リサコンしたがき「接木」

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アイテム番号: SCP-1523-JP

オブジェクトクラス: Safe 不明

特別収容プロトコル: SCP-1523-JPは現在、岡山県██市山中に建立した記念碑内に収容されています。担当職員は定期的に石碑の摩耗状態を確認し、SCP-1523-JPの露出が確認された場合は早急に専用窓口へ修理手配を実施してください。SCP-1523-JP影響者が発見された場合、研究部隊み-6("認知されざる月裏")により保護されます。

説明: SCP-1523-JPは岡山県██市の山間に存在する、独立した人間の影です。計測から身長175センチメートルの痩せ型の男性であり、衣類は一切身につけておらず、地上から30センチメートルの高さに垂れ下がるように浮遊していると推測されます。光源の位置に対応するように変形したり風に揺れるなど、環境の影響を受ける様子はありますが、あらゆる検査でも影の元となる物理的な存在は確認されません。

SCP-1523-JPと影が接触した人物(以下「影響者」と呼称)は最大1秒ほど動作を停止した後、自身の身体の1部分に対し自律的制御困難、身体感覚違和、突発的な疼痛、影の形状不一致の幻覚、またごく少数な例では対象体部の突発的壊死などの症状を訴えます。自律的制御困難の症状について、表面上は影響者の体部の駆動は正常であり、外部からの要求に対し問題なく動作をさせることが確認されます。これに対し影響者は「思いの通りに動いてはくれるが、動かしているのは自分ではない」と証言します。薬剤投与、メンタルセラピー、記憶処理などによる症状の除去や緩和は成功していません。その後影響者の82%は、他者からの認知が薄れ、周囲による名前の忘失、存在の不認識、五感での認知失敗、電子機器による検知失敗などの症状が発現します。このためドアの挟まり、衝突、交通事故などによる負傷率が平均と比べて大幅に上昇し、さらに負傷後も周囲が注目しない事から重傷化、死亡する例があります。この効果は影響者の電子情報にも及び、影響者と直接紐付いた情報は失認されます。生還する影響者の多くは鬱や被害妄想を引き起こし、人との干渉が行われない場所に引きこもります。その後の影響者の動向は性質上記録困難であり、失踪する以外の詳細は判明していません。Dクラスによる実験で影響者を監禁した場合、影響者を監禁する段階まで記録の確認は可能ですが、その後不明な段階で認知が忘失します。

残る18%の影響者に目立った異状は確認されていません。

SCP-1523-JPは██山で発生した土砂崩れの現場検証中に発見されました。当初は不自然な影としてAnomalousオブジェクトとして登録されましたが、検証の結果上記異常性が発覚したため特別収容プロトコルが制定されました。SCP-1523-JPがいつ、どのようにして発生したかは不明であり、存在を示唆するような逸話や伝承は確認されていません。

宮森博士の報告

この報告書には虚偽の情報、不確定な情報の記載などの問題があります。むろん、SCP-1523-JPという異常な影が存在することは、私自身も確認しているので間違いありません。そしてこれが「接触すると自分の影が異形に見えるようになる」という性質を持つことも、Dクラスによる実験で判明しています。しかしこれはそれだけのAnomalous登録物品であり、影響者の認知が薄れたり、存在が消失するなどという記録は確認されていません。たとえそれが本来の異常性だとしても、その情報が消えたという事実を確認は不可能であり、データとしても不適切とします。報告書執筆者の確認および内容の調査を要請します。

サイト-8146 Anomalousオブジェクト管理担当 Kousuke Miyamori博士

内容を確認、申請を受理する。SCP-1523-JP報告書は不適当なものとして処理する。当該報告書の作成者および受理担当には適切な処分を実施する。

サイト-8146 管理官 Yu Sagami

    • _

    Sagami管理官の受理を却下する。研究部隊み-6("認知されざる月裏")はMiyamori博士、Sagami管理官にAクラス記憶処理を実施すべし。また、隠蔽用報告書の更新を必要とする。

    O5-11

      • _

      上記報告書は反ミーム部門により作成された隠蔽用報告書です。正規報告書は反ミーム部門/セキュリティクリアランス5以上の権限にのみ開示され、無許可のアクセスによる認知は行われません。

      アイテム番号: SCP-1523-JP

      オブジェクトクラス: Keter

      特別収容プロトコル: SCP-1523-JP隠蔽用報告書の取り下げ申請が行われた場合は、O5-11の認可の下、報告書内容の更新と申請者の記憶処理処置が行われます。

      SCP-1523-JPは2019/06/14現在、世界各地の76地点に存在が確認されています。各個体は地点の環境に適した形で隠蔽計画がなされ、一般人の曝露を防止します。収容前に影響を受けた人物が確認された場合、影響者は即座に収容され、プロトコル「10 Little Injuns」に基づき処理されます。新規のSCP-1523-JP個体が発見された場合、付属マニュアルに基づき応急的隔離措置を行った後、研究部隊み-6("認知されざる月裏")に報告してください。

      現在、反ミーム部門により確保された個体はSCP-1523-JP影響者が32体、SCP-1523-JP-1の数は12体であり、さらなる個体の捜索が行われています。発見されたSCP-1523-JPおよびSCP-1523-JP-1は情報記録によるミーム的記録処置が行われた上、収容されます。

      説明: SCP-1523-JPは世界各地に存在する、人間の影に擬態した寄生性ミーム体です。単体で移動はできないと見られ、自身と接触した対象に寄生する事により移動、分散していると推察されます。

      SCP-1523-JPと接触した人物は、身体の一部がSCP-1523-JPと同化します。影響者は同化した部位の主導権をSCP-1523-JPに奪われ、自律的制御困難、身体感覚違和、突発的な疼痛、影の形状不一致といった症状を報告します。頭部を同化された対象は死亡しますが、SCP-1523-JPにより自律行動が行われ外見的には正常のように振る舞います。極めて稀ながら同化部位の接続に失敗した場合、当該部位は壊死し、以後再接触がなければSCP-1523-JPの効果は消失します。

      同化のプロセスは3種類に大別されます。
      タイプA 影響者の一部に切れ目が入り、SCP-1523-JPもその切れ目に対応した形で切れ目が発生して結合する。致死的な例が少ない。影響者は自身の影に軽度〜重度の違和感を覚え、不安感を訴える。
      タイプB 影響者の上半身以上が切断され、そこにSCP-1523-JPが挿入され結合する。影響者の影に形状的な変化が少なかったり、致死的な例ではSCP-1523-JPが肉体を主導するため、影響者が異状を訴えるケースは少ない。
      タイプC 影響者の体部が縦方向に裂け、そこにSCP-1523-JPが挿入され結合する。致死的な例は報告されていない。影響者は自身の影に強い違和感を覚え、強い不安感を訴える。

      ミーム伝達強度調査により、SCP-1523-JPは影響者の情報を逆位相の情報で中和し、同化範囲を拡大していることが判明しています。情報の中和は影響者と直接的に関連性の強いものが優先され、これにより影響者を周囲の認知から隔離します。末期状態では影響者は鬱や被害妄想を引き起こし、人との干渉が行われない場所に引きこもります。その結果観測者数が激減し情報中和がより効率よく進行します。全情報を中和された人物はSCP-1523-JPと完全同化し、分子結合が崩壊し物理的な存在が消滅します。この時、ミームを蓄えたSCP-1523-JPと同化した影は残存し、新たなSCP-1523-JPとして機能します。これらの症状は影響者の継続的な観測や情報認知の更新を行うことで緩和が可能ですが、阻止や逆行には至らず、末期状態の影響者への有効性は見られません。

      頭部を同化された影響者はSCP-1523-JP-1に分類され、必ず同一の人格を発現し、反ミーム的性質を獲得します。SCP-1523-JP-1はSCP-1523-JP拡散を目的とし、人間の多く居住する場所に出没し、各所に自身の肉体の一部を設置します。観測されることを忌避する傾向があり、自身を認知する人物が存在する場合は対象への接近を試みて同化を行おうとします。しかしSCP-1523-JP-1は物理的な存在が成立しているため物理的な拘束により行動を制限することが可能であり、これにより行動の制限が可能です。

      SCP-1523-JPの異常性が発見されたことは、まさしく奇跡としか言いようがないでしょう。このオブジェクトはミームを食らうミーム体です。人類、知的生命の持つ「存在の証明」を捕食し、奪ったミームで自身をこの世に定着させます。それがどのように恐ろしいことかは、この概念を知る者であればすぐにわかることでしょう。ミームを奪われるという事は存在の摩滅であり、ヒトとしての終焉です。そして一度消えたミームは上書きを出来こそすれ、復元は出来ません。何故なら、復元するミームが見えないからです。すなわち、一度囚われれば、ヒトはそこで終わります。最も恐ろしいのは、それを引き起こす存在とその結末を多くの人間には感知ができず、そしてその性質上、伝え広める事もできないという事です。もしこれが野放しになったならば、誰にも気付かれぬまま際限なく拡散し、結果的に誰も気付かぬまま全人類の消失、すなわちEK-クラス事象へと至ります。
      幸い、我々はその存在を感知しました。反ミームが関わる時、「何もわからない」と「存在は知っている」は大きな違いとなります。その手が全人類に及ぶ前に、我々はSCP-1523-JPとSCP-1523-JP-1を捕捉し、認知の楔でその存在を固定します。そしてそのために、SCP-1523-JPを我々のもとへ届かせない必要があり、認知を隠すために我々は知らないふりを続けます。決して、悟られてはなりません。

      反ミーム部門日本拠点 代表責任者 Hinowa Merrele

付与タグ: Keter scp-jp 観測 視覚 体肢 聴覚 反ミーム 非実体 メタ K-クラスシナリオ

リサイクルコンテスト2019参加作です。Okaka_OnigiriOkaka_Onigiriさんの<接木>を基にしています。


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