【SCP下書き】SCP-2529-JP案 – ””せいきのしどうほう””

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の大型標準収容ロッカーに車両盗難防止装置を取り付けて収容されます。未収用のSCP-XXX-JP実例発見時や統制下にない教育イベントの発生時は、直ちに機動部隊う-10("貞操隊")が派遣され、教育イベントの終了およびオブジェクトの回収、SCP-XXX-JP-A群への必要に応じたカウンセリング、記憶処理、適宜カバーストーリーの流布が実施されます。SCP-XXX-JPの実験の開始または終了には倫理委員会の承認と担当主任研究員による監督が必要であり、実験や移動の申請なしにSCP-XXX-JPの車両盗難防止装置が解除された場合は直ちに担当研究員の指揮により機動部隊が出動します。また、SCP-XXX-JP収容房を含むサイトでは業務上の過失および服務違反への処罰は担当主任研究員によって発令されます。

説明: SCP-XXX-JPは認識汚染作用を有する一定の現象を発生させる車椅子です。SCP-XXX-JPの構造は非異常性の市販品と概ね一致していますが、多数の錠前と鍵束を収納した小袋が結び付けられ、破壊耐性を有する革ベルトが座面・肘掛け・足置きなどに複数連結されている特徴を有します。また、SCP-XXX-JPの背面部には以下の文言がプリントされたラベルが張り付けられています。

子供たちを育む為に、禁制の道具を！ - 体罰選択の解放戦線より寄贈

Planed in Japan

SCP-XXX-JPを保管する施設の敷地内で懲罰を行うことを宣言した際に、SCP-XXX-JPの異常性は活性化します。懲罰執行者はごく自然な動作でSCP-XXX-JPを持ち出し、懲罰対象者に脱衣してSCP-XXX-JPに座るように指示します。その後執行者は対象者をSCP-XXX-JPに付属するベルトで拘束し、さらにツク棒¹に開けられた穴に錠前を通すことで第三者による開放を阻害します。なお、この錠前は備え付けの鍵束によって開錠できますが、鍵束および錠前を小袋から取り出すことが可能であるのは執行者のみです。

その後、対象者を拘束したSCP-XXX-JPは講堂、通用口などの共用スペースに設置されます。対象者を衆目に晒す理由として、羞恥を与えることが懲罰の一環であると執行者は説明します。同様に懲罰の目撃者には対象者へ交流を図り退屈させないよう気遣う規定を伝達します。また、この期間中の飲食や排泄は施設内にいる対象者と親密な人物によって介助されます。懲罰の終了が執行者によって宣言され対象者が解放された段階でSCP-XXX-JP固有の異常性は非活性化します。このような一連の行動は教育イベントと指定されています。教育イベントの継続期間は懲罰対象者の懲罰事由によって変化し、12時間が下限と推測されています。懲罰対象者が教育イベントの実施に反抗的な場合は特に継続期間が長大化する傾向にあり、統制下における最大拘束日数は████日間です。なお、教育イベントの中止は外部より懲罰執行者へ拘束の解除命令を伝達し懲罰執行者がこれを受理することで可能であることが確認されています。

SCP-XXX-JP-Aは教育イベントの立会人を含む全参加者です。SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JPの用途や使用手順を漠然と理解した振る舞いを行うことが確認されています。SCP-XXX-JPの使用が本来の罰則規定に対し過剰である場合や対象者へ懲罰を与えること自体に不服がある場合にはSCP-XXX-JP-Aは反感を露わにしますが、教育イベント実施からの自発的な逃亡や妨害、外部告発は放棄します。SCP-XXX-JP-Aには教育イベントを経て学習意欲および運動意欲の向上が確認され、言動は一般的に優等生と評される品行方正な振る舞いへと変化していきます。また、第二次性徴が発現していない場合には精通・初潮が確認されます。この作用はいずれも心身の成熟化の特性を有しSCP-XXX-JP-Aを反社会的行動から遠ざける結果をもたらします。これは後述の発見経緯と併せて、SCP-XXX-JPが未成年者の非行抑止の目的で製造されたという仮説を支持しています。なお、SCP-XXX-JP-Aは教育イベント終了時点にて指導目的の乱暴に違和感や忌避感を抱かなくなることが確認されています。これにより、教育イベントの内容を当然の行動として認知するようになるため、SCP-XXX-JP-Aは教育イベント後にSCP-XXX-JPについて他者から言及されない限り周囲に発信することはありません。

SCP-XXX-JPは██県██市の少年院で催された社会貢献活動にて財団の関心を引きました。支援団体のボランティアとして参加した財団エージェントは院内に教育イベント中のSCP-XXX-JPを発見し、聞き込みの中でSCP-XXX-JPの通常では暴力的と認識されるその使用法が施設内および聞き取り中の財団エージェント本人すら正規の指導法として違和感なく受け入れられていることが財団に報告されました。この報告を受けた財団研究員は認識改変や精神汚染を疑い、施設職員及び収容者へ記憶処理を実施しカバーストーリー『骨折の完治』を適用し懲罰対象者を解放させ、SCP-XXX-JPを回収しました。

補遺:事案SCP-XXX-JP-01およびインタビュー記録XXX-JP-01 - 20██/06/05

+ 事案記録を閲覧する。

財団日本支部は他支部職員による『娘が留学先の校内で音信不通になっている』という報告の対応中にSCP-XXX-JP実例を複数発見しました。厚生労働省に潜入していた財団エージェントは表向きの業務である学校保健統計調査と偽装し訪問調査を実施したところ、車椅子に拘束され凌辱を与えられていた████氏(報告を行った職員の実子である)を発見しました。これに対し財団エージェントは教員へ事実確認を行ったところ、████氏当人の学園生活に”拘禁による躾²”が大いに寄与していると意見を述べました。これを受けて財団エージェントは車椅子をSCP-XXX-JP実例であると判断、カバーストーリー『リコール対象品』を適用して回収しました。また、学内においてはSCP-XXX-JPと同様の使用状況にある一般的に教育機関では使用されない様々な拘束具やジョークグッズが確認されています。これらの不審な物品の存在から、財団は同学に特異な教育制度が形成された背景として断続的に教育イベントによる認識改変を受け続けていた可能性に着目し、このような懲罰が開始されるに至った経緯を確認するため学校職員へのインタビューを実施予定です。なお、学内より確保されたSCP-XXX-JPの背面部には以下の文言が刻印されたプレートが装着されている点に注目してください。

子供たちを育む為に、金星の道具を！
Produced in Japan
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_{愛を込めて本物の道具を　AKIエンジニアリング}

インタビュー記録XXX-JP-01

対象: ████氏

インタビュアー: 小林研究員

付記: 当インタビューはサイト-81██の面談室において事案発生時に保護された████氏の移送直後に実施された。

<録音開始>

小林研究員: こんにちは。お加減はどうでしょうか？

████氏: まぁなんとか、気分悪くはないです。
>
小林研究員: あなたがお元気そうで何よりです。本国のご両親に重苦しい報告をしなくてもよくなる。

████氏: あら、ちょうど私、家族と話がしたくて……この後テレビ電話してもよろしいです？

小林研究員: うーん、それは一旦やめておきましょうか。首筋にベルトの痕がついているので。では本題に入りましょう。少し酷な話にはなります。あなたはお父様より財団の業務について聞いているということでしたね。……このような異常な出来事の存在も教わっていると。そこで今回はあなたが受けた仕打ちについて詳しく話していただきたいとこのような場を設けました。お願いできますか？

████氏: できることはしたい、と思います。父の業務の助けになるなら、協力します。親愛なる日本支部の皆様。

小林研究員: ありがとうございます。時系列を追ってまず初めにあなたがどうしてあのようなひどい目に遭わされたのか理由を聞いてもいいでしょうか？

████氏: それはキクノのせい……ということになります。あの出来事はキクノのプランなのです。

小林研究員: 菊野さん、あなたと寮でルームシェアしている方ですか？

████氏: そうです。キクノは風紀委員で、以前から私に目をつけていたと拘禁を受けるときに言われました。私に睡眠薬を飲ませましたのです、麦茶を作ったよと出して。目が覚めたら、裸で車椅子に縛られていました。

小林研究員: あなたは校則に違反していたのですか？

████氏: とても些細なことです。箸の使い方が上手じゃなくて食べこぼしたとか、そんなことの積み重なり。キクノは言っていました、これは風紀委員の特権だと。それだけ言って……キクノと私の顔が重なりました。そこで、キクノが風紀委員の一員だと知ったのです。

小林研究員: 菊野さんはあなたを好いていたのでしょうか。

████氏: はい……そうだと思います。そして、私の身体をきれいだと言ってくれました。恥ずかしいところも、全部褒めてくれました。

小林研究員: ええと、次なのですが、私たちの同僚があなたを見つけるまであなたが車椅子に拘束されながらどうやって過ごしていたかを教えてください。

████氏: あ、えっと、そうですね。キクノは車椅子に乗せてクラスの隅に置いた私の世話をしていました。キクノは私とキクノがおしゃべりに夢中で下校が遅れた規則違反として私がこうなって、キクノがその世話係をさせられているんだ、と説明しました。クラスメイトはそれで納得していましたし、私やキクノをかわいそうだと言ってくれる人もいましたが、すぐに慣れてしまって私はそのままクラスに溶け込みました。それで、財団の方に車椅子から降ろされるまで、3日間拘禁を受けていました。キクノは週末が終わるまでの拘束期間と言っていたから、1週間は私をこのままにしておくつもりだったと思います。

小林研究員: 我々が対処しなければより大変なことになるところでしたね。ところで、あの車椅子のオブジェクトには心のあり方に影響する作用があります。その、拘禁というのを受けて、あなたの心や周囲の態度に変化はありましたか？

████氏: 私があの時すぐ感じたのはクラスメイトの視線です。あれは……幼児が見たこともない虫を捕まえた眼差しでした。

小林研究員: あなたの羞恥的な姿にとても興奮していた、ということでしょうか。

████氏: そうですが、もっと……サディスティック。捕食者の関心が私に注がれていました。さっきクラスの中に溶け込んだと言ったけれど、誰も気にしなくなったということじゃないです。私やキクノを理不尽に重い罰則を課せられた不幸なスクールメイトとする雰囲気が収まって次に始まったことは、私が玩具になることでした。私は反抗できないので休み時間のたびに囲まれて、代わる代わる体の全部を触られて、舌を引っ張られたり胸を揉まれて……とか、されてました。特に敏感なところは授業の時以外はずっとキクノや誰かの手に触れられていました。私は正真正銘の、ただただ同性の痴態を見せてくれるだけの道具としてクラスに馴染みました。あとクラスメイトもそうでしたが、学校が終わった後もキクノから私の監視を引き継いだ夜勤の警備員の方が私の様子を気にして見に来ました。それも、視線がもどかしくて……そしていつも、食事休憩のときにしか最後まで気持ちよくさせてもらえることはありませんでした。

小林研究員: ええと、一応確認なんですが、異性の私にそのような苦しい経験を打ち明けて、無理をしていませんか？気丈に振舞っていられていますが、少しでも居心地が悪いようでしたら女性のインタビュアーに今からでも引き継ぎますが。

████氏: いえ、構いません。私は辛くないです。

小林研究員: 少しいいですか。どうにも私には疑問なのが、あなたは今回の事案で負った自分自身の痛みをよく分析していらっしゃいます。しかしどこか上の空で、自分のことじゃないように話していらっしゃる、そんな印象を受けます。そのせいで私はあなたが自分を押し殺しているように見えます。我々はできることなら事案の究明のためにあなたの傷を広げたくはないのです。もう一度だけ聞いてください。無理はしていませんか？

████氏: 私は……平気です。いや……望んでいます。私は、私が受けたことを伝えたいです。話すのは、恥ずかしい記憶を思い出すのは、楽しいから、です。

小林研究員: 楽しい？でもあなたが受けたのは同性からのリンチそのものじゃないですか。そんな言葉をそんな冷静に、どうして……

████氏: あの3日間で私の半分以上は壊れてしまったんだと、思います。私はあの時一度でも、絶頂に救済を見つけてしまったから。平静でいるようで本当は、恥ずかしい行為をされたくてたまらない気持ちです。つまり、高揚が恋しい、単にそんな気分しかないのです。今の私を満たしてくれるのは頭がキリキリと軋んで身体を突き抜ける刺激と、絶頂に一歩手前まで迫ったあの歯を食いしばらないと耐えられない無慈悲な興奮だけです。これが、拘禁によって変わった私の全てです。

[小林研究員は████氏への心理カウンセリングの実施を要請、即時承認された。]

小林研究員: ……わかりました。ところで、あなたのそのような心の変化は前例にないものでして、これがオブジェクトの作用なのか、精神的なショックによるものなのかを確認する必要があります。その時はまた別の職員が案内します。では、最後に私個人から質問させてください。この後あなたはメディカルチェックを受けたり更なるインタビューを受けることになりますが、最終的にはあなたは財団が保護した一般人に対する対処に基づき、今回の事件に関する記憶は誤魔化されてまた元通りの学校生活を送ることになります。何か思うことはありますか？

████氏: ……いろいろあるけど、一言で言うなら、ありがとう、です。

小林研究員: それは我々へ、ですか？

████氏: いいえ、全員に。もし、両親や日本支部の方たちが助けてくれなかったら、私は本物の中毒になってこの記憶を失っても快感に腰砕けになったまま前を向いて立ち上がることはできなかったと思います。でもクラスメイトやキクノを怒ることはしません。暗い、闇の底に捕らえて、せめて自分を慰めるくらいにしかならない光を与える彼女たちの行為にはそれでも愛がこもっていました。ここまでの体験をした私は何も恐れません。私は何でもできると思います、たとえこの記憶を失っても。キクノがそんな私に作り変えてくれたから。

<録音終了>

終了報告書: ████氏に対しSCP-XXX-JP-Aとして従来の報告とは異なる精神影響が確認された。本インタビューを受けた心理検査では████氏に心的外傷は確認されず、インタビューにおける████氏の言動は教育イベントを受けたことで形成された可能性が指摘できる。なお、検査により████氏には有意な被暗示性の強化が確認されており、追加検査は申請中です。

インタビュー記録XXX-JP-01を受けた追跡調査から、教育イベント発生時点で19歳未満のSCP-XXX-JP-A（暫定的にSCP-XXX-JP-A-Yと呼称）には感覚器の活性化、性行為への関心の強化が確認されています。この関心は元来抱いていた性嫌悪に関わらず発生し、関係の深化を目的とした対話を誘発します。また、感覚器の活性化には身体接触による快感の増大という副作用が付随し、これらの要因によりSCP-XXX-JP-A-Yは心身ともに性的交流による充足を覚え、急速に依存が増長されます。なお、このSCP-XXX-JP-A-Yの性的関心の増加現象は同時に発生する素行変容により表面化が回避されるため、事案発生時点までその性質の発見が遅れたと結論付けられています。このようなSCP-XXX-JP-A-Yの思想や行動の変化は永続的であると推測されていますが、Cクラス記憶処理はSCP-XXX-JP-A-Yの貞操観念を再学習させる程度まで向性行動感情を緩和させる事が報告されています。

Footnotes

1. バックルの一部分で、ベルト穴に差し込む棒状の金具。

2. 教育イベントを指すと思われる。

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  草案の閲覧ありがとうございました。

  Tyobi 25 Jun 2020 18:15

  本項で画像を使用することになりましたらこちらにクレジットします。

  本草案は準要注意団体『解放戦線』と『AKI商事』を登場させ、短編で残忍さと悪趣味さを持ち味とした作品として構想予定です。
  どうもオチがパンチが弱い気がしますがそこもご意見いただきたいです。

  草案の批評ありがとうございました。

  Tyobi 31 Jul 2020 15:02

  SCP-2529-JPとして寄稿しました。

  拝読しました。

  akitaka 27 Jun 2020 14:40

  閉鎖的な状況の中で暴走しやすい体罰を題材にするのはとても良いと思いました。
  ただ、御自身でもオチが弱いと感じられている通り、結末も含めてプロトコルから予想した範囲内から出ていないという印象を受けます。その不足を補う手段だとは思いますが、研究員のコメントは急に表現を飾り立てている様で作為的に感じました。（とはいえ、ここを削るとさらにオチが弱くなってしまいますが）
  もし自分がこのオブジェクトから別のオチに持っていくとしたら、オブジェクトの異常性が非活性化しても人の集団意識が過激なままである面に焦点を当てそうですが、それはそれで他記事に似た前例があるので差別化が難しくなるかとも思います。

  また、補遺に関してはSCP-███とその精神作用の情報はあまり無いですが、教育イベント中の精神状態は伝染しないのか？　SCP-███を遠くに隔離する・睡眠状態にさせる・終了する等他の方法があったんじゃないのか？という合理性まわりが気になります。

  Tyobi 29 Jun 2020 19:43

  akitaka様、ご感想をありがとうございました。
  以下、提案への返答とさせていただきます。ご確認ください。

  オチが弱く想像もつく

  この点については改題を含めて大幅に改定しました。
  この状態はいわばβ版につき、引き続きご意見ご感想を必要とします。
  もともとのオチの部分に蛇足を感じていたのと、話を広げるには突飛な部分があることからこの記述は捨てて、
  元々あった性質を時系列を使って段階的に開放していくことによりオチとして使用できるようにしました。
  もともと短編にすることを強く意識した作品なので、
  文字数が増えるような物語的な深みを生み出すのを避けたという側面もあります。

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