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あなたはある面白い記事を読んでいて、最後に続きへのリンクを見つけた。期待と共に次へのリンクをクリックすると……

ギャー!和訳されてないよーっ!
こんな経験はありませんか?私はあります。大抵リンクがオレンジ色なので気付きますけど、独自のCSSを使っている記事だとそうじゃない事があるんですよね。それはともかく、これを読んでいるあなたにもひょっとしたら読みたい記事が和訳されていなかったという経験があるのではないでしょうか。そしてあなたはページを閉じた。いつの日かその記事が和訳されることを願って。敢えて言うまでもないことですが、その日がいつか訪れるとは限りません。話題にでもなるか、有名なシリーズの一部でもない限り、記事を和訳しようと思った人が数ある記事の中からたまたまその記事を選んでくれる確率は、あるいはあなたが言った「この記事の翻訳ずっと待ってる」なんて言葉を訳者が目に留め、しかも自分が次に訳す記事に選んでくれる確率はそこまで高くないからです。
やってくれそうな人に勧めに行くのもなんだかトラブルの元になりそうで躊躇われます。では、訪れるかどうかも分からないその日を黙って待つしかないのでしょうか?あの面白そうな記事はそんな偶然や人の気まぐれに賭けないと読んでもらえないのでしょうか?まだ見ぬあの記事の面白さを誰かと分かち合うことができるかは運次第なのでしょうか?違います。私たちはそれをよく知っているはずです。
そう、あなたが和訳するのです。
今この文章を読んでいるあなたは「和訳に興味があって始めてみたいけど何も分からない」「和訳を始めたけどうまくいかなかった」などの不安要素を抱えた和訳初心者かと思います。このエッセイはそういった人たちに向けた、このサイトで外国語の記事を和訳するための最初の道標のひとつです。と言っても技術的な、つまり言語を訳す時のコツみたいなあれこれはあまり話題にしません。ここでは主に心構え、すなわち和訳するときに気を配るべきことの話をします。早速始めていきましょう。
対象言語は読めますか?
和訳をしたいという人がまず初めに確認しなければならない事があります。自分が何らかの手段で対象言語を理解できるのかという事です。英語の記事を和訳している私は、エスペラント語の記事を和訳することはできません。エスペラント語が分からないからです。自分が読めないものを読める形で出力することはできないのです。なので、英語を和訳したい人はまず英語をある程度分かるようになってください。
こういう言い方をすると語弊がありますが、求められる言語力はそう高いものではありません。もちろん言語力が高いに越したことはありませんが、例えばTOEICで800点以上みたいな明確な高い技量が必要かと言われればそうではありません。問題なのは、分からない場所に行き当たった時にそれを正しく「分からない」と認識できるかどうか。あるいは訳が出来上がった時、その文章に対する自分の理解度をある程度正しく認識できるかどうかです。
分からない事が分かれば不安な場所を洗い出して誰かに尋ねたり、自分でその部分を調べて解決したりすることができますが、自分が文章を理解できていないことすら分からなければ手当たり次第に和訳してサンドボックスで批評開始状態にするしかありません。そうなれば間違いは必然的に増えますし、お話にならないほど間違いが多ければ見てくれる人もやる気を無くしてしまうかもしれません。そうでなくとも、明らかな間違いが増えたなら読んでくれた人にやり直しを要請される事になるでしょう(既に和訳をやってみようとした方はご存知かもしれませんが、単なるお願いではなくシステム上そういうものがあります)。そしてやり直しを要請されても何が悪いのか分からず、自分では解決できなくなってしまいます。無償で言語を手取り足取り一から教えてくれるような人が都合よくいるとは思わない方がいいでしょうから、分からない場所を分からないと認識することができなければあなたの和訳は頓挫します。そうならないためにある程度対象言語を理解する必要があるのです。
理想は対象の言語を訳さずその言語のまま読んで意味が理解できるようになることです。これができると対象言語を読めると自信を持って言えるようになります。そうでない場合、つまり「対象言語を読めると自信を持って言えない人間が訳を行う場合」は、やっていく内に自分の言語の読めなさを実感することになるでしょう。
あなたが英語を訳したいなら、まずは中学英語の教科書でも読んでみましょう。読めますか?では高校英語の教科書は?単語の意味以外で読めないところが出てきたら、そこが今のあなたの限界、すなわちあなたのスタートラインです。スタートラインが分かればこっちのものです。そこから勉強を始めましょう。あるいは早速訳していっても構いません。その場合は訳している最中に行き詰まって言語力が足りないと感じたら勉強するといいでしょう。忘れてはいけないのは分からない単語があったら調べること、知らない文法があったら調べること、分からないものを分からないまま雰囲気でなんとかしてしまわないことです。積み上げていけばそれはきっと力になります。
そして大事な事を一つ。和訳するための言語力が足りないと感じて、それでも訳したい記事を見つけてしまった時、あなたは諦める必要など無く、しかし同時に諦める自由があります。足りないものは増やせばいい。あなたにはその手段があります。だからそれはできるかできないかの話ではなくて、訳したいか訳したくないかの話なのです。訳す手間が得られる体験に見合わないと思ったのなら諦めるもよし。一度やめてもまた挑む気が起きて途中からやり直すのならそれもまたよし。全てはあなたに委ねられているのです。
和訳のやり方(一例)
和訳とは翻訳の一部です。では翻訳とは何でしょうか?
翻訳とはざっくり言えば、ある言語で表現されたものを意味や雰囲気、表現などを保ったまま別の言語で表現し直す行為です。中々完璧に行うことはできず何かしら妥協することが多いのですが、理論上はそういう行為のことを指します。では、私たちはそれをどうやって行えばいいのでしょうか?簡単です。私たちには考える脳が備わっています。
対象言語の原文を読み、その意味や雰囲気、表現などを読み取って、それを別の言語で書き直す。翻訳はそういうプロセスを踏みます。例えば機械翻訳と呼ばれるものは、この翻訳のプロセスが機械によって行われるために「機械翻訳」と呼ばれるのです。このエッセイの中で「翻訳をする」「和訳をする」などと言う時は、概ね人間の力を主としてこのプロセスを行うことを指しています。
ちなみにですが、機械翻訳を主として用い、それを修正したものを訳文とする行為は、これをオススメしません。単純に自分の訳文として世に出すものを自分で説明できなければ査読を受ける際などに困るということもありますし、僕がそもそも自分で生成していない文章を自分のものとして世に出すことを不誠実であると考えているというのも理由です。機械翻訳が原語を日本語に翻訳する際に落とされてしまうニュアンスや概念だって出ますから、機械翻訳で生成された文章を物語の翻訳として見た時に十分に信用できるとは言いづらい事も忘れてしまってはいけません。ただ、一番の理由はそうやって何かを生成してもあなたの実力に繋がらないということです。そのようなやり方で何かを生成したとしても、あなたは機械翻訳にちょくちょく手を加えるだけの人以外にはなれないでしょう。より多くの記事を和訳することを望むなら、そしてより難しい記事を和訳することを望むなら、あなたは力をつけるべきです。そして機械翻訳を主としてそれを修正する行為はその手段として不適切なのです。
話が脱線しましたが本筋に戻っていきましょう。ここまでで翻訳とは何かが分かったと思います。では、和訳したい記事を見つけたとして、その記事を実際に和訳するためにはどういう手順でやればいいのでしょうか。
読んでみて面白かった記事を訳そうと決めたような場合には無意味な分類ですが、今回は読んでいない記事を和訳するための方法、つまりその記事を訳す事を決めた理由がタイトルやぱっと見の短さだったり、別の記事からのリンクを埋めるためだったり、シリーズものの続きであることだったりした場合に取る方法として2種類を挙げてみたいと思います。「読みながら和訳する」、「読んでから和訳する」の2種類です。とりあえず比較してみましょう。
読みながら和訳する | 読んでから和訳する | |
工程 | 1工程 | 2工程 |
必要な言語力(読みながら訳す場合が基準) | - | より高い |
読書体験 | 細切れ | 十全 |
事前確認 | できない | できる |
こんな感じです。工程の数の違いは、すなわち手間の違いです。乱暴な言い方になりますが、読みながら和訳すると和訳は1回の作業で終わります。読んでから和訳する場合はまず読んで、それから和訳するので2工程が必要です。作業量が増えます。更に、外国語をそのまま読むには基本的に訳しながら読むより高い言語力が必要です。対象の言語をその言語のまま読んで意味を理解する必要があるからです。こう書くといいところが無いようにも思えますが、読んでから和訳するのにはそれに見合うだけのメリットがあります。1つは物語を著者の意図したように受け取る事が出来ることです。和訳することにこだわって、読んだ時の情動を手放す必要が無いわけです。これが和訳しながら読むとなると、(一度に訳せる量にもよりますが)少しずつチマチマ日本語に直しながら読むので本来記事を読んだ時に得られていたはずの体験を十分に得ることができないかもしれません。例えばギミックや隠し要素がある記事などは最初からソースを直接読んだ結果それらを無視する事になってあまり楽しめない、といったことが起こり得ます。その心配が無いというのはメリットであると言えるでしょう。事前に自分に訳せるかどうかが分かるのも読んでから和訳する手法の大きなメリットです。途中で何をどう頑張っても読めない部分が見つかったら、その記事を独力で訳すのは大変難しいとすぐに分かります。つまり、必死になって前半部を訳したのに後半が訳せなくて頓挫する、みたいな事が無くなります。言語力があって手間を惜しまないのであれば、物語を楽しむという意味でも和訳を成功させるという意味でもこちらを選ぶメリットは大きいでしょう。
読んでから訳すというのは実質的に普通に読んで面白かった記事を訳すのとやっている事が変わらないので、大まかに言えばあなたは上に述べた2つの内のどちらかの手段で和訳をすることになるはずです。どちらを選ぶかはあなた次第ですし、もちろんこの2つをアレンジしたり、一部だけ先に読んでおくなどして併用したりすることだってできるでしょう。色々試して自分に合ったやり方を選んでください。
とりあえずやる
和訳したい記事がある方はとりあえずその記事を和訳してみようと思うのではないでしょうか。しかしあなたが今すぐ読みたい記事を和訳できるかは分かりません。私感ですが、この世には訳しやすい文があり、同様に訳しにくい文があります。その中で選んだ文章を自分が和訳できるかどうかを前もって知るのは難しいでしょう。必要とされる実力は記事によって異なるからです。和訳せずともある程度読めるのであれば先に読むことでそういった場合にも対応できます。どう頑張っても読めなかったら、つまり辞書やその他の本、インターネットなどあらゆる手段を使っても読めなかったらその時点で和訳できないのは自明だからです。では、辞書無しで読めるほどその言語に精通していない場合はどうすればよいのでしょうか?
端的に言えば、実力が足りているかどうか調べるには一度和訳してみるのが手っ取り早いです。つまり、上手くいけばよし、そうでなければその記事はあなたにはまだ早いという考え方です。そうなったら勉強するか、必要な知識を入手するか、あるいは別の記事を和訳しましょう。と言っても、ダメっぽかったら諦めろと言う事ではありません。例えば他の部分を和訳して、読めないところは後からじっくり考えてみるという方法もあります。読めないところが多くなってくるとこれはできませんが、分からないところが少ないなら十分有効な方法です。代償として読書体験はボロボロになりますが。
訳してみてダメっぽかった時にも一つ大切な事があります。どんなにショボいものが生成されようと、どれだけ短い部分しか完成しなかろうと、それを綺麗さっぱり消し去ってしまわないことです。これは持論ですが、和訳していて引っかかってしまった時、それが最初で最後の壁ということもあり得ますし、そうでない時もあります。また、逆に頑張って訳したはいいものの最後の最後で突っかかるなんて事もあります。そういうものを僕は「お蔵入り」と称して放置しています。でも、お蔵入りになったものを半年後、1年後に見返した時、なんでこんな場所で躓いたんだろうと思う事だってたくさんあります。つまり、記事を訳すにあたってはかつて途中までやって投げた和訳があったら大いに役立つ場合があります。途中まででもやっておくといつか自分が得をするのです。だから最後まで訳せるかどうかなんて気にせず、気軽に始めて気軽にメモの片隅にぶん投げちゃいましょう。始めてしまえば必ずあなたのプラスになります。プラスにならなければならないで自分の成長を実感する道具にでもしてください。特に初めのうちは、訳したい記事がダメだったらすっぱりと切り替えて次に行くのも大切です。いつまでも同じ記事の同じ場所で詰まっていても何も状況は変わりません。それよりは自分のできる事をして和訳に慣れる方がプラスが大きいはずです。時々ダメだった和訳の原文を見直してみて、いつか続きを上手く訳せたらそれでいいのだと僕は思っています。
SCP財団で和訳をするときに
SCP財団の世界観では財団に特有の言葉がたくさん出てきます。そういった言葉を適切に和訳するためには前例に倣うのが最も手っ取り早いでしょう。雰囲気を掴むには様々なSCP記事やtaleを読んで世界観や使われる語への理解を深めることが大切ですが、世界観や用語の紹介記事があればそちらも読んでおきましょう。特にセキュリティ施設やマッケンジー博士の用語集など、英語から和訳された記事に関してはどの言語の記事を訳したい場合でも読んでおいて損はありません。改めて説明するまでもないことかもしれませんが、SCPというコミュニティの始まりは英語圏のサイトであり、他の言語におけるSCP用語の中には英語を起源とするものが多々あります。あなたが訳そうとするSCP用語に既に英語からの輸入語が存在する可能性があるのです。
そしてもう一つ重要なのが、今述べたような記事について自分が訳したい言語版のものも読んでみることです。支部によってはこのような記事をただ翻訳するだけではなく、必要に応じてローカライズしている場合があります。つまり、原語版にも日本語版にも含まれない情報が付け加えられている場合があるということです。必要があると判断されて付け加えられているわけですから、そのような情報はきっと和訳を行うに当たっての大きな助けになるでしょう。
更に言えば(順番が逆かもしれませんが)、訳したい言語版のサイトにおける世界観や用語の紹介記事を読んでみることも重要です。他言語の支部には普段私たちが記事を読んでいてもほとんど遭遇しない概念や用語、そして独自の世界観があることが多々あります。場合によっては特定の記事を執筆する際の注意点でさえ独自のものかもしれません。和訳を行おうとした時、もしかすると突然独自の概念が記事中に出てきて適切な訳ができなくなるかもしれません。けれどその概念の紹介がある記事を読んでいればどうでしょう?JPにもある種類の記事を訳した時、後から空気感が全然違うことに気づいたら?その言語版独自のフォーマットを持つ記事を訳し終わった時、実はあなたが知らなかっただけでそのフォーマットには特有の命名記法や特徴的な語調があるのだと紹介記事に説明されていたとしたら、あなたは適切な和訳ができたと言えるのでしょうか?先に述べたような翻訳されたENの紹介記事や、その支部で書かれた紹介記事を読んでおくだけでこのような誤訳のリスクを避けることができるのです。世界観や用語を紹介する記事が存在するなら、和訳されていなかったとしても頑張って目を通すことには間違いなく大きな価値があります。
それに紹介記事を読んでみて興味を惹かれる何かを見つけることだってあるかもしれません。何も知らないところから何かをするのは難しいですから、どんな記事を訳したいのかを探す意味でもその言語版の世界観や用語の記事を読んでみるのは良い選択です。もう読んだ方でも改めて和訳することを意識すると見えていなかったものが見えてくるかもしれません。
訳したい記事を見つけたらできれば同じフォーマットの記事を複数読んでみて、共通する語や特有の語を掴みましょう。分からない語が出てきて造語っぽかった時は原文のページから分からない単語を検索にかけ、出てきた記事を日本語版と比べてみると訳語が分かる場合があります。
SCP財団で和訳を行う時の特有のテクニックが知りたいよ、という人は和訳された作品を色々と読んでみて、品質が高いなと思えるものを見つけて自分でも訳してみてください。原文と自分が作った訳文、それに投稿されている訳文を比べてみて、何がどう違うのか確かめてみるのです。それを繰り返せばいずれ答えが見えてくるでしょう。まあこれは勉強の話ですね。言うまでもない事ですが、このサイトで和訳をする人全員が金を貰って訳す人に匹敵するほどの責任と実力を持って和訳をしているとは限らないので、ちゃんと金を貰った人によって作られている参考書とか翻訳書籍とかを使う方がいいかもしれません。
日本語との付き合い方
和訳には日本語力も大事です。日本人なら誰でも日本語力はあるでしょ、と思うかもしれませんが、そんな事はありません。例えば、用意されたテキストを一言一句違わず読み上げる、という事を考えてみましょう。世の中にはそれができない人が存在しますし、逆にそれを句読点の一つに至るまで正確に読み上げる人だって存在します。人には得意な事と苦手な事があり、それが日本語に限って例外であるはずがないのです。語彙力が高い人がいれば、語彙力が低い人もいます。あなたがどちらかは分かりませんが、こと和訳においては語彙力、そして日本語力が大事になります。一つの原文から多くの和訳のバリエーションを導き出せる人は、一つしか導き出せない人よりも多くの選択肢を持っているということになります。他の人より正確に日本語を使える人はより適切な表現を選び取ることができます。日本語力を磨くことは、和訳の精度を向上させるのです。
日本語力をどうやって鍛えるかという事はひとつ大きな課題です。これには様々な文章を読むのがいいでしょう。何を読んでもいいです。新聞でもいいですし、論文でもいいです。週刊誌だって構いません。もちろん小説を読むのだって有効ですね。とにかく様々な文章を読んで、言葉のバリエーションを増やしましょう。もちろん楽しむことを第一に。まあそこまで行かなくても実際に和訳をしながら類語辞典なんかを活用して色々調べてみるのもアリです。ただしその際は元の言語の語句から意味が離れてしまわないように注意が必要ですから、やはり自分の中に語彙を増やすのがベストでしょう。
もう一歩先に進みたいという方は、和訳が終わった後にできた訳文を注意深く読み直してみてください。一見自然に見えてよく見たらおかしな事を言っている文や、意味は合っているがそんな言い方はしないだろうという文、あるいは前後で意味が繋がっていない部分。そして何より意味が違う文。これらを見つけるのが大事です。最初のうちは何度も確認してください。慣れてきたら何度も確認してください。とにかく何度も確認してください。これができれば和訳の品質はグンと上がると思います。
査読に出す
あなたは努力の末に記事を和訳し終わりました。では次は何をしたらいいのでしょう?できる事は2つあります。ひとつは和訳した記事を投稿する事。そしてもうひとつは記事を査読に出す事です。
査読とは、翻訳査読などと言われるもので、誰かが訳し終わった記事を別の人が見て誤訳や日本語的でない表現の指摘、より良い表現の提案などをする事です。査読を受けた側はそれを元に訳文をブラッシュアップする事ができます。
和訳初心者である皆さんにとっては是非とも受けたいものだと思いますし、実際にこれを受ける事は有効です。誰かやってくれそうな個人に記事を送りつけて頼んでもいいですが、もっと簡単な手順で査読を受ける方法があります。そう、サンドボックス3です。あなたも知っているであろうサンドボックス3はシステム上査読も行えるようになっています。適切なステータスを付与して批評開始状態にすると記事が一覧に並び、査読者が査読する記事を探せるようになるといった具合です。
ここからが本題なのですが、実はサンドボックス3において査読を行う人はそう多くなく、2021年9月現在、査読活動はかなり属人的なものとなっています。それに対し、査読を受けるために一覧に載っている記事は多いです。英語からの和訳を例に挙げるならば1人が2個3個の記事を同時に一覧に載せる事も多々あり、結果として1ヶ月程度では査読が貰えないという事もよくあります。その他の言語では、査読が来る事の方が珍しいと言えるかもしれません。と言うよりそもそも和訳に関わる人口そのものが英語よりもかなり少なく、査読活動だけでなく活動全体が属人的になっています。このような状況下においては(もちろんそうでない場合でもですが)査読を受けるための努力が重要になってきます。すなわち、査読する側が査読しやすくするための工夫です。査読のハードルを下げる事によって少しでも査読を受けやすくするのです。自分がかける手間が増えるのでその辺は上手く天秤にかける必要がありますが、工夫が上手くいけば査読を比較的受けやすくなるでしょう。とはいえ何をしたらいいのか分からないという方も多いと思います。という事でここでは2021年9月現在の状況を参考に、どのような工夫が行われているかを2つほど挙げてみることにします。
原文併記
ほぼすべての場合で行われているのが、訳文の上下どちらかに青い文字で原文を並べるという工夫です。多くの場合1パラグラフを1つのブロックとして訳文に対応する原文を並べます。
これにより査読者は原文のページを開かなくても査読を行えるようになります。これを行わず原文へのリンクも貼っていない場合、査読者は自分で原文のページを探さなくてはいけなくなりますから、これを行う事は査読へのハードルを大きく下げてくれるでしょう。
不安な箇所の洗い出し
自分で訳してよく分かっていなかったり不安だったりする箇所を目立つようにするという工夫です。訳文全体の上下どちらかにスペースを設けて抜粋したものを載せる場合もありますし、該当する文に下線を引いたり色を変えたりするなどして目立たせる場合もあります。両方を同時に行う事もあります。抜粋した場合はどこがどう不安なのかという理由も同時に書いている例も見られます。
これを行う事により、査読者はエネルギーを集中させる事ができます。最初から最後までずっと気を張って注意深く読み続けると疲れるもので、おまけに時間もかかります。しかし注意すべき場所がわかっているのであれば、とりあえずそこだけ見たりそこを特に注意深く見たりする事ができるのです。これは査読へのハードルを大きく下げてくれますし、自分が不安に思っている場所に対して意見をもらいやすくもなります。つまり不安な箇所が問題無かった場合でも、問題無いという保証が得られるという事です。何もしなければ間違っていない場所に対して間違っていないと言う人はあまりいませんから、特に不安な箇所がある場合についてはそこがどうなのか確実に確かめられるという意味で非常に有効な工夫です。
査読を行う方からもこれをしてほしいという声が寄せられています。具体的には「不安な箇所に下線を引く」「不安な箇所を抜粋し、不安な理由を書く」の両方を行ってほしいそうです。ぜひ参考にしてみてください。
上記のような工夫をする事で、査読を受けやすくする事ができます。そしてもちろん他にも様々な工夫があるでしょう。査読を受けたいのであれば査読を受けやすいページにする事は重要です。多少面倒に感じたとしても何らかの工夫をする事をお勧めします。
そしてここからは単なる私の我儘ですが、和訳をすることに慣れて自身がついてきたならば、ぜひ査読をする側にも回ってみてください。きっとその時にはかつてのあなたのような新人たちが、そして不安を抱える仲間たちがきっと査読が貰えるのを待っていますから。
まとめ
最後にここまでの話を軽くおさらいしてみましょう。
対象言語は読めますか?
まず、対象言語をどの程度読めるのか確認しましょう。言語力が足りないのであれば足りない事を自覚して、できる限り分からない部分を分からないまま訳して完成という事にしないようにしましょう。
和訳のやり方(一例)
まだ読んでいない記事を訳す時には雑に分けると2つのやり方があります。自分に合ったやり方を選びましょう。
とりあえずやる
和訳できるかどうか分からない記事があったらとりあえず和訳してみましょう。やってみないとできるかどうかは分かりづらいからです。そしてできれば途中で頓挫したものをゴミ箱に捨ててしまわずに残しておいて、時々見直してみると良いでしょう。
SCP財団で和訳をするときに
訳したい言語版の世界観や用語の紹介記事を読んでみる事、そして様々な記事を読んでみる事が大事です。特に訳したい記事と似たような記事からは用語や語の傾向を掴めます。
日本語との付き合い方
あなたが日本語を上手に使えるとは限りません。様々な文章を読んで日本語力を磨きましょう。そして和訳をする際は、できた訳文を何度も読み返して確認すると良いでしょう。
査読に出す
査読をする人は現状少ないです。「原文と併記する」「不安な箇所を明示する」など、査読を受けやすくするための工夫をしてできるだけ査読する側の負担になりづらいページを作りましょう。
ざっくりとまとめてみましたがどうでしょう。それぞれのセクションの内容は思い出せたでしょうか?何か重要な事を取りこぼしているような気がしたらその場所に戻って確認しましょう。
終わりに
長々と書いてはみましたが、実際に和訳をする段になってみれば、悩む事こそ数多くあれど戸惑う事はあまり無いでしょう。できるかできないか。上手く繋げられるか繋げられないか。ただそれだけの事を繰り返すのにどうしたもこうしたも無いのです。つまり、何をしたらいいのか分からずに全てが暗礁に乗り上げてしまうような、本当にどうしようもない事態が起こることは稀なはずです。であるならばあなたのするべき事はそう多くはありません。まずは対象言語をある程度読めるようになり、日本語を読めるようになる。基本的にはこれだけです。あとは色んな記事を和訳しながら問題点と解決法を見つけて、あわよくば克服していきましょう。
誰かが和訳をすればその記事は日本語になります。あなたはその結果を求めており、そして実現する手段を持っています。けれどそれを行使する事は決して強制されるべきではありません。全てはあなたの自由意志の元で選択され、その先に喜びや達成感、そして結果があるべきなのだと思います。このエッセイはあなたに和訳をさせるためではなく、あなたが和訳するという選択肢を選べるようになるためにあるのです。
最後にあなたのこれからの活動に喜びがあることを願ってこのエッセイを終わりにしようと思います。お疲れ様でした。
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- portal:2955066 (06 Jun 2018 08:22)
これは個人的な和訳記事に対する思いみたいなものなので反映するかどうかはお任せしますが……。
一通り訳し終わって査読に出していただくときに、訳者自身が特に自信が無いような部分には、是非とも下線を付していただきたいなぁと思っています。と言うのは、私などは読み込む速度が遅いため、全部を査読というのはハードルが高く感じてしまいます。解釈や表現に自信が無い部分が分かれば、そこだけに集中して読み込むということができるので、査読する側としてはやりやすいのです。
ここのitが何を指すか分からない、文の構造がぐちゃぐちゃで訳しづらい、言葉遊びがあって和訳が思いつかないなど、とにかく最後まで訳したけどここが日本語化できない……みたいなところを明示してほしいという旨を、もしよければ付け加えていただけると、大変うれしく思います。
ありがとうございます。ご意見をいただいて気づいたのですが、査読周りについては完全にノータッチで不親切でした。
「査読に出す」というセクションを追加して、ちょっとした説明と査読に出す時には何か手を加えた方がいい旨を記載しました。ご要望の点に関しては書き方が弱くなってしまって申し訳ないのですが、どういう行為なのかを例示した上で実際にそうしてほしいという要望がある旨を記載しました。
追記いただきありがとうございます。あとはそこがなぜ不安か理由が併記されてると嬉しいですね。
それから可読性の意味もこめてですが、ラストにここまで出てきたポイントの一覧があると優しいかなと。
お返事が遅れ申し訳ありません。ふたたびのご意見ありがとうございます。
査読を受けるための工夫のところに修正を加え、まとめのセクションも作りました。