魂"の関係を重さの観点から描いたTaleだと思います。私は以下の点が引っかかっています。
まず、魂の重さが21gだとする実験が杜撰な管理のもとに行われたことは有名であり、現在これは否定されています。しかし、その実験をかっちりと財団でも行った場合でも同様の結果に落ち着くのは道理が通りません。
そのため、aとbにおける理論の一貫性が削がれ、読者に多くの疑問を残すことになります。
まず、dにはかなり多くの数値が登場します。少し例示してみましょう。"ディスプレイの数値" "タナトマを抽出する前の体重" "抽出した後の体重" "前の値" "後の値" "注射器の重さ"…… ここに挙げたものは一部ですが、とにかくたくさんの数値が登場します。これらの文字が表す数字は様々な要因が合わさり、注意しながら読まねばそれらが具体的に何を指しているのかが分かりません。
次に、突然登場するゼーバッハ中央製薬から来た看護師の存在を挙げます。この看護士は実験を行っていた男に対して実験の妨害を行います。その後、少しためらう素振りを見せながら実験を続行します。ここから、様々な情報が読み取れます。例えば、ゼーバッハ中央製薬は実験結果の情報が財団に渡ることを好ましく思っておらず、少しでも抵抗したいこと。例えば、この看護士はその意向に背きつつ、自分の好奇心を満たすために実験を勝手に行ったであろうこと。このような情報が読者にもたらされるため、読者はなぜこの情報が財団に渡ると困るのか?などの多くの疑問に晒されることとなります。
最後に、ぼかされたオチの存在があります。この記事のオチは看護士は失われた何かに思いを馳せながら退出するシーンが当たりますね。ここで、具体的に数値がどうだったかだとか、21gとタナトマの関係は何だったのかとかそういったものに直接言及することはありません。それらを読み解くには今まで挙げてきた思考に課せられた負担や疑問を推定しつつ考える必要があります。
とにかく読者が考える必要がある事象がここだけでかなり増えます。
この二つの読者に与えられた負担がTaleの世界観の解像度を削ぎ、フワフワとした印象を与えています。
仮に、様々な情報を正確な推測と理解を行うことで本当に背景が見えるとしましょう。しかし、それでも知ることができるであろうオチはタナトマと魂、21gに関する何かだろうなくらいの期待度しか抱けませんでした。そのため、読み解くために必要なコストと読み解いた結果得られるであろう感情を天秤にかけたとき、コストが非常に重く感じています。
もう少し読者に分かりやすくするか、思わず読み解いてしまいたくなるほどの期待感を文中に含ませる、或いはその両方を行うといいと思います。
ありがとうございます。
まずは文章のブラッシュアップのご提案をありがとうございます。そのようにしました。
そして以下はふわふわしている問題についてです。
1についてですが、違和感があるのはそうなのですが21gに全部重ねないと話そのものが崩壊する気がしたので、世間一般的な実験への評価の方が何かの事情で流布されたカバーストーリーであり、実験自体は正確であったという体にしました。苦しいですが…
2はコストを減らす方向で修正を加えました。
値は要素があっちゃこっちゃに飛ぶものを中心に減らしました。
看護師についてですが、財団側の人間として書いていました。想定していたのは一般人が不都合な事を知るのを妨害したいが新たなデータは欲しい財団が送りこんだ人員という形です。ここを確実に伝えるためには修正が必要だとは思うのですがひとまず放置しています。
オチ周りは多少直線的になるように弄りました。
そういう事じゃない気がしたので丸ごと変えました。
改稿後の文章を読みました。このまま投稿されてもUVすると思います。一点だけ提案したいと思います。
この部分が改稿により、ちょっと違和感を生んでいます。その為、以下のようにするのはどうでしょうか。
最後の部分は非常に読みやすくなっていました。
ありがとうございます。ご提案いただいた点ですが、以下のようにしようと思います。理由は好みです。
言葉の誤りなどの軽微な修正とこの変更を加えて投稿したいと思います。ご助力くださりありがとうございました。