SCP下書き「器など意味はない」

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SCP-XXXX-JP実例の発見されたリキュターク村

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 1体のSCP-XXXX-JP実例はサイト-610のクラス3生物収容ユニットに冷凍保存されています。更なる実験にはサイト-610管理官の許可が必要です。冷凍保存されている実例以外のSCP-XXXX-JP実例は、特異的なものを除き原則終了されます。

説明: SCP-XXXX-JPは体細胞の初期化による変形・再生を可能とする生物です。知能レベルは形態によって変化するものの、最大でヒトと同等レベルの知能を有することが確認されており、意識的に初期化を行っていると推定されています。SCP-XXXX-JPは中枢神経が約10 ℃以下に冷却されると活動を一時停止し、中枢神経の約50 %を破壊されると活動を停止します。栄養補給や休息が無くとも生存可能ですが、約72 %の実例は積極的に他の動物を襲撃・捕食しようと試みます。


補遺XXXX-JP-1(発見経緯):

1999/08/02、

事案ログ


発生日: 1999/07/28

発生場所: リキュターク村

概要: 05:30頃、村の約2 km上空に突如奇跡論紋様図形が浮かび上がったのが確認されました。直後、リキュターク村を中心とする半径約1 kmの範囲内の全存在が消失し、推定100名前後の村民が巻き込まれました。

約2 kmの距離のある村に設置された監視カメラの記録では、発生した奇跡論紋様図形には「器よ器らしくあれ」「水よ器に注がれん」と読める[削除済]文字が刻印されていました。一致あるいは類似する奇跡論紋様図形の記録は、財団データベース上に存在しませんでした。

事案ログ


発生日: 1999/08/02

発生場所: リキュターク村

概要: 19:27、リキュターク村の消失地点周辺に建設されたC-71観測所が、リキュターク村の再出現及び異常な生物の存在を報告しました。観測所に待機していた部隊が応戦したものの、確保や終了の試みは失敗し部隊は全滅、複数のSCP-XXXX-JP実例が周辺地域に拡散しました。

19:53、機動部隊ラムダ-12(媒介害獣除染隊)が現地に派遣され、SCP-XXXX-JP実例の追跡を行いました。結果、30体のSCP-XXXX-JP実例が確保或いは終了されました。その後周辺において目撃情報や不審な痕跡が確認されていないことから、全SCP-XXXX-JP実例が処理されたものと断定されました。

事後調査の結果、リキュターク村には複数の血痕や肉片が確認されましたが、形を保った遺体は確認されませんでした。村の中心の広場の地面およびニタ・カルマ(Nita Kalma/Нита Калма)司祭の家からは、幻覚剤に分類されるシロシビンが多量に発見されました。

カルマ司祭の家の地下室に取り付けられていた電池式の監視カメラからは複数の映像が回収され、その映像及び残存していた痕跡から、司祭の家に不明な異常実体が存在していたことが判明しました。


補遺XXXX-JP-2(回収された映像):

映像ログ


記録日時: 1999/07/27

<ログ開始>

映像はカルマ司祭の家の地下室の様子を記録している。壁や床の土は薄い黄土色であり、鉄格子は赤く錆びているように見える。部屋の奥に、頭部が切断され青白い肌をした裸体の男性のように見える巨大な実体が座っており、両手は壁に取り付けられた鉄枷で固定されている。

カルマ司祭が鉄格子の外に立つ。

カルマ司祭: お前は一向に呪文を使わないな。

水音が響く。

カルマ司祭: 民衆はお前を神だと思っているが、結局のところお前は群れたオオカミ程度でしかない。いくら強情に耐えようと、このままではお前には死しか待っていないだろう。

水音が響き続ける。

カルマ司祭: あと3晩待とう。その後真の神を呼び出す儀式を行い、お前も殺す。お前の肉も血も捧げ物には値しないだろうが、力を試すにはちょうど良いだろう。

カルマ司祭が鉄格子から離れる。

カルマ司祭: その日に蓋は開けられる。

カルマ司祭が地下室から退出する。

水音が止む。

<ログ終了>

映像ログ


記録日時: 1999/07/28

<ログ開始>

地下室の扉が開く音が聞こえ、静止していたヒト型実体が身を乗り出す。扉が閉じられる音が響く。

村民と推定される1名の女児が鉄格子の前に現れる。首にかけた小さい袋から鍵を取り出し、鉄格子の扉に触れる。ヒト型実体が暴れ、鉄枷が動かされる音が響き、女児がのけ反る。

断続的な衝撃音が記録される。女児とヒト型実体がドアの方を見る。

女児が鉄格子の扉に触れ、鍵を開いて内側に進入する。扉を閉め、手を伸ばして鍵を閉める。

女児: ごめんなさい。その。

衝撃音が響き、扉の方からSCP-XXXX-JP実例が地下室に現れる。当該実例は不定形に泡立つ肉塊のような形状を取っている。

女児: た、助けて!

当該実例が高速で触手を伸長させ、鉄格子の隙間から内側へ進入させる。女児が後方に転倒する。

ヒト型実体の頭部の切断面から1本の長い腕が出現し、触手を掴む。甲高い音が響き、女児が耳を塞ぐ。SCP-XXXX-JP実例の触手が融解し、当該実例が悶えるように身体を動かす。

当該実例はドアの方へ移動し、地下室から退出する。ヒト型実体は腕を伸ばしたまま静止しており、女児はヒト型実体を見つめている。

女児: た、助けてくれた、の?

水音が響き、腕が女児に伸びる。女児はのけ反るが、それ以上後退することができないような様子を見せる。ヒト型実体の手のひらが女児の頬に触れる。

水音が響き続ける。

腕が女児から離れ、ヒト型実体の切断面に腕が戻る。水音が止む。

沈黙が続く。

女児: あ、あの。

水音が響く。

女児: ご、ごめんなさい。

水音が止む。

沈黙が続く。

女児が泣き始める。

<ログ終了>

映像ログ


記録日時: 1999/07/28

<ログ開始>

女児が、鉄格子とヒト型実体の中間辺りの壁に寄りかかっている。ヒト型実体は静止している。

女児: あの。

沈黙が続く。

女児: 朝は、助けてくれてありがとう。

沈黙が続く。

女児: その、ここって司祭様のお家、ですよね?

沈黙が続く。

女児: あなたって、その。

ヒト型実体の頭部の切断面から腕が出現し、女児が悲鳴と共にのけ反る。腕は女児の口元を押さえる。

沈黙が続く。

小さな叫び声が記録される。

沈黙が続く。

腕が女児から離れ、女児の首の袋に伸びる。腕は鍵を取り出し、女児の手元に置く。

女児: え、あの。

腕が急速に地下室の扉の方へ伸び、鉄格子の手前で停止する。

沈黙が続く。

女児: あ、届かない、んですか?

腕がゆっくりとヒト型実体の切断面に戻っていく。

沈黙が続く。

女児が立ち上がり、鉄格子の扉の鍵を開けて外側に出ていく。女児が地下室の扉の方へ移動し、フェードアウトする。

鍵の音が響く。

女児が小走りで鉄格子の内側に戻り、扉の鍵を閉める。先ほど座っていた位置に座り直す。

女児: あ、や、やりました。

沈黙が続く。

水音が響く。女児が慌てて鍵を首の袋に入れる。

沈黙が続く。

<ログ終了>

映像ログ


記録日時: 1999/07/29

<ログ開始>

女児が、鉄格子とヒト型実体の中間辺りの壁に寄りかかっている。ヒト型実体は静止している。

女児: す、すいません。

水音が響き始める。女児の小さい悲鳴が記録される。

女児: あ、あの。あなたって、神様、なんですか?

水音が大きくなる。

女児: う、ごめんなさい。でも、司祭様のお家には、神様がいるって聞いたから。

水音が小さくなる。

水音が響き続ける。

女児: と、閉じ込められてた、んですね。

水音が響き続ける。

女児: 私も。

水音が止む。

沈黙が続く。

女児: ご、ごめ。

沈黙が続く。

女児: その、私も、お母さんに、そうされてたから。あの、ごめんなさい、何か。

沈黙が続く。

女児: ちょっと似てるな、って。

水音が響く。

女児: ご、ごめんなさい。変なこと言って。

水音が止む。

<ログ終了>

映像ログ


記録日時: 1999/07/29

<ログ開始>

女児が、鉄格子とヒト型実体の中間辺りの壁に寄りかかっている。ヒト型実体は静止している。

地下室の鍵が開けられる音が聞こえ、女児が立ち上がり、ヒト型実体が身を乗り出す。カルマ司祭が鉄格子の外側に現れる。

カルマ司祭: ん?おっと、どうしたんですか、パラズ?何故そこにいるんです?

水音が響く。

女児: し、司祭様。

カルマ司祭: さあ、危ないですからそこから出てきなさい。もう、外は大丈夫ですよ。

水音が響く。

女児: は、はい。

女児が立ち上がり、鉄格子の扉へ近づく。水音が大きくなる。

女児が立ち止まる。

女児: あ、あの。

カルマ司祭: 何ですか?

女児: 鍵は、その、どうしたんですか?

水音が響く。

カルマ司祭: それはまあ、普通に鍵を開けて。

女児が首の袋から鍵を取り出す。

水音が響く。

カルマ司祭の頭部が2つに裂け、2本の触手に変形する。同時に、ヒト型実体の頭部の切断面から腕が伸びて女児を実体の方へ引く。

触手が女児の直前まで伸びたところで、実体の腕が触手を掴む。甲高い音が響き、女児が耳を塞ぎカルマ司祭が暴れ始める。

1本の触手が融解するが、もう1本の触手がヒト型実体の腕を突き刺す。女児が悲鳴を上げる。

カルマ司祭の殆ど融解した触手が縮み、徐々にカルマ司祭の頭部右半分の形に再生していく。再生した部分に穴が開き、動き始める。

カルマ司祭: お前、偉大なる我らにこんなことをしてただで済むと。

ヒト型実体の腕がカルマ司祭のもう1本の触手を掴む。甲高い音が響き、触手が融解していく。カルマ司祭は叫んでいるように見えるが、叫び声は記録されない。

甲高い音が止み、カルマ司祭の叫び声が記録されるようになる。カルマ司祭は異言を発しているように聞こえる。

カルマ司祭の肉体が、頭部から徐々に融解していく。カルマ司祭はふらふらと地下室を後にする。

ヒト型実体の腕が徐々に切断面へ戻っていく。

女児がヒト型実体を抱擁する。女児の泣き声が響く。

<ログ終了>

映像ログ


記録日時: 1999/07/29

<ログ開始>

女児が、ヒト型実体の左の壁に寄りかかっている。ヒト型実体は静止している。

女児が起き上がり、首の袋から細工品を取り出す。ヒト型実体の拘束されている右腕に細工品を取り付ける。

女児: こ、これ。

沈黙が続く。

女児: お守り。悪い物から、神様が守ってくれるって。

沈黙が続く。

女児: あ、でも。神様はあなたで、その。

沈黙が続く。

女児の小さな笑い声が記録される。

女児: その、ごめんなさい。

沈黙が続く。

<ログ終了>

映像ログ


記録日時: 1999/07/30

<ログ開始>

女児が、ヒト型実体の左の壁に寄りかかっている。ヒト型実体は静止している。

小さな足音が聞こえ、女児が立ち上がり、ヒト型実体が身を乗り出す。女性が鉄格子の外側に現れる。水音が響き始める。

女性: あら、パラズ?

沈黙が続く。

女児: こ、こっちに来ないで。お母さん。

女性: 何をしてるのよ、あんた。司祭様の家に勝手に入っちゃ。

女児: わかってる。お、お母さんが、偽物だって。

水音が響く。

ヒト型実体の頭部の切断面から腕が伸び始める。

女性: 残念だ。

鉄格子の内側の地面から触手が出現し、ヒト型実体の腕を壁ごと突き刺す。女児の悲鳴が響く。

もう1本地面から触手が出現し、先端が細く変形する。ヒト型実体が暴れる。

女児: 嫌。

触手が女児の頭部を切断する。頭部が床に転がり、甲高い音が響き始める。

女性: 次はお前だ。お前を。

甲高い音が響く。

女性: 何だ、そうなのか。器にかまけて、お前の仕事を忘れるなよ。

触手が急速に地面に潜る。甲高い音が止み、ヒト型実体が腕を急速に伸ばすが、鉄格子の前で停止する。

女性が地下室から退出する。

ヒト型実体が暴れ始める。

鉄枷の音が響く。

女児の肉体が起き上がる。徐々に頭部の切断面から頭部が再生していく。床に転がっている頭部が徐々に融解していく。

鉄枷の音が響く。

女児の頭部が完全に再生される。

女児の泣き声が響き始め、ヒト型実体が静止する。

女児: あの時。

女児の泣き声が響く。

女児: 逃げ遅れて、私。

女児の泣き声が響く。

ヒト型実体の頭部の切断面から腕が伸び、女児の頭を撫で始める。女児が号泣する。

<ログ終了>

映像ログ


記録日時: 1999/07/30

<ログ開始>

女児が、ヒト型実体の左でうずくまっている。ヒト型実体は静止している。

女児が立ち上がり、ヒト型実体の前に立つ。

女児の頭部が触手に変形する。水音が響き始める。

触手はヒト型実体の鉄枷を破壊する。水音が止む。

女児: ごめんなさい、神様を、その、騙しちゃって。

沈黙が続く。

女児: これで、少なくとも、ここからは出れます。外は、怖いのでいっぱいだけど。

沈黙が続く。

ヒト型実体の頭部の切断面から腕が出現し、右腕の細工品を外す。

女児: あ。

細工品が女児の目の前にかざされる。水音が響き始める。

くぐもった声: アング。

女児の背後の地面に黒い円が出現する。女児は背後を向き、声を上げる。女児がヒト型実体の方を見る。

女児: これ、何?

水音が響く。

女児: ここから、出るの?

腕が細工品を女児の首にかける。

女児の泣き声が響く。

女児: ありがとう。

腕が女児の頭を撫でる。

腕が切断面に戻る。女児は、左手でヒト型実体の左腕を掴む。

女児とヒト型実体が同時に黒い円に飛び込む。

黒い円が消失する。

<ログ終了>

付記: 映像内のヒト型実体及び女児はURA-XXXX-JPに指定されました。現在、機動部隊ラムダ-12による捜索が行われています。詳細はURA-XXXX-JP報告書を参照してください。


タグ: euclid scp jp 不定形 生物

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