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エリア-1971の周辺外観。一年の多くの時期でブリザードが発生しており、外界からの侵入を阻んでいる。
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Keter Apollyon Explained
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは現在収容されていませんが、収容の試みが続けられています。SCP-XXXX-JPの収容は形而上的に不可能であり、かつ無意味です。
2071年までに約80%の確率でSCP-XXXX-JPが発生させると予想される一連の破局的イベントを回避するため、現在研究が進められています。1991年までに事象に対する有効な回避策が発見されない場合、SCP-XXXX-JPは暫定的にApollyonに再分類され、生態系および文明再建計画 "ノア・プロジェクト" に向けた準備手続が開始されます。SCP-XXXX-JPは暫定的にExplainedに再分類され、文明再建計画 "プロメテウス・プロジェクト" に向けた準備手続が開始されます。
SCP-XXXX-JPの研究のため、SCP-XXXX-JP-1(南緯██度██分██秒、西経███度██分██秒)付近に複合研究施設エリア-1971が建設され、MTF Stigma-2 "Icarus" が配置されています。
エリア-1971に配置された保安職員は、エリア内部への侵入を試みる勢力に対する武器の使用または身体的拘束を行うことが許可されています。この場合、保安職員は拘束した人物に対してクラスA記憶処理を施した後、エリア-1971管理者によって指定された場所まで送致し、その後ただちに解放します。エリア-1971管理者は周辺の気象通報および各国との関係性を考慮し、送致に適当だと思われる場所を保安職員に指定してください。
倫理委員会の指示により、エリア-1971周辺で頻発する気象擾乱1を考慮して、送致が困難であると考えられる状況に限り、拘束した民間人を最大1年間までエリア内部に拘留させることが許可されています。拘留期間中の被拘留者に対する取り扱いについては、エリア-1971管理者の個別の指示に従ってください。
SCP-XXXX-JP研究における情報保全のため、MTF Stigma-3 "Aether" が公開情報工作(OSINT)および信号情報工作(SIGINT)を行います。Stigma-3はSCP-XXXX-JPについて記述していると考えられるすべての情報に対して、記録の抹消または妨害若しくは信頼性低下工作を行います。
説明: 2021年のO5評議会決議まで、SCP-XXXX-JPは現在のSCP-XXXX-JP-3によって定義されていました。現在のところSCP-XXXX-JPは生物史における大量絶滅イベントを目的論的に説明する概念的存在論として定義されています。SCP-XXXX-JPに関連する破局的イベントは2071年までに80%の確率で発生すると考えられていますが、現在の技術ではイベントが発生する時期についての正確な予測は不可能です。
歴史:
SCP-XXXX-JP-1略歴

カタバ風の力学的構造図。冷やされて密度の高くなった空気が、気圧傾度力2と重力に誘引されてカタバ風を起こす。
SCP-XXXX-JP-1は、1970年に運用開始され1985年まで財団が所有していた極軌道気象観測衛星 "Tellus-6" の観測によって初めて特定されました。
1971年、Tellus-6から得られた極域の気象観測画像の分析によって、現在SCP-XXXX-JP-1に指定されている南極大陸内陸域において、沿岸域からの極端な強風および地吹雪、濃霧、昇温、降水を伴う、極めて頻繁な気象擾乱が発生していることが確認されました。1970年までの極域観測ではこの擾乱は発見できませんでした。
既知の気象学的知見では、南極大陸内陸域で擾乱が発生することはまれであるとされています。南極大陸内陸域では沿岸域に向かっていわゆるカタバ風3が発生していると考えられており、このため沿岸域で発生した擾乱が内陸域に侵入することは考えにくいためです。
ロスビー波の伝播によるリッジ形成の一例。ジェット気流の蛇行が発達し(a,b)、冷たい空気を切り離す (c)。橙: 暖かい空気。桃:ジェット気流。青: 冷たい空気。
この数少ない例外が、亜熱帯域の偏西風帯を波源として励起されたロスビー波4の伝播に起因する擾乱です。ロスビー波の伝播は南極大陸内陸域上空にブロッキングリッジ5を形成し、これによって南極大陸内陸域に暖湿大気が流入することでしばしば擾乱が生じます。しかしながら事後分析の結果、SCP-XXXX-JP-1で発生した擾乱はロスビー波に起因するものではないと考えられました。
これらの結論から、SCP-XXXX-JP-1で発生している擾乱が未知の存在に起因しているとする仮説が提起されました。1972年にO5評議会はSCP-XXXX-JP-1で発生している擾乱の発生原因をSCP-XXXX-JPに指定し、翌1973年にはさらなる調査のためにSCP-XXXX-JP-1における高層気象観測を目的としたPTF6 Lambda-15 "Frostbite" を編成して派遣しました。
1973年、Lambda-15は帰還しました。ラジオゾンデ観測に基づく高層気象データの分析から、SCP-XXXX-JP-1における中小規模擾乱は1971年にSCP-XXXX-JP-1で開始した間欠泉イベントによる大量の潜熱および水蒸気放出に起因する現象であると結論付けられました。
間欠泉からの大量の潜熱および水蒸気の放出は、大気境界層7に潜熱を放出し、同時に雲および降水を発生させました。この雲および降水は放射冷却を弱化させ、接地逆転層8の逆転強度を低下させました。これらの複合的な原因に起因する昇温現象の結果、沿岸部の冷たい空気が内陸域の暖かい空気に流れ込む形で気象擾乱が引き起こされたものと考えられます。
この結果を受けて1974年、SCP-XXXX-JP-1において発生している間欠泉イベントの根本的な原因を調査するため、エリア-1971が建設されました。
SCP-XXXX-JP-2略歴

SCP-XXXX-JP-2が発見された土壌。
1974年、SCP-XXXX-JP-1付近の土壌から、未知のレトロウイルス9SCP-XXXX-JP-2が発見されました。SCP-XXXX-JP-2は超高温環境下でも生存可能です。この不可解な高温耐性は、SCP-XXXX-JP-2の持つ特異な性質に由来すると考えられています。
SCP-XXXX-JP-2は細胞外環境において、周囲の硫化鉄成分を利用して自身の周囲に非常に強固な外膜を形成することが可能です。この外膜は周囲の環境の変化(主に硫化鉄成分の減少)に伴って次第に効果を低減させ、周囲に外膜を形成するだけの硫化鉄成分が存在しない場合には、ウイルスは長期間生存できません。

RNAウイルスゲノムの宿主ゲノムへの組み込み過程。
発見されたSCP-XXXX-JP-2のゲノム損壊の程度が極端に低いことから、SCP-XXXX-JP-2はいわゆる「生きた化石」であると考えられています。
In vivoにおいて、SCP-XXXX-JP-2は自らのRNAに存在するLTR型レトロトランスポゾン10SCP-XXXX-JP-2-Aを宿主細胞のゲノムに組み込むことを示しました。またゲノム解析の結果、ヒトゲノムにはSCP-XXXX-JP-2-A様のLTR型レトロトランスポゾンSCP-XXXX-JP-2-Bが内在性ウイルス配列11として存在していることが判明しました。ヒトゲノムにおいてはSCP-XXXX-JP-2-Bはいわゆる「ジャンクDNA」として転位活性が抑制されているものと考えられていますが、この発見は系統進化の過程においてSCP-XXXX-JP-2由来の内在性ウイルス配列がヒトゲノムに組み込まれたことを示しています。
ヒトを除く多くの有顎脊椎動物のゲノムにも同様の内在性ウイルス配列が発見されたことから、この組み込みは少なくとも約4億3900万年前より前に発生した有顎脊椎動物の種分化イベントに伴って発生したものと考えられています。
SCP-XXXX-JP-2-Aは活性化されると宿主ゲノムの遺伝子への転位を可能にします。活性化されたSCP-XXXX-JP-2-Aを介したRAG1L/RAG2Lの変異誘発は、有顎脊椎動物が有するRAG1/RAG2への進化的適応に強く関与していると見做されています。

VDJ再構成の概説図。
従来の仮説では、RAGはキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)などで発見されているTransibトランスポゾンを由来とし、ナメクジウオ(Branchiostoma belcheri)などで発見されているProtoRAG(RAGトランスポザーゼ)を経て、有顎脊椎動物の種分化イベントに伴いRAG(RAGリコンビナーゼ)に進化したと考えられてきました。
ProtoRAGからRAGへの進化は、有顎脊椎動物の適応免疫系の進化において極めて重要な出来事であると考えられています。これはRAGはProtoRAGほどの転位活性が存在せず、代わりにNHEJ(非相同末端結合)を利用したVDJ遺伝子再構成に必須の遺伝子であるためです。このプロセスによってリンパ球(T細胞およびB細胞)は、危険な転位イベントを排除して安全に抗原受容体(T細胞受容体/TCRおよび免疫グロブリン/Ig)のレパートリーを構築することができ、適応免疫系を可能にしています。
SCP-XXXX-JP-2-Aの発見は、RAGトランスポゾンの分子家畜化における系統進化パラダイムに新たな視点を与えるものと考えられています。SCP-XXXX-JP-2-Aの組み込みプロセスは、RAGの系統進化プロセスに深く寄与している可能性があります。過去の種分化にきわめて大きな影響を与えたと考えられているにもかかわらず、SCP-XXXX-JP-2-Aの進化的起源は不明です。
科学者は真理を追究する生き物だ、だからこそこの現実は受け入れ難い。生物史上最も深遠で根本的な進化を引き起こした有顎脊椎動物の種分化イベントは、自然淘汰でも、突然変異とそれに伴う遺伝的浮動でもなく、SCP-XXXX-JP-2-Aの水平伝播によって引き起こされたというのか? これは現在の進化生物学の常識から言ってまったくバカげた仮説のように思える。
- Dr. M.Kimura
SCP-XXXX-JP-3略歴

4億2000万年前のゴンドワナ大陸図。当時の地球には北半球にローラシア、南半球にゴンドワナという二つの超大陸が存在していた。
プレートテクトニクス理論によれば、SCP-XXXX-JP-2が存在していたと思われるオルドビス紀後期の地球においては、現在南極大陸と呼ばれる大陸はゴンドワナ大陸の一部として存在していました。当時のゴンドワナ大陸は南極域に存在していたため、現在SCP-XXXX-JP-1として知られる場所もまたゴンドワナ大陸の氷床部に位置していたと推測されています。
現在まで、SCP-XXXX-JP-2が発見された場所は地球上でSCP-XXXX-JP-1をおいてほかにありません。この事実はSCP-XXXX-JP-2の発生地点が当時のゴンドワナ大陸の氷床部であることを示唆するとともに、SCP-XXXX-JP-2の疫学的拡散過程に興味深い疑問を投げかけました。
初期の脊椎動物が海洋生物であったこと、SCP-XXXX-JP-2が周囲に硫化鉄成分が存在しない場合には長期間生存が不可能であることを考えると、脊椎動物とSCP-XXXX-JP-2が共進化イベントを発生させるにはSCP-XXXX-JP-2が海洋に拡散するなんらかの契機が必要であったはずであり、陸上にいる限りは不可能です。
もしSCP-XXXX-JP-2が陸上に存在し続けていたのなら、有顎脊椎動物の種分化を引き起こしえたはずはない。となると、ウイルスはどこかの時期で海に流入したことになる。ウイルスの構造的な脆弱性を考えると、氷河の浸食作用や大地の風化作用に伴う海への流入だけでは説明がつかない。問題はそれがどうやって広がったかだ。
- Dr. M.Kimura

顕生代における生物種数の推移と大量絶滅の時期を表した図。
1975年に刊行された財団地質学部門誌の報告は、約4億4300万年前のオルドビス紀後期の大量絶滅(O-S境界)が火山活動に由来したものであった可能性を示唆しました。この大量絶滅は生物種(海洋種)の85%を絶滅させ、顕生代における五大絶滅のうちの最初の大量絶滅として知られています。
報告書はゴンドワナ大陸での大規模火山活動を示唆しており、この破局噴火は地球温暖化および海洋へのリンの流入に伴う海洋無酸素事変を要因とした大量絶滅を引き起こしたと考えられます。巨大火成岩岩石区の想定分布から、SCP-XXXX-JP-1を含む周辺の南極地域も噴火地点の候補に挙げられたため、財団は大規模な地質学的調査を実施しました。
この結果SCP-XXXX-JP-1の周辺に、約4億4300万年前にスーパープルーム12の上昇に伴う破局噴火を起こした火山SCP-XXXX-JP-3が存在することが確認されました。SCP-XXXX-JP-2はゴンドワナ大陸氷床の融解に伴う海水準変動によって世界中の広範囲に拡散したものと思われます。
1971年の初の観測以来、火山学者たちは間欠泉イベントにかつてないほどの注意を払っている。彼らはSCP-XXXX-JP-1の地下には上昇中のスーパープルームが存在すると考えており、このためSCP-XXXX-JP-3は1971年以来活動期に入っていると考えているのだ。
火山学者たちは、SCP-XXXX-JP-3は(1971年を基準として)100年以内に80%の確率で約4億4300万年前と同規模か、あるいはそれ以上の噴火を引き起こすだろうと予測した。これは近い将来、約4億4300万年前と同じような大量絶滅イベントが起きることを意味する。SCP-XXXX-JP-3が実際に噴火した場合、生物種の大量絶滅はもちろんのこと、人類文明にとってはより喫緊かつ重大な問題が起きるだろう。SCP-XXXX-JP-3の噴火によって南極氷床はほぼ完全に融解することが予想され、そうなった場合、地球上の海水位は約60m上昇すると考えられる。主要都市の大半は水没し、基幹インフラは完全にマヒする。財団資産も相当の被害を受けるだろう。
- Dr. M.Kimura
補遺:
エリア-1971の設立当初の目的は、SCP-XXXX-JP-1で発生する間欠泉イベントの発生原因を特定することだった。今日、この目的はほとんど完全に果たされたといっても過言ではないだろう。南極大陸氷床部に存在する火山であるSCP-XXXX-JP-3、その火山活動が引き起こしたのだ。しかし、その過程で積み重ねられてきたSCP-XXXX-JP-2とSCP-XXXX-JP-3の研究は、我々に興味深い疑問を投げかけている。過去地球上で発生した大量絶滅は、生物進化においていったいどのような役割を担っているのだろうか? それはこう言いかえることもできる。今日我々の探し求めているものは、SCP-XXXX-JP-3の噴火やSCP-XXXX-JP-2の拡散、SCP-XXXX-JP-2-Aの組み込みをもたらした究極的な要因――SCP-XXXX-JPなのだ、と。
歴史を振り返って考えてみよう。顕生代における五度の大量絶滅イベントはいずれも生物相の大変動を招いたが、長期的トレンドは生物多様性の増加を示している。大量絶滅は短期的には多くの生命を失わせるが、同時に生物相全体を"攪乱"することによって、長期的な生物多様性の増大に成功しているといってもいい。
これは比喩的には、森林の発達過程と似ている。通常、発達した自然林のほとんどは陰樹で覆われ、それ以上変化しなくなる。林冠の発達が地上への太陽光の到達を妨げるために、林床は草木や陽樹が生育できない環境に変化してしまうのだ。現代の森林学者はこのことを理解しているため、定期的な間伐を行うことで生物多様性を増大させようとする。つまるところ、変化のない自然はかえって生物多様性を損ね、発達は袋小路に至ることになる。
このことを考えると、SCP-XXXX-JP-3の噴火とそれに伴うSCP-XXXX-JP-2の拡散は、今日の生物多様性に大きく資したといっても過言ではないだろう。現在地球に存在する脊椎動物のほとんどは有顎脊椎動物であり、その種分化を招いたのはほかならぬSCP-XXXX-JP-2であるからだ。しかしながら、それは「偶然」だったのだろうか?
かつてダーウィンが進化という概念で、チューリングが人工知能という概念で示したのは、「理解力なき有能性」や「知性なき創発性」は存在するのだ、ということだった。このアイデアは人々を不安にさせる。理解力や知性がなければ我々は互いが同じ精神的基盤の上にあるのだという信頼を失い、結果として互いを信じられなくなる。それがゆえに、人は理解力や知性なしに有能性や創発性を持つシステムが存在することを想像したくないのだ。
「理解力なき有能性」や「知性なき創発性」の存在は、私の取る立場にとって大きな助けとなるだろう。理解力も知性も持たない進化の過程が一定の合目的性に向かうように、地球全体の生物相を取り巻く未だ定義されていない大きな枠組みが、生物多様性の増大に向かって歩み続けていると我々は考える。したがって我々は、SCP-XXXX-JPをそのように定義する。
だとしたら、今日の我々の収容の試みは意味のあることなのだろうか? それは非本質的な試みであり、単に問題を先送りにするだけなのかもしれない。我々がSCP-XXXX-JPに行う説明が正しければ、大量絶滅はいずれ必ず発生するだろう。しかしそれは終わりではない。大量絶滅は人類の絶滅を意味しないし、生物多様性の終焉も意味しない。なぜなら現在生き残っている全ての種は、何度もこの手の危機を経験してきたからだ。だとすれば、財団の資源は大量絶滅イベント自体を防ぐことではなく、大量絶滅イベントを乗り越えることに注がれるべきではないのだろうか。なにせ、我々の資源は常に有限なのだから。
- O5-1(2021.1.1, O5評議会投票にて)
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:2626678 (18 Apr 2023 10:33)
拝読致しました。
リビジョン18時点での批評です。
その地点は何か時間が関係あるんでしょうか?分や秒は完全に時間の単位です。
鉄槌や獣にも機動部隊をつけましょう、仲間はずれ感があります。
ないし・また・並びに・及び・なおなど連続/近間隔で使うと違和感のある言葉がありますので気をつけて使い分けましょう。
発想は面白いと思いましたがミームとは免疫操作云々、肉体操作云々ではなく情報です。例えば「ミーム汚染」とは「無意識のうちに、ある画像や言葉などに対しての認識が変わること」をいい体とは直接的な関係はありません。また、基地の存在を隠せば良いだけなのに何故そんなにも武装組織が突っ込む前提で防備を固めているのかがわかりません。基本的に基地を防護する程度の部隊がいれば財団の増援部隊が出動するでしょうしわざわざこんなに複雑な防衛プロトコルを組む必要性はない様に感じました。実験でオブジェクトを聴かなければほぼバレないでしょうし、
記事作成頑張ってください。
批評ありがとうございます。ご指摘の点についてそれぞれ回答させていただきます。
度分秒は、地球上のある地点を緯度と経度を用いて記述する際によく用いられる位取り記数法の一種です。
例えば日本の経緯度原点は北緯35度39分29秒、東経139度44分28秒に存在します。
ご指摘ありがとうございます。この点は脱字です。
ご指摘ありがとうございます。この点は再度書き直します。
はい。私もこの点どのように記述するか迷いました。「ミーム」という語自体は1976年にリチャード・ドーキンスが彼の著書『利己的な遺伝子』の中で、DNAのほかに存在するであろう遺伝子の形態(もともとダーウィンは遺伝子を仮説的実体として扱い、DNAに限定してはいませんでした)として提案されたものであることが知られています。
そのため、ドーキンスの定義した「ミーム」それ自体は実はなんらかの情報に限定されたものではありません。彼が『利己的な遺伝子』の中で主張したように、遺伝子はそれ自体が主体となって動きます。この点でSCP-XXXX-JPはそれ自体が独立して人間の身体に(外部から観察できる形質あるいは特徴を与えるという意味での)表現型的影響を与えると考えられます。これが私がSCP-XXXX-JPを「生体にミーム的影響を与える」と記述した理由です。
また、ミームについては、古くはトルストイが『芸術論』においてこれを「感情の感染」と表記し、最近ではスペルベルが『表彰は感染する』においてミームに対する文化疫学的アプローチを示唆していますが、SCP-XXXX-JPにおいて免疫機能を絡めたのはこれが理由です。
これは私の個人的な考え(ヘッドカノン)になるのですが、私は財団を万能の”何でもできる”組織にはしたくないのです。財団は大きな資金力や人員、組織力、軍事力を有しているのでしょうが、それ以上の存在ではありません。例えばワシントンで収容違反が起これば、財団はすぐに機動部隊を差し向けることができるでしょう(ホワイトハウスには15分で軍隊が到着できる即応態勢が敷かれていることが知られています)。
しかしエリア-1959やエリア-1960ではどうでしょうか? エリア-1959は南極であり、エリア-1960に至っては北極海です。どちらも近隣の陸地からはだいぶ距離があるほか、南極付近は天候が極端に悪化しやすい土地です。財団の増援部隊がすぐに到着することは(彼らが私達から見れば超常的な技術を有していることを鑑みても)難しいかもしれません。敵対組織だけではありません。SCP-XXXX-JPが未知の影響を及ぼした時、外界と隔絶されているエリア-1959やエリア-1960はすぐに対処できるのでしょうか?
私はこれらの点から、Thaumielクラスの収容に機動部隊を3部隊投入することは十分現実的な仮定であると考えます。(それに彼らのすべてがSCP-XXXX-JPの収容業務に従事しているのではないはずです)
以上、ご指摘の点について返答させていただきます。
再度拝読致しました。
リビジョン131時点での批評です。
現状DVです。SCP-XXXX-JPとは何者ですか?結論から話してください。SCP-XXXX-JPの痕跡を発見した云々の情報は後ろの方に置いて、まずはどの様な存在なのか、どの様な異常性を保有しているのかを書きましょう。また、発見経緯は後回しにすべきです。また、プロトコル/説明の文章中に存在する太文字はSCP報告書という枠組みでみるとなかなかない表現であり違和感のある表現です。
画像資料について
カタバ風の力学的構造図やV(D)J再構成の概説図、顕生代における生物種数と大量絶滅など画像に出していただけるのは良いのですが読むのは日本人が大多数です。日本語でないと基本伝わりません。
構成について
確かに理論立てて危険性を伝えるのは良いのですが現在の状態ではいささか理論が冗長になってしまっている上、専門用語が乱立している状態です。乱立しているだけならば良いのですが結論と工程が話の中でごっちゃになったりいまいち何を言いたいのかわからず話が進んでしまっている様に感じます。
記事作成頑張ってください。
批評ありがとうございます。以下変更内容です。
追記しました。
それぞれについて見直しました。
画像の注釈に読解に利すると考えられる説明を付け加えました。
この点については、指摘なされている内容についての理解が少し難しいです。それぞれのセグメントは「観測・実験→推論→問題提起」というプロセスで構成されており、説明に用いている理論も必要以上に冗長となっている部分はないように思います。また専門用語については難解なものも多いと思うので、細かく脚注で補足してあります。もし理解の難しい部分があれば補足したいと思うので、該当の箇所を教えていただければ幸いです。
以上です。ありがとうございました。
はい、その観測・実験→推論→問題定義は問題ないのですがその文章中の中身が細かく詰め過ぎている点にあります。専門的な"手段"が細かく提示されても一般の読者からしたらぼんやりとしか分からずただ"わからない内容"として認識されてしまう可能性が大いにあります。報告書調を崩さずにやるのは大変難しいですが出来る限り噛み砕いてまとめた様な文章にしないと多くの人の総評が"良くわからなかった"となってしまう様に思います。
むしろこれを狙っているところがあります。このSCiP自体ははっきり言ってしまえば「ただの火山」でしかありません。ここで起こっていることは(それが既知の自然法則に従っているという意味で)完全に「正常」なのですが、財団にとってはSCP-XXXX-JPは看過できない「異常」なものなのです。(これは地球と人類文明のタイムスケールの差によるところもあります)
なので報告書の面白さとして、「どうやってこの火山を発見したのか?」「どういう歴史があるのか?」「なぜ危険なのか?」という点を突き詰めて書いてきました。
この面白さは科学的厳密さと不可分です。現代の惑星科学や分子生物学、古生物学の知見は広く深いものになっているため、あるていど専門的(といっても、報告書の中で持ち出している概念はそれほど複雑なものではなく、その分野における基礎的な知識といえると考えます)な内容にしなければどうしても突っ込みを入れられます。とはいえ、たんに専門用語を使うだけでは一般の読者にとっては理解の難しいものになると考え、脚注や図で補足しているわけです。
もちろんそれでもわからない、という部分は出てくると思います。ただこれ以上わかりやすくするのは技術的にも内容的にも正直難しい、というのが正直なところです。「ぼんやりとしか分からない」というより、「ぼんやりとでもなんとなくわかる」のならそれでいいと考えています。噛み砕きすぎる(=科学的厳密さを二の次にする)とかえって記事の面白みを減らしてしまうのではないかと考えています。
なお、文章全体の流れを下にまとめました。
個人的には、あまりショートコンに向かない題材のように思いました。なかなか壮大なスケールで語られていますが、南極氷床・歌・免疫というそれぞれの要素は(読者の居る現実世界において)あまりつながりが無く、これらの関係性を報告書で簡潔に説明されたところで地に足のついた設定には感じられません。ふわっとした設定開示だけが行われた印象を受けました。
こうした設定を採用するなら、例えば氷床を構成する水分子の振動が云々、観測の過程が云々、歌の物理的振動が免疫系のなんとかという物質or細胞に寄与して云々……といった、背景の面白さを提供するのは1つの手かと思います。こうした面白さを追求すると数千字から数万字を要することでしょうし、ショートコンのレギュレーションを満たしません。私の所感としては、ショートコンに合わせて短い字数で語るよりも、
Dr_MITAさんが考えていらっしゃる哲学を可能な限り読者に伝えるために字数を惜しまず出し切った方が、地球全土を巻き込んだ滅びの物語としての魅力を発揮できるように思います。世界滅亡を煽る記事はSCP財団には数多ありますが、しっかりと描写してやることで差別化にも繋がります。
(ただし、これはあくまで私がイメージした1つのアプローチというだけですので、例えば短い記事を得意とする方が読めば別の感想が生まれることでしょう)
加えて財団や収容の手順についてかなり考えていらっしゃるようですが、そうした財団の設備や立場といったヘッドカノンは現状のストーリーに寄与していません。せっかくそこまで考えていらっしゃるなら、財団による調査や収容の様子を本文で垣間見えるようにしっかり展開してやると、
Dr_MITAさんの考えていらっしゃる財団像が物語としても映えるように思います。私は創作物として報告書を閲覧する際、特別収容プロトコルは大体読み飛ばしていますので、
Dr_MITAさんの哲学が発揮される場がプロトコルだけというのは非常に勿体ないように感じます。
「ショートコンに出すな」みたいなコメントになってしまいましたが、私自身読者にある程度の知識が求められる内容を報告書にしようとして短くしすぎてしまい、結果としてふわっとした死に設定の開示に見えてしまう作品になって撃沈した、という過去があります。読者が著者の意図を隅から隅まで読み取ることはまずありません。著者本人が抱いている魅力は想像以上に読者には伝わりにくいということを認識して、しっかりと描写してやることが必要であるように感じました。
丁寧な批評ありがとうございます。以下、ご指摘の点について返答します。
はい、これは実際書いていて少し思いました。ただ最近、「あるべきものがあるべきところにある」=「地に足のついた設定」に対してどうにも疑念のぬぐえないところがあり、「なぜこのようなつながりが発生したのか? という疑問は必然的に出るべきではないのか?」と考え、この記事の執筆に至ったところです。
これについてもそうです。あるSCPに対して「これこれこういう機序でこういう結果がもたらされる…………」、ここまで本当に書いていいのか? という疑問があります。超自然的な存在に対する畏怖と好奇心は、科学の分析的な記述とは共存しえないと思うのです。SCP-XXXX-JPに対する敬虔さ(これは報告書内では博士が述べていますが)は、水分子運動のブルーシフトがどうとか、骨髄抑制やら、JAK1選択阻害やらがどうとか言ってしまったら失われるのではないかと思うのです。財団はそういう組織だ、と言われればそれまでですが、それは明らかに物語としての報告書の方向性とは異なります。
以上、返答いたします。正直書いていてどう表現すればいいのか難しいな、と思うところが多いのですが、改稿の参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
返信ありがとうございます。末尾のコメントを見るにまだ方針に悩んでいらっしゃるのかなと思いますが、やや気になる箇所がありましたので、少し考えを述べたいと思います。
ええと、これはそういった要素を読者に考えさせることを目的としているということなのでしょうか?
そうであれば、私は本作を読んで「こういう因果関係がありそうだな」とか「こういうカラクリなんじゃないか」という風に興味を持って思考を巡らせることは一切しなかった、ということをお伝えしなければなりません。
確かに読者に考察をさせるタイプの作品はSCP財団には数多く存在しますが、本作は読者にそういった疑問を考えさせる段階に至っていないと感じます。読者は提示された謎があれば無条件に好奇心と疑問を持って向き合ってくれるわけではありません。読者に考えさせる記事で言うと私はSCP-4428が好みですが、この作品はまずタイトルに「マイケルズ博士」と書いて読者の注意を引き、包括的接種という形で自然にルール説明をし、本文に修飾していく……という形で、読者を惹き付けるための工夫がなされています。
一方で本作は、一見したところそのような工夫がありません。6段落におよぶ空間的に間延びした特別収容プロトコルの後には、その長いプロトコルが特に活きるわけではない説明が展開されます。「生体に特殊なミーム的影響を及ぼす音波現象です」という説明も、そこまで読者の興味をひく内容ではありません。異常な音波も、ミームも、財団世界にはありふれています。ああまたミームか、ああまた音か、というネガティブな印象を抱きます(この点で、綿密な機序を説明できるのであればそれは差別化に繋がります)。
「なぜこのようなつながりが発生したのか?」という疑問を読者に持ってもらうとしても、現状ではミームに音というありがちな要素が関連なく散らばっているだけで、読者にとっては雑多な寄せ集めにしか見えません。好奇心を持って、良い意味での疑問を抱くところまで到達できないのです。特に作品がつまらなければ即座にDVしてブラウザバックできるSCP財団という場において、読者の好奇心は無尽蔵ではありません。むしろ、「この著者何も考えてないんじゃないか?」という印象を抱かれることさえあるでしょう。
もし「なぜこのようなつながりが発生したのか?」というのを読者に解いてほしい、考えてほしいと思うならば、読者の足掛かりを用意すべきだと感じます。特にヒントが与えられず解ける見込みもなく、果てには著者がきちんと設定を考えているのかすら分からない状況では、読者は疑問を持って考えようとは思いません。わけのわからないものを読者にただ投げるのではなく、きちんと読者が提示された疑問を見出せるよう、導線に乗れるようにサポートする必要が著者にはあります。
仰る主旨は理解できますが、同意はできませんでした(私がそういった作品をいくつか書いているからというのもありますが)。たとえば水分子が何らかの過程で音を発生して、その振動が免疫系に何らかの機序で作用したとします。ここをしっかりと説明したとして、1時間以上の観測で音波の性質が瓦解することは説明がつきません。これは他の部分の論理をいかに固めたとしても、異常な性質、超常的な特性として残るはずです。
また、仮に上記の至近的なメカニズムを全てすっかり説明づけてしまったとしても、究極的な原因すなわち「なぜ地球にはそのような仕組みが備わっているのか?(生物が居なくても地球という惑星は困らないのに、誰が準備した? or 他にも免疫を駆動できそうな要素はあるのに、なぜ地球生物は氷床の音に免疫系を律速されるように進化した?)」という理由は説明できていません。また、南極氷床や北極の氷が出現する以前の時代の生物は十分な免疫を持たずにどうしていたのか、氷が出現した際にどんな変化が地球や生物相に起きたのか、といった観点も謎のままです。物質の作用を解説してあるいは博士の主張する「歌」について、超常的な存在と絡めることもできるはずです(もしかすると「歌」は単なる博士の比喩表現なのかもしれませんが)。
従って、厳密な議論を展開したからといって超自然的な神秘性や畏怖・好奇心が削がれるとは限りませんし、むしろ既存の科学とのコントラストによって補強してストーリーを構築することもありうると私は考えます。
ただし、科学的な説明というのはあくまで手法の1つに過ぎません。もし単なる設定開示に見えてしまっている現状をこれ以外の手段で解消できるならば、厳密さに拘る必要もないとは思います(ただしその場合、先に挙げた「この著者何も考えてないんじゃないか」という印象は別の方法で払拭する必要があるでしょう。私が
Dr_MITAさんに何かいろいろと考えがありそうだなと判断したのは本作や他の下書きでの批評への返信に目を通したからであり、決して作品だけに基づいて判断できたわけではありません)。
4/27、紆余曲折を経て記事内容を大幅に改稿しました。
改稿お疲れ様です。
具体的な指摘
半角コロンとの間に半角スペースを挿入してください。
重複していませんか?
パラグラフまるごと1個を占める1文は流石に長大が過ぎます。適宜句点で区切る、脚注に回すなどして、ダラダラと続けないことを意識すべきだと感じました。おそらく4文程度に分割するのが適切でしょう。特に、ロスビー波に関連した擾乱とJP-1での擾乱の間に関連が無いことがこの段落の主旨でしょうから、この内容は句点で切り離して意義を明確にする必要があるでしょう。
加えて、私は学部生向けの講義である程度気象学を齧りましたが、ブロッキングリッジと総観規模擾乱は初めて耳にする用語でした。他の語は内容を把握しているか大雑把なニュアンスが通じるものだったため私は支障ありませんでしたが、特に気象学に関連しない分野の者にとってはかなり負担があることでしょうから、適宜脚注で解説を入れるor好事家向けの内容を脚注に詰めるなどの対応が必要かと思います。
衍字です。
一般に、数字をつらつらと並べられても趣旨は伝わりにくいものです。要するにこのパラグラフは何を言いたいのか、「ファクターAによる寄与がn%」という事象はどういう意義を持つのか、を読者に示す必要があります。
単体の硫黄に関する記述がここですぐには必要にならないため、ややとって付けた感があります(後の展開で硫化鉄とオブジェクトの関連が言及されていますが、単体の硫黄である必要はありませんね)。単に400℃以上の環境として良いでしょう。硫黄の意義は間欠泉に付与しても良いかも知れません。
一般的に、遺伝子の名称はRAG1のように斜体で表記されるように思います(英語文献において、平常の語と遺伝子名を区別するため)。以下同様。
私は分野外なのでこのあたりのニュアンスがよく分からないのですが、カルボキシ末端は「C末端」とする方が正式ではないでしょうか。軽く標準の検索エンジンで検索した程度ですが、一応正式な文書で「C末」の表記を採用しているものもある一方、多数派は「C末端」であるように感じました。
ここもやや長いですし、後半では主語が捻じれているように読めます。「従来の仮説では、RAG1/2遺伝子は~を由来とします」「Transibトランスポゾンは無顎類で発見されているpRAG1/2遺伝子に進化し、また約5億年前の~進化しました」と、主語を明確にしつつ文を区切る必要があるように思います。
加えて、動物の学名(より厳密には属名・亜属名・種小名・亜種名といった属階級群名・種階級群名)は原則として斜体で表記されます。科階級群名やより高次の分類群の学名に対しては斜体ではなく立体で表記すべきですが、属名と種名についてはDrosophila melanogasterのように斜体表記をしていただきたく存じます。
この段落が何を言いたいのか、しばらく考えなければ分かりませんでした。当初、SCP-XXXX-JP-2はDNAウイルスという設定である設定を無視して、RNAウイルスの話を出して不要な議論をしているように読めました。要はRNAウイルスを反語的に扱っているのだと思いますが、「しかしながらそれでも理解しがたいのは、」という否定的な問題提起で始まっているため、論理の読み取りが難しくなっているように思います。
DNAウイルスであれば宿主細胞に侵入してDNAトランスポゾン配列を生み出せるはずだという論理展開がしたいわけですから、あまり読者を混乱させない話題運びが重要でしょう。この段落では問題提起をせず、「SCP-XXXX-JP-2はDNAウイルスである」ということを再確認するだけに留めるのが良いでしょう。
財団職員がオブジェクトの有用性に着目して一般に流通させようとする行為は極めて安直に感じますし、またあまり物珍しい展開でもない(そういうことを書こうとした下書きは幾つも目にしています)ので、あまり魅力的な流れには感じませんでした。
RAISAからの通達やセキュリティクリアランスレベルを求める案内は、例えばSCP-2360-JPやSCP-1000-JP-EXのように、それ用のバナーが存在します。灰色のdivブロックで囲むよりは、そうしたバナーを採用した方が見栄えが良いかと思います。
また財団内の情報を不正利用すればそれなりの混乱が生じることは自明ですし、管理と保護に関する内部規定はそもそも報告書の閲覧以前の段階で同意するものではないでしょうか。他の既存の作品での同様の演出と比較しても、ここにこれだけ詳細に書く必要は無いように感じます。
「実際のところ、SCP-XXXX-JP-1を除いた、南極半島を含む南極のほかの地域でも同様です」で十分です。
「仮に現代においてそれが」など、短縮の余地があります。
火山性ガスには温室効果ガスとして名高いメタン・二酸化炭素・水蒸気が含まれます(気象庁)。「温室効果ガスの増加」と「火山性ガスの放出」は、本作の説明を見る限りは互いに食い違うものではないでしょう。一応マリノアン氷期の終結については、現代の永久凍土のようにメタンハイドレートを含む氷があり、そのメタンハイドレートが分解されてメタンが生じて温暖化に繋がった(参考)とする仮説があるようですが、もしそれを意図した記述であるならばそれを読み取れる程度に触れると良いと思います。
この記述にかなりの違和感を覚えました。確かにマグマ溜まりに部分熔融したマントルからマグマの供給があることを踏まえれば、噴火確率が高まっていく傾向にあることはもっともらしいでしょう。しかしその反面、噴火の確率がバスタブの底部のように一定となるタイミングがあるようには私は思いませんでした。私は火山の専門ではないので確証はありませんが、こうした噴火確率は一定でなく、常に上昇していく傾向にあるのでは、と思います(そもそもバスタブ曲線で説明できるほど火山のモデル化は簡単でないとも思いますが)。
加えてバスタブ効果は機会や装置、工業製品などに用いられるものかと思います。地学的な営力によって成り立つ噴火というプロセスを工業製品の故障になぞらえるのはやや抵抗があります。
どこまで厳密さを求めるかという話でもありますが、P-T境界は2億5100万年前です。加えて、96%という値は海洋生物種の絶滅率です。陸上生物の絶滅率については把握しておりませんが、ナショナルジオグラフィックは地球上の生物種の絶滅率を90%として(記事)、東北大学は真核生物の種の絶滅率を90%以上として(プレスリリース)公開しています。
全体的な所感
情報の隠蔽について
火成活動に乗じてSCP-3936のような大規模な環境改変が発生し、RAG1/2遺伝子を持つ生物がほぼ全て絶滅した。しかしSCP-XXXX-JP-2はRAG1/2遺伝子関連遺伝子を残したまま生き残り、そのウイルスから遺伝子が水平伝播して我々脊椎動物が出現したということなのだろうと受け取りました。そして現代でも大規模な火成活動が起ころうとしていて、我々人類は単純な火成活動の効果と、新たな生物群への更新に脅かされている。そしてその改変を引き起こそうとしているのがSCP-XXXX-JPである……と解釈しました。お間違いないでしょうか。
この解釈であれば、財団がSCP-XXXX-JPの存在にあえて触れずに報告書を執筆した理由がよく掴めません。確かにSCP-3007やSCP-444-JPのように知れば終わりのオブジェクト、あるいはSCP-2521のように記述・説明するとOUTのオブジェクトは前例があります。しかし、本作において裏で糸を引いているであろうSCP-XXXX-JPについて、これに言及したら不味いと思わせるような演出が無く、読者はあまり納得できないように感じました。情報の保全のためということではありますが、もう少し情報を隠匿するための理由付けを行うか、あるいは隠匿をやめて報告書内で言及を行うべきであるように思いました。
後者の方向であれば、手前味噌ですがSCP-1150-JPは参考になるのではないかと思います。これは本来読者に考察を求めるタイプの記事ではありませんし、真相は別に読み取れなくてもいいやという気持ちで書きましたが、ティンバーゲンの4つのなぜに目配せしながら説明を展開し、オブジェクトの謎を残して幕を下ろすという形式を採用しています。おかげで解説動画や考察動画が投稿されて嬉しい限りですが、それはともかくとして、「こういう謎があるんだぜ」ということを目に見える形で読者に示すのは1つの手であろうと思います。私はSCP-1150-JPにおいて、研究員に「見当もつかない」だとか「大きな疑問として浮上する」といった言葉を喋らせ、ダイレクトに読者を誘導しています。本作はウイルスと脊椎動物の間の結び付けでそうした手法を用いていますが、現状ではSCP-XXXX-JPの情報が伏せられている理由を読者は推測できないので、SCP-XXXX-JPにももう少し橋渡しがあっても良いのでは?とは思います。
可読性について
かなり専門的な内容が並んでいますが、一般の読者への配慮が乏しいように感じました。マッケンジー博士による「悪い執筆者の典型例」のガイドでは確かに「我々の多くは大学生・大学院生であり、相応の知識はあります」という記述がありますが、現状のSCP-JPにそれは当てはまりません。2022年に実施された年次調査によれば、サイトメンバーの過半数は19歳以下です。サイトメンバーの半数は中学生か高校生、あるいはそれに準ずる年齢のユーザーであり、専門的な文章を書くのであれば彼らが途中で投げ出さないような工夫が必要です(そもそも20歳以上でも大学進学をしていらっしゃらない方、人文科学や社会科学を専攻された方、自然科学専攻であっても医学や工学といった別の学問領域のご専門の方……など、様々なケースもあります)。
本作は、ある程度この領域に慣れた人間でなければ「要するに何を言いたいのか」が非常に読み取りづらくなっています。例えば気象の分野であれば意図を読み取れなかった段落が1つありましたし、遺伝子についての記述も意図の把握に時間を要した段落が2つほどありました。ある程度素養を持つ人間でも苦戦する程度ですので、門外漢になると求められる難度はさらに高まることでしょう。いくつか思い当たる対処法を挙げておきます。
内容を理解し終えた今では全体の流れを俯瞰できますが、やはり初見でこの情報量には「うっ」となるものがあります。このほかにもある一定の話題の纏まりをdivで囲んで論理展開を視覚的に分かりやすくする、見出しを入れる、などいろいろと工夫の余地はあると思います。専門的な雰囲気を保ったまま、薬をカプセルに入れて飲みやすくするように、読者の興味を惹く工夫、読者に読ませるための工夫を是非取り入れてみてください。
ストーリーについて
ストーリー自体は地球惑星SFとして面白いものだったと思います。テクトニクスや生命史のスケール感を感じられ、コンセプト的にも私の好みではあります。懸念としては、やはり上記に挙げた難解さを含む可読性の点と、SCP-XXXX-JPを伏せる必然性、といったところでしょうか。
ただし、SCP-XXXX-JP-2を有効利用しようという博士とそれに対するO5のコメントは蛇足であるように感じました。財団がオブジェクトを表沙汰にしないこと、有益なオブジェクトであっても収容して世間から隔離を行うことは、読者にとっては一般にコンセンサスが広く形成されているものと思います。SCP-500が良い例でしょう。この点で、博士の言動が怪しいものに見え、O5の返答もそりゃそうだろうなということを言っているように感じられます。このあたりの見直しをお勧めします。
以上です。改稿頑張ってください。
細かい部分までご講評いただき感謝します。
ご指摘の件について、文章全体の構成を大幅に見直しました。
特に可読性の面については図示や脚注の充実、改行などで整えてみました。
また、隠蔽の点については全体の構成を見直すにあたって破棄しました。
以上です。短い返信となりましたが見直していただければ幸いです。
再び改稿を実施し、読解にあたって難解だと思われる部分を可能な限り取り除きました。
お疲れ様です。改稿版と
Kajikimaguroさんとのやり取りを拝見して、感じたことをコメントします。
1. EX指定
もしこの内容であれば、Explainedのオブジェクトとして分類するのが妥当ないし適切ではないでしょうか。実際、完全に非異常のものであっても財団が収容を行っているものはあり、具体的にはSCP-500-JP-EXが該当します。何の異常性も無いもの、あるいは明らかにこれが異常であると指摘できないものについて、通常オブジェクトとして投稿されることに強い違和感を抱く読者も一定数います。SCP-XXXX-JP-EXとして投稿するのも選択の余地としてあるのではないでしょうか。
2. 注釈等が過剰ではないか
確かに前回の批評で読者の理解を増進する上で注釈や画像は効果的と申し上げました。しかし、薬も乱用すれば体に被害を及ぼすように、その利用には塩梅というものがあります。現状の記載は注釈や画像を必要としないものにもそれらを用いているか、あるいは注釈が十分に効果を発揮しにくいものについても注釈を用いていて、それが
Kajikimaguroさんの指摘する煩雑さに見えてしまっているようにも感じます。SCPの読者はブライト/ザーションヒト科製造機やシャンク=アナスタサコス恒常時間溝といった難解そうな雰囲気を纏った造語を目にしながら報告書を読んでいるわけですし、特に表意文字たる漢字で表記された語は何となくのニュアンスである程度読んでくれます。それをこまごまと説明してしまうと、読者が読まなければならない文字数すなわちコストが増大するため、逆効果になりえます。
例えば「極域」という語は注釈が要らないように思います。南極点や北極点の近くの寒いところくらいに認識しておけば本作の理解に支障ありませんし、そのくらいの理解は大多数の読者にはあると思います。「極軌道気象観測衛星」についても、漢字の字面からそのあたりの観測を行って気象データを記録するのだろうなくらいのことは読み取れます。PTFはアルファベットの省略表記でなく漢字で「暫定任務部隊」と書いてしまえば、臨時で編成された部隊なのだろうと分かります。ラジオゾンデについては一般の認知度がよく分かりませんが、子ども向けのウェブサイトで説明もあるくらいなので、そこまで珍しい語ではないと思います。写真も不要かと思います(ラジオゾンデが滅茶苦茶に重要な概念ではない)。OAEとLIPsについては、これもアルファベット表記でなく漢字表記をすれば脚注が無くともおおむねの意味が伝わるように思います。特に「海洋無酸素事変」という字面を見れば、海で酸素が乏しくなる出来事が発生したのだろうとは容易に感じられます。
加えて脚注の使い方について、本作は主に難解あるいは知名度の低いと思われる語句について補足を行う形ですが、その補足の中でさらに新たな情報を出すことはお勧めしません。「Aって言われてもAを知らないな……」となっている読者にA'やA''の情報を投げつけたところで読者は混乱します。定義や、あるいは読解にあたって最重要の情報を載せる程度に留めるのが理想だと思います。SCP-798-JPの脚注はかなり複雑ですが、これは初学者や門外漢の理解を助けるためではなく、むしろもっと深堀りしたい上級者を満足させるためのものであり、注釈に持たせている意図が異なります。
3. 記事全体の見栄え
記事全体の見栄えもVoteを左右する大きな要素の1つです。例えば現状本作に掲載されている画像は全て右側に位置していますが、記事全体を俯瞰すると右に画像が偏っているため見栄えがあまりよろしくないように思います。どれかを左に寄せるなど、レイアウトに視覚的バリエーションが欲しいように思います。
また、話題が横棒で頻繁に区切られているのもあまり良くないかもしれません。確かに話題を区別するのは門外漢にとっては分かりやすくなるのですが、特にPCで見た場合、不規則な厚さで横棒に区切られた区域が連続するため、記事全体が蛇腹のように見えてしまいます。現実の論文でこうした横棒は用いられませんし、節の区分に横線を用いているWikipediaはもっと各節に厚みがあるので、横棒ではなく別の手法(例えばdivブロック)による区分をした方が良いかも知れません。
また横棒は話題を区切るのに便利な表現ですが、区切りとしての機能が強すぎるようにも感じました。大気構造の節、大気調査の節、レトロウイルスと塩基配列の節、プレートテクトニクスの節、LIPsの節とそれぞれの蛇腹の節の間に大きな断絶があるように視覚的には感じられます。私が横棒を報告書内で用いる際には、特別収容プロトコル:節と説明:節の間に配置して「さあここから本編だぞ」と暗示したり、あるいは説明:節と追記:節の間に配置して「追記されるまでに時間の経過があったぞ」ということを示すために用いています。逆に言うと、それほどまでに大きな区切りが発生しない限り用いません。読者が読んだ際の作品の流れや段階の纏まりも意識し、階層性(たとえば大気構造と調査は気象学の下位分類ですし、古大陸とLIPsは地質学の下位分類です。これらの節の間の関係は、バイオなゲノムとの間との差よりも小さいはずです)も踏まえてレイアウトを整理すると良いかなという気がします。
一つ良かった点は、本作を読み解くための疑問をM.Kimura名義で投げかけて読者をきちんと誘導しようとしている点です。類似した試み(作品の理解に重要な要素を抜き出して纏めること)は或る西瓜の提言で行われており、良い試みだと思います。もう少し本文に馴染ませることはできると思いますが、方向性として悪くないと思います。
4. 内容面について
1つ内容に関して気がかりなのは、LIPsに代表される超大規模の火成活動が発生した場合、SCP-XXXX-JP-2のような生物の大規模改変が発生しなかったとしても大変な脅威となるため、せっかく力説したウイルスパートが蛇足になってしまってはいないかという点です。実際本作の脚注で言及されたペルム紀末の大量絶滅ではシベリア洪水玄武岩の噴出によって顕生代史上最大規模の絶滅事変が発生していますし、この時点で生物相の大規模な変化が生じています。白亜紀末を除く他4回の大量絶滅事変も同様ですし、白亜紀末もデカン・トラップの形成は少なからぬ影響を環境に与えたものと思われます。南極のホットプルームがウイルスを拡散せずとも、生物相の激変は実現できてしまうのです。
前回批評時にはSCP-3936じみた異常の気配を感じたのでこの点はスルーしましたが、完全に仕組みが解明された設定となっている現在、これは大きなウィークポイントであるように思います(これまで存在しなかった不自然な塩基配列が組み込まれるというのは既知の大量絶滅イベントでは起こらないor単純な理由付けができないかもしれませんが、火成活動に伴う環境激変による大絶滅の前で、塩基配列への干渉による生物相への影響という要素は印象が弱まっているように感じます)。現状では南極の間欠泉から直に火成活動を示唆すればウイルスを介さずに危機感を煽れてしまうので、本作を地球惑星+生物SFとして投稿する場合、この点をどうにかする必要があるように感じました。
再度の批評ありがとうございます。内容を見直して、全体の論調を大幅に変えました。最後の判断はもしかしたら「財団らしくない」かもしれませんが。
指摘されたそれぞれの点について返信します。
少し悩みましたが、ここが報告書全体の構成を決めました。詳しくは読んでいただければわかるかと思います。
見直しました。大幅に削りましたが、まだ問題があるようならご指摘いただければ幸いです。
写真・図解を左右交互に出すことによって見栄えをよくしました。また、divブロックを使うことで流れが分かりやすくなったかと思います。
おそらく大きく変わった部分です。ウイルスや火山活動それ自体ではなく、その背後にある、それらを引き起こした流れのようなものをSCPとして扱うことにしました。
以上です。問題があるようでしたらまたご指摘いただけると幸いです。