当たり前な日々なんてもう手に入らない

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クレジット

タイトル: SCP-XXX-JP - 当たり前パステルカラーな日々なんてもう手に入らない
著者: ©︎AMADAI
作成年: 20XX

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル:

説明:

補遺:

こんにちは、一さん。急にごめんなさいね？ここは

あの、ごめんなさい。名前、ナナって、そう呼んでください。そっちの方が良いって言うか……その。

わかりました。ではナナさん、いくつか聞きたいことがあって、ゆっくりでいいから教えてもらえると嬉しいのだけれど。

あの……それはやっぱり、ば、ばれちゃいましたか、私が、私がその……死んでないからって、そういう話ですか。

そうですね。もし言いづらかったら無理に、とは言わないけれど、いつそれに気づいたのか、とかそういう話をしてもらえないかな。

その……あれは、あれは3か月前ぐらいで、もう、もう全部嫌になっちゃって、もう無理だって、そう、そう気づいて、衝動的に……衝動的なのかな、部屋のドアノブで、首を吊ったんです。そしたら、なんて言えばいいのかな、頭の中がふわふわして、ああ死ぬんだって、でも気づいたらベッドの上だった。

起きたその時、頭の中はすっきりしていたの。さっきまで悩んでいたことが嘘みたいにどうでもよくて、さっきまでのは全部、夢だったんだって。でも、でもそうじゃなかった。ドアには、ドアのところには私がいた。私が、首を吊って死んでた。

でも私達がナナさんの家に行ったとき、そんな死体は無かった。

捕まる、捕まりますか、私？誰かを殺したわけでもないし、あれは……私、生きている私はここに居るし……じゃあどうすれば良かったんですか。

いいえ、特に捕まるとか、そういう事は無いから大丈夫。ただ、どこに今あるのか、把握しておきたいの。

……友達に渡して、後はわからないです。

友達？

と、友達。ネットの。ご、ごめんなさい。

謝らなくて大丈夫よ。それで……その友達に、今まで渡してたの？

な、仲良くしてもらってて、で、でこの、この死体どうしようって連絡して、そしたら引き取りに行くから、うまく隠すからって、任せてって。家の中に自分が、自分がもう一人居るなんて耐えられなかったから。お願いした。

当たり前な、当たり前って言われてる生活、一回で良いからしてみたかった。多分私の考え方はずっと変えられないし、ずっと付きまとってくる。だから、だから全部リセットしたかった。私じゃない私になりたかった。

こうやって先生に話してる間も、先生が私のことを嫌ってるんじゃないか、鬱陶しいって思ってるんじゃないかってずっと不安なの。こうやってまた口に出すと、先生に気を遣わせちゃう。ずっとこんなことをぐるぐる考えてる。全部私が悪いのはわかってる。わかってるけど、でもどこかで「悪いのは貴方じゃないよ」って言ってもらえることを期待している私がいる。

死にたいって簡単に言うけど、世の中には私以上に苦しんでるし、私以上に苦労してる人がいっぱいいる。それなのにこの程度で泣いて、馬鹿みたいですよね。ああ、「大丈夫だよ」って、根拠のない一言で良くて、誰かに私を見てほしかった。私を心配してほしかった。

先生は？ねえ、なんで先生じゃないの？

いや、いや

また、また、また嫌われちゃった。嫌だ。嫌だよ先生。だって、だってようやく、ねえ

あたしに真剣に向き合ってくれたのは先生だけだったのに

落ち着いてください、SCP-XXX-JP。

先生はあたしのこと、ちゃんと名前で呼んでくれたのに

[SCP-XXX-JPによる現実改変。部屋の照明が一瞬暗転した後、カメラには天井から発生したロープで首を吊った状態のSCP-XXX-JPが映し出される]

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