夕暮れバス
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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: 現在、SCP-XXXX-JPは喪失したと考えられています。過去の特別収容プロトコルは以下を参照してください。

説明: SCP-XXXX-JPは、現行の京都バスと同様の塗装が施されている、日野 QSG-HL2ANAPに類似したノンステップバスです1。電光掲示板の表示はフロント側、入り口側共に「夕暮れバス」で統一されており、具体的な行き先、経由駅は表示されていません。また、後述の探査により、SCP-XXXX-JPは常に1台のみ存在していると推測されています。

SCP-XXXX-JP-1は、かつて京都府の一般府道2号███線として認定されていた府道の一部区域内に存在するバス停留所です。比較的広い空き地程度のスペースであり、バスの停留所とされる小屋とベンチのみが存在しています。2016年に財団が発見、収容するまでSCP-XXXX-JP-1が一般のバス停として使用されていた事例は確認されておらず、時刻表に掲載されている「夕暮れバス」とされるバスがこの地域を実際に運行していた記録も存在していません。なお、掲載されている時刻表の経由駅表示から、SCP-XXXX-JPが路線の終点、あるいは始点であることが確認されています。

SCP-XXXX-JP-1に張り出されている時刻表に基づき、SCP-XXXX-JPが出現します。この現象は運行イベントXXXX-JPと指定されており、収容当時からこのイベントの発生は継続しています。特筆すべき点として、運行イベント中のSCP-XXXX-JP内部に運転手及び乗客と推測される存在が確認されたことはありません。

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SCP-XXXX-JP-1出現地点付近

運行イベントが発生した際、SCP-XXXX-JPは旧一般府道2号███線内部における特定の地点から出現します。SCP-XXXX-JP-1に到着したSCP-XXXX-JPは、乗り場と降り場の扉を解放した状態で一定時間停留した後、扉を閉じて逆方向に走行し始めます。その後、出現地点とほぼ同じ場所で消失、観測不可能となります。

SCP-XXXX-JPが出現、消失する瞬間を記録する試みはいずれも失敗しています。全ての観測試験において、SCP-XXXX-JP-1側から特定地点方向を観測した場合は何の違和感もなくバスが走行しているのが確認されるにも関わらず、特定地点および特定地点以遠からSCP-XXXX-JP-1方向を観測した場合においてはSCP-XXXX-JPを一切確認することができないという結果に終わりました。

2016年7月より、Dクラス職員を用いたSCP-XXXX-JPへの乗車、及び調査作戦が行われました。以下はその記録です。

調査記録XXXX-JP-A

日時: 2016/7/28

目的: SCP-XXXX-JP消失以降の走行経路、及びSCP-XXXX-JPの到達地点調査

調査員: D-1807(無線通信機、GPS端末、一般的な単独探査作戦用装備一式、脱走防止用の遠隔起爆型小型爆弾を所持)

備考: 山中博士を中心としたチームがSCP-XXXX-JP-1付近にて待機しており、D-1807との連絡を行っています。またD-1807には当時の時点で確認されていたSCP-XXXX-JPの特性を事前に伝えてあります。

[記録開始]

D-1807がSCP-XXXX-JPに乗車。

山中博士: まずはバス内部の探査をお願いします。気になる物を見つけたら即座に報告してください。

D-1807: 了解。んー……見た感じは普通のバスだな。床とか椅子もちゃんと掃除されてて汚い印象はない。車内には俺以外に誰かいる様子はないな。壁に出てる広告は…なんだこれ。どこの企業のだ?

山中博士: できれば、その企業の名前を教えていただけますか。

D-1807: えーっと……████観光、とか、██製薬とか…聞いたこと無いのばっかりだな。2

山中博士: あとで確認しておきましょう。では、発車するまで待機してください。その他に気になるものがあれば報告してください。

[重要性に欠ける為省略]

発車を示唆する車内アナウンスが放送される。女性の声と思われ、機械音声ではない。

山中博士: D-1807、本当に車内に誰もいないか確認しましたか?

D-1807: …ああ、ちゃんと確認したはずだ。運転席まで誰もいなかったし…(D-1807が車内を移動していると思われる足音)…うん。いない。誰もいないぞ。

山中博士: そうですか…わかりました。ではそのまま、しばらく乗車していてください。位置情報はGPS端末で確認しますので、電源を切ったりしないように。

SCP-XXXX-JPが発車する。

D-1807: 了解。……なんかバスから音楽が流れはじめたぞ。先生、聞こえてるかこれ?

山中博士: 聞こえています。待機チームに確認させますね。3

D-1807: 了解。他には…特に変わったことがないぞ。早すぎるとか遅すぎるとか、あるいは動きがおかしいとか、そんな感じも全く無い。こんな山奥を走ってるってのは初めて見たけど…まあ、普段バスに乗ってた頃と大して変わらないな。普通に走ってるよ。

SCP-XXXX-JPが消失ポイントを通過。付近に配置していた職員により、SCP-XXXX-JPの消失が山中博士に報告される。

山中博士: D-1807、只今こちらから車体が観測不能になりました。そちらの状況を報告してください。

D-1807: 先生、それほんとか?

山中博士: はい?

D-1807: こっちはまだなんにも異常なことは起きてない。窓から見える風景もさっきからちゃんと地続きのように見える。普通にさっきまでの山道を走ってるぞ?その…あれだ、GPSはどうなってる?

山中博士: …今の所は地図上にちゃんとある山道を示しています。その山道にも職員を配置しているはずですが、D-1807からその職員は確認できますか?

D-1807: んー…さっきからずっと窓の外を色々確認してるけど、今んとこ誰もいないな。先生から観測できなくなった、って通信が来るまでしか人は確認できなかったぞ。

山中博士: …わかりました。ではこのまま調査を続行します。D-1807はこのまま乗車していてください。移動経路等はこちらで記録しておきます。風景はもちろん、生物や何らかの実体等々、本当に小さなことでもいいですから、気づいたことがあったら報告するように。

D-1807: 了解。

[重要性に欠ける為省略。記録開始から1時間ほど経過]

D-1807: 先生、どうもこのバスは山を下っていたらしい。町っぽいものが見えてきたぞ。

山中博士: 町ですか?今の座標はまだ大津市の山道の筈ですが…

D-1807: 町だけじゃない、海も見えてきた。大方どっかの港町、ってとこだと思う。

山中博士: GPS端末の位置情報から予測できる光景と大きく異なっています。D-1807、バスから降車してその町を調査してください。

D-1807: 了解。このボタンを押せば降ろしてくれるか…?

降車ボタンを押したと思われるチャイムが鳴り、その時点でバスが停車。降り口の扉が開いたと思われる。D-1807が降車する。

D-1807: …しっかり運賃は払わないとなんだな。いくらか持たせておいてくれて助かったよ、先生。

山中博士: それは何よりです。ではD-1807、その町がどこなのかわかるようなものを探してください。写真の撮影も忘れずにお願いします。

D-1807: 了解。

[重要性に欠ける為省略。降車後探査を開始してから2時間が経過]

D-1807: 先生、一通りこの町を見て回ったけどよ、人っ子一人いやしないぞ。それに、場所がわかりそうなものに限って、その部分が削れてたり無くなってたり剥げてたりばっかりなんだ。地名の1つもわかったもんじゃない。1つ聞くけどよ、先生から見たら俺はまだ大津の山ん中にいるのか?

山中博士: そうですね…位置情報は県道から少し外れた山の中のままです。幻覚か、あるいは別の世界と捉えるべきでしょうか。

D-1807: …幻覚であることを願いたいけど、こんなリアルな幻覚もそうありゃしねえか…一応色々写真は撮ったけど、先生の役に立つかはわからん。そもそも持って帰れないかもしれん。あのバスに帰りの便があるかどうかもわからんしな…

山中博士: D-1807、気持ちはわかりますが、落ち着いてください。同時並行であなたの場所を探知できないか試しています。

D-1807: …いや、別に焦ってるわけじゃないんだ。むしろ気持ちそのものは妙に穏やかなんだよ。

山中博士: D-1807、詳しく報告してください。精神影響の可能性もありますので。

D-1807: なんつうかな……子どもの頃、夏休みに田舎の親戚を訪ねた時みたい、っていうのが多分一番近いと思う。無駄に夕焼けが綺麗なせいかもしれんが、それだけじゃない。さっき人が一人もいなかったって言ったけどよ、それなのに…この町は、生活してるんだ。民家の近くを通ればなんかを料理してる音と匂いがするし、明日の日付になってる夏祭りのお知らせがあるし、公園っぽいところの時計はちゃんと動いてる。…人がいないのにこれってのはよく考えれば怖い話だけどよ、なんでか怖さは感じなくて…懐かしく感じるんだ。普通の人が、普通に生きて、普通に帰ってくる場所みたいな、そんな町なんだ。

山中博士: では、あなたはこの町に見覚えがあるのですか?それとも同じような町に来たことがあると?

D-1807: いや、それはない。断言できる。確かに田舎の親戚を訪ねたことはあるけど、こんな港町じゃなかった…は?

山中博士: D-1807、何かありましたか?すぐに報告をお願いします。

D-1807: …いや、町を1週しきって、さっきバスを降りたとこに戻ってきたんだけどよ。なんか向こうから走ってきてるんだよ、バスが。さっきのと同じやつだ。

山中博士: なんですって?

D-1807: さっき乗ってたバスと走ってる方向が逆だ。先生、記録を持って帰れるかもしれん。早急に判断を頼む。

待機チームの間で協議が行われ、再出現したと思われるSCP-XXXX-JPへの再乗車が認められる。

山中博士: すみません、待たせてしまいました。D-1807、到着したバスに乗車してください。

D-1807: オーケー先生。無事に帰れることを願うよ。

山中博士: こちらも待機チームを配備させておきます。その間なにか変わったことがあれば、報告を忘れずに。

D-1807: 了解。

この後、SCP-XXXX-JP-1の時刻表に記載されている時間通り(21:34)にSCP-XXXX-JPがSCP-XXXX-JP-1に到着、D-1807がSCP-XXXX-JPから降車した。

[記録終了]

付記: 帰還後、研究チームによってD-1807が撮影した写真の分析が行われました。D-1807が辿り着いたと思われる地域の地形、建物の配置、景観等の情報から作成された予測地図の内容は、2016年当時日本に存在するどの場所のものとも一致しておらず、当該地域の具体的な情報の把握には至りませんでした。当該地域はSCP-XXXX-JP-2として指定されます。なお、現時点においてSCP-XXXX-JPに乗車することでしかSCP-XXXX-JP-2へのアクセスが不可能である点を考慮し、SCP-XXXX-JP-2を直接収容する提案は却下されました。

帰還したD-1807に対して行われたインタビューにより、調査においてD-1807が降車したバス停はSCP-XXXX-JP-2に指定された町の入り口付近にあるバス停であり、SCP-XXXX-JPが走行する路線の経由駅であることが判明しました。SCP-XXXX-JP-2以遠までSCP-XXXX-JPが走行している可能性が予測されたため、さらなる調査が必要でしょう。―山中博士

調査記録XXXX-JP-B

日時: 2016/8/5

目的: SCP-XXXX-JP-2以遠の走行経路、及びSCP-XXXX-JPの到達地点調査

調査員: D-1807(無線通信機、GPS端末、一般的な単独探査作戦用装備一式、脱走防止用の遠隔起爆型小型爆弾を所持)

[記録開始]

D-1807が前回降車した地点にSCP-XXXX-JPが停車。

山中博士: では、ここからより詳細な報告をお願いします。経路はGPSで確認しますので、D-1807は外観等の観察を。

D-1807: 先生、水平線に夕日が見えてる。

山中博士: 夕日ですか?今は13時20分の筈ですが…

D-1807: おう、こっちの端末の時刻も13時20分だから何かおかしい。なんていうかな…この町の時間が前来た時から全く変わってない、動いてないように見えるって言えば伝わるか?

山中博士: 概ね把握しました。特記事項として記録しておきます。

D-1807: こっちも写真を撮っておく…ん?

山中博士: どうしましたか?

D-1807: …先生、今窓から写真を撮るために座席を移動したんだけどよ。なんつうか…さっきまで人が座ってた席に座った時の、あのちょっと暖かい感じ、あれがあるんだ。

発車を示唆する車内アナウンスが放送される。女性の声と思われ、機械音声ではない。

山中博士: 誰も乗車していないにも関わらず、ですか?

D-1807: ああ。ここまで走ってきた限りじゃ誰も乗ってこなかったし、誰も降りなかったはずだ。

SCP-XXXX-JPが発車。

山中博士: わかりました。ではD-1807、念の為すべての座席に着席してみてください。同様の現象が起きている可能性があります。

D-1807: …了解。俺の感覚だけだからあんまり信憑性は無いかもしれんが、記録をよろしく頼む。

検証の結果、D-1807が報告時に着席した最前部の座席を除くと、最後部座席の向かって右端部分でのみ同様の現象が確認できた事が報告された。

D-1807:

付記: 第二回探査の翌日からSCP-XXXX-JPの出現が確認できなくなり、その後も出現しない状態が続いたことから、2017年5月4日にSCP-XXXX-JPはNeutralizedへと再分類されました。

事案記録: D-1807がSCP-XXXX-JP-1において保護された当日の22時54分に、D-1807が第二回探査で喪失したと考えられていた無線通信機からの通信が回復しました。回復した通信において、SCP-XXXX-JPに搭載されている降車ボタンを押した際のチャイムが繰り返し流れ続けていることが確認されましたが、発信位置の特定が不可能なまま、2016年8月30日に通信が途絶しました。


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