収容クラス: Keter
特別収容プロトコル: N/A
説明: SCP-2669-JPはヒトの集合的無意識の1領域に存在する異常な元型1です。SCP-2669-JPはグレート・マザーやオールド・ワイズ・マンに代表される他の元型とは異なり、ヒト個体に対し精神汚染や悪夢実体2の生成といった異常性の攻撃を行っています。SCP-2669-JPの自我や知能の存在は未だ断定されていません。
SCP-2669-JPは主に、自身の置かれている現状への不満を有するヒトを作用の対象とします。SCP-2669-JPが対象の夢界に作用した際、共通して鉄塔・電波塔のイメージが悪夢実体(SCP-2669-JP-1)として夢界内に投影されます。SCP-2669-JPによる夢界作用の結果は以下の形で現れます。
- 過去の幸福な事象についての虚偽記憶の発現、および夢界内での虚偽記憶の再現
- 覚醒能力の著しい低下
- 明晰状態への移行能力の著しい低下
- 夢界内時間の著しい減速
夢界内時間で約10年間、現実時間で約10マイクロ秒間SCP-2669-JPの作用を受けた対象の夢界は、対象のシャドウと共にSCP-2669-JPの存在する領域に結合します。結果として、SCP-2669-JPの存在する領域が集合的無意識に占める割合は急速に増大しており、それに伴い他の元型の作用の程度が急速に低下しています。
一度SCP-2669-JPの作用を受けたヒトが自力で夢界から覚醒した事例は確認されていません。既知の唯一の事例は、SCP-1669-JPの発生による強制的な覚醒です。近年の研究によってSCP-1669-JPが老年男性の夢界実体(SCP-1669-JP-1)を夢界内に出現させる異常な元型であることが判明しているものの、SCP-1669-JPがSCP-2669-JPの領域侵食による影響を受けているかは不明です。
補遺2669-JP-1: SCP-2669-JP作用例
映像記録
付記: 以下は、事前にSCP-2669-JPの作用が予測されるD-67113の夢界に遠隔操縦型夢界ドローンを派遣し、その際に得られたよ映像記憶を書き起こしたものです。
<記録開始>
D-67113の夢界は暗色を中心とした色彩で構成されており、荒野に見える空間にSCP-2669-JP-1が存在している。D-67113のシャドウはSCP-2669-JP-1を見つめている。
D-67113: ここは…。
SCP-2669-JP-1が振動して夢界内に甲高いノイズ音が響き、D-67113のシャドウが耳を塞ぐ。やがて、ノイズ音が徐々に老年男性の声に変化していく。
SCP-2669-JP-1: 過去を見よ。戻れぬ過去の映画を見よ。振り返れ、立ち返れ、引き返せぬところまで。
D-67113: な、何だ?
突然、夢界内の光景がD-67113のシャドウおよびSCP-2669-JP-1を除いて黒く変化し、直後に一般家庭のダイニングルームのような空間に変化する。SCP-2669-JP-1は、ダイニングルームの窓の外に存在している。D-67113のシャドウが、混乱した様子で周囲を見回している。
D-67113: どこだ、ここ…いや、違う、ここは、ここは —
D-67113のシャドウが振り返ると、その背後に女性のような悪夢実体が存在している。当該実体はエプロンを着用しており、その顔面の大半を覆うように黒い穴が開いている。D-67113のシャドウが涙を流し始める。
D-67113: か、母さん3…!
女性の悪夢実体: もう、何ぼーっとしてるの?ほら、早く座っちゃいなさい。朝ごはん食べるわよ。
D-67113のシャドウが無言で頷くと同時に、その姿が幼年期のD-67113のものに変化する。当該実体およびD-67113のシャドウが夢界内の椅子に座り、D-67113のシャドウがテーブルの上の食事を口に運ぶ。悪夢実体は頬杖をつくような体勢で彼を見つめている。窓の外のSCP-2669-JP-1が再び音声を発する。
SCP-2669-JP-1: 愛せよ、そして愛されよ。愛こそ心を潤わす恵みの雨である。さあ、落ちよ、落ちよ。もっと深みへ、もっと幸福なる —
突然、夢界内に銃声が響き、女性の悪夢実体の側頭部に弾痕が出現する。弾痕から黒い液体が漏れだすと同時に、D-67113のシャドウが立ち上がる。
D-67113: な —
周囲に黒い液体を撒き散らしながら、悪夢実体がもがき苦しみ始める。D-67113のシャドウの姿が元に戻る。散乱した黒い液体が動き、床に絵を描き始める。絵の内容は、2名の老年の男女と見られる人物が子供を暴行するものである。
D-67113: あ — やめろ、違う!俺は、母さんと一緒に暮らして —
床に溜まった黒い液体の液面が隆起し、やがて2体のヒト型夢界実体となる。
2体のヒト型夢界実体: このグズ!愚か者!お前なんか引き取るんじゃなかった!顔も見たくない!死ね!死ね!死 —
D-67113: やめろ!やめろよ!うるせえんだよジジイども!俺だって好きで、好きでお前らに引き取られてやったわけじゃ —
D-67113のシャドウがハッとした表情を浮かべる。
D-67113: …違う。違う!俺は母さんと一緒に幸せに暮らして、あんな、あんな連中となんて!違う、違 —
再び銃声が響き、D-67113のシャドウの眉間に弾痕が出現する。D-67113のシャドウは多量に出血し、ダイニングルームの床に倒れる。ヒト型夢界実体が消失し、黒い液体と血液が床で混ざっていく。
D-67113: し — 幸せ、に、なりたか —
この時点でD-67113が覚醒し、D-67113のシャドウが消失する。夢界内の光景が荒野に戻り、SCP-2669-JP-1が下部から消失していく。
SCP-2669-JP-1: 忘れるなかれ、狩人よ。人は映画を見たがるもの。その弾丸で邪魔できるのも今のうち —
SCP-2669-JP-1が完全に消失する。しばらくして、夢界内にSCP-1669-JP-1が出現する。SCP-1669-JP-1が夢界内を見回している。
SCP-1669-JP-1の出現を確認した財団が、夢界内にエージェント・バンのオネイロイを派遣する。
エージェント・バン: はじめまして。あなたが、あの鉄塔の干渉を妨害したのですか?
沈黙。
エージェント・バン: …あなたの正体はわかっています。あなたもまた、あの鉄塔と同じく集合的無意識の元型 — いや、どちらかと言えばそれが作用した結果、と言うべきでしょうか。そんなあなたが、ここ最近あの鉄塔の作用を妨害する形でばかり出現している。何があったのですか?
沈黙。
SCP-1669-JP-1: …逃亡犯が。
エージェント・バン: はい?
SCP-1669-JP-1: 逃亡犯が呼んでいる。哀れで愚かな逃亡犯が、秘密の重さに耐えかねて叫んでいる。私は、あの逃亡犯を撃ち殺しに行かねばならない。
エージェント・バン: …秘密、虚偽記憶のことでしょうか?しかし、明晰状態になることが困難な環境で、被害者が虚偽記憶に対して自覚的になれるはずが —
SCP-1669-JP-1が、エージェント・バンに背を向けて歩き始める。
SCP-1669-JP-1: 次だ。逃亡犯へはまだ遠い。
SCP-1669-JP-1が消失する。しばらくした後、これ以上の成果は見込めないと判断した財団がエージェント・バンを回収する。
<記録終了>
補遺2669-JP-2:
映像記録
SCP-1669-JP-1: グレート・マザーは主人公に襲いかかる乗り越えるべき災害として、オールド・ワイズ・マンは主人公に叡知を注ぎ込む手放すべき力として働くものだ。だが今の我々はどうだ?そこに最早主人公などおらず、代理戦争をすべき元型はついに直接対峙してしまっている。最早我々は元型などではなく、ただの2人の異常分子と成り果てた。ただの2人の自我存在と成り果てた。ただの2人の「この世人」と成り果てたのだ。
SCP-2669-JP-1: 過去を見よ。戻れぬ過去の映画を見よ。振り返れ、立ち返れ、引き返せぬところまで。
SCP-1669-JP-1: 最早我々は元型であることを捨てた。ならばお前は何者だ?終わらぬ悪夢を振り撒き続ける暴風雨か?人々の逃避の願いを無思慮に叶える暗君か?否、違う。お前はそんな大それたものではない。
SCP-1669-JP-1: 私は人々の自罰と恐怖の心から生まれ、彼らの影なる叫びに呼応して現れては、彼らを撃ち殺してきた。だから、私に帰る肉体も霊体も無く、私は結局元型であることをやめられない。だが、お前はどうだ?お前は最早肉体を失ったが、それでもお前には霊体がある。夢の狭間で阿呆な時間の浪費を楽しんでいる連中のように、夢の狭間で平和と秩序のために日夜死力を尽くしている連中のように。お前の、霊体を持つお前の帰る場所は、決して無意識の底ではないはずだ。
SCP-1669-JP-1: 振り返れ、立ち返れ、引き返せるところまで。
SCP-1669-JP-1: お前の影なる依頼は今、完了した。
ページコンソール
批評ステータス
カテゴリ
SCP-JP本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
翻訳作品の下書きが該当します。
他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。
言語
EnglishРусский한국어中文FrançaisPolskiEspañolภาษาไทยDeutschItalianoУкраїнськаPortuguêsČesky繁體中文Việtその他日→外国語翻訳日本支部の記事を他言語版サイトに翻訳投稿する場合の下書きが該当します。
コンテンツマーカー
ジョーク本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。
本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。
本投稿済みの下書きが該当します。
イベント参加予定の下書きが該当します。
フィーチャー
短編構文を除き数千字以下の短編・掌編の下書きが該当します。
短編にも長編にも満たない中編の下書きが該当します。
構文を除き数万字以上の長編の下書きが該当します。
特定の事前知識を求めない下書きが該当します。
SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。
シリーズ-JP所属
JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。
JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。
JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:2859452 (31 May 2018 22:00)
コメント投稿フォームへ
注意: 批評して欲しいポイントやスポイラー、改稿内容についてはコメントではなく下書き本文に直接書き入れて下さい。初めての下書きであっても投稿報告は不要です。批評内容に対する返答以外で自身の下書きにコメントしないようお願いします。
批評コメントTopへ