追い風が「走れ」と言うのなら

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クレジット

タイトル: SCP-2318-JP - 追い風が「走れ」と言うのなら
著者: ©︎AMADAI
作成年: 2021

アイテム番号: SCP-2318-JP

オブジェクトクラス: Kušum¹

特別収容プロトコル: その有用性から、現在SCP-XXX-JP-1暴露者に対する記憶処理は実行されていません。

説明: SCP-XXX-JPは棺桶(SCP-XXX-JP-1)が生成される現象です。確認されたすべての事例において、生成には以下の共通点が存在しています。

陸上、海上問わず室内であること
上記の空間に1名の人(以下対象)が存在する
- 対象の親しい人物が直近6ヶ月以内に死亡している
- 対象はSCP-XXX-JPを経験したことがない

SCP-XXX-JP-1は出現後、不明な方法で発声を行い、対象とのコミュニケーションを試みます。これに対し対象は「親しい人物が、中から自分に語りかけてきている」と認識します。特筆すべき点として、検査では内部にいかなる実体も確認することができませんでした。SCP-XXX-JP-1は対象との会話が終了した時点で完全に消失します。

映像記録XXX-JP

以下の映像はSCPS”おなはま”にて回収されました。映像の前半部分は灘氏による遺書の読み上げであり、当報告書では重要度が低いと判断された箇所は全て省略されています。全ての記録を閲覧したい場合、サイト管理者へ申請を行ってください。

誰かさん: なあ、聞こえるか？

インタビュアー: ……柳？

誰かさん: うん、ちょっと話したいことがあってさ、来た。

インタビュアー: 来たって……ああ、やっぱりそうだったか。

誰かさん: 薄々気付いていたかもしれないけど、ごめん、もうこの世には居ない。

インタビュアー: だよな、うん、だからさ、いやそれ以外も色々あるけど、そっちに行くとこだった。

誰かさん: 話したいこと、それについてなんだ。お前を置いていった俺が言えたことじゃないけどさ、今ここでお前が居なくなったら誰かは悲しむんだよ。苦しむんだよ。ああ、またかって。その道を、その選択を否定はしない。お前が選んだことだ。

誰かさん: ただ、今か後かって話で、いつかはどうせ死ぬ。だったら誰かを助けて、お前にできることをやりきって、それからでもいいんじゃないか。

(2分間無音)

誰かさん: ……面倒な言い方をしないなら、まだお前に生きていてほしい。それだけだ。

インタビュアー: ああクソ……死んでまで説教かよ、本当にお前らしい……うん、わかった、わかった。

誰かさん: ごめんな、ありきたりな言葉でしか繋ぎ止めてやれなくて。なんだ、まあそんな急ぐなよ。俺らはいつまでも待ってるから。側にいるからさ、一人じゃないことは覚えててほしい。

インタビュアー: そんなこと言うな、ありきたりで充分だよ。お前の口から聞けたなら、それだけで。

SCP-XXX-JP-1と会話を行った人物は保持していた自死願望のすべてを忘却します。またそれを示すデータとして、2020年6月15日²以降、社会全体で自殺率の大幅な減少が確認されています。SCP-XXX-JPはCD-クラス"ブルーシフト”の影響で減少した人口の維持に効果的であると判断され、現在の収容プロトコルが制定されました。

二重の故郷+活人入棺

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