あなたの事なんてどうでもいい

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは現在発生が確認されていません。SCP-XXX-JP-Aは死体安置所で保存されます。解剖調査を行う場合、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要です。SCP-XXX-JPに関する記憶を有すると主張する人間が発見された場合、記憶処理を施してください。

説明: SCP-XXX-JPは██県██市の███で不定期に発見される人間の死体です。現在17件、28体が確認されており、その死亡推定時刻は全ての事例において午前7時から午前9時の間です。

どの事例においても、SCP-XXX-JPには複数回に渡って強く踏みつけられたり蹴られたりした事による多数の損傷が見られます。SCP-XXX-JPの死因は窒息、内臓破裂、ショック死、脳挫傷のいずれかであると考えられていますが、損傷の数の多さから完全な特定には成功していません。

SCP-XXX-JPの出現する瞬間は現在まで確認されていませんが、発見地点の人通り、車通りの多さからは発見時にその場にいた全員が発見地点を目視していなかった可能性は考えづらいため、SCP-XXX-JPは瞬間的に発見地点に出現したのではなく発見以前からその場に存在し、認識を阻害する何らかの効果によって隠蔽されていたという説が有力です。

補遺1:上記の説に基づく「SCP-XXX-JPは特定個人により認識を阻害する何らかの効果を付与された後に殺害された」という仮説の下、財団は異常性を持つ特定の加害者の存在を想定して調査を行いました。この時点で加害者は暫定的にSCP-XXX-JP-Aに指定されました。

財団は各SCP-XXX-JPの死亡推定時刻である午前7時から午前9時の時間帯に███にエージェントを派遣し、SCP-XXX-JP-Aの発見を試みました。

7月10日の第12回調査時、不審な動作をする人物が確認されました。上空からの監視を行い、███を出た地点でエージェントが声をかけたところ、当該人物は███へ戻る方向に逃走しました。その後全ての監視人員が当該人物を見失ったため、同日発見されると思われるSCP-XXX-JPへの対応を優先し、調査は中断されました。

この日発見されたSCP-XXX-JPは2体であり、そのうち1体が当該人物でした。また、残る1体は当該人物が不審な動作を行なった地点で発見されました。この事例と、以降SCP-XXX-JPが発見されていない事から、当該人物は正確な異常性は不明ながら正式にSCP-XXX-JP-Aに指定されました。SCP-XXX-JP-Aの死亡を受けて当オブジェクトのオブジェクトクラスはneutralizedに再分類されました。

補遺2: 11月15日、「以前人を殺した」という通報がありました。通報内容から6月29日に発見されたSCP-XXX-JP-26との関連性が指摘されたため、財団による調査が行われました。

対象: 浅井悠(通報者)

インタビュアー: エージェント・鑽浜(警察官に偽装)

<前略>

インタビュアー: 人を殺したと仰いましたが、それはいつの事ですか?

対象: 6月です。

インタビュアー: 6月ですね。随分と時間が開いていますがどうしてでしょう?ああ、責めているんじゃありません。なぜ今になって通報したのかが知りたいんです。黙っておく事もできたでしょうに。

対象: それは。[4秒間沈黙]その、こんな事信じてもらえないかもしれませんけど、最近なんです。思い出したのが。

インタビュアー: なるほど。最近になって思い出したんですね。詳しい事は分かりませんが、パニックになって記憶に蓋をした、といったところでしょうか。

対象: そうじゃないんです。私、その時は気付いていなくて。でも最近になってあの日の写真を見て、上手く言えないんですけど、その日の事思い出したらそう言えば朝の道で人の首を折ったなって思い出して。

インタビュアー: 気づいていなかった、ですか。しかし人の首を折ったという事が分かっているならしっかり見てはいたのでは?

対象: 変な事を言ってるのは分かります。でもそうとしか言えないんです。人を踏んづけて首を折ったのにあの日の私は楽しそうで、今でもあの日は楽しかったなって思うんです。だけど人の首を折ったって事も同じように思い出せて。本当ならそんな事をしていつも通りでいられたはずがないのに。記憶にあるんです。でも写真を見るまで思いつきさえしませんでした。私、私は。

[対象が泣き出す]

インタビュアー: 落ち着いてください。あなたは立派です。こんなに時間が経ってからでも自首できる人なんてそうはいません。自分のした事をちゃんと認めて償うというのはそう簡単にできる事じゃないんですよ。

対象: 違うんです。そうじゃないんです。私、嘘をつきました。だって、おかしいじゃないですか。ちょっと踏んだくらいで人の骨が折れますか?よしんば首が折れたとして、踏まれて首が折れたのに交通事故1って事にはどうやってもならないじゃないですか。だから殺したのは絶対に私じゃないって、初めから分かっていたんです。そう分かっていてもあの記憶はいつまでも消えてくれなくて、自分がおかしくなったんじゃないかって思ったら気が狂ってしまいそうで。[5秒間沈黙]実のところ、あの記憶が本当だろうと妄想だろうと別にどうでもいいんです。どうせ罪には問われないから、嘘でも本当でもどっちでも。ただ、どっちかだって言ってくれればきっと私は楽になれます。私が変になったのでも、みんなが嘘をついてるのでも、今みたいにただ苦しむよりは分かっていた方がずっとマシです。

インタビュアー: [沈黙]

対象: ねえ刑事さん、教えてください。私の記憶、嘘なんでしょうか?

<後略>

終了報告書: インタビュー後、対象には記憶処理が施されました。

このインタビューを受けて各SCP-XXX-JP発見日の午前7時から午前9時の間に███を通行していたと思われる個人にインタビューを試みたところ、特定に成功した████名の内███名がSCP-XXX-JPの死亡に関する記憶を持っている事が確認されました。また、記憶を有していた███名の内、███名に関してはインタビュー以前から当時の記憶を自覚していた事が判明しました。インタビュー対象者には既に記憶処理が施されています。

インタビューにより得られた情報から、SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-Aにより突き飛ばされるなどする事で一時的に認識不可能となる異常性を獲得しながら転倒し、その後通行人による蹴りつけ、踏みつけなどを受けて死亡したものと結論づけられました。

自覚した記憶を他者に広めようとする割合の少なさ、その試みが成功した割合が現在まで存在しない事、また不特定多数の人間の記憶を収容する試みにかかる著しく高いコストと有効性の低さに鑑み、SCP-XXX-JPに関する記憶の一括収容は行われません。


下書き終わり


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