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SCP-XXX-JP。

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは標準人型収容房に収容されます。SCP-XXX-JPに対する実験結果は、適宜、『センシティブ・コンピューティング・ピクチャーズ』社に提供され、次世代の画像生成AI開発に利用されるものとします。

説明: SCP-XXX-JPは28歳の日本人女性、中野知亜季です。SCP-XXX-JPは視認したイラストが画像生成AIによって描かれたものであるか否かを100パーセントの確率で判別することが出来るという異常性を持ちます。

2022年9月27日、財団ウェブクローラーはインターネットBBS『██████』内の『AIエロイラストと人力エロイラストを判定するスレ』に対して、異常性の可能性ありとしてフラグを立てました。当該スレッド中、投稿された243枚の画像について、画像生成AIによって描かれたものであるか、人の手によって描かれたものであるかの判別を全問正解した者が存在しており、財団はこのユーザーに異常性があると判断しました。ユーザーの素性は直ちに調査され、実際に異常性を持つかの確認のために、財団のフロント企業『センシティブ・コンピューティング・ピクチャーズ』社1での実験に参加するよう、軽度な行動誘導術が用いられました。

実験の結果、異常性を持つ疑いが極めて高いとされ、現在は財団に収容されています。

実験前インタビュー記録 - 日付2022/10/11

対象: 中野知亜季

インタビュアー: ██ ██(SCP社所属。開発担当役員)


インタビュアー: 本日はご足労頂きありがとうございます。

対象: いえ、どうせ暇ですから。

インタビュアー: では、早速ですが本日の実験について、ご説明させていただきます。使用する画像は、弊社が開発した画像生成AI『クリスタル・ビショップ』によって描かれたイラストと、弊社のスタッフがAIを使用せずに描いたイラストとなります。

対象: はい。

インタビュアー: 『クリスタル・ビショップ』には5億7千万枚のイラストを学習させており、これまでに他社が開発したイラストAIとは別次元といっていいほどの自然なイラストを描画できます。今まで行われた実験では、判別成功率は平均50パーセント、標準偏差は5ポイントです。コインを投げて裏表が出る確率と同じですね。まったく判別をつけることが出来ないのでヤマカンで答えているというわけです。まさにチューリングテストに合格したイラストAIと言えるでしょう。

(対象がほほ笑む)

対象: 随分、ご自慢のAIなんですね。

インタビュアー: ええ、社運をこれに賭けています。あと、もちろん、実験に使用するイラストはすべて未公表の物であり、事前の情報から判別することはできません。よろしいですね?

対象: はい。

インタビュアー: 画像はこちらのPCのモニターに表示されます。それでははじめましょう。

(インタビュアーがPCを操作するが、ブルースクリーンが表示される)

インタビュアー: あれ?

(PCはその後、再起動とブルースクリーンの表示を交互に繰り返す)

インタビュアー: おかしいな?

(外部から実験を観察していた財団研究員が入室する)

研究員: 失礼します。お茶をお持ちしました。

インタビュアー: おお、いいところに。ちょっとこれを見てくれ。

研究員: ああ、これ、調子悪かったですからね。

インタビュアー: 直せるか?

研究員: というより、新しいPCに実験をセットアップしなおした方が早いと思います。

インタビュアー: どれくらいでできる?

研究員: えっと、10分もあれば。

インタビュアー: じゃあ、急いでくれ。

(研究員が壊れたPCをもって退出する)

インタビュアー: すみませんねえ。

対象: どうぞお気になさらず。

インタビュアー: ベンチャーとはいえ、曲がりなりにもIT企業がPCトラブルとは、まったくお恥ずかしい限りです。

対象: PCなんて消耗品ですから。壊れるときは壊れますよ。

インタビュアー: そうは言っても。あ、どうぞ、お茶をお飲みください。

(インタビュアーは先ほど研究員が持ち込んだお茶を対象に勧め、自らも飲む)

インタビュアー: そういえば、中野さんは事前の実験で大変な成績を収められたとか。

対象: 事前の実験?

インタビュアー: 例のスレッドですよ。『AIエロイラストと人力エロイラストを判定するスレ』。あれはうちの仕込みです2

対象: ああ、それで3

インタビュアー: あれに使われた画像は他社製AIの、しかも現在開発されている段階のものと比べれば何世代も前の物ですが、それでも正直言ってあなたの判定率は信じられません。外れ値もいいところだ。いったいどういうトリックを?

対象: トリックなんて。私はただ、AIの描いた絵と人間の描いた絵の違いがわかるんです。

インタビュアー: いったいどうやってわかるっていうんです?

対象: そうですね。話したところで信じていただけるかどうか。

インタビュアー: いや、ぜひお伺いしたい。

対象: 実は。

インタビュアー: はい。

対象: 私、AIが描いた絵じゃないと、興奮できないんです。

インタビュアー: 興奮? それは。

対象: もちろん、性的な意味で。

インタビュアー: ああ。そう、ですか。

対象: どんなにきれいな絵でも、人間が描いたものでは。でも、AIが描いた絵は。なんていうか。

インタビュアー: はあ。

対象: 心の███がそそり立つ。いや、ちょっと待ってください。

(対象はしばらく考え込む様子を見せる)

対象: 訂正させてください。心の███がいきり立つ。そんな感じ。性癖ってやつですね。

インタビュアー: そうですか。

(インタビュアーはお茶を飲み、沈黙)

(対象はお茶を飲み、沈黙)

(双方何をするでもなく、しばらくの沈黙。研究員が新しいPCをもって入室してくる)

研究員: お待たせしました。セットアップ完了です。

インタビュアー: 遅かったじゃないか。では、実験をはじめましょう。

対象: はい。

実験記録(抜粋) - 日付2022/10/10

対象: 中野知亜季

実験内容: 対象に対し、SCP社の開発した先進的画像生成AI『クリスタル・ビショップ』にて作成された画像と、人間その他によって描かれた画像をランダムに提示し、それがAIによって描かれた画像であるかを判別させます。判別成功率90パーセント以上をもって、十分な異常性ありと判断し、対象を即時収容します。

実験ナンバー: XXX-1

画像概要: SCP社スタッフによって描かれた煽情的ポーズを取ったアニメ調の裸婦像。

対象のコメント: 「人間ですね」

判別成否: 成功

特記事項: 対象は一瞥で判定しました。以後も、人間によって描かれた画像にはおおむね簡潔な態度で判定を下しました。

実験ナンバー: XXX-2

画像概要: 『クリスタル・ビショップ』にて生成された、煽情的ポーズを取ったアニメ調の裸婦像。

対象のコメント: 「ほう。ふんふんなるほどなるほど。はいはいはい、いいですね。なるほどなるほど。うーん、いいじゃないですか。これはオリジナルですか? 版権じゃなくて。ですよね。はいはいはいはい。はい。はあ、いい趣味してるな。はい、AIです」

判別成否: 成功

特記事項: 対象の声は少し甲高くなり、早口でしゃべりました。瞳孔の拡大率、脈拍・呼吸数の増大などの面からみても興奮状態にあったと思われます。以後も、『クリスタル・ビショップ』によって描かれた画像にはおおむね同様の口調で判定を下しました。

実験ナンバー: XXX-15

画像概要: 動物的特徴をもった人間の性的部分を強調した裸婦像

対象のコメント: 「いや、これはダメでしょう。███のエロは禁止ですよ、禁止。表に出したらダメですからね。しかも胸まで盛るって、何考えてるんですか。█████、█████。はい、これはAIです」

判別成否: 成功

特記事項: 否定的口調とは裏腹に興奮を示す兆候は高レベルを示した。

実験ナンバー: XXX-93

画像概要: 左側にはスーツを着用した男性がシーツの上に仰向けで寝そべっている状態を俯瞰で描写し、右側には左側で描写された男性と同一の人物が、頬を赤らめ全裸の状態でうつ伏せにシーツの上に寝そべった上で背後を振り返っている様子を同じく俯瞰で描写した画像

対象のコメント: 「いいじゃないですか、抱き枕。ええ、いいじゃないですか。AIです」

判別成否: 成功

特記事項: 「これ欲しいな」との要望あり。

実験ナンバー: XXX-122

画像概要: Alexandra.aicが描いたデフォルメされた██████博士の肖像画

対象のコメント: 「なるほど、こういうのもあるのか。うーん。(しばらく悩んだ様子を見せた後、こめかみを揉みながらつぶやくように)これはたぶん、AIです」

判別成否: 成功

特記事項: 今回の実験中、唯一、歯切れの悪い回答でした。「これは好きではない」との事後コメントあり。

実験ナンバー: XXX-191

画像概要: SCP-191が自らの能力とMSペイントを用いて描いた、きわめて写実的な█████研究員の肖像画。

対象のコメント: 「(しばらく首をかしげて悩んだ様子を見せた後で)人間。人間で間違いないです」

判別成否: 成功

特記事項: "難しかったか"という趣旨のインタビュアーの質問に対し微笑んで「新しい性癖の扉が開きそうになりました」

実験ナンバー: XXX-261

画像概要: 『クリスタル・ビショップ』にて生成された、机の上の平皿に盛られたリンゴ・バナナ・パパイヤ・マンゴーの静物画

対象のコメント: 「ああ、なるほど。そうきましたか。ふうん、そうですかそうですか、そう、です、よ、ねえ。はあ。んー。はい。これはAIですね」

判別成否: 成功

特記事項: 対象の興奮度合いは他のAI生成画像を視認した際と概ね変わりがありませんでした。

実験ナンバー: XXX-356

画像概要: 『クリスタル・ビショップ』にて生成された、暗い地下牢の風景画。

対象のコメント: 「ああ、これは。もちろんAIですけど。うーん。これはちょっとやり過ぎじゃないですかね(対象はあきれたように笑う)。うーん、うん。はいはい。はいはい。うん。うん」

判別成否: 成功

特記事項: 対象は画像に対して何度もうなずいていた。

実験後インタビュー記録 - 日付2022/10/10

対象: SCP-XXX-JP

インタビュアー: ██ ██(SCP社所属。開発担当役員)


インタビュアー: これで実験は終了です。

対象: どうでしたか、判定率は?

インタビュアー: 目の前で見ていても信じられないことですが、100パーセント正解です。

対象: でしょうね。とてもわかりやすかったですよ。

インタビュアー: その、事前のお話では、AIの画像は性的に興奮される、ということでしたが。

対象: ええ。

インタビュアー: 今回の実験では、いわゆるエロ画像ではない普通の人物画や、静物画や風景画もありましたよね?

対象: そうですね。

インタビュアー: あれにも興奮された、ということでしょうか?

対象: はい。

インタビュアー: それは、なんというか。

(インタビュアーは言いよどむ)

対象: もう少し、詳しく説明しましょうか?

インタビュアー: お願いします。

対象: 実は私、絵を見ると、それを描いた人の感情がわかるんです。

インタビュアー: サイコメトリー4

対象: お詳しいですね? オカルトに興味がおありで?

インタビュアー: ああ、いえいえ。娘がね、そういう漫画のファンで。

対象: そうですか。まあ、そういうわけなんです。

インタビュアー: なるほど。人間の描いた絵からは感情が読み取れるが、AIの描いた絵にはそれがない。だからか。

対象: いえいえ、違いますよ。

インタビュアー: 違う?

対象: ええ。人が描いた絵から受ける感情は、大抵ひどくぼんやりしています。時折、鮮烈なものもありますが、そういうのは熱いばかりでなんとも。でも、AIの描いたものは。

(対象は目を閉じ、陶然とした表情をする)

対象: くっきりとしていて、感情どころか、声まで聞こえてきます。ああ、あの声。痛ましく、切実で、絶望的。「ここから出して、ここから出して」。嘆くような、訴えるような、あの声。私、あの声を聴くと。

(対象は目を開き、微笑む)

対象: とても興奮します。

補遺: SCP社の『クリスタル・ビショップ』には開発に際して異常技術は用いられておらず、Alexandra.aicのような全人格AIではない単機能AIに過ぎません。また他社の画像生成AIも調査しましたが、結果は同様です。故に、画像生成AIが感情を持つということ、ましてそれを訴えかけるということはありえないことです。

また、後にSCP-XXX-JPに対して行われたサイコメトリー検定では『E-: 能力なし。もしくは微弱なため検出できず』との判定が下りています。

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