花の唄を聴く者はいない

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クレジット

タイトル: SCP-3393-JP -花の唄を聴く者はいない
著者: hannyahara
作成年: 2023

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機動部隊オメガ-0(”アラ・オルン”)文書管理担当員メリンダ・ウィリアムスからのメッセージ

これを読んでいるのは死んで間もない新入りか、あるいは自身の行く末に思いを馳せるべき時にある者だと思います。

まず新入りに向けて伝えておきます。

アラ・オルンに所属する死後職員たちは生ある者が知り得ない情報、知るべきでない情報を多数取り扱っています。また残念なことに、死んだ我々は決して不滅ではありません、人格消失により属人的情報は喪失します(そうなりたくなければ人格戦闘訓練に励むように)。そのため我々は読むと死ぬ場所に死者のみが知る情報を記録しています。重要な情報を得た場合は可能な限り記録するようにしてください。セキュリティクリアランス”死者”に指定されたページはSCP-2111を筆頭に、このページの他にもSCiPリストの間隙に複数存在しています。セキュリティ警告を無視して好きなだけ読むと良いでしょう。

なお、当ページで説明しているSCP-3393-JP自体は重要な情報ではありません。至る所に生えていて疑問に思ったことでしょうが、我々死者からすればありふれた、無害な物です。

ただこれは私個人の所感ですが、生者が知るべき情報とは言えないかと思います。

そして新入り以外の、自身の行く末を気にかけている者よ。あなたの第二の旅路が安らかにあることを願います。

それでは守護する聖者よ、どうぞ閲覧を続けてください。

アイテム番号: SCP-3393-JP

オブジェクトクラス: Ticonderoga

特別収容プロトコル: SCP-3393-JPの収容は不可能と考えられます。しかし、既存の叡智圏に影響を及ぼす可能性は極めて低く、また生者には認識できないことから収容の必要はありません。但し、濃密な生息域周辺は人格消失の危険性が高いと考えられるため接近は避けて下さい。同様に生者の接近についても可能な限り忌避できるように監視、誘導を実施して下さい。

説明: SCP-3393-JPは強力な反ミーム性を有した花です。代表的にはヤマユリ(Lilium auratum)やワスレナグサ(Myosotis scorpioides)などの形を取り、生育環境とは無関係に世界の広い範囲で分布しています。しかしその強力な反ミーム性から殆どの生物から認識されておらず、生体に対する五感への影響だけでなく機械的重量や光学的遮蔽についても存在しないかのように扱われます。

SCP-3393-JPを認識するにはZクラス記憶補強薬の服用、臨死状態、及び死亡による異常ミームへの完全耐性獲得が必要となります。このうち臨死体験から生還した場合は殆どのケースにおいてその反ミーム性からSCP-3393-JPの存在を忘却しますが、稀に不明瞭な記憶として残存することがあります。所謂”死後の世界”として知られる風景イメージはSCP-3393-JPが影響したものである可能性があります。

SCP-3393-JPの生息域は一般的な植物の生育条件とは無関係ですが、死者人格の消失領域と密接に関係しています。大規模な死者人格消失インシデントが発生したサイト-41及びサイト-167付近に最も多く、サイト全体を埋めつくすように分布しています。このように生息数の疎密さに差はありますが、人類生存圏の全域に分布していることを確認しています。そのため死者人格の消失と同時にSCP-3393-JPが発生すると考えられています。

SCP-3393-JPの発生現象と死者人格の消失領域に統計的関連性が確認できることから、SCP-3393-JPは死者人格における遺体に相当する可能性が高いと考えられています。但し、消失したと認識されている死者人格がSCP-3393-JPの中で自我を有し続ける可能性も否定されていません。また、SCP-3393-JP個体がどの死者人格に対応しているかも確認できていません。

補遺: SCP-3393-JPの存在を生者が認知する可能性は極めて低いと考えられますが、SCP-001においてSCP-3393-JPの存在が示唆されています。任意のK-クラスシナリオにより知性体の大規模クラスタが死に瀕した場合、SCP-3393-JPが”自発的に出現した”かのように知性体から認識される可能性が存在します。このような極限的状況においては死者人格についても大規模な消失が予測されるため、提言で表現されたように地表の大部分はSCP-3393-JPに覆いつくされると考えられます。

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  Kajikimaguro 22 Apr 2023 04:50

  拝読致しました。

  リビジョン19時点での批評です。

  しかしながらSCP-XXXX-XPが消滅した死者人格に由来するものであるという証拠は存在していません。

  誤字です。

  非常に面白かったです。どこか儚く面白い話になっており、それでいて提言の補完となっているかつ、それに説得力を持たせられており投稿されたら間違いなくUVです。

  記事作成頑張ってください。

  hannyahara 26 Apr 2023 02:51

  誤字について修正しました、ついでに描写に細かい調整を入れています。
  個人的には「生者が知るべき情報ではない」というところに納得感が得られるかどうかが気になっています。雰囲気重視の記事ではありますが、「なぜこういう形式なのか」というところで疑問を持たれると読後感を損ねるので、気になるかどうか、気になるなら改善する方法はどんなものか指摘頂けると助かります

  Kajikimaguro 30 Apr 2023 06:24

  個人的にはあまり気になりませんでした。しかし知るべきではないと言うことを強調したいのでしたらこれを確信を持って直接的にも間接的にも認識してしまったら"あの世(死者)"に近づく、とするのはどうでしょうか。具体的な内容はあまり思い浮かばないのですが守るために隠すのが財団の常ですしその方向で頑張ればいけるのかなと思います。

  rokurouru 02 May 2023 03:34

  拝読致しました。面白かったです。

  全体的に儚い雰囲気を纏わせる事に成功しており、良い読後感が残る記事だと思います。現状でもおそらくUVすると思います。
  また、｢生者が知るべき情報ではない｣という点についても問題は無いように感じました。個人的にはこのままで良いと思います。Kajikimaguroさんの提案である認識してしまったらあの世に近づくから、というのにも賛成はしません。只そこに存在しているだけの存在で無害だからこそリリーの提言に繋げた際の儚さ、いわゆるエモさが強調されていると思うからです。

  以上です。執筆応援しています。

  最後の編集 02 May 2023 03:35 by rokurouru さらに表示

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